夏日和

2021/09/06

あけ放った縁側から田舎道をはさんでさわさわ竹林をなびかせる涼風に頬をなでられ、さかさまに見上げる垣根とひさしで陰になっていても午後の日ざしはうだるようで、肩甲骨までまくりあげられたワンピースの下、こんなにもひんやり気持ちいい畳にシャワーを浴びたばかりの裸の背中を横たえさせているというのに、一本づつ深々とからめた指の先までも汗ばみ、びくんびくんといやらしく背中が跳ねて、そのたびに彼女にコントロールされる体がきゅぅっと芯から引きつってしまう。
からめとられ、ほどきようのない……聡美さんの指は、しなやかでとてもエッチなのだ。
純和風のほっそりした面立ちにものやわらかな笑みをたたえ、しっかり右手はあたしとつないだまま、自由な方の手が下半身めがけてつぅっと肌を焦らすようにとろかすように這っていく。
「我慢しないで。律子ちゃんの声を聞かせて、ね」
「あ……あ、あ」必死で腰を浮かすのによつんばいで膝をつく聡美さんからは逃れられず、前後同時に指の腹でふにふになぞられ、柔らかく熱した鋭敏なふちを2本の指で開かれたまま、ぎゅっと我慢してた後ろのすぼまりのまわりを揉みほぐされちゃうと、もう頭なんかまっしろ、恥ずかしさと変な疼きで身も心もいっぱいいっぱいになり、もうろうとした意識がさらにどろどろのぐちゃぐちゃになってしまう。
横の座布団には聡美さんのサブリナパンツが上品にたたまれていて、目をつぶっていたってあざやかに焼きついた聡美さんの大胆な姿が頭に浮かびあがってしまう。
「いいの。おねがい、私を見て?」
「だって、聡美さん……大胆で、裸より……恥ずかしい……」
「主人にも見せたことないのよ。こんな私を知っているのは律子ちゃんだけ」顔をおおった指のあいだからおそるおそる薄目を開けるあたしの前で、誘うように聡美さんは腰をよじり、キャミソールの上半身と靴下だけの下半身をふりふりしてみせる。
……白くたわわに肉づいてつうっと翳りだすお尻の切れこみからのぞく、ぴっちりと排泄の穴に食いこんだ黒々した栓そのものの異物……そして、そこから垂れさがるリングの取っ手がぷらんと揺れていた。
「律子ちゃんも私と同じ。ココ、感じすぎてひくひくしてるじゃない」
「ダメ、ダメです……汚いですから、お尻なんて……いじらない、で……」
「あら」不思議そうに首をかしげ、それでも愛撫をやめずにあたしの反発を喘ぎ声で封じながら、聡美さんはチューブのようなものから自分の手にたっぷりジェルを塗りつける。
まさか、そう思いぞくっと全身をこわばらせ身構えたあたしを見て、それでもほんのり頬を上気させただけの聡美さんは、逃げだそうとしないあたしの無抵抗な反応を楽しんでいるようで、でもあたしだって、ほとんど恋愛というか崇拝に近い憧れをもっていた人に迫られて拒絶できるほどの勇気なんかなく……「分かるわ。初めて人にされるときは怖いし、恥ずかしいし、嫌がって当然よね」
「さ、聡美さん……?」
「でもその拒絶感があればこそ、一度、挿れられちゃうと狂ったように燃えちゃうの」
「あたし、そんな……ヘンタイじゃ」
「素直じゃないのね」お尻はすごいのよ、なんてぞっとする科白を口にして、そして不意に聡美さんから貞淑な人妻の雰囲気がさっとぬぐいさられた。
目が少し冷え冷えしている。
「だいたい、律子ちゃんも楽しんでたじゃない。昨日、このプラグで。この間から便秘の薬を使っているのも、そっちのための、たしなみからでしょう?ね」
「そんなっ、どうしてそれを……」
「ほら。律子ちゃんだって私と同じ。お尻で楽しむことができるんだから」彼女の下腹部からたれさがるリングに目が吸い寄せられ、どくんと心臓がはずむ。
その、動揺した、一瞬のことだった。
ジェルまみれの指先がするりとお尻の谷間にすべりこみ、力をこめていた括約筋のすぼまりをこじり広げたかと思うとあっけなくつぷんと侵入してしまったのだ。
異物感に瞳孔が広がり、あたしの体は弓なりに体を跳ねあがってしまっていた。
