派遣会社はやめられない 1

2023/12/26

オレ派遣会社で働く27歳です。
主な仕事は派遣社員のお世話です。

ザックリ簡単に言っちゃえば「お世話」ですが、いろんな仕事をしてます。
休日も返上なんて当たり前だし、給料も特にイイわけでもない。
それでも辞めない理由が1つあります。

女に不自由する事が無い。

これだけの為に働いています。

今の仕事をし始めて4年になります。
初めは出会いも何も、そんな甘い仕事じゃありませんでした。
ガラリと変わったのは先輩がクビになってからです。

後日分かったんですが、クビの理由は「女」でした。
派遣社員に手を出して、それが原因でクビになったんです。

うちは主にコスメ系とか女の子専門の派遣会社なんです。
稼ぐ子はキャバ嬢並の時給です。
やっぱり稼げない子は短いスパンで職場を変えます。

そしてそんな子に限って問題を起こしたりもするんです。
女の子を伴って雇い主に謝りに行くなんて日常茶飯事です。

うちは派遣させてもらって食ってるので、ちゃんと教育もしなきゃいけない。
だからそんな問題児には個人的に指導もするんです。

これを先輩がずっとやっていた仕事だったんです。
先輩がいなくなって、その仕事をオレがやる事になりました。

会社に謝りに行った帰り、女の子の言い分を聞きながら食事。
そしてお酒へと流れ、気が付けばラブホで腰を振ってる。
先輩の件もありますから、オレは慎重にやってきました。
そんなオレの体験談の中で、1番イイ女との体験談をお話します。

何度か女の子をツマミ食いして要領を覚えてきた頃、A子に出会いました。
見た目は申し分ないぐらい綺麗で、スタイルだって抜群です。
身長は170センチ近くあって、手足の長い事長い事。

あのツンデレで有名な沢尻エリカ似の25歳。
見た目はホント最高なんです。
でも愛想が無いし、気が利かない。
これじゃ接客業はダメですよね。

初日からクレームが入りました。
自信を持って勧めた子だったんで、そっこうで迎えに行きましたよ。
上司の前に座って横を向いているA子。

目の前でイライラした顔をしてタバコを吸っている上司。
平謝りから始まり、何とか1時間もかけて説得しました。

「来週からまたお願いします、それまでにこちらで対処しますので・・・」

それでダメならもう他の子を呼んでくれと言われました。
もう夕方過ぎだったので、A子を連れて半個室の居酒屋へ行きました。
いっしょに歩いていても自分から喋りかけてもこないし無愛想そのもの。
ビールを一口飲んでA子の言い分を聞きました。

初めは何も喋ろうとしてなかったA子。
それがビール1杯、サワー3杯飲んだ頃になるとチラホラ本音を喋り出しました。

「自分より可愛くない人が偉そうに指導してくるのがムカつく」

ただのワガママってヤツです。
そりゃ~先輩なんだから指導もするでしょ。
怒りを抑えてA子の自尊心も傷つけないようにして説得しました。

説得というか、途中から「オダテ」る感じでしょうか。
お酒の力も入ってA子の機嫌も上々です。

「A子さんなら3か月で時給****円までいけるから!オレが全力でサポートする」

最後はA子も機嫌よくなり、もう一度頑張る決意をしてくれました。
それから「心の中で舌を出してイイから、頭を下げる事」や
「何かあったらスグにオレへ電話する事」を言い聞かせました。

次の日は会社で、実際の職場を真似ての練習をしました。
オレはあえて「キツく」言ったり、そして「オダテ」たりを繰り返しました。
そして夜にはちゃんとフォローの為に、食事に連れて行きました。

次の週からA子は職場に復帰しました。
その日の昼に始まり、A子からの電話は頻繁に鳴りました。
その都度なだめて自信を持たせ、時には叱りました。
先生と生徒の状態ですかね。

それから2ヶ月はハンパ無く電話が鳴りましたね。
オレの都合なんて関係なく、休日でも夜中でも電話がありました。
上司にも「あれは育てれば金になる」って言われてたんで頑張りましたよ。

その甲斐あって、スグにA子の時給は上がりました。
嬉しかったんでしょうね。
給料日の翌日、食事に誘われました。
高級な店じゃないけど、お礼って事でゴチると。

こういっちゃなんですが、オレの方がもっともっと給料もらってるんです。
だからその食事のあとはオレはゴチると言ってバーに連れて行きました。
そこは仕事関係でよく使う全室個室になっているバー。
そこなら落ち着いて会話ができるっていう理由で。

A子が働き出して2ヶ月ぐらい経った頃、ある事に気が付いたんです。

「実はA子ってSじゃなくてMなんじゃないか?」

見た目と気が強いだけで、Sっぽく見えているだけなんじゃないかと。
オレが叱る事で、どんどん信頼していっているような気がしてたんです。
それがバーでハッキリ分かりました。

「アタシ一人っ子でワガママに育ってきたから・・・」

「両親もアタシには甘いし、怒られた事なんてそんな無いし・・・」

「今までの彼氏にも怒られた事無いし・・・」

「だから怒られたのがちょっと嬉しかったっていうか・・・」

えぇ~?!って感じでしたよ。
そんなワガママし放題で育ったなんて、どんな家庭なんだと。
これだけ可愛いから分からなくはないけど、いくら何でもねぇ・・・と思いました。

結局オレが本気で指導して叱ってくれたのが、嬉しかったんだって言いました。
この時の顔は、初めて会った時のトゲトゲしい顔つきではありませんでした。
笑顔だし上目遣いで喋ったり、甘える仕草をしてみたり。

途中からはオレの女関係の話を聞いてきました。

「彼女?たくさんいるよ~(笑)」

「えぇ~やだぁー!実は遊び人系だったんだぁー」

「そうそう!実はオレってダメ男だからねぇ~(笑)」

ふざけた会話ができるようになっていました。
それは彼女も同じです。

「彼氏はいるの?」

「たくさんいますよ~、もう日替わりで!」

「へぇ~お盛んですねぇ~毎晩ですか?変態過ぎじゃないですか?」

「なんでそうなんのよ!毎晩なわけないじゃん!」

「じゃ~お預けくらってる男は可哀相ですねぇ~(笑)」

彼氏がいない事ぐらい分かっていました。
だってここ数か月、毎日毎晩電話があったんですから。

よほど嬉しかったのか、A子はだいぶ飲みました。
オレも飲んだので二人して泥酔状態でした。
仕方なくタクシーでオレの部屋に行き、ベッドに寝かせました。

先輩の事が頭にあったので、オレはその日は何もしませんでした。
酔って記憶が無い状態でヤラれた!なんて言われたら、それこそ事件ですから。

A子は次の日休みだったので、オレは勝手に朝起きて出社しました。
昼ごろ電話があり、シャワーを借りて二日酔いが覚めたら帰ると言っていました。

<続く>

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