高級住宅街に住む女子校生の家庭教師を務めることになった

2021/01/22

ボクが美雪と出会ったのは大学3年の夏だった。
当時彼女は受験を控えた高校生で、家庭教師の派遣元からの紹介でボクが家庭教師を務めることになった。
夏休みを控えたある日、ボクが美雪の家へ出向いた。
高級住宅街の中でもひと際目立った大邸宅がボクの探している家だと気がついた時、愕然とした。
どんなわがままなお嬢様がボクを待っているのだろう・・・
来年大学受験を控えた夏になってようやく家庭教師をつけるなんて、よほど頭が悪いか勉強嫌いかに決まっている。
そんなに勉強が嫌いなら進学なんかさせなければいいのに、お金持ちと言うのはとにかく見栄を張りたがるものらしい。
ベルを鳴らすとすぐに母親が出てきて、ボクを出迎えてくれた。
「先生、お待ちしておりました」
「初めまして」
ボクは優等生らしさを強調しようと少しオーバーに頭を下げて見せた。
どこに座ったら良いのか躊躇うほど高級そうな皮張りのソファーとかが置いてあるリビングに通され、促されてようやく座ると直ぐに教え子となる女の子が二階から降りてきた。
細身でストレートな長い髪にアーモンドアイという基本エレメントは良かったが、いかにもファンキーそうで、だらしない態度をした女子高生が登場した。
お約束通りガムをくちゃくちゃ噛んでいて、挨拶もロクにできない。
それでもボクにとっては学生生活を支える貴重な収入源となるお客さまなので、ボクは小娘相手にきちんと挨拶をした。
「こんにちは。今日から数学を教えることになりました。よろしく」
女子高生はボクを値踏みするようにちょっと失礼なくらいボクをジロジロ見ると、
「美雪です」
とひと言だけ言うと、首だけでボクに会釈をした。
「こら、美雪!きちんとご挨拶なさい!」
「いえ、お母さん・・・」
ボクが母親を制すると、母親は申し訳なさそうにボクに頭を下げてくれた。
娘はともかく、親の方はきちんとしていそうだ。
「この子、やればできる子なんです」
きちんとはしているが、親馬鹿だ。
派遣元からは、とにかくどこの大学にでもいいので入れるレベルにしてさえもらえればいい、そう言われてやってきた。
美雪の部屋に入ってみると、服装ほどの乱れはなく、それなりに整理された部屋だった。
本らしきものはマンガしかなくて、あとはテレビゲームのソフトが一応片づけられている。
ボクは美雪の隣に座って教科書をカバンから取り出させた。
思った通り、教科書には書き込みも折り目もほとんどなくて綺麗なものだった。
先が思いやられる・・・。
それでも気を取り直して、教科書に載っている初歩的な練習問題を指して、
「これ、解いてみてください」
と言ってみる。
問題を解き始める気配がないので美雪の方に目を向けると、ジッとボクを見つめている。
「ん?どうかしましたか?」
そう尋ねると、美雪はおもむろに、
「ねぇセンセ、どうして私なんかに丁寧語で話すの?」
「おかしいですか?」
「おかしいよ。念を押すまでもないけど、私、年下だよ」
「美雪ちゃんは自分が年下だという自覚がありながら、どうしてボクにタメ口で話すんですか?」
美雪はニヤリとしながらも、意外な質問を受けたという顔をしながら、
「私が質問しているの。質問に質問で返すのは無しだよ」
これにはボクが苦笑いをさせられた。
頭の回転は悪くないようなので、その日初めて、ボクは美雪に好感が持てた。
「ボクなりに理由はあるんですけど、こうしませんか。美雪ちゃんが問題を一問解いて正解をしたら、ボクが美雪ちゃんの質問にひとつ答える。どうですか?」
「どんな質問でもいいの?」
「はい」
「それなら、いいよ」
美雪は涼しい顔で答えると教科書とボクを見比べて目でどれ?と尋ねた。
ボクがさっき言った練習問題を指すと、美雪はノートを取り出してサラサラと問題を解き始めた。
一分も経たないうちに、
「できたよ」
と言ってノートから顔を上げた。
半信半疑でノートを覗き込むと答えは合っている。
「じゃあ、これとこれ」
ちょっと悔しくて大人げないけど、授業でまだ習っていないかもしれない教科書の真ん中あたりの練習問題を指してみるとこれも直ぐにサラサラと解いて見せた。
ウソだろ?信じられなかった。
ボクはムキになって、教科書の最後の方の問題を二つ選んだ。
「これとこれも解いてみて」
美雪は直ぐにノートに鉛筆を走らせると瞬く間に解いてしまった。
脱帽だった。
「美雪ちゃん、どうして・・・」
「ストップ!センセ、問題を解いたのは私だよ」
確かにそうだ。
目で続きを促すと、
「五つ解いたから、五つ質問できるよね?」
と言うのでボクは頷くしかなかった。
「嘘の答えはダメだよ」
「わかってるよ」
「センセ、私を見てダメな子だと思ったでしょう?」
ボクは正直に頷いた。
「どうして丁寧語じゃなくなったの?」
しまった!思わず我を忘れて普通に喋ってしまった・・・。
「多分驚いたからだと思う」
素直に告げると、美雪は満足そうに頷いて、
「あと三つはとっておくね」
と言われた。
美雪は悪戯っぽい目をして、
「センセ、もっと問題出して」
と言ったが、ボクは直ぐに白旗を上げた。
勝てない勝負を続けたら、泥沼にハマる。
美雪にどんどん問題を解かれたら、ボクは何でも洗いざらい喋らされて美雪に丸裸にされてしまうと思った。
「ねぇ、どうして美雪ちゃん、勉強できないふりをしたの?」
美雪は少し悪戯っぽい笑みを浮かべると言った。
「センセ、問題解いてないけど、特別に答えてあげるね」
これはまた、一本取られた・・・そう思ったのが顔に出たのか、美雪はクスリと笑うと続けた。
「私は、出来ないふりなんかしてないよ」
「えっ?」
「センセが私を見て勝手にそう思ったんだよ」
言われてみればそうだった。
確かにボクは美雪の見た目に惑わされてしまった。
「でも、どうしてそんな風に思われるような態度を取っているの?」
「センセ、もう質問の権利ないんですけどぉ」
ボクは苦笑しながら美雪にはっきりと言葉で白旗を揚げた。
「美雪ちゃん、降参だよ。だから、普通に喋ってもいいかな?」
美雪は特にボクをやり込めた風な態度は見せず、ニッコリ笑うとあっさりいいよと言った。
「聞きたいことは色々あるけど、しばらくお話しする?それとも勉強を続ける?」
美雪は少し考える素振りを見せて、
「勉強する。センセはそこで好きなことしてて」
と言った。
確かに美雪には家庭教師なんか必要無さそうだった。
少なくとも数学について、ボクの出る幕はなさそうだ。
教科書の基礎問題を普通に理解し、難なく解けるなら後は自分一人で問題集の応用問題をどんどん解いていけば、自然と学力はアップする。
事情はよく解らないけど、初日でボクはお払い箱だなどうせ今日でおしまいなんだからそんなことを思いながら、ボクはお言葉に甘えてマンガを読ませてもらうことにした。
女の子のベッドに腰掛けるのは気が引けたので、フローリングの床に腰を下ろして読んでいると美雪は黙って部屋を出て行き、直ぐに座布団を持って戻ってきた。
「センセ、女の子のベッドにいきなり座らなかったの、偉いよ」
「そりゃ、どうも」
その日ボクは、マンガを読み続け、美雪に促されて再び彼女の隣に座らされた時、ノックの音が聞こえた。