「あっ、は、ひッッ」息がつまって喘ぎもだせず、すっぽり第2関節までらくらくとあたしを犯す聡美さんをちぎれるほどに下半身で食い締める。
うそ、どうして、こんなことに……夢よ、きっと……夏休みだから、避暑にきただけなのに……あたし、聡美さんにお尻を犯されてる……っ!ご近所だった聡美さんとは家族ぐるみの関係で、やさしい笑みと控えめな物腰に憧れたあたしはお姉さんのように慕いつづけ、だから結婚したばかりの聡美さんから夏のあいだ遊びにこないかと誘われてた時なんか、家族にからかわれるほど舞いあがったのだった。
結婚式でお見かけした旦那さまはやっぱり優しそう、連れ子の健太君も人なつこい子で、毎日朝から健太君と野山で遊び、午後は予備校の教師の経験がある聡美さんにつきっきりで宿題とか勉強とか教わり、のんびり避暑していたのだけど……その、おとといの午前中、留守番をまかされたとき……あたしは、みて、しまったのだ。
むっと熱気のこもった、聡美さんの部屋。
夏日にさらされた机、探してた宿題のプリントの陰に転がる、黒々した大人のおもちゃ。
正直ショック……だったと思う。
だって、新婚なのに、こんな器具なんかって、どうしてって、頭がぐるぐるして怯えた目を周囲に配り、ひとりきりの静寂にじっとり体をつつまれ、重苦しさに汗をにじませていた。
節電のためなのだろうクーラーを切られた部屋で、わけもなくそれを握る聡美さんの手の幻があたし自身の手にかぶさり、ごくりとつばを飲む音にびくっとして、それが自分ののどの音だと気がついて、ドキドキしつつも、でも知識だけは知っていたから、ぼんやりそれを手にとって濡れてもいない逆三角錐の先に指を這わせ、そして、それから……あたしはやっちゃいけないことをした。
もうろうとした感覚にカラダを支配され、まるでまぼろしの指に導かれるみたく小さなプラグの先に唇をよせ、丸めた舌先でねっとり湿らせていったのだ。
なんでだろう、おかしなことなのに、いけないことなのに、あたしはたしかに興奮して。
もどかしくワンピースの裾をつまみ、それを口でくわえたまま、もう十分うるおっていたしずくに少しだけまぶして……つうと這わせた禍々しい異物を、お尻に、ちゅぷんと埋めていたのだった。
お尻でのオナニーを覚えたのは早くからだった。
ひとりで慰める方法を知りたてのころ、はずみでわれめの奥に指がささり、泣きそうなほど痛かったことがあってから……でも、それ以上に、いけないところ、ふつうじゃないところの刺激であそこがどろどろになっちゃうというヘンタイぽさに溺れていたのかもしれない。
だから、後ろでのオナニーは人一倍の後ろめたさとうらはらだった。
いけないと思えば思うほど体が燃え上がってしまうのだ。
前はたまにクリトリスを刺激する程度、めったにいじらないし方法も知らない。
聡美さんのひそかなおもちゃがアナル用、しかもミニサイズだと見ただけで判別できたのそういう理由。
もちろんあたしは持ってないけれど、大人のおもちゃにはずっと興味があったのだ。
軽く指で穴のまわりをほぐすとお尻はあっさりプラグをのみこみ、えらの張ったカサの固さにゾクゾクっと立ったまま軽くイッちゃったあたしは、その日一日抜き方さえ忘れてちょうどいい食いこみ加減のプラグを甘くきつく噛みしめつづけ、異物感に夢中になってひくひく震えていたのだった。
必然、その日は聡美さんの顔をまともに見られず、軽くお尻をはたかれただけで飛びあがり、でもこっそりプラグも洗って返し、ひとときのえっち体験も終わり、絶対バレていないはず。
なのだ。
なのに。
一日あけた今日、裏山から戻って健太君とお風呂で汗を流し、彼が塾に出かけたあとの至福のひととき、マンツーマンのお勉強会はどこかどきりとする濃密な気配をただよわせていた。
あけはなった縁側では風鈴が涼やかに揺れ、あたしだけを見つめて、あたし1人に独占された聡美さんは、いつになく色気をしっとりと滲ませ、解説のたび額がくっつくほど顔を寄せてくるのだ。
