真夏の夜の夢[14]
2018/03/21
私たちはまず布団を抱くマサルの腕を解くところから始めた。
ベッドに片膝をつき、静かに指を一本ず
つ広げていく。
マサルの手は汗ばんでいた。
一本、また一本。
その様子をミサキはマサルの足の方から興
味深そうに眺めている。
手が布団から離れると、手首をそっと両手で掴み横へずらしていく。
一瞬、マサ
ルの寝息が大きくなった気がして、二人ともその状態で制止した。
その時のミサキの顔ったら、眼をまん
丸にして、子供のシーサーみたいなんで、そのせいで思わずマサルの腕を落としてしまいそうになった。
それからしばらく待ってその腕をベッドのわきにそっと置いた。
マサルは見事に仰向けになり、両手はだらんと横に広げられている。
だだ、あとは丸まった布団がマサ
ルを縦に二分するように乗せられているだけだった。
ようし、そう心に呟き、私は上半身にかかる布団を、
まるで宝を覆う布を取り払うかのように、そっと慎重に持ちあげた。
その間にミサキはマサルの右足に引っ
かかる布団を取り外す。
私はミサキの手際の良さに感心した。
そして、私たちは細長い布団の両端をそれぞ
れが持ち、それを床の上に危険物でも取り扱う業者のようにそっと置いた。
私たちは一瞬見つめ合い、そし
て再びマサルに視線を戻す。
マサルは文字通りパンツ一枚の姿でそこにいた。
無防備にも片膝を曲げ、口をぽかんとあけて寝息をたて
ている。
いたずらじみた八重歯がわずかに見える。
それは先ほどよりもいくらか深い眠りに入っているよう
だった。
あらためてマサルの体を眺めていると、やはりとても中学生の体格とは思えるものではなかった。
あどけなさが残るのではなく、まさに今この時にしてあどけない顔をしているのである。
「かわいい……」、
今度は本当に小さく呟いてしまった。
ミサキは私を見て満面の笑みで頷く。