愛のキューピットは硬式ソフトボール

2018/03/30

オレが高3になったばかりの頃、中学の同窓会があった。
当時仲のよかった久美と久しぶりの再会。
久美が日に焼けて真っ黒だったのでビックリ。
オレ「何でそんなに焼けてるの?」
久美「高校に入ってからずっとソフトボールやってるから」
オレも部活ではないが、町内の草野球チームの4番バッターだったこともあり「ソフトボールなんて簡単に打ち返せるよ」と豪語してしまった。
すると久美もむきになって「絶対無理」と言い返す。
お互いに意地の張り合いになって「じゃあやってみよう」ということになりGWに練習試合させてもらうことになった。
GWも後半に入った5月のある日。
久美たちとの試合の日がやってきた。
町内のオヤジ達も若い姉ちゃんと試合できるとあって、鼻の下伸ばして朝からウキウキ。
久美たちが持ってきた硬式のソフトボールで試合することに。
オレのチームのピッチャーも下から放ったことはないらしく投球練習では悪戦苦闘。
でも何とかストライクが入るようになったのでさっそく試合開始。
オレたちが先攻で久美たちが後攻。
ソフトボール部から来てる現役は、レフトの久美とピッチャーの圭子という女の子。
あとの7人は卒業したOBや久美の友達など。
平均年齢19歳の華やかな女の子チーム。
ピッチャーの圭子も焼けて真っ黒。
しかも後頭部はすそを刈り上げるくらい短くしてるので、パッと見男の子と見間違えるほど。
笑うと歯が白いのが異常に目立つ。
オレのチームも最初はベンチで和やかな雰囲気。
ビール飲んでるオヤジまでいた、が圭子がマウンドで投球練習をした途端、空気が凍った。
こんなの打てるわけない・・・。
ソフトボールは野球に比べてバッテリー間の距離が近いので、圭子の投げるボールはものすごいスピードボールに見える。
おまけにライズボールとかいう魔球まで持ってるらしい。
凍りついた空気のまま試合開始。
ほろ酔い加減の八百屋のオヤジがトップバッター。
圭子の華麗な投球フォームから繰り出すボールにカスりもせず、あっという間に三球三振。
2番、3番バッターも三振。
試合は進み、打者一巡し全員三振。
圭子のしたり顔が憎たらしくなってきた。
5回表。
まだオレ達のチームはノーヒット。
バッターは4番のオレから。
アウトは仕方ないとしても4番の意地をかけて三振だけはしたくない。
目をギラギラさせてバッターボックスに向かおうとした時、3番バッターがオレに耳打ちしてきた。
「ゆるいボールを狙え」
なるほど。
圭子の放るボールは3種類。
目にも止まらぬストレート。
スピードの遅いチェンジアップ。
手元で浮き上がってくるライズボール。
みんなストレートに目を慣らそうとするのでチェンジアップに引っかかり、ことごとくボールが来る前に空振りしてしまう。
圭子は必ず1球はチェンジアップを投げてくる。
ストレートを捨てて、そのチェンンジアップを狙うのはいい手だ。
バッターボックスで圭子を睨みつける。
キャッチャーのサインに頷き、第1球のモーション。
内角のストレート。
オレが仰け反るようなコースでボール。
第2球。
来た・・・チェンジアップ。
フルスイング。
スコーン!!
よし!芯で捉えた。
オレの打球は5月の澄んだ青空に高々と舞い上がる・・・はずだった・・・が・・・意に反して打球は圭子に向かってものすごい速度で飛んでった。
強烈なピッチャーライナー。
あっと思ったが時すでに遅し。
ボールは圭子の股間直撃。
ボコンという鈍い音がした。
とっさにグラブを出したが間に合わなかったようだ。
しかもボールは硬式のソフトボール。
圭子はマウンドに倒れ、股間を抑えたままうずくまってしまった。
オレは1塁に走るのも忘れその姿をボーゼンと見ていた。
キャッチャーがボールを拾い、オレにタッチしてアウト。
バックで守ってる野手がマウンドに集まり「大丈夫?」と声を掛けている。
オヤジ連中も真剣な眼差しで圭子を見つめている。
圭子はピクリとも動かない。
あまりの一瞬の出来事に何が起きたのか判らなかった。
現実が理解できた頃にはひざの震えが止まらなくなっていた。
10分後、救急車到着。
圭子がタンカで運ばれ、久美が付き添いで同乗し救急病院へ。
試合はそこで終了。
オレは生きた心地がしないまま重い足取りで自宅に向かった。
家に着くなり部屋にこもり布団かぶって悶々・・・。
夕食を食べることもできず、一睡もできないまま朝を迎えた。
圭子は大丈夫だろうか?
当たった場所が場所だけに心配で仕方なかった。
すがる思いで久美に電話をかけてみた。
「今だったら面会できると思うよ」