どぎまぎしっぱなしのあたしは、きっと赤い顔をして、浮ついていただろうと思う。
「その問題解けたら休憩ね。ご褒美あげるわ」なんだろ、ご褒美だって……などと胸を昂ぶらせつつ、うだる熱気の中テストが終了し、そうしたら聡美さんがまわりこんできて背中から手を伸ばして採点をはじめちゃうから、意外にうっすらした、でも人妻の熟した胸の感触に耳まで赤くなる。
「84点。合格ね。よくできたわ、律子ちゃん」
「ひゃっ、さ、聡美さ……」耳元にふうと息をかけられ、ぞくぞくっと飛び上がって抗議しようと口をすぼめたとき……聡美さんの燃えるような唇がかぶさり、あたしは吐息を奪われていた。
瞬間思ったのは、嫌だ、でもなく、女同士でキスなんて汚い、でもなく、あたたかくて柔らかくて力が抜けちゃう、という甘美な実感ばかりで、舌先と舌先がざらりとこすれたとたん、そのあまりのいやらしさに頭がショートし、くなくなっと力のぬけた身体はくるんと反転させられ、あたしは畳に押し倒されていた。
「ご褒美よ……ううん、ご褒美をもらっちゃうのは、私の方かしら」
「は、はふっ、あに、あにを」ようやく唇を解放されてあえぎ、ろれつもまわらず、でも、聡美さんにえっちなことをされているという事実は、本当は痛いほど認識できていたから、相反する感情に裂かれてあたしはどっちにも動けず、あざやかな手つきで白いワンピースを剥きあげられ、初めて他人の指による愛撫をカラダに許し、経験ゆたかな指先に思う存分翻弄されて、とうとうこんなにも爛れたカラダにされてしまったのだ。
「お尻、いいでしょう?ゾクゾクしない?どう動かされるか分からないものね」
「ふぁ、ふぁぁぁ。だから、あたし、何のことか全然……」
「ほーら。どう?」
「あはぁっ、ヒァ、んきィィ……!!」まるで三歳児の泣き声だ。
きゅうきゅうと繊細な指でアナルをかきまわされ、快感をこらえる最後の防波堤か何かのように握りあう聡美さんに指をきつく食いこませ、自分から最初に手をさしのべて指をからめたことを思いだし、さらに耳まで赤くする。
「プ、プラグって、あたし知らない……」あたしの抗弁を聡美さんが薄い笑みでうけながす。
「甘いわ、律子ちゃん。だってあれは律子ちゃんをためすためにわざと置いたんだから」
「え、あっ、はふぅうン」
「うふふ、がんばり屋さんね。かわいいわ。虐めがいあるもの」ドキッとする言葉にすくむのもつかのま、ぐりぐりっと指が腸壁、穴のすぐ裏をこじるようにまさぐって、たったそれだけで口なんか半開きになっちゃう。
信じられない、イイ、全身からどばあっと冷や汗が吹きだして、われめがどろどろになっちゃ……「昔から好きだったの、律子ちゃんのこと。私、本当は女の子が好きなの。こういう意味」
「ひっ、はひ、あ、ひ」
「だから律子ちゃんに引かれる覚悟でね、誘いをかけてみたのよ。まさか、アナル経験者だとは思ってなかったけど」くりくりと指であたしをあやつり、妖しくねっとり視線をからめてくる。
ほ、本気だよ……どうしよう……あたし、あたっ、し……こんないじられて、もう、後戻りなんか……欲しい、薬でも盛られたみたいに、疼いて……「律子ちゃん……?」
「……」
「ねえ、怒っているの?乱暴で、ひどいこと、しているかしら?」心配そうに、上気した聡美さんの顔が下りてくる。
近々と、息がふれるほど。
あたしには声なんか出せない、だって聡美さんは語りかけながら同時にお尻の穴と前のとばりを開く指がくねって悶絶しそうになってしまうのだ、今だって必死に快感のあえぎをこらえているのに、声を出したら、もう、ガマン、できない。
変だよう……こんなひくひくして、自分の指とは全然違う。