すぐに扉が開かれて、母親がケーキと紅茶を持って入ってきた。
「どう?お勉強進んでる?」
「うん、センセ、教えるの上手だから結構進んだ」
何を言い出すのかと思えば・・・驚いて声も出ないボクを尻目に、それを聞いた母親は満足そうに部屋を出て行った。
ボクはただそれを焦点の定まらない目でぼーっと見送った。
「センセ?」
美雪の声で我に返ると、
「ケーキ食べなよ」
と言って、美雪はフォークを渡してくれた。
時間はあっという間に過ぎて、では、また来週ということになった。
「センセ、この番号に掛けてみて」
部屋を出る前に、美雪に言われるがままに携帯から電話を掛けさせられると、美雪の携帯電話が短く鳴った。
ディスプレイに表示された番号を満足そうに見ながら、美雪は自分の携帯にボクの番号を保存した。
ボクはどうしてだか家庭教師を首にならず、それからも毎週美雪の部屋でマンガや雑誌を読むアルバイトが続いた。
夏休みの間も相変わらずだった。
美雪は自習を続け、ボクはマンガを読んで過ごしていたが、流石にこれではマズいだろうと思い、数学以外でもいいので見てあげようとしたら、逆に問題を出されてやり込められてしまった。
でも美雪にはそんなボクをバカにしている風なところは微塵もなくて、ボクが困った顔をするのを単に楽しんでいるだけのようだった。
美雪の態度は少し改まったものの相変わらずだったが、学力についていえば数学はボクの現役時代と同等で、それ以外はボク以上であることが夏休みを終わる頃には分かってきた。
そんな風にして二、三カ月が経ったある秋の土曜日、カップラーメンを啜りながらテレビを見ていると携帯が鳴った。
「もしもし、センセ?」
美雪からだった。
「うん」
「今日、もしかしてヒマ?」
いきなり失礼な奴だと思ったが、図星だったので素直に肯定した。
「ねぇ、お買い物に付き合って」
「いいけど、少しは接しやすい態度でボクに合わせてくれる?」
「うん、わかってる」
そう言うと、美雪は待ち合わせ場所と時間だけを告げると電話は直ぐに切れた。
美雪が指定してきたのは、人混みでごった返す待ち合わせ場所の代名詞みたいな場所だった。
こんな人混みの中、どうやって・・・ボクは時計と睨めっこをしながら時間を気にして美雪の姿を探した。
間もなく待ち合わせ時刻というところまで迫ったところで、ボクの視線を遮るように目の前にすっと立ちはだかった女性がいた。
「センセ、お待たせ」
その声は間違いなく聞き覚えのある美雪だったが、風貌は一変していた。
初秋らしいフレアスカートに真っ白なブラウスを身に纏い、どこから見ても清楚で真面目な女子高校生だった。
爪は透明のマニキュアだけで顔も薄化粧のナチュラルメイクだった。
「美雪・・・ちゃん?」
「どう?見違えた?」
「・・・うん、馬子にも衣装?」
「ひっどーい!」
そう言いながらも美雪はニッコリ笑ってボクに腕組みをしてきた。
おい、おい、ボクの腕におっぱい、当たってるんじゃないの?そんな心配をよそに、ボクは美雪に促されて一緒に歩き出した。
「どこへ行くの?」
「いいから、いいから」
美雪はボクの腕にしっかり掴まりながら、身体を押し付けたり引っ張ったりしながらボクを目的地へと誘導していった。
高いビルの高層階に達し、ボクたちが到着したのはプラネタリウムだった。
二人分の入場料を払わされて中に入ると、すぐに係の人が扉を閉めて、上映が始まった。
もう都会では見られない満天の星空だった。
久々に見る星空に何だか感激して、最後には流れ星まで流れていたので反射的に願い事をしてしまった。
美雪ちゃんが大学に受かりますようにそう心の中で唱えた自分に驚いた。
宝くじが当たりますようにとか、美人の彼女ができますようとか、いくらでもあるだろうにどうして美雪ちゃんの・・・ちょっと後悔して願い事をし直そうと人口の空を見上げ続けたが、その後はどんなに目を凝らしていても、プラネタリウムの天井に流れ星は流れなかった。
ゆっくりと夜明けを迎えて場内が明るくなった時、美雪ちゃんはボクの隣の席で音も立てずに眠っていた。
疲れているのかな?そう思ってもう少し眠らせてあげたかったけど、係員のお姉さんの目が終わりましたよと言っていたので、美雪の肩を軽く揺すって起こした。
「あっ、寝ちゃってた?もったいなーい!」
美雪は両手を頭上に突き上げて伸びをすると、ボクの顔を見ながら目を瞬いてみせた。
「退屈だった?ボクは結構楽しんじゃったけど」
「センセ、ごめん。私、昨日寝てなかったから眠くなっちゃった」
ボクに質問を許す間を与えず、美雪はボクの腕を取って、
「センセ、パスタ食べたーい」
と言って歩き出した。
買い物に付き合うんじゃなかったんだっけ?そう思いながらも、髪を染め直した美雪の誠意に免じてボクは何も言わずに美雪に従った。
「細い身体でよくそんなに食べられるね」
「うん。私、大食いコンテストの予選に出たことあるよ」
「・・・」
「ねぇ、センセ、もうひとつ注文していい?」
先週の家庭教師代が消えるな・・・と思ったが、構わなかった。
元々マンガを読んでるだけのバイトだったので文句も言えない。
それにしても、すごく美味しそうに食うなぁそう思って見ていると、何だか美雪がとても可愛らしく見えてきた。
「ごちそうさまでした!」
ボクの前で手を合わせる美雪を見ながらボクは財布の中身が少し気になったが、美雪はちっとも気にしている様子はなかった。
金持ちの娘は、お金の心配なんかしたことないんだろうなぁそう思うと、ちょっと羨ましい気もした。
「次はどうするの?」
ボクの問いに返事はなかったが、美雪に手を引かれて次に向かったのはマンガ喫茶だった。
美雪はここでもボクにお金を払わせて、二人用のボックス席を選んで入ることになった。
しばらく二人で寝そべってマンガを読んでいたが、美雪はボクの耳元に唇を寄せると小声で
「センセ、キスしよっか?」
と言ってきた。
「子供に興味はないよ」
本当は股間の膨らみがMaxに到達しようとしていたけど、軽い男に見られたくなくて、そんな返事をしてしまった。
「ふぅん、そうなんだ」
美雪はつまらなそうに再びマンガに目を戻して読み始めた。
気が付くと、美雪は身体を横にしたままボクの隣で再び眠り込んでいた。
健康でピチピチの女子高生がボクの隣で眠りこけている。
ボクはとうとう我慢できなくて、美雪の背中の方に身体を密着させると後ろから抱きしめるようにした。
クスッと笑う声がして美雪は身体を反転させると、ボクの目の前に美雪の顔が来た。
「・・・これは・・・」
言い訳をしようとしたボクの口に人差し指を当てて、出てこようとしたボクの言葉を遮ると、
「センセ、キスして」
と美雪は目を閉じながら言った。
ボクは美雪の華奢な身体を抱きしめるようにして、口づけをした。
唇を離して美雪の顔を覗き込むと、美雪は上目づかいでボクを見ながら、ひと言、
「ありがと」
と言った。
ボクがもう一度美雪を抱きしめると、美雪はボクの耳元で、
「センセ、三つ目の質問」
と言った。
ボクが身体を少し離して不思議そうな顔をすると、
「質問の権利に有効期限ってなかったよね?」
と美雪は言って見せた。
あ、もう何ヶ月も前なのに、まだ覚えていたんだそう思いながらも寝転んだまま先を促した。
「センセ、彼女、いますか?」
