姉「……駄目よ、まだイっちゃ駄目」

2018/04/29

~教室~
弟「やぁ、おはよう」
男4「うす」
男3「よぉ」
女2「は~い」
女1「おはよ」
弟「生憎の雨だね」
女1「しょうがないよね」
男3「俺は昨日ずぶ濡れで帰ったけどな」
女2「はっはっ、あんた心も体もずぶ濡れだな」
男3「お前、容赦ねぇな……」
女2「アタシがあんた慰めるよりかはマシでしょ??」
男3「それもそうだ……」
男4「お前らがなんだかんだで息があってるのが不思議でならん……」
女2「コイツは分かりやすいからね」
男3「俺ってそんなに単純か??」
男4「ノーコメント」
女1「仲がいいのはいいことだよ」
弟「僕もその意見に賛成」
~昼 購買前~
男3「よし……」
弟「なにが『よし……』なの??」
男4「気合を入れてるんだよ……この前の件があるし」
弟「そ、そうなんだ……」
男3「いくか!!」
弟「いや……今日は」
男3「あん??」
男4「え??」
弟「あぁ、いや何でもない、早く買おう、腹も減ったしね」
男4「あぁ……」
男3「いない……」
男4「なぁ……どうして分かった??」
弟「え??」
男4「……いや、流してくれ」
弟「教室戻ろうよ、今日は来ないみたいだしさ」
男3「まぁ、いないもんはしゃぁないな」
男4「……まだ来てないって方は考えないんだな」
弟(これはミスったかも……)
女2「あ、帰ってきた」
女1「お帰り」
男4「あぁ、ただいま??」
女2「それでどうだった??」
男3「あん??」
女2「例のあの人」
弟「そんな闇の魔法使いじゃないんだから……」
女1「アバダ・ケタブラ??だっけ」
男3「……いや、居なかった」
女2「ふーん、残念だった、ね??」
男3「どうして区切るんだよ」
女2「合わなくてホッとした自分もいた癖に」
男3「……ほっとけ」
弟「……全く何も面白くないツッコミ拾ってくれてありがとう」
女1「ど、どういたしまして……」
~放課後 教室~
弟「じゃぁ、お先に」
男4「はやっ!」
女2「はやっ!!」
女1「はやっ!!!」
男3「はやっ!!!!」
弟「えっ??だってホームルームも終わったし」
女2「いや、終わった瞬間じゃん」
弟「あぁ……うん。まぁね、ちょっと用事もあるしね」
男4「女か??」
弟「……いや、家族」
男3「……間があった」
女1「間があったね」
男4「そんな邪悪な顔して笑わなくても」
弟「あぁ……ならいつか紹介するよ。じゃあね、ゴメン、ちょっと本当に急いでるんだ」
男3「えっ??ちょ、どういう意味だよ??オイ!!」
女1「いっちゃった……」
女2「マジ女だったのか!!」
男4「うーん……転校早々に女か、やるな」
男3「なんかこう……敗北感があるな……」
女2「確かに……圧倒的敗北感……」
女1「すごいねー」
男4「そういうことに疎いタイプだと思ってたんだがな……」
~居間~
弟「ただいま、姉さん??」
弟「姉さん??」
弟「まだ部屋から出てきてないのか……おーい」
弟「昼は……んー、食べたみたいだな……」
弟「微妙に冷蔵庫の中身減ってるし……」
弟「全く……」
~廊下 姉の部屋の前~
弟「姉さん??帰ったよ??おーい」
弟「まだ引きずってるのか……」
弟「姉さん、昼ごはんはちゃんと食べた??」
弟「夕飯作るけど、何がいい??」
弟「おーい、ってば」
弟「はぁ……まさか姉さんに引きこもり癖があるとは……」
弟「うーん……とりあえず夕飯の材料買ってくるから、また家開けるね??」
弟「夕飯は7時に居間だからね??いってきまーすって、雨だったな……」
~夜 居間~
弟「突撃!!自分の晩御飯!!」
弟「今日のメニューはミートソーススパゲティです」
弟「なぜなら、僕が好きだから」
弟「おぉ~、美味しそうですね~」
弟「では、いただきまーす」
弟「……」
弟「……僕ってテンションで時々キャラが変になるな」
弟「姉さんが風呂に入ってきた時とか……」
弟「……来ない」
弟「うーん……呼びに行っても出て来ないだろうなぁ……」
弟「持ってって部屋の前に置いておくとか……いや、冷めると麺がくっついちゃうな……」
弟「居間に置いておいたらまず食べないからなぁ……」
弟「さて……引きこもりをどうやって引っ張り出すか……」
弟「御馳走様でした」
弟「お粗末さまでした」
弟「……」
弟「姉さんのことだ、お腹が空くのは我慢できたとしても、風呂には絶対入る」
弟「水分補給に来る可能性もあるけど……それは昼のうちに部屋に何か持ち込めば事足りるはずだし」
弟「いや、その理屈で言うと、晩御飯も持ち込んでたりするのか??」
弟「っていうか、僕が帰ってくる前にシャワー浴びてる可能性もあるな」
弟「湯は張ってなかったから、浴槽には入ってないと思うんだけどな……」
弟「うーん……」