狂わされちゃう、おかっ、おかしく、なっちゃぅぅぅ……あからさまに目をそらすととたんに指がいじわるく激しくなり、といって情欲に濡れる瞳を睨みかえすなんてムリ、LOVEじゃないけど憧れつづけていた女性に裸の肌を重ねられて、変だと叫ぶ理性なんかふっとぶほどあたしは濡れて感じまくっているから、こうして、太もものあたりからさわさわ充血した下腹部をいじられちゃったりするだけで聡美さんの指も手首もべしょべしょにしずくで汚しちゃって、瞳を重ねて弁解することも訴えることもできず、視線をうばわれて目をうるませているのだ。
「ねえ、嫌かな?私じゃ……お願い。本当にやめて欲しいなら……今、そう言って」せっぱつまった声で聡美さんがささやきかける。
でないと、もう我慢が効かない。
そういうニュアンスをこめているのだ。
いつのまにか聡美さんはあたしの裸体の上にまたがり、痛いほどこわばった未熟な乳首がキャミソールごしに重なる体に変にこすれて甘くしびれが走っていく。
ふとももに絡んだ聡美さんの下半身……無意識にそこに目がいった瞬間、ゾクゾクっと妖しい快感が火花をちらして背筋を駆け上がった。
あたしなんか比じゃなく本気でしたたってる、聡美さんの、乱れた大人のいやらしい唇。
あたしを見てこんなに感じてくれている。
エッチに乱れてくれているんだ。
その卑猥さに、頭のどこかが、バチっと激しくショートした。
「あ、あたし……恥ずかしい……」拒絶ではなく、嫌悪でもなく、そう、口から漏れたのは、聡美さんへの、屈服の合図。
「いいの。私だって恥ずかしい……そして、嬉しいの」
「さ、聡美さぁん」名前を呼ぶ、ただそれだけの行為が、まるで甘いおねだりのようだった。
2人して真っ赤な顔を見つめあい、それでも視線はそらさない。
妖しく鼻と鼻を触れあわせ、えっちなしずくで濡れた手にあごをつままれると、かぐわしく唇が色づいてあたしの唇をぴっちりふさいだと思うまもなく、ふたたびぬるりと彼女の舌に侵入されて瞳孔を見開いてしまう。
彼女の瞳の中には、これ以上ないほどいやらしく上気した、あたしの、姿。
たとえようもなく淫靡なハーモニーがしたたった。
唾液と唾液がぐちゃぐちゃに攪拌しあってみだらな汁音をあたしの口の中で奏で、酸欠で意識が遠のくまで口のなかを蹂躙しつくされ、まじりあう2人分の粘液を一滴もこぼすことなく、聡美さんの舌技に導かれていじわるくとろりとろり飲まされていく。
なにもかも受身で無抵抗、すべて聡美さんにされるがままでいることが総毛だつような快楽をもたらし、二本に増えた指がみりみり括約筋を割り裂いてもぐりこんでくるのを懸命にお尻で噛みしめ、びくびくっとお尻の穴を緊めあげて味わう。
ジェルでひやりとした指は内側からみちりみちりと直腸をひっかいて、排泄物が引っかかり逆流してくるようなその独特の感触にだらりだらりと汗がこぼれる。
そう、この感触。
この倒錯感。
必死に絞りあげて阻止しようとするお尻の穴をあざわらうかのようにあたしを責めたて、今にも意識が飛びそうなのに、膜がかかったように最後の一線をこえられず、必死になって聡美さんの指に指をからめてしがみつく。
その手をぽんと振りほどかれ、聡美さんが本格的にあたしを嬲りだした……両手で。
それは劇的な変化、二倍の刺激どころじゃない、全身が溶けていく。
ねばあっと唾液のアーチをひきのばしながら離した唇で耳たぶを甘く噛み、胸を胸にこすらせつつ指がもぐりこんで痛がゆく乳首を捻りつぶし、一方で3本目の指をお尻にねじりこみながら親指がわれめの包皮をおしあげ、過敏な突起をさらけだす。
まな板の上ではねまわるだけのあたしを、徹底して火照らせ、下ごしらえしていくのだ。
「全体にちょっと上つきなのね、律子ちゃんは」
「ん、ぃう……し、知りません」言葉でも恥ずかしがらせながら、こりこりと親指の先が真っ赤にただれているだろう神経のかたまりを弄りだすと電撃が駆け抜け、かはっと息をつまらせた一瞬のうちにあたしはたてつづけに3度イッてしまい、完全に脱力した後ろのすぼまりに根元までいやらしく指を噛みしめてまだアクメがとまらない。
「さっ、聡美さん、イク、イッ、いきま……」
