車内での思い出 ~In My Young Day~

2022/02/05

思い出せば、ずいぶんと若い頃のことのように思える。
あれは、20歳の時だった。
12月頃だった。
あるイベントの帰りの電車内でのことだった。
18時頃だった。
帰りの電車は、すごく空いていた。
両端に一人ずつ座っているだけの殺風景な車内だった。
下車駅まで20分だった。
下車駅に到着するまで、途中で乗車する客も下車する客もほとんどおらず、ずっと空いたままの車内だった。
見渡すと、女性の乗客がいる。
席の真ん中あたりに座っている。
うつむいて目を閉じている様子だ。
こげ茶のポニーテールで、顔立ちはついこの前見たカップルの女によく似ていて、十分に厚着をした上着と、色あせて灰色がかった黒のジーンズ姿だった。
遠くから見ても灰色がかったジーンズの両脚が肉感的で、心行くまで見入りたい思いから、吸い込まれるように真横にこっそりと移動して、様子を見ることにした。

疲れて熟睡しているためか、真横に移動した気配に全く気付いていないようだった。
しばらく様子を見続けることにした。
かなり寝込んでいる。
そのためか、両脚が半開きになって、ジーンズの食い込んだ股間があらわになっていた。
わざと女の部分を強調しているように見えて、ペニスが反応するまで時間が掛からなかった。
まだ寝ている。
穿いているズボンのなかで興奮がMAXになったモノが抑えつけられ、精液で先端が十分に濡れているのを感じとれるほど熱くなっていた。
この女性のヴァギナを意識して凝視し続けた。
まだ寝ている。
この女性のヴァギナに入れたい、すごく入れたい。今すぐ入れたい。
車両には、真横の女性と自分の二人しか乗客がいない。
このまま気付かれないなら、この女性のジーンズの食い込んだ股間をフェザータッチで撫で上げるようにして触ってみたい。
でも気付かれたら騒がれて——。
でも熟睡中だから触れるチャンスは今しかないし、
でも触ったら目を覚まして騒がれて迷惑防止条例違反で現行犯逮捕されて——。
そのような堂々巡り。
目の前に対象があって、触ろうと思えば触れる距離に居る。
目の前の女性の魅惑に耐えるのに、本当に気がおかしくなりそうだった。
内腿に精液が垂れ流しになるほど我慢して、見るだけで堪えていた。
こういうシチュエーションは焦らしプレーの類と思うが、
焦らされるほど居たたまれないものはない。
固く熱くなったペニスにとって拷問にかけられたようなもの。
触りたいのに触れないことがどれほど耐えがたい状態かは、
この状態に実際にならないとわからないだろう。
我慢できずに触ってしまったと自白する痴漢の言い訳に共感する思いだった。