弟「というか、何で出てこないかって言われたら、僕と顔合わせるのが気まずいんからだから、昼間とか僕がいない時は部屋から出てきてるんだよな……」
弟「しかも、姉さんなら引きこもりでも上手く生きていけそうな気がするしな……」
弟「引きこもりが上手く生きてくってどういうことだよ……まぁ、厳密にはひきこもりじゃないか……」
弟「……正直困ったな……楽観視しすぎたかも」
~廊下 姉の部屋前~
弟「……色々考えたけど」
弟「正直上手くいきそうにない」
弟「説得もできそうにないし」
弟「無理やり顔合わせても逆効果だろうしなぁ」
弟「……もう一日時間を置いて考えるか」
弟「寝よう……お休み、姉さん」
~11日目 木曜日~
~自室~
弟「ん~朝か……」
弟「雨は……まだ少し降ってるな……」
弟「早いうちに引っ張りださないと、ずるずるいってしまいそうだな……」
弟「とりあえず、起きるか……」
~廊下 姉の部屋の前~
弟「姉さん、朝だよ??」
弟「あ~~、姉さんってば」
弟「……おーい」
弟「そこまで気にしないでいいのに……」
弟「……先行くよ??」
弟「行ってきまーす」
~教室~
弟「おはよう」
女2「来たっ!」
男3「来たなっ!!」
男4「あー、来てしまったな……」
女1「あはは……おはよう」
弟「どうしたの??目が据わってるよ??」
女2「ふはは!!さあ、聞くぞ!!根掘り葉掘り聞くぞ!!全てをさらけ出してもらうぞ!!」
男3「いや、そこまでは聞こうとは思わんわ……」
女2「何ためらってんのよ!?さっきまでテンション高かったじゃない!!」
女1「あの……落ち着いて……」
弟「……」
男4「おい、うわ……うざぁ……って目してるぞ」
弟「いや、なんか面倒事になりそうだなと……」
男3「あぁ……俺はやっぱり、触りだけ聞かしてくれればいいわ……」
男4「気にする事はするんだな……」
弟「……えっと、何を??」
女1「そりゃ、昨日の放課後のアレ??」
弟「……あぁ」
男4「話すのか??」
弟「……あーーーー、いつかね」
女1「えーーーっ」
男3「えっ??そこでやじ飛ばす人違くね??」
女2「ふははは!!実は一番聞きたかったのは間違いなくこの子よ!!」
男4「さっきから笑い方おかしいぞ??」
女2「わざとだ」
女1「わざとよ」
弟「あっ、チャイム鳴った」
女1「えーーーーーーーーーーーっ」
女2「ちっ」
男3「食いつきいいな……」
男4「あぁ……俺も驚いてる……」
女教師「はいはい、出欠取るわよ」
弟「じゃあ、またあとで」
~昼 廊下~
男3「結局の所、どうなん??」
男4「……まぁ、俺も気にしてないと言ったら嘘になるしな」
弟「あぁ……」
男4「『あぁ……』って……」
弟「だから、家族」
男3「……いや、彼女なんだろ??」
弟「僕そんなこと言ったっけ??」
男4「……言ってないな」
男3「いやいや、よく思い出してみろよ、な??」
男4「うん、お前がな」
男3「え??あー、いや、待て……」
弟「思い出した??」
男3「……言ってないな」
弟「ほら」
男3「いや、でも『紹介する』って」
男4「それは言ったな」
弟「うん、家族をね」
男3「いや、家族紹介されても」
男4「まぁ、困るな」
弟「実は超売れっ子アイドルなんだ」
男3「うっそ!?マジ??それは紹介してほしいわ」
男4「確かに、ホントなら見てみたい」
弟「でしょ??」
男4「ホントならな」
男3「まぁ、嘘だろうな」
弟「マジで嘘じゃない!!……と思う」
男4「微妙だな」
男3「実は売れてないのか??」
弟「いや、熱心なファンはいるのは間違いない(それも目の前に)」
男3「ほー、ちょっと興味出てきたぞ」
男4「あぁ、同意見だ」
弟「だろー??」
~購買~
男4「安心しろ、いないみたいだ」
男3「別に安心してない」
弟「いないね(家で引きこもってるし)」
男3「で、アイドルの件だ」
弟「うんうん」
男4「アイドルっても、最近色々あるからな……歌手とか役者とか、ニュースキャスターやってる人もいるしな??」
弟「そこはー、うーん……」
男3「え??歌手じゃないの??CD出してないの??」
弟「……局地的引きこもり系アイドル」
男4「……なんだそれ」
男3「……一気に期待度下がるわー」
弟「まぁ、アイドルって言っても、最近色々あるじゃん??」
男4「それは俺が言った」
男3「……本当にアイドルなのか??」
弟「いつか分かる」
男4「言う気ないだろ??」
弟「そうとも言う」
男4「……期待せずに待つか」
男3「そうだな」
弟「あ、そうそう」
男4「何だ??」
弟「他言は無用に願いたい」
男3「女2人組は??教室帰ったら質問攻めだぞ??」
男4「だろうな、目の輝きが違ったからな……」
弟「男の約束」
男3「それを言われちゃあ、漏らせねえな」
男4「……なんか…

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