彼女とエロビ
2024/10/28
タイトルにエロビって書いたけどそんなに古い話じゃなくてエロDVDね。エロビの方が語呂がよくてエッチに聞こえるからそうしただけ。
オレの彼女はすごい恥ずかしがりやで、人付き合いが苦手なのはもちろん恋愛についてもめっちゃオクテ。
顔は池脇千鶴を地味にした感じで、普段ほとんど化粧しない。ナチュラルメイクって言うと聞こえいいけど、化粧の仕方がよくわからないらしい。
髪の毛の色も染めてないし、服だって着飾るようなことはない。
アクセサリーもまったくつけない。プレゼントしたペンダントをやっとデートの時だけつけてくれるくらいだな。
性格もおとなしくてものしずかなんだ。
出会ったのは大学の講義で、元々派手で美人な女の人より、そういった地味―なタイプが好きだったオレはすぐにアプローチを開始した。
けど上に書いたような性格なんで、最初に話しかけるのも一苦労。1年間ゆっくりゆっくり近づいていってやっと告白できた。
告白しても返事もらえるまで1ヶ月かかったけどね。
2人の間をうまくとりなしてくれたのが映画。オレはかなりの映画好きで、家に300本以上映画のDVDを持ってる。
たまたま彼女に貸したDVDがツボにはまったらしく、そこから急激に仲良くなれた。(貸した映画は確か「デリカテッセン」と「未来世紀ブラジル」だった。今考えると何考えてんだろっていう選択だな)
付き合い出したころはガチガチだった彼女もさすがに時が経てば慣れてきて、2人きりの時なんかはかなり甘えてくれるようになった。
けど、やっぱり外にでると手をつないでるのを見られるのも恥ずかしがる。2人だけの時はチーちゃんって呼んでたけど、外では名字で呼んでくれって言われてた。
そんな彼女なんでセックスについても超がつくほどオクテ。
基本真っ暗にしないとダメ(恥ずかしいから)、体位は正常位が普通でたまに騎乗位(向き合って抱きつけるような体位じゃないとダメらしい。バックとかは淫らな感じがしてイヤらしい)
行為の最中も恥ずかしがって必死に声を抑えてる。
マグロではないんだけど、セックスに没頭できないというか、快楽に身をまかせられないというか。オレのテクにも問題あるのかもしれんが。
で、セックスが嫌いかと聞くとそうでもないらしい。愛し合ってるってことで充実できるし、なんだかんだ言ってもやっぱり気持ちはいいらしい。
そういったおくゆかしいところがまたたまらなく好きなんだが、やっぱりセックスについてはそれじゃ物足りない。
別に漫画で見るようなアナルだの露出だのは求めてないけど、せめて普通の恋人がするまどろむような、とろけるようなセックスをしたいと思ってたんだ。
セックスの最中に恥ずかしがりながらもHな言葉を口にしてくれたら最高なんだが。
(ちなみにオレの好きなアダルトビデオのメーカーはオー○ラプ○ジェクトだ。知ってる人はこれでオレの趣味わかるだろ)
けど彼女にそんなことお願いして軽蔑されるのもやだったし、なによりもお願いしても彼女が変わるとも思えなかったんで半分あきらめてた。
付き合いだして1年がすぎたころ、右折信号で曲がろうとしたオレのバイクに信号無視のオバハンベンツが突っ込んできて、1ヶ月ほどの病院住まいをプレゼントしてくれた。
入院中は足にボルト入れる手術があったり、リハビリしたりとやることいろいろあったし、ほとんど毎日彼女が見舞いに来てくれたから昼間の時間帯は結構つぶれるんだけど、夜になるとなーんもやることない。
普段遊んでばかりいた大学生に夜9時に寝ろっていったって無理な話。
そこでたっぷり出た保険からポータブルDVDプレーヤーを購入して、夜は映画三昧と決め込むことにした。
最初は彼女にTUTAYAあたりで借りてきてもらっていたが、どうもハリウッドのCGまかせの映画は飽食気味。
そこで下宿から名作や稀少なDVDを持ってきてもらうようお願いして家の合い鍵を渡したんだ。
針を隠すには針山の中、というがそこはオレも考えてる。
オレのエロDVDコレクションを普通の映画のものとは一緒にしていない。普段触ることのない難しい本や辞典の棚に隠してあるからまあ見つかることはないと踏んでいた。
見つかっても別れるなんてことはないと思うけど、彼女の性格考えるとドン引きしそう。
まあ、次の見舞いでDVDもって来てくれた時も普通にしてたし、それ以降も何回か頼んだけど何も言わなかったから見つかってないんだろうって思ってた。
松葉杖つきながらもやっと退院となって、彼女に付き添ってもらって下宿に帰ってみると部屋がきれいに掃除されてた。
「散らかってたから掃除したんだぞー」
って言われて、その時は「ありがとう。いい彼女だなぁ」ってくらいしか思わなかった。
しばらくはギプス付きで不自由な暮らしになるけど、実家暮らしの彼女が泊り込むわけにもいかないので夜ご飯を作って帰っていった。