うわっ、直球かよそう思ったが、約束なので仕方なくゆっくり首を横に振ると、美雪は少し嬉しそうな顔をして、
「好きな人はいますか?」
と重ねて聞いてきた。
ボクが再び首を横に振ると、
「セックスしたことありますか?」
と聞いてきた。
「五つ目の質問になるけど、いいの?」
ボクが聞き返すと美雪はコクリと頷いてボクに目で答えを促した。
約束は、約束だもんな・・・言い辛かったけど、ボクは素直に再び首を横に振ると、美雪は何も言わずにボクの首に抱きついてきた。
「私のこと、どう思っていますか?」
美雪はボクの耳元で囁くように聞いてきた。
「・・・」
「センセ?」
ボクが答えられずにいると、美雪は腕の力を抜いてボクとの間に少し距離を取ると、ボクの顔を見ながら、
「好きなんでしょ」
とやや断定的に言った。
照れ臭くなったボクは、
「あ、六つ目の質問だから答えられないなぁ」
と冗談ぽく言うと、美雪はこちらが驚くくらいの満面の笑顔で、
「センセ、セックスしよう」
と言ってきた。
「表情と言ってることにギャップがありすぎるよ」
そんな切り返ししかできなくて、ボクが少し戸惑った表情をして見せると、美雪はいつもの悪戯っぽい表情を見せて、
「これは質問じゃないよ」
と言ってボクが立ち上がるのを促した。
マンガ喫茶を出ると美雪はボクに再び腕組みをしてきて、ボクたちはそのままホテル街へと向かった。
何軒かホテルの前を通り過ぎて、どこに入るかボクが決められずにいると、美雪にグイと腕を引っ張られて壁の目隠しがついた入口を入っていった。
「センセ、どれにする?」
空き部屋の写真には電気が灯っていて、休憩と泊まりの値段が書いてあった。
ちょっと見栄を張って高い方から二番目の部屋のボタンを押すと、小窓の空いた受付で鍵を受け取る仕組みになっていた。
受付のおばちゃんらしき人の手が伸びてきて鍵を渡されると、ボクたちは腕組みをしたまま黙ってエレベーターが降りてくるのを待った。
エレベーターを待つ時間が異常に長く感じられたけど、実際は1分も待っていなかったのだと思う。
扉が開いた途端、頭の禿げあがった親父と女子高生風の女の子が出てきたので、美雪は壁の方に顔を向けるとボクの背中に隠れた。
「あたし、パスタ食べたーい」
女子高生風の女の子が親父に言っているのが聞こえてきて、ボクはどこかで聞いたセリフだと思いながら美雪の手を取るとエレベーターに乗り込んだ。
部屋に入ってからも美雪は落ち着かなかった。
「へぇ、こんな風になってるんだぁ」
枕元にあるライトをつけたり消したりして部屋の電灯が点いたり消えたりしているのを確かめるようにして遊んでいた。
ベッドの端に腰を下ろして美雪を見つめていると、不意に僕の方を振り返って美雪が訊いてきた。
「センセ、こういう所、よく来るの?」
「来るわけないよ」
「でも、来たことはあるんでしょう?」
「ないよ」
「えっ?センセも初めて?」
「彼女なんていないって、言っただろ?」
「それって、今いないってことじゃないの?ずっといないの?」
「悪かったな・・・」
高校生に痛い所を突かれて、ボクは美雪を直視できずに言った。
でも、さっきの質問のボクの答えを信じていなくてカマをかけたのかな、などとも思った。
すると美雪はいったんベッドを降りて、ボクの前に膝を着いて上目遣いでボクの顔を覗き込んだ。
「じゃ、私がなってあげる」
「えっ?」
「彼女」
ボクが呆気に取られて返事ができずにいると、美雪は立ち上がって、
「じゃ、決まりね」
そう言うとバスルームに消えていった。
シャワーの栓を捻って水が流れる音が聞こえてきた。
ボクはどうしたらいいのかよくわからなくて、とりあえず洗面所にあった歯ブラシの封を切ると歯を磨き始めた。
バスルームの扉は摺りガラスになっていて、美雪がシャワーを浴びているシルエットが見えた時、ボクのジュニアはジーンズの中で硬くなって痛みを訴えた。
バスタオルを身体に巻いて美雪がバスルームからでてくるのと入れ違いに洗面所で服を脱ごうとしたら、美雪が興味深そうにボクの方を見ていた。
「おい、見るなよ」
マジで女の子に服を脱ぐところを見られるのが恥ずかしくて、ボクは少しぶっきらぼうに言った。
すると美雪はちょっと肩を竦(すく)めてベッドルームへと移っていった。
シャワーを浴びていると屹立していたものが一旦落ち着いて、バスタオルを腰に巻いてベッドルームに戻ってみると、美雪はベッドに入って布団から頭だけを出していたが、目は閉じていた。
ボクはバスタオルを取ってベッドの上に置くと、掛け布団の端を少しめくってベッドに潜り込んだ。
美雪はバスタオルを身体に巻いたままベッドに仰向けに横たわっていた。
どうしたらいいのかよくわからなかったけど、美雪の隣に身体を横たえて、取り敢えず美雪の首の下に腕を差し込むと抱きかかえるように抱擁した。
すると、美雪の方から誘ってきたのに美雪は小刻みに震えていた。
「寒い?」
目を閉じたままの美雪が首を横に振った。
「あの・・・、美雪ちゃん、もしかして初めて?」
そう言うと、美雪は目をパッチリ開いて言った。
「センセ、ムードないよぉ」
「ごめん」
「初めてだけど、悪い?」
美雪は口を尖らすように言うと、ボクに背中を見せると拗ねて見せた。
「ごめんごめん。でも、ボクも初めてなんだ・・・」
美雪は首を捻ってボクの方に向き直ると訊いてきた。
「男の人って、エッチなところへ行くんじゃないの?」
「世間一般にはそうかもしれないけど、ボクはそういうの苦手なんだ」
美雪が問うままに、ボクはそう答えた。
すると、美雪は徐に身体全体を反転させてボクに向かい合うと言った。
「ほんと?」
「ほんと」
美雪の手がボクの頭の後ろに回ってボクは引き寄せられると、美雪は唇を重ねてきた。
唇と唇を合わせるだけのキスだったけど、石鹸の香りが美雪の身体から立ち上って、良い匂いがした。
唇が離れるとボクは美雪の身体を包んでいたバスタオルを左右に開くようにした。
美雪は腕で胸を隠すと、目を閉じたままボクに言った。
「おっぱい小さいでしょ・・・」
「そんなことないよ」
ボクはそう言いながらゆっくりと美雪の腕を胸からどけると、まだ膨らみきっていない美雪の胸を観賞させてもらった。
メイクをしている時はよくわからなかったけど、美雪は透き通るような色白で、大きくはないけど綺麗なおっぱいに綺麗なピンクの乳首が可愛らしかった。
「おっぱい小さいでしょ・・・」
美雪が再びそう言うのを聞いて、こんなに自信満々の女の子にもコンプレックスはあるんだなぁと思ったりした。
美雪のおっぱいに触ってみると、とても柔らかくてお肌が滑々だった。
乳首に唇を寄せてそっと口に含んでみると、美雪は小さく声を発した。
「んっ!」
チュウチュウ吸っているうちに、乳首がだんだん硬くなってきてボクは何だか嬉しくなってきた。
おっぱいに這わせていた手をだんだん下の方に動かしていって、美雪の草むらに触れてみた。
美雪の陰毛は思ったほどゴワゴワしていなくて、むしろ柔らかい猫毛のようで、丸く膨らんだ丘を手のひらで包むように触ってみた。
美雪が両手で顔を隠すようにしたけど、身体はもう震えてはいなかった。
気がつくとボクは興奮のあまり頭に血が上ってしまって、肝心のモノはすっかり萎えてしまっていることに気がついた。
ボクが焦っていると、美雪が、