「他人行儀じゃなく、昔みたいにお姉さまって呼んで?」甘えるようにねだられ、しかもこんなに愛されて、身も心もあらがえるはずない。
「おっ、お姉さま……すご、すごく、て……お姉さまの指……感じちゃ……」
「嬉しいわ。その一言、待っていたの」あとはもう言葉じゃなかった、たぶん、盛りのついたえろえろな猫の悲鳴だ。
よがりくるってギリギリと穴をすぼめ、うちがわの壁をぐいと拡張する3本の指にのけぞらんばかりの快感を励起され、とろんとたれる腸液さえ感じられそうなほど、どころか、締めあげるその場所に4本目を埋めようとして、しかも、痛みもなくゆるみきったお尻はあっさり小指の先を咥えこんでしまい、どっと変な衝撃がカラダを押し流す。
たゆたゆと、未成熟な胸を聡美さんとこすりあわせ、意識も飛びそうなほどの快感と悦びを彼女にもなすりつけて肌のふれあいで伝えるのだ。
「私、胸が薄いのがコンプレックスなのよ。律子ちゃんの胸、うらやましいわ」
「はひ、ん、聡美さ……お姉さまこそ、きれい、です……」いつのまにか上半身も裸になっていた聡美さんはほっそりした顔をかたむけほほえんだ。
たしかに見た目はあたしの方がボリュームあるけど、でも、聡美さんの胸は膨らみかたが上品で、つんと控えめに尖った乳首と小さ目の乳輪の色づきかたがすごく情欲をそそるギャップをかもしているのだ。
なよなよしているようでしなやかな物腰が大胆に目を誘い、その、なよやかなんて単語たぶんないけどそんな感じだ。
桜色にゆだる女性の肌が同じ女のあたしをこうもおかしく誘惑するなんて。
その指が4本も、あたしのお尻をみっしり占領してる、なん、て……「ふわぁ」想像と現実のシンクロでお尻がひくんとはずみ、子宮の底からカラダがねじれた。
聡美さんの指がアナルを探索し、さらにもう片手でぎゅぎゅっと外からお尻の肉をあやし揉みこまれてしまい、しかも同時に親指の先で痺れきったクリトリスまではじかれて、からだを駆けのぼる熱さと快感は電撃さながら、口からよだれがこぼれているのだって気づけないぐらい。
お尻、ゆるゆる……もっと、もっと深くにまで、このめくれるような刺激を欲しい……聡美さんの目が淫蕩に揺れて、あたしの声なきおねだりはすべて伝わっていた。
あっと思ったときにはお姫様だっこされ、あたしは聡美さんの乳房のあいだに(その、谷間というほどじゃない控えめなふくらみなのだ)顔をうずめている。
「最後はもっと涼しい部屋で」言葉をくぎったけど、その先は聞かずとも分かる。
だから、おだやかな表情とうらはらにドクドクと昂ぶる聡美さんの鼓動を聞きながら2階の寝室に運ばれ、ぎしりとベットに沈みこんだ。
鼻を埋め、シーツに残る聡美さんの匂いをくんくんとかいでしまう。
「いけない子。何を調べているの」
「だって。お姉さまの匂い、しみついて……」
「動物みたいなのね、ふふ」おおいかぶさってきた聡美さんの口づけを今度こそ自分の意思で受けいれて、さえずるようについばみながら唇をうなじや頬に這わせていく。
聡美さんの指がまたも下腹部へと伸び、羞恥心をこらえて力を抜くと、まるでそれが当たり前のように長い指先がぬぷぬぷとお尻のなかへ沈んできた。
あごをそらし、目を閉じ、逆流するような異物感を楽しむ。
すごい、いくらでも感じちゃう、濡れてあふれてしまう、聡美さんもこの感触を……?はじめて、あたしは自分から指をのばした。
「あっ、律子ちゃん、なにを……っ!?」
「お姉さまのも、見たい、から」聡美さんの声がおもわぬ動揺の色をおび、なまめかしいあえぎをにじませる。
あたしの指が聡美さんの下腹部を、あたしよりも生えそろった茂みをなぞり、そこから下へと遠慮なくつぷんともぐりこんだせいだ。
湿ったひだにとろりとしずくが絡みつき、ざわめいて指を深くへ引き込んでいく。
もう片方の手をお尻にまわすとあのお尻に埋まったリングに指がふれ、きゅっと引っぱると初めてのどを鳴らして聡美さんが嬌声をあげた。
