失踪

2021/09/06

416 :えっちな21禁さん :04/21 20:42 ID:1my7cryD
俺と彼女は小学校の頃からの幼馴染だった。
いや、それ以上の、何て言うか、兄妹みたいな感じだった。お互いの家族も生まれた時から顔見知り。
高校を出る頃には既成事実ではないけど、『貴志君と恵理が結婚するのが楽しみだわ…』なんて、
彼女の母親がのたまうほど、親密な関係だった。…って言っても、Hは無し。キスはしてたけど。
初めてHしたのは大学二年の冬。一緒にスキーへ言った時。二人だけで行きたかったのに、
両家族まで付いて来て。ちょっとした家族旅行だった。俺も彼女も一人っ子で、親馬鹿なんだろうか…。
三部屋予約取って、俺は恵理と一緒の部屋だから、と宣言すると、俺と彼女の母親に冷やかされた。
今となっては、何と言うか…いい思い出。で、彼らの期待に応えて?初めて結ばれた。正確には、
三泊四日の旅行の、三泊目の夜なんだけど。一日目、二日目は全然入らなくて、彼女もすごく
痛がってて…血は出なかったけど、初めてだった。俺はそう信じてる。それに、その頃の彼女は、
俺に嘘をつける程、器用な女じゃなかったから。

417 :えっちな21禁さん :04/21 20:53 ID:1my7cryD
俺と彼女は別々の大学で、俺は三流大学の経済学部、彼女は中堅所で仏文学を専攻していた。
ちなみに、俺よりも彼女の方が頭が良かった…。当然、就職でも差が付いた。
俺は小さな機械製作所の営業兼事務として、彼女はネットベンチャーと呼ばれる企業へ。
就活で腐り切ってた俺に、彼女は優しく言ってくれた。『しばらく働いたら、何か資格でも取ればいい』って。
さえないサラリーマンになった俺と、美人で、頭もいい彼女…釣り合わないなァ、なんて、自分でも思ってた。
彼女と幼馴染で、一緒にいる時間が彼女の親の次に長かった存在だから、こんな俺と付き合ってくれて、
好きになってくれたんだ。そう信じてた。俺は絶対、彼女を幸せにする、誰よりも…本気でそう、心に誓ってた。
大切な彼女だから、Hも恐る恐る、い、いいかなー?なんて、お伺い立てて、前戯も本当に延々と…みたいな。
とにかく、俺は大切にしてた、彼女の事を。

418 :えっちな21禁さん :04/21 21:04 ID:1my7cryD
お互い社会人になって、五年が過ぎた。俺も彼女も24歳になってた。
ある日、俺は彼女の父親から居酒屋に誘われた。初めて俺の携帯に着信が入って、
誰だろう、見慣れない番号だな…なんて、出てみると、彼女の父親。知った顔だけど、
その時は何故か目茶目茶緊張した。二人だけで飲む酒。味なんて覚えてない。
何を食べたのかも覚えていない。静かな時間が流れたもそんな気がする。

419 :えっちな21禁さん :04/21 21:05 ID:1my7cryD
他愛も無い会話の後、彼女の父親は一言、『そろそろ嫁に貰ってくれないか』と言い、
そして軽く頭を下げた。俺は泣いた。恥ずかしいけど、鼻をすすり上げていたと思う。
涙が止まらなくて、何度も何度も、絶対幸せにします!なんて言ってた。その日、
俺は家に帰ると両親にこの事を報告して、これからも彼女を宜しく、と頭を下げた。
確か親父は『任せろ』、お袋は感動して目が潤んだまま、何もいえなかったと思う。
その後、今度は彼女の家に行って、改めて挨拶した。先程はどうも、見たいな感じで。
彼女はまだ帰って来てなくて、俺はさっきまで一緒に飲んでた彼女の父親と、母親に、
『恵理と一緒にさせて下さい』みたいな事を言った。婚約宣言…何か恥ずかしい、今思い出すと。

421 :えっちな21禁さん :04/21 21:21 ID:1my7cryD
後ろから親父とお袋もついて来て…いや、まさか後ろから付いてくるとは
思ってなかったんだけど、家が近過ぎて。いても立ってもいられなかったんだと思う。
三人で彼女の実家に上がり込んで、五人でビールを飲みながら昔話を…いや、ただの羞恥プレイでした。
俺が覚えてない事を次から次へと、コイツら…俺と彼女の秘密の暴露大会を始めやがる。
『実は貴志君と恵理が○○でキスしてるの知ってたの』とか、お袋と彼女の母親が喋る喋る。
俺は、彼女の父親に聞かれたくない話ばかりで、もう何処かへ逃げ出したくて。来るんじゃなかった、と
少し後悔したり。

422 :えっちな21禁さん :04/21 21:22 ID:1my7cryD
夜中の12時過ぎに、彼女も帰って来て、『あれーどうしたの?みんなで』と聞かれたと思う。
席を外して、玄関の所まで連れて来て、小声で今までの経緯を話したら、すごく喜んで…でも、一番最初に
私にちゃんと言って欲しかった、と言われて、そりゃそうだよなァ…と少し後悔したり。
今更、面と向かって言うのも馬鹿と言うか、恥ずかしかったけど、『結婚しよう』と彼女に言ったよ。
声は上ずってたと思う、間抜けだ俺…。彼女は『幼稚園の頃から貴志のお嫁さんだったよ…』って。
俺は思い切り抱き締めてた、彼女の事。…それも全部見られてたけど、皆さんに。後々まで話の種にされるのが辛い。

423 :えっちな21禁さん :04/21 21:37 ID:1my7cryD
俺はその頃が一番幸せでした。本当に幸せだったよ。
月給26万程度、ボーナスカットも当たり前だったけど、彼女と一緒にいられるだけで
幸せだった。何て言うか、彼女の事を考えるだけで楽しくなれて、俺は思春期?みたいな。
マリッジブルーの逆バージョン、まさにハイな感覚。どっちの家に住むかとか、新しく借りるか、とか、
色々考えてた。その頃、彼女はいつも仕事が長引いて遅かったけど、全然気にしてなかった。
マメにメールはくれるし。全然怪しい事もなかったんで。

425 :えっちな21禁さん :04/21 22:09 ID:1my7cryD
俺が彼女を意識し始めたのは小学校一年から。意識って言っても、あーいるいる、みたいな。
存在の認識って言うのかな。でも、彼女は幼稚園の頃から俺に目を付けていたんだと。
俺と恵理って幼稚園の頃、一緒の組じゃなかったよな?何で俺の事知ってんの?って聞いたら、
俺は全然覚えてないけど、色々俺との思い出とやらがあるらしい。俺は全く覚えてないから、
でも、覚えてない、なんて言うとマジ切れされそうな雰囲気だったんで、ああ、そうだよなーなんて、
覚えてるフリしてやり過ごしたけど。そんなに一途に想われてたなんて…とまあ、少しノロケてみました。