「どうしたの?」
と訊いてきた。
ボクは恥ずかしさで一杯だったけど、見られてしまったら一目瞭然なので、諦めて言った。
「興奮しすぎて・・・、ちっちゃくなっちゃった・・・」
それを聞いた美雪はクスリと笑ったのでボクはちょっと傷ついたが、どうしようもなかった。
「ねぇ、センセ。触ってみてもいい?」
美雪にそう言われて力なく頷くと、美雪はそろそろと手をボクの股間に伸ばしてきた。
細い指で真ん中あたりを摘まれた瞬間、ボクのものはピクリと動き、ぐんぐん大きくなっていった。
「すっごーい!」
目の前で男根が勃起するのを見て、美雪は目を丸くすると素直に驚いて見せた。
勢いを得たボクは、美雪に覆い被さると長い脚を割って入って挿れようとした。
でも、場所も角度もよく分からなくて、やたらめったに美雪の亀裂に擦り付けていたら、そのまま果ててしまった。
美雪の陰毛に精液がかかり、それはそれでちょっとエロかったけど、挿入もままならないまま果ててしまった情けなさのショックの方が大きかった。
ボクはティッシュをとって自分のモノを拭いた後、美雪の股間も拭おうとしたら、
「センセ、ちょっと待って」
と美雪に言われて何なのかと思ってただ見ていると、美雪はボクの精液を指に付けて匂いを少し嗅いで見ると、ふふっと笑って、
「これセンセの素だね」
と言った。
ボクも釣られて笑うと美雪はバスタオルで胸を隠しながらベッドから起き上がり、空いた方の手をボクの方に伸ばして言った。
「センセ、シャワーを浴びよう」
ボクは美雪に誘われるままに美雪の手を取ると、一緒にバスルームに向かった。
美雪は泡の石鹸を手に取ると自分の局部に塗りたくって洗い流した後で、ボクのモノにもソープをまぶした。
「洗ってあげるね」
そう言われて美雪に任せていると、ボクは美雪の手の平の中で再び大きくなってしまった。
「元気でちゅねーw」
それを見た美雪は恥ずかしさを隠すかのようにボクのモノに向かってそう語りかけた。
お互いの身体を拭きあって再びベッドに戻ると、ボクは一からやり直した。
少し冷静さを取り戻して、ベッドに横になる前にコンドームを探すとこっそり枕の下に忍ばせた。
抱き合ってキスをして、小さな乳房を揉んでからもう片方のおっぱいに口を近づけると乳首を吸った。
「んんっ・・・」
美雪の口から小さな喘ぎ声が漏れたところでコンドームを登場させ、ボクは美雪に膝を立てさせると再び入り口を探した。
いくらコツコツとペニスの先で探ってみてもわからずにいると、美雪がそっと手を伸ばしてくるとボクの竿をガイドするように導いてくれた。
「このままゆっくりきて」
ボクが少し驚いた顔をして見せると、
「女の子はね、タンポン使っているから」
と言い訳するように言った。
美雪のガイドに従って、それとコンドームのゼリーが潤滑油になって、四分の一ぐらい入ったところで美雪が眉間に皺を寄せた。
「痛いの?」
思わず心配になって尋ねると、美雪は首を振りながらボクにしがみ付いてきた。
その勢いでボクは根元まで美雪に中に入ってしまった。
美雪の中は温かくて脳がとろけそうだった。
腰を動かそうとすると、背中に回った美雪の腕に力が入ったので、きっと痛みに耐えているのだと思った。
ボクは美雪を痛がらせないようにできるだけ動かないようにしていたのだけど、繋がったままキスをしたら猛烈に興奮してしまい、思いっきり腰を振って美雪の中で果ててしまった。
腕を突っ張って起き上がろうとすると、美雪の声がした。
「待って」
ボクが動きを止めると、
「センセ、ティッシュを二、三枚取って」
と言うので渡してやると、
「そっと、そっとね」
と言いながらボクのモノが抜け出ると素早く自分の股間に丸めたティッシュを押し当てた。
ボクがコンドームを外して後始末をしていると、ティッシュに薄らと血が滲んでいた。
結局ボクたちはまたシャワーを浴びて、ベッドに横になると猛烈な睡魔が襲ってきた。
どれだけ眠ったのかわからなかったが、目を覚ますと美雪の顔が目の前にあった。
美雪の大きな瞳がボクをずっと見つめていた。
「あっ、寝ちゃった?」
「うん、今日のセンセの顔を覚えておきたくてずっと見ていたの」
「痛かったろ。我慢できなくて、ゴメン」
「ううん、素敵だったよ。こんな素敵なロストバージンって、そうそうないんじゃないかな」
美雪が言うほど素敵だったとは、初めてのボクでも到底そうは思えなかった。
でも、美雪の優しさには感謝していた。
ホテルを出ると小雨が降っていた。
「折り畳み傘、持ってるんだけど、私、傘を濡らすの好きじゃないんだ。センセ、走ろう」
そう言うと美雪は駅に向かってボクの前を走り出した。
小鹿のようにダッシュをする美雪のあとを追いながら、美雪が少し蟹股気味になっているのを見てボクは思わず笑ってしまった。
年下らしく子供っぽいところと、年下なのに大人っぽいところがあって、高校生というのは微妙で面白い存在だと思った。
駅に着いた時、美雪は肩で息をしていたが疲れた様子はなかった。
ハンカチを取り出して、美雪の顔を拭いてやると、
「センセ、ありがと」
と言いながら、美雪もハンカチを取り出してボクの顔を拭いた。
「ボクたち、お互いに何をやってるんだろう・・・」
笑いながらそう言うと、美雪も笑いだして言った。
「そうだね、でも、センセの顔をもう少し触っていたいの」
美雪は少し背伸びをしてボクの顔を引き寄せると唇にチュッとキスをした。
「センセ、またね。バイバイ」
小さく胸の前で小さく手を振ると美雪は駅の改札に向かっていった。
そんな美雪の後姿をボクはいつまでも見送っていたが、美雪は一度も振り返らなかった。
「バイバイをした後に振り返るのはね、今生のお別れの時だけなんだって・・・」
いつだったか美雪がボクにそう話していたのを思い出した。
次に美雪の家を訪問した時、美雪はいつも通りだった。
母親の前では品行方正な態度とは言えなかったが、二人きりになるとデートをしたときの美雪がそこにいた。
部屋に入ると美雪は自習を始めた。
ボクもいつもの通りにマンガを読み始めたのだけど、美雪のことが気になってチラチラ見ていたら、美雪が背中を向けたままボクに言った。
「センセ、そんなに見つめられたら、私、穴が開いちゃうよ」
「えっ?どうしてわかるの?」
「私、後ろにも目がついているもん」
どう考えても不思議だった。
美雪は決してボクの方を振り返っていなかったので、見ていたことを照れくさく思うより、驚きの方が勝ってしまった。
思わず立ち上がって美雪の肩越しに机の上を覗いてみたら、小さな手鏡が置いてあって、美雪はそれを隠そうともしなかった。
「センセ、マジで驚いていたでしょ?」
悪戯っぽく笑った美雪が振り返って言った。
何だか極まりが悪くて、苦笑いをしていると再び美雪が口を開いた。
「私のこと、見てくれていて嬉しいよ」
この子はどうしてこんなに自分の感情をストレートに口にできるのだろう。
後ろが見える謎が解けた今、今度はそのことの方が不思議に思えた。
「センセ」
いつもの通り、美雪に呼ばれて隣に座るとノックの音がして母親がケーキとお紅茶を持って入ってきた。
ボクはコーヒーが苦手なのだけど、この家では最初から紅茶だった。
コーヒーか紅茶かも聞かれなかった。