あとは2人とも無我夢中、足をからめあい、たがいの指をたがいの下腹部に沈め、前と後ろをひたすらにいじくりっこして慰めあう。
おたがい性器(とお尻)をいじる指は一秒だって離したくない、そのぐらい発情してて、だから、手を使えぬままでもどかしく唇を這わせたり肩を甘噛みして痕をつけちゃったり、あっというまにもとのように身体が疼き火照り燃えあがっておつゆがあふれだし……ふうふう喘ぎにまみれた聡美さんのもちだす器具に、目がとろけた。
いやらしい形状と使用方法は知っている……レズ用の、ペニスバンドだ。
装着する人の側にも男性を模した突起があって、甘くうめきつつ聡美さんが自分がわのディルドをわれめに挿入して腰に沈めると、下半身から黒々した男性のにせものがそりかえっている状態だ。
「律子ちゃんは、えっと、男性経験ないのよね」
「はい、バージンですから……聡美さんが最初の人です」ためらう口ぶりだったのですぐぴーんと来て、あたしの返事は甘えるような、少し挑発的なものになる。
すると聡美さんは意外なことを口にした。
「嬉しいこと言うのね。でも、バージンなら、そっちは大切にしておきましょう」え、と聞きかえす前に、聡美さんはあたしの耳たぶをこりこり歯でもてあそびつつささやいた——律子ちゃんには、お尻での楽しみかたを徹底的に教えてあげたいもの、って。
え、待って。
でも、じゃあまさか、その太さを、お尻に……!?「大丈夫よ。さっき指3本半入ったじゃない。ふだんからお尻の好きな律子ちゃんなら、ほぐれているし、痛くなく入れられるわ」
「……し、知りません」言葉責めだぁとか気がついて、思わずぷいっとむくれてしまい、でも次の瞬間くるんとうつぶせにされ、あたしの腰を聡美さんが押さえこむと、固い、固い、今までにない太さのものが、ジェルまみれのぬるぬる感で、背後からお尻に触れてきて……「さ、息を吐いてね。かわいがってあげる」
「ひ、ひぁぁぁ」ぬぬぬぬぬ……もうなんていうか他の表現がないくらい、ぎしりぎしりと一息ごとに括約筋をがばっと引きこじる感覚でとてつもない密度のかたまりがアナルに挿入されてきて、圧倒的な固さときたら燃えたつなんてものじゃなく、火がついたようにお尻の肉がへばりつきまとわりついて深くみっちり咥えこみ、太ももどころか下半身全体が汗だくになっていぶりだす。
すご……こんな、飲みこんじゃって……入ってくるぅぅ……入ってくるのがとまらないぃぃ……なんかもう手足をばたつかせたくて暴れて、その両手を聡美さんにしっかりにぎられ、逆上がりに失敗した人みたく両手を後ろにひっぱられると、いっそう深々とディルドを突きこまれてしまい、胸がたゆたゆとシーツの海で揺れ動く。
まだ、まだ入って、うっそだぁ、もう指の長さ2倍ぐらい挿入されてるのに、まだ窮屈なところへ肉壁をこじられていって……とうとう、ついに、ぴとんと濡れそぼった聡美さんの下腹部があたしのお尻に密着する。
「根元まで入ったわ、すごいすごい。苦しくはないでしょう?」
「ひっ、はひ……」体重をあずけることなくおおいかぶさる聡美さんにあごを首の後ろをちろりとなめられ、びくびくっと痙攣が伝染して腰にまで響く。
なにこれ、全身が過敏になってない……?ビビビビっと振動がはしりはじめ、そこで理性がふつんと消滅した。
たぶん最弱のディルドの振動、でもそんなもの、直腸を串刺しにされてしまったあたしにとっては、体内からフルボリュームで響かせられているようなもので、その感触たるやあまりのすごさに内壁とすれあう摩擦にもだえくるい、噛みしめるとかそういう次元じゃなくアナルが最初から最後まで開きっぱで、ぎゅっと閉じようと試みたってまったく感触さえ手ごたえさえ感じないほど無意味なのだから、まさに自分の意思におかまいなくお尻を犯され放題な身体になってしまっている。
「動くわよ、律子ちゃん」
「は、はぃ……おねえさま、やさしく……」すがる瞳でふりむくあたしに優しいキスを一つくれ、お姉さまは本格的に腰を使いだす。
