仲の良い姉弟

2018/11/03

私は今23歳で、弟は年子なんですけど生まれた月の関係で同じ学年です。
二人とも去年大学を卒業して就職しました。
もちろん別々の会社なんだけど、お互いの勤務先が近くて実家からは通勤に1時間半くらいかかるので、
一緒に部屋を借りて会社の近くに住むことにしました。
一人暮らしでも良かったんですけど、やっぱり少しでも広い部屋がいいし。
でもルームシェアはちょっと…なんで。
家賃の負担も少ないし、両親も一人より弟が一緒の方が安心だからって喜んでくれてました。
この時の安心した両親の顔を思い出すと胸が痛くなるんですけどね。
弟は同じ学年ということもあって小さい頃から仲が良かったです。
一緒に勉強したりゲームしたり。音楽や映画なんかも趣味が似ていて、
大人になってからもよく弟の部屋で一緒にDVD見たりしていました。
「姉貴~、オーシャンズ11借りてきたぜ~」「いやっほう!」みたいな感じでw
私には兄もいるのですが、いつも弟とばかり遊んでいました。
もちろんケンカも多かったです。いや、今も良くしますw
弟だけど同級生だから、小生意気なこと言ってつっかかってくるし。
小さい頃は学校で忘れ物をすると、廊下から「姉ちゃん姉ちゃん…筆貸してよぅ」
とかって困った顔して頼ってきたりして可愛かったのにな。
なんか普通の仲のいい姉弟だったのに、急に波乱万丈状態でちょっと鬱。
でも、弟が好き。書いてたら悲しくなってきた。
いつから好きになったのかは正直わからないんです。
弟に彼女が出来ても、からかって遊んだりしたけど嫉妬はなかった。私も彼がいたし。
やっぱり二人きりで暮らすようになってからかな。
弟は実家にいるときから姉ちゃんが好きだったって言うんですけどね。
弟はねー、家では末っ子で甘えん坊なんだけど外ではしっかり者で通ってます。
兄もなんですけど、お勉強も出来るし面倒見が良くて妹兼姉としては自慢できる兄弟です。
家族にはバレてないと思ってたけど、もしかしたら兄はおかしいと思っているかも…。
実家に居る時に、弟の部屋でゲームとかして遊んでて眠くなると、
そのままそこで寝ちゃったりすることもあったんです。
で、朝弟の部屋から弟のTシャツ着て出てきたら、
兄に「寝るときは自分の部屋で寝ろ」って怒られたんです。
その時は「へへーい」って普通に返事して、去り際に「お兄うるさい」って捨て台詞でw。
でも弟とこうなってから考えると勘違い、というか疑われても仕方の無いシチュですよね。
普通に返事したことで、こいつら何も無いなって思ってくれたと思うんですけど、
もしかしたら密かに経過観察中なのかも…。
当時は本当に何も無かったんだけど、最初に気づくのはやっぱり兄かな。
それで、お互いに「なんかちょっとヤバイかも…」みたいな空気の中、
慣れない仕事と勉強(仕事関係の)で忙しい日々を送っていた訳です。
んー、7月の終わりか8月の始めごろかなぁ。
二人とも研修なんかが一区切りついて、ちょっと心の余裕が出てきた頃のことです。
ウチは家族全員が紅茶党で、私も弟も紅茶が大好きなんですね。
で、弟が仕事の帰りにケーキを買ってきてくれたので久々に紅茶をいれようと思って。
でも、ティーポットがシンクの上の棚の奥のほうにあって届かなかったんです。
そこで私は弟を呼びつけて「ねーちょっとここの奥にポットあると思うんだけどさ、届かないんだよねー」
「俺ウーロンでいいよ」「えー、せっかくだから紅茶にしようよー。ポット取ってよー」ってお願いした。
「どこだよ、ねえよ。右?左?」「こっちこっち。たぶんここらへん」
みたいな会話になって一緒に棚を覗いてたんです。
そしたらなんだか、妙に身体が密着してしまってて…。
で、たぶんお互い同時に「やばっ」って思ったと思うんです。
私が「やばっ」て身体を引くより弟の反応の方が少し速くて、
あっという間にぎゅぅって抱きしめられてしまいました。
どっちの心臓か、両方の心臓かわからないけどトクントクンって鼓動が聞こえるくらい、
お互いそのまま固まってしまって…。
弟の胸は汗臭いんだけど、なんか懐かしい匂いがして、
私は気持ちよくってこのままずっと抱きしめていて欲しいって思いました。
「俺、○○すげー好き。どうしよう。姉ちゃんなのに…ごめん」って弟が言いました。
なんか突然の告白で私はびっくりして呆然とした顔で弟を見上げました。
弟はすごい切なそうな顔をしていて、私と目が合うと何度もキスをしたそうに、
首をちょっと傾げて顔を少し近づけては躊躇って私をぎゅっと抱きしめました。
私もすっごい動揺したけど、一応姉としてこの場を何とかしなくては、と思い
「お姉ちゃんも○○のこと好きだよ。でも、今は紅茶が飲みたいな」