427 :えっちな21禁さん :04/21 22:17 ID:1my7cryD
婚約してから、安心したのか、少し会う機会の間隔が長くなってて。
いや、彼女の仕事が忙しくて。お互い仕事もあるし、無理に時間作って会わなくても、
この先嫌って言う程一緒にいなくちゃいけないんだから…みたいな。俺は安心しきってた。
ちゃんと指輪を渡さないと…なんて考えてて、こっそり宝飾品店巡りしたりしてて。
店員さんと話すと緊張しますね、アレ。もう、話し掛けたら絶対買わないといけないんじゃないか、って。
俺は元々気が弱いんです、ええ。しかも優柔不断だし。結局買えなくてマゴマゴしてたんだけどさ。

429 :えっちな21禁さん :04/21 22:34 ID:1my7cryD
10月の彼女の誕生日が迫ってた。俺はまだ指輪すら買えなくて。
もう、いっそ彼女自身に選ばせるか、って腹をくくってた。俺のセンスだとダメっぽいし。
一生大切にしてほしいから、彼女の選んだ物で…って。その時、実は、婚約指輪兼結婚指輪って
考えてました。セコイ男でスマソ。でも別々に二個買うのもなーなんて思ってて。
で、彼女の誕生日。この日は早く仕事切り上げてくれよな、って言ってあって。ドトールで待ち合わせ。
俺はいつも待たされる。遅っせーとか、言いながら。彼女はゴメーン、なんて可愛く謝って。…馬鹿ップルでした。
彼女がポーチをパカッと開けたんです。そしたら、少し大きめの、水色の紙が見えた。水色の紙袋が折りたたんで、
入れてあったんだと思う。間違いなくティファニー。つい聞いちゃったんだよ、ティファニーの袋?って。馬鹿だな俺。

430 :えっちな21禁さん :04/21 22:41 ID:1my7cryD
彼女は動揺したよ。俺よりも気が強くて、絶対尻に敷かれるよね、なんて彼女の母親からも言われてて。
俺も、まあ、彼女がしっかりしててくれて、リードしてくれるからいいかなーなんて思ってて。
そんな彼女が少し慌ててた。でも、今思うと、ポーチに入れるには無理があるサイズだよな、紙袋。
畳んで無理矢理押し込んでるって感じ。で、俺は大馬鹿野郎で…期待しちまったんだよ、
それが俺へのプレゼントかってw 彼女の誕生日に何故、彼女が俺へプレゼント… orz
プレゼント交換?とか、今思い出すと馬鹿馬鹿しいけど、何でかそう勘違いしちゃたんです。
何々?見せて…って、追求しちゃったのさ。彼女は、紙袋を取り出した。でも、何か行動が変。
テーブルの下に手を潜らせようとしてモゾモゾ。紙袋の中身を出そうとしてるのがバレバレでさ。

433 :えっちな21禁さん :04/21 22:51 ID:1my7cryD
はい…って、手渡されて、紙袋はやっぱりティファニー。
ティファニーいいよねー…なんて言ってる俺。実はティファニーのシルバーリングもいいかな、
なんて思ってて。でもその時は、買わなくて良かったと思ってた。だって彼女がティファニーの紙袋を
持ってるって事は、ティファニー以外の、意外性のある奴でないとダメだ、みたいな。ちょっとホッとしてて。
あー中身を俺にくれるのか???なんてドキドキしてて。でも、何となく、くれる気配がないんで、聞きました。
中身は?って。固まってたと思う、彼女。あー、とか、うん、とか。変な頷きの後、ゴメンね、ゴメンね、と繰り返して。

434 :えっちな21禁さん :04/21 22:53 ID:1my7cryD
俺もよく分かんなくて、まあいいか…と。で、指輪何欲しい?俺、自分で買おうとしたんだけど、分かんなくて…
みたいな話をして。喜んでくれた、その時は。『ホントに???』って。ドトールを出て、彼女と指輪を
買いに行きました。カード使ったけど、限度額ギリギリの18万。安いのか高いのかよー分からん。
オーソドックスな感じの、普段でも付けていられる様な、小粒のダイアモンドリング。彼女はそんなに
細い指じゃないんだけど、すごく似合ってたよ。色白な方だったし。

435 :えっちな21禁さん :04/21 23:00 ID:1my7cryD
さっそく指輪をはめて、わー…とか言ってる彼女に萌えました。
やっぱり可愛いわ、この子って。ご両親にも報告して、もう結婚秒読みって感じでした。
いや、まだ具体的に日取りとか、全然決めてなかったんですけど。
年明けて、春にでもどう?みたいな。かなりのんびりしてました。どうせ逃げていくもんじゃないし。
それ以前に、お金が無くて。さすがに親に全額負担はさせられないし。俺の貯金は二桁しかなくて…。
お金が貯まり次第ねー、なんて、冗談を言い合ってました。

442 :えっちな21禁さん :04/21 23:17 ID:1my7cryD
スマソ…
11月、俺は初めて彼女の会社に呼ばれました。今まではロビーまでしか入れなかったけど…
って、ズカズカ入ってく勇気もないし、迷子になりそうだし。警備員いるし。
仲人さんになる人が、彼女の上司だそうで。ご挨拶です、仕事の合間を縫って、時間作って。
おー、やっぱスゲー、と感動でした。オフィスの天井がウチの会社よりも高い高い。ああ、やっぱ違うな、
なんて、変な所で差を見せ付けられました。応接スペース?みたいな、仕切りのある所に通されて、
ぎこちない挨拶をしました。仲人の上司は、30台後半かな、結構若く見えましたよ。俺よりは格好いいし。
俺と彼女は並んで頭を下げて、まだ日取りは決まってないんですけど、仲人の予約をw とか何とか。
快く引き受けてくれて良かった。ま、部下から頼まれて嫌とは言えないと思うけど。職場の規模と言うか、
俺のトコはショボくて、披露宴の時の事を考えると、やっぱり頭数の揃う彼女の会社の人間の方が
頼れるって事で。仲人。

444 :えっちな21禁さん :04/21 23:26 ID:1my7cryD
俺の上司からは嫌見を言われましたけどねw
何で向こうの上司?って。仲人って、そんなにやりたいもんなのか。親戚って言うか、
親父の兄も仲人したがってたらしい…。誰でもいいんですけど。
俺が考えるよりも、周りはドンドン動いていて。仕切られてました、お互いの両親と、彼女に。
俺は毎日、普通に会社に行ってて、でも、話は前に進んでいて。彼女と会うのは相変わらず
遅くなってたけど、嬉しそうに話す姿を見てるだけで嬉しかった。楽しかった。
たまに早く、彼女が帰れる時は、彼女が俺の会社まで来てくれて。
俺は待たせるのが悪くて、残務もそこそこに切り上げてたり。上司も大目にみてくれました。
でも、俺は彼女の会社で待った事はなかった。仕事は結婚しても続けるって事で、話はついてて。
だから、年が明けて、春になって、結婚しても、別に何も変わらないと言えば変わらない。
住まいは、お金が勿体無いから、荷物は俺の家、体は彼女の家w みたいな。そんな話で。

