童貞のまま好きな娘と同棲したら色々カオスだった part4

2018/02/21

前回の話
「クリスマスパーチーをしませう!」
そうマリコが言ったのは12月も中頃を過ぎた辺りだった。
結局、ヒロさんのボーナスで遊びに行くかは焼肉で決まった。
それはヒロボーナス使い道会議に置いて焼肉派のイモトの熱弁が全員の心を揺さぶったのだ。
そして満場一致で焼肉食べ放題に決定したのであった。
次の、いつ食べに行くかと言う議題に置いてマリコのこの発言であったのだ。
クリスマスに焼肉パーティーって、どうなの?と思ったが、まあ良いんじゃね?って事になったんだ。
当日までの全員のテンションの上がり方は半端無かった。
普段面倒臭くてやらない事でも「来週は焼肉だからトイレ掃除をしよう」とか言っている始末。
まあ、俺なんだけどね。
とにかく全員がテンションアゲアゲで、その日を迎えた
「ちょ、どの店??どの店??」
市内の繁華街でイモトがデカイ声で叫ぶ。
「ああ、あれあれ」
そう言って俺が一軒の食べ放題の店を指した。
「食い尽くす!」
何その宣言。
「食べ尽くそ♪食べ尽くそ♪」
マリコ楽しそう。
係長が指を鳴らした。
「私の本気を見せる時が来ましたね」
もう、あんたら好きにしてくれい。
俺達はとにかく凄い勢いで食べた。
イモト、係長の食べっぷりは勿論だが、マリコ、ヒロさんも凄い。
痩せの大食いってマジなんだな。
俺は何か見てるだけで胸が一杯になったよ…
「次は?次はどうする??」
店を出たイモトが叫ぶ。
「どうします?二軒目行きます?」
俺はヒロさんに聞く。
「まあ、滅多に有ることじゃないから行こうか」
ヒロさんは、そう言うが金をヒロさんに出さす訳にはいかない。
だが、イモトと係長は酔って二人で騒いでいる。
なので俺はマリコに言う。
「次は俺も出すよ、ヒロさんばっかじや不味いよ」
それを聞きマリコも頷く。
「じゃあ、次は割り勘で行こう?」
賛成だ。
いや、待て。
「ちょい待ち…あれだ、係長以外な」
俺の一言でマリコは頷いた。
そんな俺らの気持ちも知らずに係長は
イモトに腹を叩かれて笑っていた…
「じゃあ、次さあメドレー入れない?」
イモトがマイク越しにそう言った。
二次会は結局カラオケだった。
まあ、飲み放題で安い所って言ったらここしか思い浮かばん。
「おお、良いな!じゃあメドレーを順番に回して歌えなかったら一気な!」
ヒロさんの一言に「やろう、やろう!」とマリコが騒いでいた。
「あ、フロントですか?梅酒ソーダ20杯お願いします」
係長、仕事ハエエ!何でアンタはリストラされたんだ!
年代別のメドレーをランダムで入れた。
だが、最近の年代ばかりで係長が一気する…と、思いきや係長、結構歌えるし!
係長のRIP SLYMEを聞く事になるとは思わんかったわ。
逆に歌えないのがマリコだった。
マリコはマイクを持つよりグラスを
持っていた回数の方が多かったよ。
カラオケが終わり全員かなり酔っぱらっていた。
俺がまとめて金を払って外に出た時に係長は既に演説を始めている。
イモトはまだ歌を歌っている。
ヒロさんは夜空を見ながらタバコを吸っていた。
つーか、誰か係長を止めろい。
「マリコ大丈夫?」
俺が目を軽く閉じているマリコに声を掛けた。
「ナオト~!」
マリコが笑いながら俺にもたれ掛かってくる。
うわ、何、これ。
メチャメチャ嬉しいんだけど。
とにかく全員酔っぱらいだった。
比較的にまともな俺が最初に気が付いた。
「ああ!!バス!!バスの時間!!ヒロさん、終バス無い!!」
その声を聞き目の回りを赤くしたヒロさんがくわえタバコで一言。
「バスが無ければ…バスを作れば良い…」
アンタ、何を言ってんだ。
俺はヒロさんを諦めてイモトに言う。
「イモト、バスが無いぞ」
「バス、バス、さっきからうるさいな!ナオトはそればっかりじゃない!」
何故かキレられる。
そして、係長の所に走り出して、その横で
「はい!!拍手!!」と叫んでいた。
「マリコ、大丈夫?バス無いよ」
俺がそうマリコに聞くとマリコは俺を見る。
「よし!じゃあ、歩こう!」
は!?マジで!?