そう聞いたので、いてもたってもいられず病院へ向かった。
病室に行くと圭子がベッドにいた。
上半身だけ起きてて下半身に毛布がかかってる。
久美はベッドの横の椅子に腰かけていた。
圭子の両親の姿も探したが病室にはいなかった。
オレはまず圭子に謝った。
オレ「ゴメン。何と言ったらいいのか・・・」
圭子「どうしてくれるのよ」
圭子が最初に放った言葉だった。
クリっとした大きな目に涙が溜まっている。
「あ、ゴメン。ホントゴメン。責任取る。何でも言うこと聞く。結婚もする。だから許して」
とっさにそう言ってしまった。
圭子「何言ってんの?」
オレ「へ?」
圭子「誰もそんなこと言ってないわよ」
オレ「え?え?違うの?」
圭子「6月に全国大会があるの。最後の大会だったのに。出れなくなったちゃったじゃない」
オレ「あ、そっちのこと?・・・」
圭子「そうよ。それ以外ないわよ。何よ?結婚って」
オレ「あ、いや、それはとんだ勘違いで・・・」
圭子「顧問の先生には無断で試合したことバレちゃったし。すごい怒られたし」
オレ「あ、いや、ゴメン・・・」
もう、ゴメン以外の言葉は出なかった。
聞いたところによると恥骨骨折らしい。
どんだけ痛いんだろう。
ホントに悪いことをしたと思った。
久美の話によると全治1ヶ月の重傷。
場所が場所だけにギプスもできず、しばらくは寝たままの生活になるらしい。
しかも将来子供が産めなくなるかもしれないと脅され自殺したくなった。
それから週1くらいの頻度でオレは見舞いに行った。
オレの誠意が伝わったのか両親とも仲良くなり、少しずつではあるが圭子も打ち解けてくれた。
しかも驚いたことがひとつ。
病院やリハビリの屋内生活で日焼けが取れ、少しずつ持ち前の白さを取り戻して行く圭子。
短かった髪も伸びてきて、思った以上に美少女だったことが判明してきた。
圭子が退院してもオレ達の付き合いは続いた。
オレはリハビリにも最後まで付き合い、やっと圭子は普通の生活ができるようになった。
すっかり色白に戻り、髪も肩のあたりまで伸びた圭子。
ものすごい美少女に変身してた。
いっしょに歩いていると振り返る男もいるほど。
圭子「伸宏クン、ありがとね」
オレ「何が?」
圭子「リハビリとか付き合ってくれて」
オレ「ああ、当然だよ」
圭子「私、伸宏クンが逃げてたら一生恨んだかもしれない」
オレ「・・・」
そうだよな。
あんなケガさせといて。
オレでもそう思うだろうな。
ある冬の日のこと。
圭子と一緒にコンビニに買い物。
圭子「ねえ、伸宏クン」
オレ「ん?」
圭子「前にさ、私に約束したよね」
オレ「何?」
圭子「責任取るって。結婚もするって」
オレ「え?あ、あれは・・・」
圭子「ウソだったの?」
オレ「あ、いや・・・」
圭子の大きな目がオレを睨んでいる。
オレ「いや、もちろんウソじゃないよ。約束だもんな」
圭子「うふふ。ちゃんと覚えてたのね」
とんでもないことを言ってしまった自分に後悔した。
圭子「ねえ、結婚はまだ先に考えるんでもいいから・・・」
オレ「な、何?」
圭子「私と付き合って」
オレ「え?」
圭子「え?じゃなくて。ダメ?」
オレ「あ、ああ、もちろんOKだよ」
圭子「ホント?」
オレ「うん」
圭子「キャー嬉しい!!私ね、伸宏クンちょっとタイプだったんだ」
オレ「そ、そうか。いや、実はオレも」
そんなこともあって圭子との恋愛が始まった。
いや、結構前からオレは圭子を好きだったのかもしれない。
しばらくたったある日。
オレは圭子の部屋におじゃましてた。
ひとつ気になって仕方がないことがあった。
(・・・圭子のアソコってどんな状態になってんだろう?)
手術はまぬがれたって聞いたけど。
場所が場所だけに聞く勇気もない。
圭子「ねえ、伸宏クンどうしたの?」
オレ「え?いや別に」
圭子「何か元気ないけど」
オレ「いや、何でもない、さ」
圭子「ウソ。話してよ。絶対何か隠してる」
オレ「え?話していいの?変な話だけど・・・」
圭子「うん、何でも話して」
・・・というわけでオレは正直に気になっていることをしゃべった。
圭子「ははは。そんなこと考えてたの?」
圭子は豪快に笑った。
圭子「じゃあ、見せてあげる」
オレ「え?いいの?」
圭子「いいよ。伸宏クンになら」
オレ「ホントか!?」
圭子はオレの前に立ってスカートを持ち上げた。
「下に穿いてるのも脱がしていいよ」
オレは震える手でまずストッキングを下ろした。
圭子「何か恥ずかしい・・・」
オレ「じゃあ、これも下げるぞ」
圭子「うん・・・」

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