幼馴染の誰にも言えないヒミツ 後編
2018/02/17
中編
それから、ゆきと顔を合わせずに2日くらい経ちました。
私も、ぼーっとすることが多くなっていました。
停滞期というやつかもしれません。
ゆきのお婆ちゃんが、家に訪ねてきました。
野菜のおすそ分けをしてくれました。
玄関に腰掛けて、お婆ちゃんは言いました。
ゆき婆「1ちゃん、ゆきと喧嘩でもしてるのね?」
1「」
ゆき婆「今週の初めくらいから、ゆきが元気ないのよ」 1「ごめんなさい、してます。…私が悪いんです」
ゆき婆「いんにゃ、ゆきも自分が悪い自分が悪いって言いよるよ」
1「えっ」
ゆき婆「すれ違いねぇ」
お婆ちゃんは、にやにや笑っていました。
ゆき婆「あの子ね、小さい頃からね、男らしくないのよ。いつもうじうじしてねぇ」
1「まあ、たしかに」
ゆき婆「だからね、1ちゃんといると、すごく頼もしく見えるのよ」
1「そうですか?」
ゆき婆「そうよ。だから、良かったら、1ちゃんが大人になってリードしてくれんかw」
1「…」
ゆき婆「勿論、腹が立つだろうけど、ゆきもゆきなりに、1ちゃんを大事に
思ってると思うんよ。
だから、ゆきと仲直りしてくれんか。
ゆきのことを任せられるのは、ゆき、何ていい婆ちゃんを持ったんだ。
涙出てきた。
1「します、します。今すぐにでもします」
涙目になりながら言いましたw
お婆ちゃんが帰った後、すぐにゆきの高校へ向かいました。
丁度部活が終わっていたようで、ゆきが俯き加減で校門から出てきました。
突進しました。
思いっきりタックルすると、ゆきはしりもちをつきました。
1「よう」
ゆき「!!!??」
1「お前のばあちゃん嫁にくれよ」
ゆき「は、え?は?」
1「ごめんなさい」
私は校門の前でおもいっきり土下座しましたw人に見られてなくてよかったwゆき「えっ、えっ」
1「ゆきのアピール無視してごめんなさい。
男として見なくてごめんなさい。
ゆき、先輩よりずっと格好いいよ」
ゆき「ちょww顔あげて」
1「ゆき愛してるよ」
ゆき「うん、うんww俺もwwだから止めて、脚火傷するよww」
ゆきに引張り上げられました。
アスファルトあつい。
「ゆき婆が、仲直りしてやってくれって」
ゆき「ばあああああああちゃあああああああああん」
1「めっちゃ良い女ですね」
ゆき「あー…」
1「ちゃんと話し合うか」
ゆき「うん。俺も、ごめん。我儘言ってごめん」それから、二人で歩きながら自分達の気持ちを話し合いました。
私は素直に、ゆきのことは好きだけど、そういう行為に少し抵抗感があると告げました。
ゆきは真剣に聞いてくれました。
私は、ただ、ゆきに魅力がないということではないと付け加えました。
女装のことが気になってる訳じゃない、と。
まあ言ってしまえば、私の恋愛に対する抵抗感は、
母の前の恋人が原因だったんですよね。
詳しいことは伏せますが。
そういうことも、ちゃんとゆきに話しました。
ゆきは、納得したようでした。
1ちゃんがそういう気持ちになるまで、
ちゃんと待ちたいと言ってくれました。
そのあと、二人でアイスを食べながら、神社の近くでだべりました。
ゆきは、喧嘩した日から全然部活に集中できなかったと漏らしました。
1「精神弱っ」
ゆき「いやいや、だって思いっきりこけちゃったもん。膝見てよ」
ゆきの膝には、大きい絆創膏が張ってありました。
私はふざけて、そこに触れました。
ゆきの体が強張りました。
痛いの?と聞くと、いや、別にと歯切れが悪い。
ゆきは、真っ赤になっていました。
その顔を見ていたら、どうしようもなく、
胸がぎゅーっとなる感じがしました。
ゆきが好きなんだな、と思いました。