445 :えっちな21禁さん :04/21 23:34 ID:1my7cryD
考えてみると、俺が待ってた事は無かったんです。大学時代も含めて。
驚くだろうな…なんて、悪戯心出して、夜中11過ぎぐらいですか、ビルの前に立ってました。
出て来た…と思ったら、仲人の上司と一緒でした。俺はかなり動揺して、声とか掛けられなかったんですけど、
って、別に何も無くて。会社前で別れてそのまま彼女は地下鉄の改札を過ぎて。
まあ、彼女の尾行なんてする気はなかったんですが、声を掛けるキッカケを失ってしまって。
一瞬でも彼女を疑った俺自身に鬱々としながら、どこで声を掛けようかな…とタイミングと距離を測ってました。
ストーキングはドキドキしますね、アレ。尾行って、バレないかハラハラですよ。変なドキドキ…

447 :えっちな21禁さん :04/21 23:40 ID:1my7cryD
結局、乗り換え乗り換えで、家のある駅まで来ちゃいました。
俺は少しだけ、ストーカーの快感を味わった様な気がします。そんな物は理解したくないけど。
バレない様に彼女の後をつけてました。もう、ここまで来ると声を掛けられなくて。
彼女が家に着いたら、遅れて行こうかな、と。外灯もポツポツ、所々消えてたりで、結構暗い所は暗いですよ。
女一人で歩くのは怖いな…なんて、新たな発見と言うか、妙な防犯意識と言うか。もっと早く、
一緒に帰れば良かったかなーと。いや、尾行しながらそんな事考えてもね、俺。
で、彼女がアパートに入って行った訳です。まだ新しいアパートの二階でした。は???何で、って、
一瞬、お前どこ行くんだよ!!!みたいな。

450 :えっちな21禁さん :04/21 23:46 ID:1my7cryD
仲人さんはいい人でした。後々、俺の相談にも乗ってくれて。お金までくれて。
本当は彼女と友達OL?の確か4人でキャアキャア言いながら出てきたんだよ…会社。
キャアキャア…いや、そんなに騒がしい訳でもないんですが。
俺、場違いな気がして声掛けられなくて。バイバーイ、とか言いながらそれぞれ電車乗ってったけどね。
451 :えっちな21禁さん :04/21 23:51 ID:1my7cryD
俺は足音を忍ばせて、階段を昇りました。
別に足音を忍ばせなくてもいいんですけど。コンクリートだし、音はあまり出ないと思うんで。
表札にはローマ字のパネル?で、Nishimura と。
西村…誰???俺は全然理解出来ませんでした。本当は、何が起こってるのか理解出来たと思う。
でも、思考を停止したんだと思う、脳が強制的に、フリーズって。俺はトボトボと帰ったよ、家に。
風呂に入って、ベッドに潜り込んで、それでも、西村西村って、頭の中を西村が駆け巡ってた。西村って誰?

453 :えっちな21禁さん :04/21 23:58 ID:1my7cryD
俺はずっと西村ってのが気になってて。でも、住んでる場所は知ってても、どんな人かも知らないし、
誰に聞けばいいのか分からなくて。彼女にも聞けなくて、ただ黙ってた、我慢していた。
でも、やっぱり知りたくて、まずお袋に聞いたんだとげね、西村って知ってる?って…聞くなよ俺。
知らない、誰それ?って、知りませんでした、お袋。当然です、俺が知らないんだから。
その週末、彼女の家に行った。彼女とは普通に話せた。俺は演技派かも知れない。
彼女が浮気してるかも知れないって時に、でも、もしかして西村ってのは女の子で、実は大親友…とか、
そんなオチだとしたら、うっかり追求して恥をかくかも…なんて恐怖もあって。あの日から、って、
確か火曜日の事だったんだけど、そりから3~4日もすると、もうあれは女友達の家だったんじゃないか、
俺の嫉妬深さが被害妄想を招いているんじゃないか、なんて、そこまで考えてて。
少し楽になりたかったのかも知れない。

455 :えっちな21禁さん :04/22 00:09 ID:7VLLOLec
彼女は、ちょっと待ってて、買い物に行って来る…って、父親の車で行ってしまった。
家には、俺と母親。未来のお母様…。二人だけになると、何か気まずい、とまではいかないけど、
落ち着かない。俺は元々人見知りするタイプなんです。で、彼女の母親も俺のそう言う所を知ってるから、
いつも話し掛けてくれる、先に。一緒に行けば良かったのに…って、お母さん、俺は邪魔ですか…。
俺は、彼女の母親に、極力、動揺している自分を知られたくなくて、普通に聞こうとしたんです。
西村さんって知ってます?って。『あー…西村君?』 おー…知ってるよこの人。俺は『どんな人ですか?』
って聞くと、同級生じゃない?お母さんと友達なのよー、と。…男でした。小学校3年・4年の同級生。
でも、幼稚園の時も同じ組だと。わざわざ卒業アルバムまで持って来て。この子この子ー…とか。
子供の写真見せられてもね、今現在のイメージなんて湧かない。

457 :えっちな21禁さん :04/22 00:17 ID:7VLLOLec
間違いない、コイツと浮気してる…俺はもうグダグダです。
キスしてる現場とか、Hしてる現場とか、いや、コイツの顔すらガキの写真でしか見てないけど、
心臓を鷲掴みにされた様な…今、心電図取ったら間違いなく不整脈出るよ、みたいな感じ。
もうね、問い詰める勇気もなくて。彼女が帰って来るまでの間、帰ろうかとも思ったんだけど、
二階の彼女の部屋に行ってウロウロしてました。座ってられない。別に何かを探す訳じゃない。
でも、押入れの引き戸を開けたりして、中を覗いて…最低ですね、俺。人の部屋に何やってんだか。
暇…と言うか、人間、奇行に走る瞬間ってあると思う。心神喪失。で、ティファニーの袋があって。
思い出しました。あの時の、中身はどこだろう、と。探しました…。
458 :えっちな21禁さん :04/22 00:28 ID:7VLLOLec
ありませんでした。人の部屋で探し物は疲れます。しかも、バレない様に気を使いながらってのが。
そんな馬鹿な事をしてる内に帰って来ちゃって。車の音にビクつく俺。もう気分は空き巣です。
帰って来た彼女は買い物袋をぶら下げていて、父親もだけど。俺にも持てと言う。渡された瞬間、
彼女の指の指輪が…俺のじゃなくて。つまり、ダイヤ付いてなくて。あ、ティファニー…って直感しました。
その後、バタバタしてたんだけど、俺は指輪の事をさりげなく聞いてみました。その指輪、ティファニー?って。
あ、うん!少し慌ててました。いつも俺の指輪だったからかな。可愛いね!高くなかった?とか聞くと、
ちょっと嬉しそう。自分で買ったの?…俺は無意識に誘導尋問していたと思う。違う違う、友達…って。
何か変な空気を察知したのか、彼女は話題を替えて来て。指輪の話はそれっきり。飯を食べて夜帰りました。

467 :えっちな21禁さん :04/22 00:40 ID:7VLLOLec
それからしばらくして、俺は姿を消しました。
正確に言うと、家出、失踪。会社の郵便受けに退職願を突っ込んで、
実家の部屋の俺の家具・荷物はこっそりコツコツと処分してて。
彼女の前から、姿を消しました。4年前の事です。
問い詰める勇気もなくて、何も知りたくなくて。考えると気が狂いそうになって。誰も知らない所に行こう…。
人間不思議な物で、一旦決意すると、不思議と体が動いて。ちょっとルンルンしちゃったり。
とにかく荷造りやら、処分してる時は、妙な充実感に浸ってました。もしかしたら、樹海に
行ってたかも。幸い俺は千葉で寮付きの特別養護老人ホームの介護職員になれて。資格なくてもOKだと。
面接は冷や冷やしました。履歴書の住所は千葉の親戚の住所。職歴も適当。
もう、バレるんじゃないかって。月給の手取り14万円はキツかったけど、体が慣れると
オムツ交換もてきぱき出来て。一年間そんな事をしてました。親には最初、ひたすら謝りまくって、
嘘を付いて、捜索願を出すなとか何とか…警察沙汰にされそうになって危なかったけど。