彼女が帰ればやることはひとつ。長い病院暮らしで溜まりに溜まったものをエロDVDさまにお世話してもらおうと(まだ彼女とナニする体じゃなかったしな)
で、隠してある棚を見るとちょっと異変が。
エロDVDは10本ほどあったんだが、お気に入りのやつほど取りやすい位置にあるはずなのに奥のほうにあったり、古いのが一番手前にあったり・・・
ああ、これは彼女に見つかっちまったんだなーって思ったけど、それでもなんか不可解だ。
だって見つけたらオレに怒ってきそうなもんだし、病人だからと大目に見てくれたとしても別に順番をいじる必要がない。
そっからオレの想像はビッグバンのように広がっていった。
あの恥ずかしがりやの彼女が・・・あの超が付くほどオクテな彼女が・・・まさか、まさか・・・
早速オレはオレの想像が正しいかどうかを確かめる一計を案じた。作戦はこうだ。
心配かけたのを理由に5日ほど実家(電車で3時間くらい)に帰るとウソをつく⇒家に薬を忘れたので下宿に取りにいって速達で送ってと依頼する⇒テレビの前のスペースがよく映るようにしてデジタルビデオカメラをセットしておく(オレは映画好きだからそういうの持ってんだ)
単純だが入院中に渡した合鍵はずっと持ってもらってるので不自然ではない。
カメラも小柄な彼女が絶対に目がいかない高い本棚の上にセットすることができた。
彼女が興味を引くようにと新たなエロDVDも2枚ほど用意した。松葉杖付いて買いにいくのは恥ずかしかったがw
彼女をだますようで、いや、実際だますのだが、すごく後ろめたく思ったが、オレの好奇心はもはやヒクソンにさえ止められなかっただろう。
そして実行数日前から彼女に実家に帰る話をふっておき彼女に信じ込ませた。
作戦決行当日、実家に帰ったことになっているオレは夕方ごろに彼女の携帯に電話を入れ薬の件をお願いした。すると、
「じゃあ今から行って今日中にはポストに入れておくねー」
と彼女は元気に答えてくれた。
オレは心の中で「ゴメン」と思いながらも、あわててビデオカメラをセットして部屋を離れた。
その日は漫画喫茶で夜を明かした。夜に彼女から「速達で出しておいたよー」ってメールが来た。オレはいろんな意味で「ゴメン」と返信しておいた。
次の日の朝、オレは光の速さで下宿に戻った。そしてギプスをしてるとは思えないほどの身のこなしで、隠してあったビデオカメラを取り出しすぐに再生を始めた。
この時点ですでにめちゃくちゃ興奮してた。
再生して1時間ほどで彼女の姿が画面に現れた。オレの期待は異常に膨らむ。
しかし、期待とは裏腹に彼女はアチコチをせわしなく動きまわっているだけ。なんかゴミとか片付けてくれてるみたい。
正直彼女のその献身的な姿をみて自分のやってることが実に最低に思えてきた。
なんか興奮は一気に萎え、あれだけ燃え上がった好奇心も一気にさめていったのを感じた。
それでも20分ほど再生し、やっぱなにもないかーって思って止めようとした時ついに彼女がテレビの前にすわってDVDプレーヤーをいじりだした。
冷めたはずの好奇心が再び燃え上がり、彼女に申し訳ないという気持ちと葛藤しながらもオレは画面に釘付けになった。
想像していた通りだった。
彼女が再生し始めたのは新しく購入したエロDVD。
なんかそれを見たときのオレの感情は「うれしい」とか「悲しい」とかじゃなくて、どう表現したらいいのかなぁ、「安心した」って感じだった。
彼女もこういったことに興味あるんだなぁって思ったのかな。
それとなんか見てるこっちが恥ずかしいって感じか。
画面の中の彼女はそれこそAV女優のようにオナニーし始めたりするわけなく、ただじっとテレビの前に正座して画面を凝視してた。
オレの撮ったビデオではどんなシーンかよくわからなかったけど、どうもキスをしたり服を脱がしたり胸を触ったりするソフトなシーンを見ては、途中の潮をふくような享楽的なシーンは早送りしてたようだ。
それをみてオレは「ああ、やっぱりチーちゃんだなぁ」って思った。なんか涙がちょっと出た。
一通りビデオを見た後、オレはすぐにそれを削除した。そして夜に彼女に電話をした。
ウソにウソを重ねるようになっちゃうけど「なんか実家退屈だからすぐ戻ってきたー」って言って「今から会おう」って言ってみた。
彼女は家族でご飯を食べに行ってるところだったみたいで、結局その夜に会うことは出来なかったけど、オレはなんだか彼女が愛おしくて抱きしめたくてしょうがなかった。
次の日会った時、いつも以上にいちゃつこうとするオレに「どうしたの?」ってとまどってる姿はホントにかわいかった。
オレは「ゴメン、二度としない」と心の中で固く固く誓った。
後日談1
オレらのセックスはその後もあまり進展してない。
ちょっと薄明かりがOKになったくらいか。それでもオレは満足してる。
時々奮闘中にテレビの前で正座して画面を凝視してる彼女の姿を思い出しては一人で盛り上がってる。