ゼミの合宿で… 1

2023/05/16

ゼミの合宿で好きだった先輩が他大のサークルの男に部屋に持ち帰りされたのはOK?

それでは、少しこの場を借りまして・・・・
俺、20代後半のしがないサラリーマン。

ちなみに、年齢=彼女いない歴=童貞歴。魔法使いまであと一歩。
今日はやっと取れた夏休みでゴロゴロしている。
夏の終わりになると、思い出すことがある・・・・・
って、これ俺は毎日思い出してるな、ズリネタだから(w

×年前、俺は都内某私立大学に通う大学三年生だった。
俺の所属していたゼミでは、ちょうど今頃ゼミ合宿があって、
4年生がそこで卒論の発表をすることになっていた。
3年生は聞き役として出席。
俺はゼミ合宿の幹事だったんだけど、人数の少ないゼミだし、
宿を手配したり、お金を集めたりするのは比較的楽だった。

ゼミで俺が幹事に決まると、4年生の佐智子さんが声をかけてきてくれた。
「去年、私が幹事してたから、何でも聞いてね」
「え、あ、はい・・・」
佐智子さんは身長160くらいで色白。
すらっとしていて、実際の身長より高く感じたな。
髪は薄く茶色に染めていて(もしかしたら地毛だったかも)、
顔は芸能人で言えば山口智子系統。
でも山口智子みたいな美人というより、かわいいって感じだったな。
性格は明るいけど、ちょっと控えめ。
それにあわせて服装も露出の少ない清楚な感じ。
キャミ一枚になることなんてなくて、必ず上に何か羽織っていた。
で、就職は某有名広告会社に内定していた。
そんな佐智子さんににこやかに話しかけられて、
年齢=童貞歴の俺はもう、それだけでドキドキ(なさけなー)。

俺は年齢=彼女いない歴=童貞歴のキモ目の男だと自分でも分かってるから、最初、佐智子さんに自分から話しかけるってことはなかったな。

ゼミが終わったあと、
「ゼミ合宿どうなってる?」とか佐智子さんの方から話しかけてくれて、
「ああ~、どこにしようかなって・・・パンフとか集めたり・・・」
なんてしどろもどろになっていると、
「んじゃ、今度いっしょに見てみよっか、パンフとか」
「あ、へ、ああ・・・・・」
「来週、ゼミの後あいてる?」
「ええ、あ、はい・・・・・・・」
「じゃ、来週ねえ~」

もう、佐智子さんとツーショットで学食でパンフ見てるなんてありえなかった。
だって俺、小学校以来同級生の女子とかとまともに話したことなかったし(w
その後も佐智子さんはキャンパスで会うと向こうから声をかけてくれたり、
昼時に会ったときは大学の近所の洋食屋に誘ってくれた。
俺は、こういう時会計は男がするもんなんだろうって佐智子さんの分も払おうとしたんだけど、
「ふふ、武田くん(仮名ってことで。佐智子さんも)、普通はデートも割り勘だよ」
とにこっとした。

意地悪いって感じじゃなくて、なんかもう「ああ、佐智子さん・・・」って感じだった。
ああ、好きなんだなって。
でも絶対人にばれちゃいけない。特に佐智子さんには・・・・と思ってた。
これが喪クオリティ(w

で、合宿当日。
集合場所に教授が来ない。
学生はみんなそろっていた。(三年♂3名・♀0名 4年♂1名・♀2名 計6名)
集合時間から10分ほどたった頃、携帯に電話がかかってきた。
出てみると、教授の奥さんからだった。
教授はギックリ腰で、今朝緊急入院したという。
教授の言伝は「4年生は何をやるか知っているから、合宿に行きなさい」とのことだった。
狼狽する俺。
佐智子さんは「だいじょうぶ、だいじょうぶ。宿まで行って、あとは発表するだけだし」
と言ってくれたので、俺も多少安心した。

ああ~、教授には感謝していいんだか、怨んでいいんだか・・・
あんたが来てたらねえ・・・

合宿は伊豆某所。
昼過ぎに宿に着いて、そのまま発表。
3人しか発表者がいないので、夕方には終了。
その後、飯食って温泉入って、あとは宴会。
30畳くらいの宴会場で宴会なんだけど、うちのゼミは先生が固いので
ゼミ飲みも誰かが飲みすぎたりとかそんなことはなかった。
今日もそんなんだろうと思ってた。
ああ、佐智子さんとちょっとでも多く話せたらな、とは思ってたけど。