母親が部屋から出て行くと、美雪はケーキをフォークで口に運びながら、ようやくこの間のことを話題に出した。
「プラネタリウム、もったいなかったなぁ」
「前の晩、遅かったの?」
「うん、っていうか、明日先生と会おうと決めてから全然眠れなかったの」
「でも、約束していたわけじゃないから、会えるかどうかも判らなかっただろう?」
「うん、でも会えるって信じてた」
「それで会ったら、眠っちゃったんだ」
「うん、先生の顔を見てね、安心しちゃったんだと思う」
美雪は唇に付いたクリームを舌でペロッと舐めながら言ったが、二人の秘密を持ってしまった所為か、それが何だか妙にエロい感じがした。
美雪とそういう関係になったからといって、会うたびにセックスをしていたわけではなかった。
なんと言っても美雪は受験生だったし、ボクは美雪の受験の妨げになるようなことはしたくなかった。
だから、美雪と二人きりになっても美雪は自習を続け、ボクはマンガや雑誌を読ませてもらって、お茶を飲みながら雑談をしては帰っていった。
けども、そんな雑談の中で美雪は少しずつ自分のことを話してくれるようになった。
「美雪ちゃん、ホントは勉強できるんだよね?」
美雪は謙遜もせずに、はっきりと頷いて見せた。
「どうして、出来ないふりをしているの?」
「だって、親に変に期待をさせない方がいいでしょう?」
「どういうこと?」
「だって、勉強したいって思ったことないし、いつまでもできるも思っていないから」
おかしな理屈だと思ったが、もっと聞きたいことがあった。
「最初に会った時、美雪ちゃん、すごい不良少女をしてたよね」
美雪はこれにも頷いた。
「どっちが普通の美雪ちゃんなの?」
「どっちって?」
「あの時の美雪ちゃんと今の美雪ちゃん」
「ああ、それはどっちもだよ」
「どういうこと?」
「センセ、問題解いていないのに、質問多いよ」
美雪はそう言って、悪戯っぽく笑うと話をはぐらかした。
ボクが困った顔をすると、美雪はいいけどねと呟いて言葉を継いだ。
「どっちかというと今の私だけど、センセの反応を見たかったんだ」
「ボクを試したってこと?」
「試したわけじゃないけど、センセのリアクションが見たかったの」
「どうして?」
「どうしてって・・・」
美雪は更に何かを言いかけたが、思い直したように言った。
「ナイショ」
しばらく沈黙が流れて、美雪は自習を続けていた。
「ほんとはね」
美雪の声で読んでいた雑誌から目を上げると、美雪はボクに背中を向けたまま続けた。
「最初は悪い印象で、だんだん印象が良くなって行ったら、少しはセンセが私に興味を持ってくれるかなって」
変わった娘であることはわかっていたが、かなり屈折しているように思えた。
でも、美雪の思惑通りに、ボクの美雪に対する気持ちは加速度的に高まっていっていた。
「でも、人は第一印象が大事だって言うよ」
「うん、でも普通にしてたらセンセが振り向いてくれるわけないモン」
ボクは嬉しくて、美雪の背後に立つと両手を美雪の頭にやって旋毛の所に軽くキスをした。
シャンプーのいい香りがボクの鼻腔をくすぐった。
・・・あれ?でも、あの時初めて会ったのに、何でそんな対策してたんだ?家庭教師なら誰でも良かったのか?そう疑問が湧いたけど、しばらくしたら忘れてしまった。
それからのボクたちはストイックなほどにプラトニックだった。
それでも、たまに帰り際に美雪が抱きついてくることがあって、そのときは熱いキスを交わしたりしたけど、それだけだった。
週に一回、同じ空間で時間を過ごしているというだけで美雪の学力が向上しているとは思えなくて、訊いてみたことがある。
「ねぇ、ボクって本当に美雪の勉強の役に立ってるのかな」
「立ってる立ってる」
「ほんとかよぉ」
「ほんとほんと」
そう言って美雪は唇を突き出すと、キスをするようボクに促した。
美雪がキスをせがんで来るのは決まって模試の前だった。
「センセとキスするとね、俄然やる気が出てくるの」
本当なのか、ボクをからかっているだけなのか判らなかったけど、美雪はそんな風に言っていた。
年は明け、美雪はボクが受験の頃に落ちた結構偏差値の高い大学を受験した。
試験の前日にボクは美雪に呼び出されて、学業の神さまを祀る神社にお参りをした。
お賽銭をちょっとだけ奮発して、流れ星の時とは違って美雪の合格だけを心から祈った。
二人でおみくじを引くと、美雪は大吉でボクは凶だった。
美雪が大吉でホッとしていると、ボクのおみくじを見た美雪が言った。
「交換してあげる」
美雪はボクから凶のおみくじを奪い取ると、大吉のおみくじをボクに押し付けた。
「私、凶でも合格する自信あるから」
駅で別れるとき、美雪は少し上目遣いになってボクに言った。
「センセ、明日試験が終わる頃、迎えに来て」
自信があると強がっては見せたもののやっぱり不安なのかなそう思ったボクはわざと軽いノリで返事をした。
「はいはい」
「「はい」
は一度でよろしい」
「はいはい」
「ほら、またぁw」
美雪は笑顔を見せて、ボクにはそんな掛け合いが楽しかった。
試験が終わる1時間くらい前にボクは試験会場に着いていた。
美雪の合格しか願っていなくて、柄にもなくもう一度神社にお参りに行ってからの到着だった。
合格を諦めた者なのか回答が早く終わった者なのか分からなかったが、終了時刻よりも早く何人かの受験生っぽい生徒が出て来始めると、その中に混じって美雪の姿があった。
美雪は目ざとくボクの姿を見つけると、校舎を出たところから人目を憚ることなくボクに手を振った。
「センセ、来てくれてありがと」
「時間より大分早いんじゃないの?」
「うん、でもセンセに早く会いたくて出てきちゃった」
「えーっ、それで大丈夫なの?」
「うん、楽勝楽勝」
「ほんとかよ」
「ほんとほんと。それよりセンセ、早く行こ」
「どこへ?」
「もう、分かってるくせにぃ・・・セックスしよ」
うわっ、期待していなかったといえば嘘になるけど、ストレートだなぁそう思いながらボクたちは、繁華街へ出ると一番綺麗そうなホテルを見つけると入っていった。
「わぁ、ここ高いんじゃないの?」
「美雪の合格の前祝い」
「ほんと?センセ、ありがとう。期待してもらって大丈夫だからね」
ボクが受験した時は、合格発表まで気が気じゃなかった。
それなのに美雪のこの自信はどこから来るのか、ちょっと羨ましかった。
受付で鍵を受け取って部屋に入ると、美雪は直ぐにボクに抱きついてきた。
大きくはない胸だけど、胸を押し付けられるとボクはやはり興奮した。
抱きしめると女の子の匂いがして、ボクは股間を膨らませてしまった。
目ざとくそれを見つけた美雪はボクをからかうように言った。
「あ、センセ、おっきくなってるぅw」
ボクは恥ずかしくなって押し倒すように美雪をベッドに寝かせると美雪はボクの動きを制した。
「センセ、シャワー浴びて来ていい?」
ボクは逸る気持ちを抑えて美雪から一旦離れると、美雪はバスルームに消えていった。
シャワーの音が止んで、美雪が戻ってくるとボクも入れ替わりでシャワーを浴びた。
出てくると美雪はもうベッドの中に潜り込んでいた。
見るとバスタオルがベッドの脇に畳んであったので、シーツの下の美雪が生まれたままの姿だと思うとボクのモノは痛いほどに屹立した。
そっとシーツを捲ってベッドに潜り込むと美雪は直ぐにボクに抱きついてきた。