474 :えっちな21禁さん :04/22 00:59 ID:7VLLOLec
理事長先生から源泉徴収だか何だか、とにかく税務で困る事があるから、
住民票を持って来て、寮に移せ…って言われた時は、もうどうしようかと。
俺はDQNを装って、分かりません知りません、確定申告は自分でしますんで、の一点張り。
ま、諦めてくれましたけど。スリリングな人生でした、あの一年間。逃亡者。

476 :えっちな21禁さん :04/22 01:01 ID:7VLLOLec
苑では24時間介護のシフトを組んでいて、かなりハードな仕事でした。週休2日でも、寮に篭って、
小さな窓からボーっと空を眺めていたりして。周りはパチンコでいくら負けたとか騒いでいたけど、
俺は淡々と仕事をこなしてた。痴呆のお年寄のオムツ交換、食事介護、シーツ・ベッドの交換、
入浴介助、掃除…それで14万とはちょっとねー。ちょっとした強制収容所です。と言うか俺もよく耐えた。
そんな所で。本当は車もあったんで、もっと遠くへ行きたかったんだけど、あんま金もないし、ガソリン代もちょっと
ケチって、そんな時、日曜日の新聞に折り込まれている求人広告を思い出して…あ、仕事しようと。
すまん、俺は盗みました。人様のお宅のポストに入ってた新聞から、求人広告を抜きました。ゴメンなさい…。
でもねー千葉と神奈川だもん。近いって言えば近いよなw 何度か、もう帰ろう、と思ったよ。
根が屁タレなんで。でも、彼女に格好悪い姿は見せたくなくて。俺的にはかなり格好いい消え方だと思った。
かなり馬鹿でしたけどね。でも、家出って思ったよりも簡単だなーと言う事は分かった。
479 :えっちな21禁さん :04/22 01:10 ID:7VLLOLec
相手が来ちゃったんです…。興信所頼むなよ。
親父とお袋には電話で心配するなって散々言い聞かせてあって。
初めは捜索願出す!とか言ってた親父も、まあしばらく頭冷やして来いと。
理由は何も言ってなくて。もちろん彼女の事とかも。ひたすら『家出したくなった』を繰り返してた。
彼女の父親には電話で、実は好きな人が出来ました。婚約は解消させて下さい、と。
ヤケクソでした。他にいい嘘が思いつかなくて。どうして?何で?って彼女の母親から
問い詰められると、本当に辛い。何か喋らないと、なんて、変な気を使うのは俺の悪い所かな。
『馬鹿野郎!ふざけるな!俺はテメェを一生許さねぇからな!!!』
…凄い迫力でした。とにかく、好きな人が出来た…今、その子と暮らしてる、って。嘘付きました。
しばらく携帯が止まらなくて、速攻解約ですよ。彼女からも着信入るけど、話せなくて。

483 :えっちな21禁さん :04/22 01:22 ID:7VLLOLec
後々、親父から『お前駆け落ちしたのか』とツッコミが。違う違う、あれ嘘…って言っちゃいました。
親ってのはありがたいもので、何となく察してくれたみたい。見えない所で彼女の家と、俺の間に
立ってくれてたらしい。一番世話になったのは仲人さんでした。会社に謝りの電話をしたんです。
彼女が出たらどうしよう…なんて恐怖もあったんですけど、取り合えずケジメはつけないと。
俺は声色を変えて電話しました。馬鹿だな俺…。幸い別の人が出てくれたんですが。
課長様に代わって下さい…で、繋がりました。本当は、この人にも適当に嘘を付くつもりだったんだけど。
『彼女に代わるから待っててくれ』『いや、代わらなくて結構です』『どうして?』『いや、あの…』
『何があった?』…こんな感じで、つい色々と喋っちゃって。でも、彼女が浮気とか、そんな事は言わなかった。
やっぱり嘘を付いたんだけど、自分自身に不安がある、少し間をおきたい、すいません…って。
『そうか…ま、仕方ないよな、待ってるよ』 その一言に、ポロポロ泣いてました。兄貴肌のいい人です。

486 :えっちな21禁さん :04/22 01:30 ID:7VLLOLec
俺は働きながら、もしかして俺は早とちりしたのかな、鬱だったのかな、妄想だったのかな…と、
色々考える様になっていて。今までの、と言うか、あの出来事全てが夢の様な気がして来て。
全く違う世界に放り込まれた、そのショックで、健忘症にかかったのかも。全部、本当に
遠くの出来事の様な錯覚がして。アクアラインを跨げばすぐの距離なのにね。
彼女の誕生日が近くなって、元気かな…なんて感傷に浸る余裕もない日々。日々是決戦、
ウンコとの格闘の毎日です。でも、カレーは食えました。ウンコいじった後にカレーが食えなくなる
ってのは俗説、迷信ですねアレ。ウンコの話題で申し訳ない。
アナウンスで珍しく、俺の名前を呼んでます。お客様がお見えです…と。
殆ど入居者のご家族しか来ない、この苑に。親父かな、と一瞬嫌な気分になりました。
住所は教えて無かったんで、調べて来やがったか馬鹿が…と。

488 :えっちな21禁さん :04/22 01:33 ID:7VLLOLec
彼女でした。
「久し振り」
ちょっと笑ってました。
「急にいなくなってビックリしたよー」
やっぱりこの子、可愛いです。
「ゴメンな…」
俺、謝っちゃいました。

492 :えっちな21禁さん :04/22 01:38 ID:7VLLOLec
『元気だった?』『まあまあ』『ふーん・・・』何か、どうでもいい会話でした。
あまり覚えてません。お互い、言葉が見つからなくて、特に彼女は多分、
俺との言葉を繋ぐのに必死だったのかも。俺はもう、好きとか嫌いとかじゃなくて、
って、好きでした、やっぱり。どうしようもなく。長過ぎたんですね、一緒にいる時間が。
俺が家出した、失踪したこの一年の何倍も長く居たんだと言う事。
ただ、俺には気がかりな事、と言うか、人が。
「お父さんは?」
「会社だよ」
ちょっと安心しました。居所がバレたらきっと俺、殺されます。と言うか殺されてましたね。
武闘派じゃないけど、やっぱり「彼女のお父さん」ってのは怖いです…。

495 :えっちな21禁さん :04/22 01:46 ID:7VLLOLec
「何で分かったの?」
「調べてもらったから…」
探偵さん、もう少し俺をホッといてほしかった。でも、不思議と彼女に対して、
怒りとか、そう言う負の感情は湧かなかった。俺、この子と昔、付き合ってたんだな…そんな感じ。
彼女もごく自然に、あの頃と同じ感じで話し掛けてくれる。それが嬉しかった。
「ゴメン、そろそろ戻るよ」
「うん、待ってる」