宴会場に入ると席がゼミの人数分の3倍以上ある。
通常の3倍か!と最初に思うのは俺もオタクだよなあ。
次に思ったのは、俺に不手際があったのか!?ってこと。
ああ、どうしよう、とおろおろしていたら、
どやどやと他大のサークルの連中が入ってきた。
あ、そういや「歓迎××大ヨットサークル」って玄関に出てたな。
一緒の会場かよ・・・体育会系はうるさそうだなあ・・・・と始まる前からウンザリ。

で、宴会は予想通り隣がうるさい・・・・20人くらいいたな。男15人女5人くらい。
でもこちらはまたーり飲み。
結構佐智子さんとも話せた。
しばらくして酒が切れたので、俺が買出しに行くことに。
友人の佐藤も付き合ってくれた。

最寄のコンビニ遠スギス。徒歩10分以上。
宿出てから帰ってくるまで30分以上かかったな。
帰ってきてみて、驚きと言うか、ガッカリと言うか・・・・
佐智子さんがヨットサークルの連中と飲んでいたのだ!!
俺が「あ、あ、アレ・・・・・・?」とかマヌケな声を上げると、
4年生女子の笹原さんが
「ああ、寺田くん(4年男子。遊び人風)の友達があっちにいてね、
それで一緒に飲もうとか言われたんだけど、う~ん、ほら、武田君も佐藤君もいなかったし・・」
残っているのはさえないいかにも文系人間(w
笹原さんもキモ目の俺に普通に話しかけてくれるいい人だったけど、
笹原さんも多分彼氏いない歴=年齢ぽかった(w

これが現実だよな・・・・はは・・・・・みたいな感じで飲み再開。
もっさり文系飲みってことで気安いって言えば気安かったけど。
しばらくしてもようしてきたので、席を立った。
そしたら廊下で佐智子さんと男が楽しそうに話をしていた。
佐智子さんはこっちに気付いて
「あ、武田くん!武田くんも一緒飲もうよ!」と言ってきた。
佐智子さんと話していた男はこちらをウザそうに一瞥した。

俺は「あ、う、はあ~・・・・・」みたいな感じ。
俺の返事っていつもこうだから、佐智子さんも何とも思わなかったんだと思う。
トイレから出てくると、まだ二人は話していた。
通り過ぎる時、佐智子さんはこっちを見てひらひらっと手を振った。
今でもあの「手ひらひら」はスゲーダメージを俺に与える・・・・

俺はちょっと会釈して通り過ぎたんだが。

宴会場に帰ってもっさり飲みを続けているとふと気になった。
佐智子さんが帰ってきていない。もうさっきから30分は経ってるぞ。
おかしいなあ。トイレついでに見てくるか・・・・・と思って席を立った。

あ~、書いてて動悸がする。

さきまでいたはずの佐智子さんがいない!
うわあ~!もしかして・・・・いや、佐智子さんに限ってそんなこと・・・・
そんなことがグルグル頭の中を回る。
明らかにうろたえていた。
今宴会場に戻ると勘くぐられるよなあ、ちょっと部屋に戻って落ち着きを取り戻そうと思った。

部屋は2室取ってあった(男部屋と女部屋)。
男部屋の鍵を開けようとすると、隣の女部屋から笑い声がしてきた・・・・
(へ?佐智子さんと笹原さん?でも笹原さんは宴会場にいるはずし・・・・)
お、男の声がする・・・・・っ!!

え、ウソ、マジで・・・・・・っ!!

女部屋の前に立つ。
足はもうガクガクしていた。
戸の隙間から見ると、部屋の鍵はかかっている。当然か・・・・
どうしよう、どうしよう。
そこでふと気が付いた。泊まっていたのは古い温泉旅館。
そのせいか、扉と床の間には5ミリほどの隙間が空いていた。そこから明かりが漏れている。

俺は、周りに誰もいないことを確認すると、そーっと身をかがめ、隙間から覗いた・・・・

声が廊下に漏れていたのは、扉のところで二人が話しているからぽかった。
だから覗いてみる気になったんだと思う。

二人は床に座っていた。男がこちらにケツを向けていて、
佐智子さんはヘタっと足全体を床につける感じで座っていた。
床に緑の一升瓶が置いてあった。佐智子さんが紙コップを床に置いた時にドキッとした。
佐智子さんの手は細くてきれいだったな・・・・