とヘタクソな小芝居をして弟の胸から離れました。
弟も少し照れくさそうに笑ってダイニングに戻って何事もなかったかのようにケーキを一緒に食べました。
そのあともいつも通りの弟だったので、私はちょっと安心しました。
ところが、ヤツは次の日その次の日も家には帰ってきませんでした。
「今日は帰れねー」ってメールはあったけど。
弟が出て行ってから、私もすっごく悩みましたよ。
無い頭を、雑巾のようにぎゅうぎゅう絞って一所懸命考えました。
「好き」ってどういうことなんだろう。
いつからそんな風に思っていたんだろう。私にどうして欲しいんだろう。
いくら考えても答えなんて出ないんですけどいっぱい考えました。
で、出て行ったということは、「姉として好き」ってことじゃなくて本気の告白だったんだろうなぁと。
最近の少しギクシャクした感じは、二人きりで住んでるから意識しちゃってただけじゃなかったんだって。
いつからそう想ってくれていたのかわからないけど辛かっただろうなぁ…。気づかなくてごめんね…。
と、少し自己嫌悪に陥りつつ、一番重要な今後のことを考えました。
私の選択肢は二つ。弟の気持ちを受け入れるか受け入れないか、ですよね。
でも、弟の気持ちを受け入れるんなら、
彼の求めるものは全て与える覚悟はしなくちゃいけないでしょう?たとえ倫理に反しても。
で、もし受け入れられないのなら、かけがえのない可愛い弟を失うと。
失えば今までのように二人でDVDを見て笑いあったり、本気で夜中までゲームで戦ったり、
一緒にお酒を飲んでじゃれあったり、そんな楽しい日々はもう過ごせない。
小さい頃からお互いに助け合ってかばい合って(本当にそんな感じなのです)
生きてきた弟を失うのは考えられなくて…。
でもそこに家族愛以上の愛情があるかどうかっていうのは微妙なんですけど。
結局どれだけ考えてもどうすればいいのか、
それ以前に弟への自分の気持ちさえもわかりませんでした。
で、弟は3日後に家に帰ってきました。何事も無かったように「ただいまー」って。
ご飯を食べてないけど食欲無いって言うので顔を見ると火照っていてどうやら発熱してる様子。
「○○、熱あるんじゃないの?」っておでこに触ったら、やっぱり熱くて。弟は
「ごめ…シャワー浴びて寝るわ」って部屋を出ていきました。
弟はシャワー終わってそのまま自分の部屋に行ってしまったので私は弟の所に行きました。
「おかゆ作ろうか?」「ううん。アイス食いたい。ハーゲンダッツのバニラ」「…う…わかった」
病人なんで、私は珍しく言うことをきいてアイスを買ってきてあげました。
「買って来たよー、ほれ」「食わせてよ。あーん」
ちっ、この甘ったれめ!と思いつつ食べさせてあげました。
「……姉ちゃん…俺、姉ちゃんのこと好きなんだー」「うん。この間聞いたよ、それ」
「…すげー好きだよー」「うん。すげーありがとう」
「…俺、ここ出て行ったほうがいいのかな?」「なんで?」
「自信ねえ。理性を保てる自信がねえ」「・・・」
「俺、いつかきっと○○のこと襲っちゃうと思う…」「・・・」
「…怒ってる?」「……ここに居ればいいよ。ずっとここに」
「え?俺の話聞いてた?襲っちゃうかもって言ってんだよ?」
「うん。でも○○は私のこと好きなんでしょう?」
「好き。すげー好き。マジで好き。他の誰よりも好き!」
「フフ。ならいいよ」「襲っても?」
「お前はぁ~姉ちゃんにそこまで言わせるのか!こらっ!」
「あああ~、なんだよ~ 俺今すげー幸せだ~」
なんかもう自分でもよくわかりません。
あんなに悩んだのに…っていうか3分前まで悩んでいたのに気が付けばすんなりOKですよ。
なんだかわからないけど幸せそうに笑う弟を見て、私もありえないくらいの幸せを感じました。
想いを募らせてくれた弟と、一瞬で恋に落ちちゃった姉って感じですかね。相当キモイですw
そんなキモイ姉弟の生活が始まったわけですけど、
拍子抜けするほど変化がなくて、スキンシップに遠慮がなくなったって程度。
前と明らかに違うのは、やたらと抱きしめられるってことくらいかなぁ。
料理つくってれば後ろからぎゅっ。歯を磨いてれば後ろからぎゅっ。
TV見てればソファの背もたれのところに割り込んで後ろからぎゅっ。
キスもしないし、胸も触らないんです。ただぎゅってして、くんくん匂いを嗅いでるだけなんですよ。
で、たまに「いい匂いがするー」って。犬っぽいw
遠慮とか葛藤とかなんか諸々の感情が渦巻いていたんでしょうねぇ。
弟は悩んでいたのかもしれないけれど、私はちょっとホッとしてました。

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