496 :えっちな21禁さん :04/22 01:46 ID:7VLLOLec
そんな会話だったと思う。戻ると…女の職場ってのは怖いですね、ホント。
介護職員は8割女性なんですけど、このお姉様方が何と言うか…
お前等全員、毎週欠かさず女性セブン買ってるだろ!みたいな、濃い方々で。
『ねえ彼女?彼女?』『へー彼女いたんだァー』『結構可愛いよねー』
…うるせぇよババァ共、口に糞詰めッぞ。
と、心にもない事をそっと心の中に仕舞いましたとさ
スマソ、上げてしまった…

502 :えっちな21禁さん :04/22 02:00 ID:7VLLOLec
その日は日勤で、午後4時で上がれました。
でもその間、3時間ぐらい待たせちゃって。仕事が手につかないですよ。気兼ねして。
老人ホームは山の中、と言うかド田舎です。そんな場所へ、彼女はバスとタクシーで来てくれた。
アクアラインを越えて来てくれた。最初は戸惑ったけど、普通に話せました。自分でも驚くぐらい。
来てくれたのは嬉しいけど、寮には止められないから、結局日帰りです。
送ってくよ…って事で、タクシー呼んで、アクアラインのバス亭まで乗せてもらって…

504 :えっちな21禁さん :04/22 02:01 ID:7VLLOLec
金谷だったか金田だったか、あのバスターミナル、何も無いんだよねホント。
その周辺を暗くなるまでブラブラしながら、色々と話しをした。 当り障りの無い話だったけどね。
あんなに悩んで、別れたつもりだったのに、いい雰囲気になってたと思う。 別れ…って言っても、
俺が勝手に消えただけだったのかも知れないけど。最後にバスに乗り込む直前、
『また来るね』『いや、俺、そろそろ帰るかも』『ホント?』…そんな会話を交わして。
バスが見えなくなるまで見送りました。その後、急に泣けてきて。もう、このまま苑辞めて帰ろうかな、なんて。
あのバス、走ったら追いついて乗せてくれるかな、とか。彼女と一緒に帰りたくなった。
今まで抑えていたホームシックが一気に来たんだと思う。

509 :えっちな21禁さん :04/22 02:11 ID:7VLLOLec
結局、それからしばらくして俺は帰りました。
理事長先生にもお礼を言って、何故か励まされたけど。ちょっとした更正施設と言うか、
貴重な一年だったと思う。俺が言うのも何だけど、自分自身をかなり磨けた気がする。
今まで、何でも中途半端で、上手く言えないけど、ダメだなーって感じだったけど。
愛の貧乏脱出大作戦…あんな感じの一年でした。そんなに為になったかは分からないけど。
家に帰るとおかえりー…普通の応対でした。親子の感動の再会、なんてものはなく。
『車は?』『あー』『あー、じゃなくてよ』『ゴメン…』
俺の車は1月の大雪の日、田舎の風俗店の前でスリップして、駐車していたワゴン車にドーン。
…逃げました。で、廃車に。幸い、俺の車は追突した後も走ってくれて。かなりヤバかった。
こんな所で懺悔するなって感じだけど、必死で山道を逃げました。ワゴン車は…前がグチャっと。
俺は今でも信じてます、あれは、あのワゴンは元々ガードレールに追突して止まっていたんだと。
その後、俺がオカマ掘っちゃったんだと。そう信じてます。俺は無罪…。

516 :えっちな21禁さん :04/22 02:27 ID:411FZ05H
彼女の両親には土下座しました。
演技じゃなくて、本当に心から土下座しました。父親は俺を完全無視。
母親は、何となく呆れている感じでした。もう、結婚なんて言葉は綺麗に無くなってました。
彼女とは、別れました。ちなみに、俺は西村の事を聞かなかったし、彼女も言わなかった。
この指輪、持っていてもいい?と聞かれて、うん…と答えました。
よせばいいのに、俺は意地悪な質問をしてしまって。その時は、無意識に聞いちゃったんたけど。
ティファニーは?って。『捨てたよ』『…似合ってたのに』
彼女は俺が、別れる、ゴメン…と言った時も、泣かなかった。俺も泣かなかった。
彼女は寂しそうに微笑んでいたけどね。いや、寂しそうかどうかは俺には分からないけど。
寂しがってくれるといいな…なんて。勿論、嬉しそうではなくて。強がってる感じでもなくて。
多分、諦めなんだと思う。あの微笑。しょうがないなーって。
結局最後まで可愛いなァ…と思ってた俺は負けです。
あの時、作り笑いでもしてくれたら、ちゃんと嫌いになれたかも知れない。
521 :えっちな21禁さん :04/22 02:44 ID:IlmaCY+U
盛り下げるようなマネをして申し訳ないが。。。
疑問に思ったこと
1.彼女と小学校以来の幼なじみなら、「小学校3・4年の同級生」の西村のことは知っていてもいいのでは?
2.共に大卒なら、「お互い社会人になって、五年が過ぎた。俺も彼女も24歳になってた。 」ってのは年齢があわんような…。

522 :えっちな21禁さん :04/22 03:10 ID:X0ZTUCGP
>>521
① マンモス校だったから。一学年で6クラスもあった。
さすがに彼女と一緒のクラスの奴の名前までは覚えてないです。
② 俺は今29歳。いい歳してこんな時間に何やってんだか…鬱。
24歳って、社会人になって2年ですね。5年って一体。

527 :えっちな21禁さん :04/22 02:53 ID:X0ZTUCGP
彼女は千葉の、俺の所へ会いに来る前に会社を辞めていたそうです。
今も多分、普通のOLしてると思います。会社は知りません、聞いてないから。
以前の様に、連絡を取り合ってなくて。やっぱり、別れたんだな…と。
2年以上経って、冷めた、って感じじゃないんです。そうじゃなくて、普通になったと言うか。
俺が消えた後も、彼女は淡々と仕事をしていたそうです。
君より何倍も偉いよ彼女…と、帰って来た後、仲人さんその他から延々と説教されました。
しかも居酒屋に呼び出しくらって延長戦です。酒が不味くなるよー。
俺は少し酒が回って来て、いい加減、俺ばかり悪いのかよ、黙って聞いてれば…と。
『俺のいない間、浮気してませんでした?』なんてポロリ。最低な発言でした。
『馬鹿じゃねぇの?』『冗談でもそんな事言うな』…散々でした。油注いでしまいました。
少し安心しましたけど。やっぱり俺の思い違いかな…と。

591 :えっちな21禁さん :04/23 00:39 ID:/o+7aWYM
神奈川に戻ってから、俺は深夜、ローソンのバイトを始めた。時給980円、週4。
勇気を出して新車も買い、彼女の事も忘れて、1からスタートするつもりだった。
でも、家が近過ぎて。俺の家の前をよく通るんですよ彼女。時々、俺の部屋を見上げる事もあって。
初めは、まあ仕方ないよな、近くだし…なんて、部屋の窓際に隠れつつ、覗く様に見た事もありました。
見られているとも知らない彼女を一方的に見る行為は、かなり後ろめたかったけど。
ストーカーだな、これって…少し自己嫌悪して、何度か繰り返す内に、彼女が通っても、
見ない様に我慢しました。多分、わざとと通ってたんだと思います。俺は一切連絡を絶って、
彼女に対して引き篭もりみたいな感じになってたから。初めは姿を見るのが辛かったけど、段々慣れました。