ずずず……ぬけていく感触は、切れ目のない排泄物を力んで力みつづけているような途方もない排泄感、しかも、めくりかえされた腸壁まで括約筋からひきずりだすような衝撃だ。
……たえられる、わけが、ないじゃない。
かろうじて呼吸をあわせてかは、かはっ、と息が乱れ、絡めた指だってお姉さまのいいようにあやつられて自分の胸をくにくにシーツのひだにこすりつけられ、もうなにがなんだか分からず頭をふりたてて、しがみつくように双頭のディルドを食い締めて裸体をよじりたててしまうのだ。
ほとんど抜けかけたと思ったディルドが一気に打ち込まれ、体じゅうが鳥肌だってどろっととろけて液体という液体をあふれさせた。
めくれかかったアナルの内側を一瞬で疾走し、ぱぁんと最奥まで貫くディルドが灼熱の槍となって神経をすみずみまでやきつくし、ただれさせるのだ。
こんなの、リズムも合わせるも何もない、快楽の泉であふれかえった奈落に頭をつかまれて押しこまれ、溺れさせられているようなもの。
一突き一突きで背中がそっくりかえり、はあはあと犬のように舌をだしてあえいだ次の瞬間にはその舌を噛まぬようあわてて歯を噛み鳴らして衝撃にたえ、自分のものじゃないお尻がビリビリと絶頂にあたしを追い上げていく。
息をしていることが不思議なほど呼吸が千々に乱れ、ただ熱い硬度だけがあたしの全て。
「あ、は……」イった、イきました、そう口にしかけた次の瞬間には引き抜かれていくディルドの反動でさらに高みへと打ち上げられ、涙目になり、とどまることをしらぬオーガズムに喉までおぼれて声もなく泣き叫ぶ。
壊れ、壊れちゃう……こんなの、ダメェェ……!こんなにされたら、あたし……!!さいわい、お姉さまがあたしの様子に気づいてくれた。
「あ、ごめんなさい、私が暴走しちゃって……こんな感じかしら、これなら、どう?」
「はひっ、ありがとうございまふ」声も出せないあたしを見て、お姉さまの動きがゆるやかに変わり、抽送のリズムがより軽くテンポをあげていく。
どん、どん、ずるるっとお尻の穴がキュルキュル噛みしめたりゆるめたりを繰り返し、これなら、そう、お姉さまを感じながらイクことができそうだ。
うん、うん。
たしかめて、噛みしめて、味わって、お尻がヘビのようにくねってる。
いけないところが痙攣して、しびれの波が広がって、熱く甘くとろけていけそう。
「おね、お姉さま……あ、あぅ」
「律子……かわいいわ、もっと、もっと私に顔を見せて、律子」
「お姉さまがいっぱい、いっぱい、あたしの中」呼び交わしながら、幾度となく腰をうちつけあい、首をねじって唇を吸われ、愛されている快楽を、一心に、汗だくで重ねる裸の身体に刻みつけていく。
はしたなくお尻を掲げ、処女の割れ目をびしょびしょにして、獣のように交わっている……っっ!!ぞくぞくと随喜の寒気が弓のように身体をしならせ、痙攣の波で意識が真っ白になった。
強い快楽のゆりもどしの波をかけられ、脱力した肢体ががくんと弾んで、ほんの数秒、オーガズムで気絶していたのだと気づく。
深々とお尻にはディルドが串ざしのまま、聡美さんがあわてて抽送中のディルドをぴたっと止めたのだ。
「あ、はふ、お姉さ……ま」
「律子、ちゃ、ん……最後まで、イった、のね」おかしい、声が乱れていると顔をあげたあたしは、切なそうに眉をひそめる聡美さんの顔を目にしてすべてを悟った。
刺激の強さからあたしだけが先に行ってしまい、聡美さんはイクにイケないつらい状態にされてしまったのだ。
思うと同時にカラダが動いた。
自分でお尻のディルドに手を沿え、裸体をうねらせつつ腰を沈めていく。
あっというまにぶりかえす、ビリビリした絶頂のオーガズムそのものの痺れに気を遠くしつつも、あたしは聡美さんに涙目で訴えかけた。
「さ、聡美ちゃん、どうして……」