絆創膏から手を離して、ゆきのほっぺたを触りました。
ゆきはびくっとなり、「汗かいてるよ」と言いました。
気にせず、ほっぺたをぷにぷにしまくりました。
ゆきは、目を逸らしながらもじもじしていました。
そっと顔を近づけると、またびくっとなりました。
もうなんか、暑さにやられて、私はゆきにキスをしました。
勢い良くしたので、歯と唇が当たって痛かったw
しかも眼鏡のままなので、ずれたしwゆきは驚いたように目を見開いていました。
私ははっとして、顔を離しました。
1「ごごごごごごめん」
ゆき「い、いや、いいけど、いいけど」
1「なんか、ほら、暑いから。暑いから」
ゆき「うん、そうだね、うん」
私はごめんごめんと呟きながら顔を背けました。
ゆきも反対を向きました。
けど、すぐこっちを向いて
ゆき「1ちゃん、平気なの?」
1「は、はい?」
ゆき「俺にちゅーしても、平気なの?」
1「い、いや。うん、別に」
ゆき「そっかー。嬉しい」
ゆきはふにゃっと笑いました。
恥ずかしくて、顔中に汗が噴出してきました。
今度はゆきが、私の髪や耳を触ってきました。
そっぽを向く私に優しく言いました。
ゆき「良かったら、こっち向いてくれない?」
1「…」
ゆき「1ちゃーん」
下を向いたまま、ゆきのほうに顔をむけました。
ゆきが顎を優しく掴んできました。
びっくりして、「うおっ」と叫ぶと、ちょっとふきだしていました。
顎を持ち上げられて、眼鏡を外されました。
ゆきがまた、キスしてきました。
この前のように唇を噛まれて、音を立ててきました。
くすぐったくて、逃げようとすると、頭を押さえられました。
ゆきが小さい声で、口を開けてほしいと言ってきました。
なんで、と言おうとして口を開けると、ゆきがいきなり舌を入れてきました。
うお!?って感じでした。
ゆきは荒い呼吸をしながら、私の舌に自分のをこすりつけました。
ちょっと、不覚にも、ちょっとだけとろんってなりました。
力が抜けました。
ゆきは女の子みたいな、甘えた声で喘ぐみたいにしながら、何回も何回もキスしました。
私はずっと、硬直していたと思います。
しばらくして、ゆきは顔を離しました。
目が、見たことないくらいとろんとしていて、
面白かったです。
ゆきは私の髪に顔をうずめて、ぎゅーっとしてきました。
ゆき「苦しかった?」
1「いや、うん、別に」
ゆき「しちゃったね、べろちゅー」
1「うんw」
なんとなく、おかしくて、二人で笑いました。
まあ、そんなこんなで仲直り。
ゆきは今まで以上に私にあまえるようになりました。
私も、べろちゅーの一件以来、あまり遠慮がなくなったと思います。
人生の中で、一番楽しくて、充実した夏でした。
海も行ったし、バスケの試合も観に行ったし、まあ余談ですが、本当の意味での
脱喪?もしたりして。
一ヶ月はびっくりするぐらい、早く過ぎました。
母が退院し、私も帰ることになりました。
夏休みが終わって欲しくなかったです、正直。
私が帰る日、ゆきはあの日と同じように、拗ねて玄関に立っていました。
ゆき「もう帰っちゃうの」
1「うんw帰るww」
ゆき「死にそうなほど寂しいんだけど」
1「うん、そうだね」
ゆき「…楽しかったねー」
1「うん」
ゆき「…」
1「…」
ゆき「ここに住めばいいのに」
1「あはは」
ゆき「…はー」泣くなゆき。
お願いだから泣かないでくれ。
荷物を全部まとめ、おばちゃんとゆき婆と、近所の人に挨拶をして、
お婆ちゃんが号泣しながら、ゆきの背中を小突いて、ゆきを押し出しました。
ゆきは赤い目をしながら、送ってくとぶっきらぼうに言いました。
265 ゆき 2014/06/22(日)13:1…