594 :えっちな21禁さん :04/23 00:48 ID:/o+7aWYM
一年が過ぎ、二年が過ぎ…俺は深夜のバイトがローソンからサンクスへ移りながらも、
新車のローンを抱えて一生懸命働いていた。定職に就こうと思えば就けたけど、何となく、
毎月3万のローンが払えればいいかな、って。実家にいると、別に金も大して必要じゃないし。
ただ、彼女の家と彼のアパートの周辺だけは、自分の中ではずっと、立ち入り禁止区域のままで。
でも、親同士は少しずつ雪解けを始めていた。向こうの親とは、俺は一切会う事も会話する事もなかったけど。
『今日、恵理ちゃんのお母さんと会ったわよ』『あっそ』…無邪気に話し掛けるお袋の言葉は痛かった。
その名前はもう忘れさせてくれ、本当に。でも、俺はただ拗ねていただけなのかも知れない。
白馬の王子様じゃないけどさ、彼女が直接謝りに来て、仲直り出来るかも知れない、なんて。
でも、仲直りと言うか、会って話す気は更々無かったけど。悲劇のヒロイン気取って、ずっと篭ってた感じか、俺は。

595 :えっちな21禁さん :04/23 00:58 ID:/o+7aWYM
俺はバイトと家の往復と言う、単調な日常の中で、少しずつ病んでいたんだと思う。
バイトの休みの日はよく、夜中に家を抜け出して、134号線をスッ飛ばしてました、江ノ島方面へ。
160キロとか平気で出してたけど、オービスは無かったみたい。交番のある交差点付近は減速しましたが。
暇な時って、部屋にいても落ち着かなくて。グルグルと意味も無く歩き回ったりしてて。車を運転してると、
何となく気が晴れて。このまま死ねるかな…なんて、何回か考えたり。でも、自殺願望って言える物ではないです。
俺は千葉にいた一年で、すっかり「放浪癖」が楽しくなったらしい。家に帰って来てから2年間、
家具らしい家具は買わなかった。部屋には、俺の服がハンガーに掛けてあったり、畳んで置いてあったり。
大き目のバッグの中には、俺の持ち物がほとんど入っていて。それから、布団。ベッドは家出の前に
バラして処分しちゃったから。俺が家を出た後、部屋を見た両親はかなり驚いたらしい。家具がない、って。
発つ鳥跡を濁さず…それが礼儀と言うか、何と言うか。自分でも律儀だと思う。

596 :えっちな21禁さん :04/23 01:08 ID:/o+7aWYM
本当に何もない部屋で。いつでも家出出来ます、みたいな。
自分でも、生活感がないと言うか、またいつか別の場所に行ってみたいな…なんて、
漠然と考えていたんだと思う。特に息苦しい生活、とか、この街にいると彼女の事ばかり
思い出して鬱になる、とか、そんな風には思ってなかったけど。ただ、本当に微かな感情だけど、
やっぱり俺、ここには長く住めないな…と。ま、もう28歳だし、親ど同居ってのは実際辛い。
顔を合わせる分、余計な心配やら何やら色々と掛けてるみたいで。時々、簡単な会話すら
苦痛になる瞬間もあったり。特にストレスなんて意識はなかったけど、立派なストレス持ちですね。
元々友人も少なくて、その少ない友人ですら、千葉にいた一年で、完全に断ち切れてしまって。
バイトをしてなかったら、完全に引き篭もりです。バイト仲間って言っても、友達には程遠い関係。
どんな表情でも作り笑いに見えて、行く度にいつ辞めようか、いつ辞めようかって、そんな事ばかり。

599 :えっちな21禁さん :04/23 01:19 ID:/o+7aWYM
去年の夏の話です。雑誌棚に、搬入された雑誌を並べていました。
ガテン「Uターン特集」…パラパラっと見て、あ、これいいな、って。
バイトの帰り際に買って、部屋で黙々と読みました。もう、居ても立ってもいられなくて。
不思議な衝動と言うか、読み耽る内にワクワクが止まらない。って、俺はつくづくガキだな…ちょっと鬱。
ま、新天地カモーンな訳です。俺、行かなくちゃいけないかも、みたいな。頭の中ではもう、
家出計画策定です。でもどこへ行くのかは謎。とにかく、別の世界で新しい何かをしないと…と。
一瞬、裸の大将と気持ちが通じ合いました。そんな気がします。絵は描けないけど、オニギリは好きだし。
芦屋雁之助さん、ご冥福をお祈り申し上げます。俺は本気で、野に咲く薔薇の様に生きたいと思いました。

601 :えっちな21禁さん :04/23 01:29 ID:/o+7aWYM
でも、すぐに飛び出す勇気もない俺。屁タレです…。
東に行くか、西に行くか…悩みました。東と言えば、もう千葉には行ったし、
雪とか、寒い所は嫌だな、と。なら、西?でも、大阪まで行くのはどうも、とか。
そんな感じで、半年ぐらいズルズル悩んでました。勿論、行った先の就職の事も考えて、
就職情報誌も毎週毎月買ってましたけど。Uターンってのが流行ってるんですね。
俺はUターンじゃないんですけど。田舎は神奈川だし。結局、クリスマスが過ぎた頃、
静岡にしようと。名古屋大阪と東京の間を取って、静岡。温かそうだし、石垣イチゴあるし、お茶の国だし。
静岡っていい所だよな…俺の夢も膨らみます。勿論、そんな単純な動機ではないですけど。
観光案内所の営業事務募集を見て決意した訳で。すぐに応募しました。
年明け早々、履歴書郵送、電話面接、日帰りで直接面接…って、今年の1月の話です。

606 :えっちな21禁さん :04/23 01:41 ID:/o+7aWYM
今度は、親にはちゃんと話しました。『浜松で働く事にしたから』と。
最初は驚かれました。何の相談もなく、いきなり切り出したので。
でも、まあ仕方ないか…とか、よく分からないけど納得してくれて。『頑張って来いよ』と。
『今度はいつまでいるつもり?』『いや、分からない』そんな会話。
何の未練も無いって言うと嘘になる。やっぱり、家や街を離れるのは少し寂しかった。
でも、箱根を越えるとそんな感傷も忘れてしまって。浜松は遠かった、実際。国1でダラダラ
行ったんだけど、半日かかりました。ちなみに、やっぱり湘南ナンバーは珍しがられて。
所長からも盗まれない様に、と忠告されたり。まだ盗まれた事はないですけど。
ちなみに、アパート借りる時は審査があるんですね…即日入居は出来ないって言われて。
4日ぐらい車で寝ました。野宿も初体験です。もうしたくない経験ですが。
着いた次の日から仕事です。所長以下、皆いい人で。感謝してます、本当に。