「ずっと、我慢してたんだよ」
美雪の囁く息がボクの耳をくすぐった。
美雪の身体を横抱きにするようにして抱きしめ、唇を重ねると美雪の唇から熱い吐息が漏れた。
小ぶりのおっぱいを手のひらで包んで、既に硬くなりかけているポッチを口に含むと舌先ではっきりと硬くなるのを感じた。
「センセ、いい・・・」
美雪の声を聞いて、手を草むらのほうに伸ばしていって、亀裂をそっと撫でてみると、そこは驚くほど濡れていた。
思わず手の動きを止めて美雪の顔を覗き込むと、美雪は恥ずかしそうに目を逸らせて言った。
「シャワーを浴びたから・・・」
でも蜜壺に溢れる液は、シャワーのサラッとした液体ではなくて、ちょっとヌルヌルとした感じがする気がした。
試しにそれを指で救って、敏感な蕾をこすってみると凄く滑らかに指が動いた。
「あん、もっと優しくして」
高校生とは思えない艶かしい声を聞いて、ボクはますます興奮してしまった。
ずっと我慢していた間、ボクもボクなりに女の子との接し方を学習していて、愛撫にはたっぷりと時間をかけた。
「あぁ、センセ、それいい・・・」
ボクは身体の位置をずらして美雪の長い脚を割って入り、膝を立たせるようにすると美雪の股間に顔を埋めた。
「あ、そんなのイヤ」
美雪は少し抗って見せたが少し強引に舌先を敏感な突起に押し付けると、ボクのなすがままになった。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」
ボクの舌先の動きに合わせて美雪が喘ぎ、ボクの興奮も最高潮に達したとき、ボクは身体を起こして美雪の蜜壺に肉棒を押し付けると一気に貫いた。
「あぁーっ!!!」
美雪が手を口元にやって人差し指を手の甲の方から噛んで、漏れ出る声を抑えようとした。
一番奥まで達したあとは、ゆっくり、ゆっくりと腰を動かしていった。
実を言うと激しく動くとすぐに果ててしまうので、美雪の反応を見ながらゆっくりゆっくり動かしては休み、ずっと美雪に中に入っていた。
腰を動かすよりも美雪の唇を吸ったり、硬くなった乳首を指で弾いたり軽く尼が魅してやるうちに、美雪の吐く息がどんどん荒くなっていった。
「センセ、なに?」
「なんか凄い!」
「えっ?えっ?えっ?」
「あ、もうダメ、あー、センセ、それ以上はもうダメ!」
ボクは腰のピストン運動をどんどん早めていって、美雪の身体が反り始めた頃、ボクはコンドームを付け忘れていることに気がついた。
「あ、センセ、もうイッちゃう!あー、ダメ、ダメ、ダメ!」
美雪の腰が浮き上がるようにして絶頂を迎えようとした瞬間、ボクも限界を迎えて美雪の中から離脱するとボクのものは大きく脈打ってビューっと精液を美雪の白いお腹に放った。
ボクが抜いた瞬間、美雪の身体もガクガクと震えると、美雪の股間からもピューっと何かが吹き出した。
美雪は身体を横にして背中を丸め、唇を震わせながらハァハァと荒い息を吐いていた。
美雪のお腹から零れた精液がシーツを濡らし、美雪の腰の下から太腿のした辺りのシーツにも大きなシミができていた。
ティッシュを取って自分のものを拭ったあと、美雪のお腹を拭いてやろうとすると美雪はビクッと身体を震わせると目を開けた。
美雪はのろのろと身体を起こしてボクに抱きついてきた。
ボクの放ったものがついちゃうなぁ身勝手で不謹慎にもそんなことことが頭を過ぎったが、ボクは美雪を力いっぱい抱き締めていた。
「センセ・・・、なんか凄かったよ・・・」
美雪はボクの耳元でそう言うとボクに唇をせがんだ。
熱い抱擁と口付けの後、ボクたちはシャワーで汗を洗い流した。
ボクに身体を預けて洗ってもらいながら美雪が言った。
「私ね、センセ」
ボクが目を上げて美雪の顔に視線を向けると美雪は続けた。
「センセとセックスしてから、エッチな子になっちゃった」
聞くと、美雪はボクをおかずに自分で自分を慰めることを覚えて、軽いエクスタシーを感じるまでになっていたと告白した。
「でもね、もう自分でするのと全然違った・・・」
素直に女の子の秘密を打ち明ける美雪の言葉を聞いて、ボクはなんだか男としての自信みたいなものが芽生えるのを感じた。
バスルームから出て、ベッドでいちゃついているとボクの股間の膨らみは直ぐに復活し、美雪はコロコロ笑いながら面白そうにそれを指でつついたりしてしてみていた。
「美雪、お口でしてくれる?」
勘違いも甚だしいが、妙な自信をを持ってしまったボクは大胆にも美雪にそんなことを言っていた。
言った途端に後悔したが、美雪は素直にいいよと答えると、ボクの股間に顔を近づけてきた。
美雪は最初のうちこそ恐々と少し舐めてみたり、唇で挟んでみたりしていたが、少し慣れてくると思いっきりボクを口に含んだ。
「あっ・・・」
あまりの気持ち良さにボクは思わず声を出してしまった。
「センセ、気持ちいい?」
ボクを口から出した美雪が上目遣いに聞いてきた。
「美雪、すごすぎ」
「嬉しい!」
美雪は本当に嬉しそうにそう言うと、いつまでもボクをしゃぶり続けた。
「美雪、出そう」
美雪を押しのけようとしたが、一層唇に力を入れて刺激し続けられて、ボクは直ぐに臨界点に達してしまった。
一度出した後だったのに、あんなにたくさんドクドクと出るとは思わなかった。
「ほら、ここに吐き出していいよ」
ボクはティッシュを何枚か重ねて美雪の前に差し出して言ったが、美雪は目だけで優しく微笑むと、ゴクリと口の中のものを飲み下した。
「飲んじゃったw」
照れくさそうな表情を浮かべながら美雪が言ったので、ボクは本当に美雪のことが愛おしくなって力いっぱい抱きしめた。
「センセ、苦しいよ」
耳元で発せられた美雪の声を聞いてボクは腕の力を緩めた。
「ごめんごめん」
美雪の後頭部に手をやって優しく撫でながらボクがそう言うと美雪はボクの耳に囁いた。
「センセ、大好き!」
受験が終わってからは三日と空けずにボクたちは会っていた。
ホテルは高くつくので、美雪は学校が終わるとボクの下宿に足を運ぶようになり、ボクたちは時間を惜しむかのように会ってはボクの布団にもぐりこんで愛し合った。
「あっ、センセ、そこ!それ気持ちいい!」
美雪は自分が気持ち良いところをストレートに伝えてくれるので、ボクの性技はどんどん上達し、美雪もどんどん感じるようになった。
挿入してもすぐに果ててしまうことはなくなって、ボクは美雪が喜んでくれることをどんどん覚えて言った。
ボクの下宿は安普請のアパートなので、美雪は声が出ないように口を押さえたり枕に顔を押し付けて必死に堪えていたけど、我慢の末の絶頂は一層激しいらしくて、最後には堪えきれない歓喜の声を上げて果てるのが常だった。
我慢に我慢を重ねるそんな美雪を見ながらボクは美雪をイカせることが快感になってきて、今から考えると本当にねちっこく女子高生の身体を弄んだ。
ボクが覆いかぶさる形でシックスナインになってクンニを続けていると美雪は腰をクネクネさせてボクに訴えた。
「センセ、もうダメ!あ、あ、あ、それ以上したら声が出ちゃうよ!」
「声を出したらいいよ」
「やだ、そんな恥ずかしいよ!近所に丸聞こえだよ!」
「じゃぁ、止めておく?」
ボクが美雪の亀裂から舌を離すと美雪は慌てて言った。
「いや、止めないで!」
「どうして欲しいの?」