二人は海外旅行の話で盛り上がっているらしかった。
俺は一人暮らしで、親は余裕なくて学費と部屋代しか払えなかったから、
生活費をバイトで稼ぐ手前、海外旅行なんてありえなかった(w
就職の時って、海外での経験とかプラスになるのどうかと思うよ。
就活の時、面接で「生活費のためにバイトばっかしてました」って言ったら、
「サークルとか旅行とか学生らしいことしてないの?」なんて言われたもんなあ。
すずめの涙ほどの小遣いは映画見たり、ゲーム買ったり、新書買うくらいで消えたっての。
就活のスーツ、佐藤から借金して買ったんですけど(w
おっと、関係ない話でした・・・・

佐智子さんは相当酔っているみたいで、呂律がちょっと回ってない感じだった。
男は、「さっちん、大丈夫かよ~」みたいなこと言ってて、
(はあッ!?あったその日に「さっちん」だとおおおおおッ!!)と俺はブチキレ寸前。

「だいじょうぶ、だいじょうぶ・・・・あ・・・ああ・・ちょっとダメかも~・・・あははは」
「あはははは(二人の笑い声)」
こんな陽気な佐智子さん見たの初めてだった・・・・

ああ、どうしたらいいんだ・・・
時計の針は11時を指そうとしていた。うちのゼミならもうお開きって時間だ。
笹原さんも部屋に帰らなきゃいけないじゃないか!そうだ、笹原さんになんとかしてもらおう!!
そう思って、急いで宴会場に戻った。

「あ、タケ!もうそろそろ寝るべ」と言ってきたのは佐藤。
「おお。・・・・・あ、笹原さん、ちょっといいですか?」
「え?何々・・・・・」
二人で廊下に出ても何ら怪しくない二人(w
俺は覗いたのは秘密にして、女部屋で佐智子さんと男が鍵をかけて飲んでいるらしいことを話した。
「やっぱ・・・・ね・・・・」と笹原さんは言った。参ったなあという顔だった。

ゼミの連中も佐智子さんがいないことに気付いていたという。
で、寺田がこっちを時々見て挙動不審なんでもしや・・・・・と話になっていたという。
「あたしも寝られないのは迷惑だから、男を叩き出そう!協力してよ、武田くん!」
「あ・・・・う・・・おお、いいっすよ!やりましょう!!」
いつになく調子に乗ってたな、俺・・・・

そして二人は女部屋の前に立った!

「武田くん・・・・ノックしなさい・・・・」
「ちょ、ちょ、ちょ、ここで寝るの笹原さんでしょう?」
「さっきはよくも男らしい態度を取ってくれたわね。許さなくてよ」
「ノ、ノックだけですよ・・・・」
笹原さんはたまにマダム口調になる(w 体型とかメガネとかでスゲーそれが似合う(w
自分も分かってやってたんだろうけど。
あ、さっき女子と話したことないなんて書いたけど、アレウソね(w
笹原さんのみ、普通に話すことができた。
笹原さんは、俺が見ても、その、ええと以下自主規制(w
でも、おもしろくていい人だったさ。

「じゃ、行きますよ・・・」
「よくてよ・・・」
顔を近づけないと聞こえないような声でひそひそと話す二人。

やるぞ、やるんだ、っていうか、やれ!!
じとーと体全体が汗をかいてきた。
足はがくがくする。

アレ?何か変な音がするぞ・・・・・?

「何か変な音が・・・・・サーって言うような・・・・」
「変な音?サーッ?チャンネル着いてないテレビ?」
「違いますね・・・・」
ここで俺が即断できたのは、俺はテレビが付いていると分かる人間だからだ。
音がしなくてもわかる。
なんか超音波みたいなのを感じる。それが、なかった。
この特殊能力はちなみに佐藤と弟が持っている(w
テレビが「ビデオモード」になっていて画面が真っ暗で音がしなくても
「テレビ消せよ」みたいに気付くことができるのだ!!