「さわりたい」
心の中でそのように叫んだ。
見続けるほどその高まりは激しくなり、
突然、
不本意にも、ズボンの中で、射精してしまった。
手で刺激せずに射精するのは初めてだった。
ドバーっと勢いよくズボンの中に精子を出してしまった。
こんなことは初めてだった。
このとき、射精の予兆を全く感じなかった。
手で刺激を加えて射精をする直前には独特の予兆を感じるものであり、
「これ以上刺激を加えたら出る」という自覚がある。
自らの意思で射精のタイミングをコントロールすることができる。
射精を先延ばしにすることも、早く迎えることもできる。
だが、勃起そのものをコントロールすることはできない。
何歳になっても一度勃起モードに入ったら、
意思とは関係なく、
あとは膨らむところまで膨らみきって勃起を隠せなくなる。
でも射精だけは意思でコントロールできると経験的に思ってきた。
射精だけはすんどめが効くと思ってきた。
でもこのときはそのコントロールが効かなかった。
ペニスは射精の直前の状態まで興奮しきって濡れていたから
いつ射精してもおかしくない状態であったものの、
視覚からの刺激だけで射精に導かれた感じだった。
もちろん、ぐっすり寝込んでいるこの女性には、
真横の男を射精に導いてやろうとする意図など初めから一切なかったことは百も承知で、
魅惑に耐えきれず勝手に射精してしまっただけなのは紛れもない事実である。
ジーンズの食い込んだ女性の股下をみただけで、
射精のタイミングをコントロールできずに、
精子のほうから勝手に、
まるで一つ一つが意思をもっているかのように、
大量に飛び出てしまった。
ヴァギナを強く意識してジーンズ越しの股下を見続けていると、
その奥にある子宮を無意識のうちに意識するようになり、
そこへ自分の精子を送り込みたくなる。
そのようなメカニズムが、
意思とは関係なく、
自動的に発動する。
この辺の射精のメカニズムに関する描写は、
学校で取扱う保健体育の教科書に詳細に説明されることはない。
健全なる性教育を目的とする保健体育の教科書の説明は、
必要最小限かつ一般的・中立的な表現による説明に留まるのみであり、
過激な性描写となるような表現は一切省かれている。
それはさておき、
この女性の股間が刺激的だった。
しばらくして、この女性が目を覚ました。
急に隣にいることに気付き、ひどく驚いていた。
こちらも、突然目を覚まされたので、思わず驚いてしまった。
取り繕いようがなかった。
しばらくしてすぐに、ハッとした表情で両脚を開いてしまっていたことに気付いたようだ。
慌ててさっと両脚を綴じてすぐに席を立ち、
去るようにして直ぐ近くのドア付近に移動した。
立ち姿でうつむき加減で頬が真っ赤になっていたが、
このときの彼女の内心の実を知ることは永遠にない。
追いかけずに、座席に座ったままにすることにした。
女性の股間がどれほど魅惑的な空間か。
裸体の必要はなく着衣のままでも股下が強調されるような着衣なら、
裸体よりもずっと魅惑的な部分でありえる。
ジーンズの食い込みで強調された女の股間で不本意にも勢いよく射精してしまったあと、
穿いていたズボンの内側が濡れてひんやりと冷たかった。
くしくも、この女性と下車する駅が同じだった。
女性は去っていくようにさっさと前方を歩いて行った。
視るだけのつもりだったため射精してしまうとは思わなかった。
周りに誰もおらず二人きり。
人生で二度とない稀な状況だった。
故意ではないものの目の前で射精したことは気付かれていないはずとはいえ、
魅惑に耐えられずに射精してしまったのが公の場であったことに加えて、まるで下半身を丸裸にされたうえで射精の一部始終を見られた感じがして、恥ずかしかった。
その一方で、こんなに綺麗な女性に対してコンドーム装着なしの膣外射精を遂げてしまったという事実。
言い現わし難い思いだった。
熟睡中に女性の体に触ったりはしなかったが、
触らずとも見るだけで勃起するし、
更に射精にいたるのは初めてだった。
この体験は、女性との交わりに一切無縁の自分にとって、後にも先にも、何度振り返っても刺激の強い出来事となった。
改札口へ歩いて行く途中で、このようなことを思い出した。
見るだけで射精するのは知らなかったと、ある女王様が言っていた。
ただ、その女王様は見るだけで勃起するのは知っているとインタビューに応じていた。
勃起すると分かってて、わざと女体のラインが露わになるボンテージ衣装を着こなしている女王様。
その女王様はペニスに一切触れずに、絶妙なさじ加減で男心だけを的確に挑発してストレートに悶絶させている(触られていないのに射精してしまっていた)。
その姿に興奮して勃起してしまったことがあった。
この女王様の姿態を視ているだけで穿いているズボンのなかで精液が内腿に垂れ流しになり、
視ているこちらの心身も悶えてしまい、
すべてを女王様にさらけ出してしたい思いだった。
そのような女王様とのセックスが唯一許された男性がいて膣内で射精することまで許されたとしたら、
その男性は女王様のなかで温かく優しく包み込まれながら至福な一時を過ごすにちがいない。
女王様とそのソフトな調教に従順に耐え忍ぶ男性は、本当に相性が良さそうに見えて、
普段はごく普通の彼氏彼女の関係だと聞いたから、
少しうらやましく思えた。
また、別の女王様は「結婚しない」と言っていた。
結婚よりもその道を極めるほうが好きなんだと言って男を振ったことがあるとまで言っていた。
人間、中身を変えることほど、至難の業であることはない。
外見がどれほど美しくても、中身がその道を極めたいという中身では、
普通の男は付き合いきれないだろうなと、
そのとき思ったものだった。
そして、そのような性癖をもつ女性も、何人かの友人や知人がいて、普段は普通の人として生活している。
世間には決して見せることのない裏の顔として女王様の側面をもっているにすぎないが、
一代女として生涯を閉じることになるのだろうか。
そのような女性が淫乱なブログを開設して、
そこに性的刺激の強い文章を連ねてアーカイブをつくっているようだ。
人間の現実を垣間見た一瞬でもあった。(おしまい)

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