「続けて!そのまま続けて!」
「声が出ちゃうけど、いいの?」
「いい!いい!あー!このままイカせてぇ!思いっきりイカせてぇ!」
ボクが舌と指で美雪の蕾を中心に愛撫を続けると、美雪は糸を引くような細い声を上げながら昇天した。
「あぁーっ!!!」
ガクガクと震える美雪の腰を抱きかかえるようにして刺激を続けると、美雪の声が止んでピクリとも動かなくなった。
ボクは身体を起こして美雪の横に身を横たえると、美雪はだらしなく口を半開きのまま気を失っていた。
リズミカルにゆっくりと胸が上下に動いて呼吸をしているのがわかったので少し安心して、ボクは美雪の身体が冷えないように掛け布団で身体を覆ってやった。
ほんの数分で美雪は目を覚まし、涎を啜る音がした。
美雪は徐にボクの身体に抱きついてくると、甘えるように言った。
「センセ、凄かった。私、何もわからなくなっちゃった。ちょっと怖いよぉ」
でも、ボクが美雪の細い身体を抱きしめてキスをしてやると安心したように目を閉じると眠りに落ちた。
ボクもそれに釣られるようにして目を閉じるとボクにも睡魔が襲ってきた。
股間に違和感を覚えて目を覚ますと、今度は美雪がボクの上に覆いかぶさって、眠りながらも屹立していたボクのモノをシックスナインの形でしゃぶっていた。
美雪の頭が揺れるたびに動く、濡れて光った美雪の割れ目がボクの目の前にあって、ボクは美雪の細い腰を引き寄せると合わせ目を掻き分けるようにして膣口へと舌を差し込んだ。
「んーっ!」
美雪はボクを口に含んだまま喉の奥から声をあげた。
どちらが相手を先にイカせるか競争になったが、失神するほどのアクメを感じた後の美雪が次の絶頂に抗う術はなかった。
美雪はもうボクを口に含んでいられなくて、ひたすらボクの愛撫に身を委ねていた。
「あ、あ、あ、あ、あ」
美雪が昇り詰める瞬間に、刺激をやめて引き戻すことを何度か繰り返すと美雪はついにボクの前に屈した。
「センセ、お願い!」
「どうして欲しい?」
「ねぇ、お願い、意地悪しないで」
「美雪がして欲しいようにしてあげるよ」
普段から美雪にはやりこめられているので、ボクは少し意地悪がしたくなって言ってみた。
すると、美雪は観念したかのように、切羽詰った声でボクに言った。
「センセ、もうイキたいの!お願いだから、イカせて!もう、挿れて!」
ボクは美雪の股座から身体を起こして四つん這いのままの美雪の後ろに膝立ちになると、すばやくコンドームを装着すると一気に後ろから美雪に押し込んだ。
「あぁ、これ・・・。センセ、これが欲しかったの!」
入れるだけ入れてボクが動かずにいると、美雪は無意識のうちに自分から腰を前後に動かして快楽を貪った。
「センセ、思いっきり強くして!」
リクエストにお応えしてボクは美雪の腰に手をやると、自分の腰を激しく打ちつけた。
パン、パン、パン、パン、パン。
ボクが腰を突き出すたびに美雪のお尻に打ち付けられる音が響いた。
「あーっ、もうダメ!イッちゃう、イッちゃう、イッちゃう、イッちゃう、イッちゃう、あぁーっ、イクぅーっ!!!」
美雪の中が激しく収縮してボクのペニスにものすごい締め付けが伝わってきた。
美雪がお尻を突き上げたまま枕に顔を突っ伏して、その日二度目の失神をしたとき、ボクも大量の精子を放出した。
もの凄い快感と征服感がボクを支配した。
美雪の身体を横に倒してやってベッドに寝かせると、ボクも添い寝をしてボクたちは再び眠った。
その日を境に美雪の態度が一変した。
セックスでボクが意地悪をすればするほど美雪の快楽は増し、従順さが増していった。
「私、センセ中毒なっちゃったよ」
そう言って猫のように身体を擦り付けてきたり、キスをせがんで見せるのだった。
美雪は第一志望の大学に見事に合格し、彼女の見せた自信が嘘や強がりではなかったことが証明された。
美雪はボクの通う大学も受験していたが、こちらは滑り止めだった。
少なくともボクはそう思っていた。
ところが両方とも受かった後、美雪は偏差値が高い方が滑り止めで、ボクの方が本命だと教えてくれた。
「どうして?」
「決まってるじゃん、センセと同じところに行くって決めていたもん」
「でも、そんなのもったいないよ」
「センセのいない学校へ行ったって意味ないもん。それにね・・・」
美雪は言葉を続けた。
「あっちを受けたの、センセの敵討ちだもん」
結局、美雪は偏差値の高い方は落ちたことにして、ボクの通う大学を選んだ。
それでも美雪のご両親は美雪が大学に合格したというだけで喜んでくれた。
「ほらね、最初から期待してないから、すごく喜んでくれているでしょう?」
ご両親の喜びようは尋常ではなくて、特別にボーナスまでもらってしまった。
「こんなのもらえないよ」
美雪に言うと、美雪はいつもの悪戯っぽい目をして笑って言った。
「いいのいいの。あの人たちはあれでご機嫌なんだから、そのままにしておいてあげてよ」
そう言われてしまうと返上するとも言い出せずに、ボクはそのお金を美雪との将来のためにとっておくことにした。
高校の卒業式の日、美雪はボストンバッグを抱えてボクの下宿にやってきた。
「センセ、今日は泊まって行っていい?」
「えっ?」
「ダメなの?」
「いや、いいけど。うちには何と言ってきたの?」
「今日は最後だから友達の家でオールになるって言ってきた」
もう何度も週末を一日中一緒に過ごしてきていたので、一晩泊まると言ったってどうってことないと言えばどうってことないのだけど、お泊りと聞くと何だかワクワクした。
それに学校の制服を着ているのも何だか興奮した。
「今日は私が家のことをするからね」
一応女の子らしく殊勝なことを言っている。
買い物袋を片方の腕にぶら下げながら空いている方の腕をボクの腕に絡めて来て、ボクたちは商店街に買い物に出かけた。
「今日は私の卒業祝いだから、お肉にしよう!」
早速、美雪のご両親から頂いたボーナスを使うときが来たと思った。
エプロン姿の美雪は、狭い台所をクルクルと動き回った。
既に、勝手知ったる他人の家状態で、美雪は手際良く夕飯の支度を整えて行った。
厨房から追い出されて、手持無沙汰になったボクはテレビを見ているしかなかった。
「できたよ」
美雪に呼ばれて食卓を見てみると、古いアパートの部屋には不釣り合いな豪華なステーキとボウルに盛ったサラダとカップスープが並んでいた。
「すごいご馳走だね」
「ふふっw、ちょっと頑張っちゃった」
褒められて気を良くした美雪はご機嫌だった。
向かい合って座り、ボクたちは食事に手を合わせた。
「いただきます!」
「これも食べてね」
食卓に着くと、霜降り肉の大きなステーキを前にして、美雪は自分の肉を三等分すると真ん中の一番いいところをボクのお皿に移した。
「いいよ、美雪が食べなよ」
そう言って遠慮したのだけど、美雪はいいのいいのと言って取り合わなかった。
「食べたねぇ、ご馳走さまでした」
満腹のお腹を摩りながらボクが言うと、美雪はお茶を湯呑に入れて出してくれた。
一緒に洗い物をして、狭いお風呂にきゃぁきゃぁ言いながら一緒に入って、肩を寄せ合ってテレビを見ていると、途方もない幸せを感じた。
「今更こんなことを訊くのも何だけど・・・、美雪は、知り合って間もないボクが初めての相手でよかったの?」