607 :えっちな21禁さん :04/23 01:42 ID:/o+7aWYM
何で俺が昨日から、ここでこんな話を始めたのか、って言う、根本的な原因を話します。

612 : ◆m4QfvmXGoo :04/23 02:04 ID:/o+7aWYM
先月、彼女が営業所に来た。午前中、昼前。
かなり驚いたよ…何で?って。俺の親から聞いたんだろうけど。
どうして教えたんだあの馬鹿…。って言うか、今更何の用があるのか分からない。
もう二年以上も会ってないし。俺は出だしから応対を狂わされた。『いら…しゃあ』…間抜けだ。
『あ、ゴメン…忙しかった?』いや、忙しいとかそう言う問題じゃねぇよと。慌てた俺は席を立ち、
後ろの所長の所へ小走りに行くと、『すいません…知り合いの子で、ちょっと』と、小声で報告。
『すぐ戻ります』『いいよ、先に昼食って来て』そんな会話。俺はいきなりの事で混乱した。
とにかく、いきなり職場に来るなと。来られても、何も話す事はないし。

613 : ◆m4QfvmXGoo :04/23 02:14 ID:/o+7aWYM
俺はもう、職場放棄の後ろめたさで、かなりショックを受けつつ、必死に彼女を外へ連れ出そうと。
彼女を外へ連れ出す時の、後ろの方々の視線が気になって。視線が痛いと言うか、俺が痛い。
「元気そうだね…」
「うん」
「…」
「…」
会話が続かない。と言うか、会社は出たものの、どこへ行けばいいんですか一体。
取り合えず、近くの喫茶店に飛び込んだ。俺はコーヒー、彼女はアイスティー。
俺は何か話し掛けないと…って、そればかり考えていて。結局、彼女がリードする形で話をしたんだけど。
俺から話し掛けるのは正直、辛かった。何か言われても、答えるのが精一杯って感じで。
せめて予行演習ぐらい電話でさせてほしい。もしくは予約を入れて。心の準備どころの話じゃない。
背中に変な汗をダラダラかきながらの応対。シャツが濡れて背中の感触も気持ち悪いし。

614 :えっちな21禁さん :04/23 02:25 ID:/o+7aWYM
会いたくなって、ちょっと来てみた…らしいです、彼女。
俺は会いたくなかった。いや、子供じゃないからそんな事は言わないけど。
そっとしておいて下さい…と言いたい。構わないでと。
「こっちはどう?」
「まあまあ、かな」
「ゴメンね、会社」
「気にしなくていいよ」
いい人を演じてます、俺。ダメだよな、ちゃんと怒る時は怒らないと。
でも、怒りとか恨みとか、そんな感情は元々彼女に対しては持ってなかった。
いや、以前は持っていたと思う。でも、千葉の一年間でほとんど昇華した気がする。
少し冷静になって、目の前に座っている彼女を見ると、美人と言うか、何と言うか。
端から見たら、多分友達か恋人…なんだろう。何年振りかで、まともに彼女の顔を見た気がする。
あまり変わっていない彼女。やっぱり、会うと嬉しくなってしまう。懐かしくなる。

616 :えっちな21禁さん :04/23 02:35 ID:/o+7aWYM
そのまま、昼休みが明けるまで、他愛も無い話をしていたと思う。
親は元気だとか、そんな事。テレビ見てる?とか、こっちの番組と違うの?とか。
俺は気まずい空気だけは作りたくなくて、彼女のノリに合わせるのに夢中で。
俺は気を遣い過ぎてる気がする。何しに来た!帰れ!…と言ってもいい資格があるはずなのに。
「鍵、借りてもいい?」
「え、いいけど」
良くねぇよ俺。って言うか、帰ってくれと言え…。
「待ってるから」
「あ、うん…」
うん、じゃねぇよ… orz
今だから冷静に突っ込めるけど、俺って主体性なさ過ぎ。心底馬鹿だと自分でも思う。

622 :えっちな21禁さん :04/23 02:43 ID:/o+7aWYM
会社に戻りました…凄い鬱。もうね、好奇心の塊ですよ女子事務員。
やっぱり彼女いたんですねーとか。いや、彼女じゃないんですけど。でも、つい…
『もう長いの?』『幼馴染で…』『へースゴいね!』…何が凄いんだ何が。いや、それ以前に、
馴れ馴れしいよ事務員。人のプライバシーなんだから。暇な職場の暇潰しに丁度いい話題。
提供するつもりはなかったのに。俺は『すいません…向こうから出て来てくれたんで』なんて、
所長に彼女のフォローを入れる始末。お人よしと言うか、何と言うか、もう。
何か職場が和んでしまいました。俺自身は和むどころか、精神的にパニクってたんですけど。
でも、少しだけ期待と言うか、嬉しさと言うか、微妙なんだけど、上手く言えない。とにかく、
家に彼女が待ってるって事で、やっぱり仕事は上の空で。7時過ぎに真っ直ぐ帰りました。
普段よりもかなり急いで。

627 :えっちな21禁さん :04/23 03:06 ID:/o+7aWYM
アパートの場所も知ってたと言うか、何と言うか、親よ…軽々しく他人に教えるなと。
お風呂入れてくてたけど、入らなかった。ご飯作るね、ってのも遠慮。
『何時に帰るの?』『帰ってほしいの?』『いや…』そんな会話。彼女のペースだったと思う。
まさか彼女も泊まるつもりではなかったと思う。でも、雰囲気と言うか、帰る時間を逃したら、
泊まってくかも、なんて。実は、帰り道は結構気分が良かった。でも、ドアのチャイムを鳴らして、
彼女の声を聞いた瞬間、夢から醒めたんだと思う。何やってんだ…俺、って。
とにかく送るから、って事で部屋を一緒に出た。本当は、狭い空間に二人きりでいる事に、
耐えられないだけ。想像と現実の差は激しくて、思う様には行かないって事かな。
新幹線の時間が迫るまでの1時間が、異様に長かったのを覚えてる。彼女の嬉しそうな声が、
俺には苦痛だった。そして、そんな彼女に波長を合わせ様としている俺自身に幻滅させられて。偽善者か。

631 :えっちな21禁さん :04/23 03:18 ID:/o+7aWYM
結局、三日後の木曜日に、改めて会う約束をしてしまった。新幹線の改札を見送りながら、ホッとしている自分。
嬉しい気持ちと、悲しい気持ちと、何と言うか…躁鬱が一緒に来る状態。とにかく疲れた。
寝て起きて、会社に行く頃には、昨日の一日自体が夢だったんじゃないかって。でも、台所の、飲み残したコップ。
うっすらと残っていた彼女の口紅の後を見て、本当に来てたんだな…なんて、しみじみ思ったり。
それからの三日間は、よく覚えていない。まだ先月の事なんだけど、例えば今日、朝何食べた?レベルで、
憂鬱なのか期待なのか、よく分からない感情だったからかも知れないけど、とにかく木曜日をひたすら待った。
約束の時間に駅で待つ。彼女は来た。何を話そう、何を言おう、何を、何を…何も浮かばない。用意する言葉がない。
挨拶ぐらいしか俺には用意出来なくて。実際、彼女が何で来るのか、と言う根本的な事すら飲み込めていない。
来るから仕方なく応対している…事にしたい自分がいる。反面、何かを期待している自分もいる。もう、どうしようもない。