「いいの、あたしはいいからお姉さまがイクまでしてェェ……!!」一緒にイきたいの……!叫んだ瞬間、意識がふっと途切れ、一瞬世界がやみに落ちて……ふたたび目をあけた瞬間、括約筋のふちまで引き抜かれていたディルドがずどんと芯まで打ち込まれて……あっというまの抽送の連続に、何かをわめき、オーガズムに打ち震え、指の先までびぃぃんと突っぱらせたまま、それでも受け止めきれる快楽の深みではなく……真っ白な輝きにそめあげられ、今度こそ、あたしは絶頂の無のなかへと意識を手放して転がりおちていった。
「もう入ってきてもいい、ですよぉ」その日の夜……あたしの声で入ってきた聡美さんの旦那様は、おーっと娘をみるようなおもはゆい顔で目を細め、部屋着から浴衣に着替えたあたしと聡美さんをにこにこと見た。
健太君はあたしの裾をつかんでおおはしゃぎだ。
聡美さんと目を見交わし、ほんのり染まる頬に秘密を共有した者の笑みをうかべる。
ほんの半日前のできごと。
けれど、その引き返しできない線を踏み越え、あたしと聡美さんはいまや、決定的な蜜月の共犯者だった。
あれから、30分位は余韻に浸り、あたしは聡美さんの裸の胸に顔をよせて甘えていた。
どうしてこんなになっちゃったのか、レズなんてありえないような体験をしてしまって、でも今なら、聡美さんとなら、これ以上なく幸せを噛みしめていられる。
淡白な旦那様への不満だとか、ネットの通販だとか、いろいろ裏のこみいった事情もあるんだろうけど、そんな話は全然大事じゃない。
あたしと聡美さんの関係は、もう憧れじゃない。
本当の意味で愛をかわしあった、もう二度と手放したくない、そういう意味の好き同士なのだ。
からからと下駄をならし、暗くなったあぜみちを隣町の花火大会へ急ぐ。
健太君はお父さんとゲームのように遊びながら歩き、あたしたちはその数歩先を、腕を組んで歩いている。
ときおりよろめきつつ、甘く上気した顔を……いやらしい刺激に、頬を染めあい、キュキュッといじらしい感触を噛みしめ、じゃれあう。
からみあう目線は瞳はどこまでも涼やかで、奥ゆかしい人妻のどこにあれほどの淫靡さひそんでいたのか、想像さえつかない。
瞳のなかに愛情深く映りこんだ自分を見やる。
その顔は、ぼうっとのぼせていた。
新しい刺激が体を満たしているのだ。
そう。
着付してもらった2人のカラダには、えっちな仕掛けがほどこされている。
お尻の穴をみっちりふさぐのはバルーンプラグという空気でサイズがふくらむアナルプラグで、あたしの中にあるのも聡美さんの中にあるのも、力んだって絶対ぬけない大きさまで膨らまされ、文字通りアナル栓になってて、しかも空気を抜く部分にさわれないように上からチェーンをかけ、小さな尾錠で留めてあるのだ。
簡易貞操帯……なのだとか。
もちろん、股間をくぐるチェーンは割れ目に埋もれ、クリトリスも刺激されつづけで、とぷとぷといやらしい湿り気がつきることなくにじみだす。
「気持ちいいでしょう」
「悪趣味ですよぅ」口をふくらませつつも、ジィンとたえず疼かされる淡い刺激はまるで一糸まとわぬ裸で歩いているかのようで、視線が気になってみまわす瞳が泳ぎ、はじらいのあまり発情してそそりたった乳首が浴衣に擦れてしまうのだ。
尾錠の鍵とプラグを振動させるリモコンはおたがいの手の中、だから、彼女はあたしのもので、あたしは彼女のもの。
いつONにされて鳴かされるか分からない、ひやひやするいやらしいゲームのはじまりだ。
いけない秘密を分かち合う実感。
それは、とても愉しく、心地いいものだった。
ようやく川べりの土手に出ると、そこはちょっとした縁日状態で、立ち並ぶ夜店がにぎわっていた。
ぼくとつな田舎の祭りめいた騒音が気分を高揚させる「お姉さまー、花火、楽しみですね」あと一週間かそこら、そのあいだ、あたしと聡美さんの記憶はどのくらい増えるだろう。
無性に頬ずりしたくなって聡美さんの腕に顔をすりすりながら、あたしは、聡美さんのプラグの振動を、かちりとONにした。

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