最初は不思議そうな顔をしていた美雪だったが、直ぐに頭の上に電球がピコンと灯って言った。
「センセのことは前から知ってたよ?」
「えっ?前からって?」
「私が高1と高2の時、時々電車で一緒になってたの、知らなかった?」
「そうなの?ごめん、全然気づいてなかった」
「ううん。センセ、お年寄りや妊婦さんが目の前に立つといつも席を譲ってた」
「あぁ、お袋に小さい頃に躾けられて、クセみたいなもんなんだ」
「うん、でも私には新鮮だった」
美雪がボクのそんなところを見ていたとは驚きだった。
「でも、高3になった途端センセに会えなくなった。電車の時間を早めても、遅くしてもダメだった」
「あぁ、それはボクが3年になってキャンパスが変わったんだ」
「うん、センセの大学のこと調べてやっとわかった。だから、学校を一日サボってセンセの大学の校門の前で待ってた」
「ボクが登校するかどうかもわからないのに?」
「うん、でもそうでもしないともう二度とセンセに会えないと思った」
「それで、ボクは学校に行ったの?」
「うん、校門の向かいにコーヒーショップがあるでしょ?」
「あぁ、でもボクはコーヒーを飲まないから行ったことないけど」
「知ってる」
「それで?」
「ちゃんと来たよ」
「まるで、探偵だな」
美雪はまたしてもふふっと笑うと話を続けた。
「それからは学校が終わると毎日そこに通ったの」
「コーヒーショップに?」
「そう」
「それじゃあ、大変だったろう?」
「ううん、全然。センセ、ほとんど毎日学校に来ていたから。それにセンセを見ているうちに私、大学に行きたいって思っちゃった」
「そうなんだ・・・。それで、家庭教師を?いや、美雪には家庭教師なんて必要なかったはずだよね?」
「センセ、自分で質問しておいて自分で答えないでよぉ」
そう言って美雪は面白そうに笑った。
「でも、センセのこともっと知りたかったから、センセが登録している家庭教師の派遣元に頼んだの」
「よくボクのところに回って来たよね。凄い偶然だよね」
すると美雪はボクに何かを仕掛けた時にいつも見せる悪戯っぽい笑みを浮かべると言った。
「偶然なんてないよ」
「どういうこと?」
美雪は種明かしをするときのマジシャンのように、ふふっと笑って見せて話し始めた。
「だから、センセのスペックに合うように家庭教師の派遣元に頼んだの」
「何て頼んだの?」
「数学を教えてくれる人で、センセのバイトが入っていない曜日にして・・・、あとはナイショ」
ボクはすっかり舌を巻いた。
美雪は用意周到にボクを自分の方に引き寄せていたのだった。
でも、それを知ってもボクは嫌な気分にはならなかった。
高校生でそんなことができる美雪のことを純粋に凄いと思った。
「凄すぎるよ」
率直に感想を漏らすと、美雪は肩をちょっとすくめて、茶化すように言った。
「凄いのは、センセのこれです」
美雪はボクの股間に手を置いた。
ゆっくりと美雪の顔がボクに近づいてきた。
軽く唇を合わせたところでボクは美雪の身体をゆっくりと布団に押し倒すと、美雪の目を覗きこむようにして言った。
「舌を出して」
「はい」
美雪はゆっくりと口を開けると、そろそろと舌を伸ばした。
ボクは少し乱暴にそれに吸い付くと、舌の付け根が痛くなるほどに強く吸った。
「全部、脱いで」
「はい」
美雪はボクに指図をされるのがすっかり気に入っていて、素直にパジャマ代わりのTシャツとジャージを脱ぐとブラジャーをつけていなかった美雪は下着一枚の姿になった。
ボクも急いできているものを脱ぎ捨てて全裸になると、布団に仰向けに横になると美雪に次の指示を出した。
「お口でして」
「はい」
「美雪、膝を立てて、股を開きなさい」
「はい」
「自分の指で一番感じるところを触って」
「はい」
「今、どうしているの?」
「そんなの・・・、センセ、恥ずかしいです」
「どうしているのか言いなさい」
「指で触っています」
「どこを?」
「私の一番敏感なところ・・・」
「そこを何て言うか知っているね?」
「センセ、もう許して・・・」
「言わないなら今日はここまでだよ」
「センセの意地悪・・・」
「ここまででいいの?」
美雪は小さく首を振ったのでボクは畳みかけた。
「それなら言いなさい」
「クリ・・・」
「クリなに?」
「ク、クリトリス・・・、センセ、もうお願い・・・、許して」
「ダメだよ。そこをどうすれば一番気持ちいいのか、ボクに見せて」
美雪はさっきから指の腹で敏感な突起を撫でていたがその動きが一層激しくなった。
「あぅ・・・、センセ、もうして・・・」
「どうして欲しいのか言いなさい」
「入れて欲しい・・・」
「何を?」
「セ、センセの・・・」
「何?」
「あ、もうダメ・・・、お願い・・・、センセのペニスを私にください」
美雪の胸が反り返って腰が少しずつ上がってきてきた時、ボクは美雪の手首を掴んで、オナニーを止めさせた。
美雪の腰がストンと布団に落ちて、美雪は切なげな眼差しをボクに向けると、理性のタガが外れたようにボクに訴えた。
「センセ、もう、イキたいの。お願い、もうイカせて!」
ボクは黙って美雪の身体を反転させて布団にうつ伏せにさせてから、両手で美雪の腰の辺りを引き上げて腰を高く上げさせた。
美雪の股間の亀裂はパックリとボクの目の前で開き、中から溢れ出た愛液が内股を伝って膝の方に流れていた。
ボクは屹立した肉棒をその亀裂に押し当てると、一気に美雪を後ろから貫いた。
「ひぃーっ!!!」
美雪は歓喜の悶え声を上げたかと思うと背中が反った。
ボクは美雪の腰を抱えながら思いっきり腰を打ち付けた。
「センセ、気持ちいい!あーっ、気持ちいい!あ、あ、あ、あ、あ、あー、もうイッちゃう!あー、、もう、もう、あ、あ、あー、イク、イク、イク、イク、イクぅーっ!!!」
あれほど声を上げることを気にしていた美雪だったが、迎えた凄まじい絶頂感に堪え切れず、大声を上げながら昇天すると、顔を枕に突っ伏した。
美雪の肩も背中もいつまでも痙攣が止まらなくて、膣の中もギュウギュウ収縮していて、呑み込んだままのボクのペニスを締め付けた。
ボクもフィニッシュを迎えたくて、再び激しいピストンを再開すると美雪が慌てたように言った。
「センセ・・・、続けては・・・ダメ。私、もう正気で居られなくなっちゃう・・・、あ、ダメだってば・・・、ダメ・・・、あー、また来る、あー、あー、あー、イクっ、あー、イクっ、もうダメ、あー、イク、イク、イク、イク、イクーっ!!!」
美雪は枕を掻き抱くような格好でエクスタシーを迎えると、気を失い、枕カバーに美雪の涎が広がった。
同時に美雪の中の激しい収縮に締め付けられて、ボクはドピュッっと音がしたのではないかと思うほど大量の精子を放出すると、美雪の背中の上にドサッと覆い被さった。
翌日、大家さんと部屋の前で鉢合わせをすると苦々しい顔をして言われてしまった。
「お若いからお盛んなのはわかるけど、もう少し静かにしてもらえるかな」
今は妻になった美雪にその時のことを話すといつも顔を赤らめるのだが、何だか嬉しそうな顔もする。
その話は、ボクたち夫婦の夜の営みの合図のようになっていて、ボクたちはいつまでもあの頃の気持ちを忘れずに愛し合っている。

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