その声を聞いてヒロさんも「歩く事を俺達は止めてはいけない」そう言う
マジか…まあ、歩けない事は無いんだろうけど…
まあ、良いかたまには…
歩く事が決まれば、何か諦めがついた。
まず、俺達がした事は…係長の演説の拝聴だった…
夜の幹線道路を全員で騒ぎながら歩く。
何故か全員で『翼をください』を歌っていた。
途中で自販機で飲み物を買って海を見ながら海に何かを叫んでた。
とにかく、ハチャメチャだった。
ハチャメチャなんだけど…スンゲエ楽しいんだ。
腹の底から笑っていたよ…
誰かが言う。
「また飲みに行こう!そして、帰りにまた歩こう!」
「また、ヒロさんの驕りでな!」
「おう、行くぞ!俺の全財産、使ってやる!」
全員で笑っていた…楽しかった。
本当に楽しかった…
俺達全員の最初で最後の飲み会…
俺は海から流れてくる夜風に揺られるマリコを見た。
両手でミルクティを持って笑っている。
イモトは砂を係長に投げている。
係長は笑って腹を揺らしながら逃げていた。
ヒロさんはタバコの煙に目をしかめながら笑っていた…
この時間が永遠に続いて欲しかった…
だけど、物事に永遠は無い。
そしてこんな生活を一生送れない事も、その時の俺も十二分に理解していたんだ…
必ずいつか、別れが来る。
だけど…こんなに早くに来るとは夢にも思わなかったよ…
そして、その別れの口火を切ったのは…
以外にもイモトであったんだ…
年末年始は実家に帰る事にした俺。
何故かと言うと、皆が実家に帰ったり、誰かの家に行ったりと
様々に家に居なくなるからであった。
俺はマリコと年越しジャンプとかしたかったんだが、家に居ないならば仕方がない。
もう二度と一人ぼっちの夜はゴメンだったんだ…
実家に居る間、凄く暇で普段の、あの騒がしい毎日が恋しくなる。
そして新年が始まり数日が過ぎた頃に俺は家に戻った。
いつもの騒がしい毎日が始まり、俺はその生活を楽しんでいた1月の中旬の頃だった…
最初にイモトの異変を感じたのは係長だった
「イモトさんの様子がおかしいですね」
そう言ったのはイモトが風呂に入っている時だった。
「え?何で?」
「いや、いつもはご飯をお代わりするのに、最近あんまり食べないんですよ」
「いつから?」
マリコがリンゴを食べながら訊ねた。
「正月明けから…かな?」
「あれじゃね…?」
タバコを換気扇の下で吸い終わったヒロさんが言う。
「ダイエット」
え?イモトが?全員で顔を見合せ、その後笑った。
「ねえなww」
「ナイナイww」
そう笑って済ませたが皆、少なからずイモトの異変を心配している様だった…
翌日、イモトと学校に行くがイモトはいつもと変わらない。
いつもの様に学校まで自転車競争をするし、学校では俺にまとわりつくし、
昼飯の時も俺の唐揚げ君を一個パクるし…何らいつもと変わらない。
なので、俺は冗談っぽくイモトに聞いてみた。
「なんかさあ、係長がいってたんだけど…お前、ダイエットでもしてんの?」
「は?ダイエット?」
唐揚げ君を頬張りながらイモトがキョトンとする。
まあ、ダイエットする奴が唐揚げ君をパクらんわな。
「なんでよ?」
「いや、何かあんまりご飯を食べないって言ってたから」
「…ああ…」
イモトは微かに笑う。
「どうした?癌か?」
俺が笑いながら言うと「余命があと…150年なのよね…」
「長すぎww死ね、もうちょい早くに死ねww」
二人で笑った後にイモトはパンパンと手に付いた唐揚げのカスを
落としながら呟く様に言った…
「家…出ようかな、って思って…」
は?
「まあ、次いでに言うなら…学校も辞める…」
え?
俺はイモトがいつもの冗談を言っていると思い笑おうとするが、
いつにないイモトの真剣な横顔に上手く笑えない。
「…冗談だよな?」
俺の一言にイモトが笑う。
「…悪いけど…マジなんだよね…」
……俺はその日、ずっとイモトに理由を聞き続ける。
と、同時にいつイモトが「はい、ドッキリでした!」と言ってくれるのか期待していた。
だが、イモトは面倒臭そうに…

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