だから何?って感じですけど。

そこで俺は耳を扉に当ててみた。
サーッと言う音はシャワーの音らしい。
シャワーの音が外まで漏れるってことは、
風呂場の戸をあけて、かつシャワーを全開にしているってことだ。
(消音・・・・?)
「ちょっと、ちょっと、武田くん、どうしたのよ・・・」
「あ、ああ・・シャワーの音?」
「え?何?・・・・・」
笹原さんも戸に耳をつけた。

「はん・・・・・・・あっ・・・・ああ・・・ん・・・・」
シャワーの音にまぎれて聞こえにくかったが、確かに聞こえた。
心臓の鼓動はレッドゾーンに突入。
がーっと汗が出てきて、足はがくがくして立っているのがやっとだった。
もう、キョドスギス。
笹原さんは全てを察してしまったみたいだった。
何とも悲しそうな表情でこっちを見てた。
俺は(くそおおおおッ!!俺が佐智子さんがすきなのがばれる!!足、止まれよ!!)
ともう必死。ばれてんのに(w
ナイフとか持ってたら、自分の足刺してたろうな。

「武田くん・・・・部屋、戻って休んでなよ・・・・」
「あっ・・・あ、え・・・・・・」
「休んでなさいって・・・・もう、これ隠しようがないよね。どうするかみんなと相談してくるから、ね?」
「は・・・っ・・・は・・・」
「すぐみんなで戻ってくるから、部屋にいるんだよ!」
「(コクコク)・・・・・」

タタタっと急ぎ足で笹原さんは駆け出した。
俺はガチャリと鍵を鍵穴に差し込んで、真っ暗な部屋に入った。
目の前のスイッチを入れて明かりをつけた。
蒲団がしいてあった。宴会中、中居さんが敷いてくれたんだろう。
4枚ひかれている蒲団の一番窓側のに、ごろんと横になった。

この壁の向こうで佐智子さんは・・・・・
「う・・・っ・・・・く・・・っ・・・・・くく・・・」
涙がつつーっと頬を伝った。
涙は部屋のクーラーですぐ冷えて頬に冷たく感じた。

ふと窓に目をやると、上側の大きな窓ガラスははめ込み式で空かないが、
下の小さい窓は開くものだった。

確かここは2階・・・・で、玄関の上のせり出した屋根があったような・・・

窓により、確かめてみるとそうだった。
小さな窓からは、どうにか出られそうだ。
い、行って・・・・・・・みる、俺?

出る時やっぱり頭を強打。
(うおおおお!!いってえ!!)と思ったが、我慢。
そして窓を閉める。ここから出てったとばれないように。
屋根の上はなんか得体の知れない土みたいな砂みたいなのがザラザラして気持ち悪い。
足ががくがくしてうまく歩けないので
しゃがみ込んでそろそろ歩いて隣の部屋の窓に近づいていった・・・・

見えるよな。いや、見えない方がいいかも・・・・心の中ではわけの分からん葛藤が起こっていた。

ついに女部屋の窓の下に着いた。男部屋を抜け出そうとしてから1分くらい経っていたか。
時計は11時7分・・・・

「・・・・はあああん!・・・・・あ・・・・い・・・・いや!!・・ああ・・・・」
えええええええええ!!外なのに、外なのに、聞こえてくるよおおおお!!
そんなに大きな声ではなかったが。確かに漏れてくる。
なんか緊張しすぎて吐きそうになっていた。

このままだと本当に吐きそうだったので、ちょっと落ち着かなければと思った。
耳を両手でふさぎ、目をつぶって深呼吸を何度もした。
俺は中学でDQNに相当酷いイジメを受けていたので、
ちょっと集中すると心を無にすることが昔はできた。
ここにいるのは俺じゃない。他人だ。他人だ。他人だ。と思い込むと感覚が鈍くなる。
痛みや罵倒にある程度その場では耐えられるようになるのだ。

1分くらいで心が空っぽになると、動機もがくがくも汗も収まっていた。
さて、見るぞ!と思った瞬間、また始まったわけだが(w

窓の桟のところに両手をかけ、そろ~っと顔を上げていった。
この時点ではまだ中が見えるかどうかわからなかった。

見えてくれ。いや見えないでくれ。いや、見るぞ。見えない方がいいって。

心の中で「うおおおおおおおおおおお!!」と雄叫びをあげ、かっと目を見開き、目を窓ガラスのところまで持っていった。

残酷な神はいる!覗いてくださいと言わんばかりに片目分くらいカーテンの隙間があいていた。

<続く>

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