636 :えっちな21禁さん :04/23 03:52 ID:/o+7aWYM
『ゴメンね、待った?』『いや…』 そんな、軽く流している普通の会話の中にも、
懐かしさを感じてしまう。 ただ、素直に喜べない自分が苦痛だった。
恋人と言う過去がなければ、もっと彼女の事を受け入れられるのに。
どうしても、少しだけ、余所余所しい部分、丁度いい隙間を残しておきたかった。
ケジメと言うか、何と言うか。 その日、かなり長い時間、俺は彼女と中田島砂丘で話し合った。

637 :えっちな21禁さん :04/23 03:53 ID:/o+7aWYM
一緒にいる時間が長くなればなる程、彼女が本当に、恋人としての彼女に、婚約中だった頃の
彼女に見えて来て、俺を苦しめる。海を見ながら、とぼとぼと行きつ戻りつ、フラフラ歩いて、
立ち止まって。定まらない方向へ歩きながら、色々な話をした気がする。本当は、街中を歩いたり、
もっと他に行くべき場所、連れて行くべき場所はあったのかも知れないけど、どうしても、
俺の部屋だけは避けたくて。でも、避けていると言う事を知られたくなくて。四日前、久々に
彼女と会った瞬間から、矛盾した思いをずっと抱えさせられている。疲れた…と思いながら、
その疲れさえ心地良いと思ってしまう。煮え切らない自分を見つめる自分と言うのは、
あまり気持ちのいい物ではない。

640 :えっちな21禁さん :04/23 04:04 ID:/o+7aWYM
余談だけど、凧揚げ祭りの博物館は面白くない。退屈だし。
浜松って言えばウナギ、ってイメージあるけど、実はウナギ屋が多いだけ。
値段高いし。美味しい事は美味しいけどね。つうか結局部屋に行った訳ですよ。
中田島で何する訳でもないんですけど、五味八珍でラーメン食って、あちこちドライブしたら、もう夕方。
仕方ないから部屋戻るか…って。何か、たった一日二日会ってただけで、元通りになてる気がしてる自分が怖い。
千葉の一年間は何だったの?って感じ。彼女が浮気してようがどうでもいいよもう、みたいな。
すごく楽しかったし、素直に、何も考えずに付き合ってると、それなりに楽しくて。馬が会うって言うか、
幼馴染と言うか家族ですね、ホント。案ずるより産むが易し、なんて言葉があるけど、その通りだな、って。
でも、聞かないといけない事を全然聞けないでいたんだよ、どうして来たの?って一言なんだけど。
その一言が聞けなくて。タイミングと言うか、初日、四日前に聞けば良かったと思う。ただ、何しに来たの?とか、
その聞き方も難しくて。さり気なく聞く方法ってのを探ると言うか。

642 :えっちな21禁さん :04/23 04:10 ID:/o+7aWYM
部屋でくつろいでテレビなんか見てて、やっぱり静岡はチャンネル違うねー、なんて、
妙な感動をしてました、彼女。
「ずっとコッチにいるつもり?」
「うーん…分かんないな。考えてない。」
「私も来ようかな」
「えー、コッチに?」
「うん」
こんな感じです。俺はもう、どんな顔をしていいのか分からない。拒否していいのか、受け入れていいのか。
意地悪はしたくないし、拗ねるなんて格好悪い事はしたくないし、とにかくフランクに相手したい。
恨みとか怒りとか、そんな物は千葉の一年間、散々味わったから。ある意味、俺は抜け殻かも知れない。

643 :えっちな21禁さん :04/23 04:16 ID:/o+7aWYM
「悪いけどさ、コッチには来ないで」
「どうしてー???」
「いや、会いたくないから」
「…」
さりげなく言えてないです俺。直球繰り出してます。って言うか、会っておいて、会いたくないって一体。
『ずっと会いたかったよ』『いきなりまた他所へ行っちゃって』『寂しかった』…俺は明確に拒否をしたはずなのに、
彼女の言葉が俺をドキドキさせる。どちらがタフかって、彼女の方が遥かにタフだね、きっと。
俺は言い返そうとするけど、流されそうになって、いや、半分流されてました。

645 :えっちな21禁さん :04/23 04:25 ID:/o+7aWYM
「元に戻りたいよ…お願い」
その一言はかなり効きました。もう、水に流そう…って、その瞬間は本気で思いました。
でも、何も言えなかったです。俺は俯いてて。彼女を見たら、多分泣いてしまうから、必死に涙よ収まれ、
涙腺閉じろ、と。半泣きって格好悪い…。俺はただもう、ゴメン、ゴメンとしか言えなかった。
「来週、また来るね」
「もう来るなよ」
俺の中では修羅場です。もう、来てもいいけどいちいち了解取るなと。勝手に来て、勝手に帰ってくれ。
予想外だったのは、そこまで言っても彼女は引き下がらないと言うか、負けないと言うか。
俺が負けました。泣いたしね。何で泣かないといけないのか分からない。最後の切り札って言うか、
喉まで浮気の事は出掛かったけど、そんなのを我慢してたから弱かったのかも。

648 :えっちな21禁さん :04/23 04:32 ID:/o+7aWYM
俺は浮気の話題は避けよう避けようとしていました。それを言ってしまったら、全て終わってしまう。
別にもう、ヨリを戻そうとか、そう言う気持ちじゃない。ただ、彼女を傷つけずに、しかも俺の心の整理も付いて、
上手く離れられる方法…。本当は離れる必要なんてなくて、実は俺が流せば全ていいのかも知れないって、
最近思い始めてるんだけど、これって洗脳かな。俺は間違ってて、そんな事でいちいちウダウダ悩んでる男って
気持ち悪い…のかも。

652 :えっちな21禁さん :04/23 04:40 ID:/o+7aWYM
彼女から、好き…って何度も言われると、俺も彼女の事が好きになって来る。言葉って怖い。
「好きだよ、ホントに好きだから」
「ゴメン…」
馬鹿ップルな会話をしていたと思うと鬱。でも大体こんな感じ。
その場になると、気の効いた嘘も付けない。他に好きな人が出来た、とか、そんな類の嘘。
俺はマトモにウ受け答えしてしまって、本音を暴露しまくりです。
「俺も恵理の事、好きだよ」
「…じゃあ、何で…」
俺が責められてます。何か申し訳なくなってきて、彼女に。って言うか、何か思い出すと鬱なんですけどコレ。
会話省いて事実だけ書いて逃げたくなって来たよ、もう。

657 :えっちな21禁さん :04/23 04:56 ID:/o+7aWYM
『ゴメン』『もう少し時間がほしい』…そんな言葉で逃げました。ひたすら逃げたよ。
逃げたんだけどね、逃げたんですけど…
「好きじゃなくてもいいから、一緒にいたいよ…」
「Hだけでもいいから」

「馬鹿じゃねぇの?」
俺の口癖って言うか、怒った時、『馬鹿じゃねぇの?』って、よく言うんです。
Hって何だよ。好きでもない相手として言い訳ないだろ。お前何言ってんの?…とか何とか、
かなり強い口調でキレた気がします。結局、泣かせてしまいました。

660 :えっちな21禁さん :04/23 05:12 ID:/o+7aWYM
かなり気まずい雰囲気で別れました、って、一方的に俺が怒っただけかも知れないけど。
彼女はひたすら『ゴメンなさい…』って。俺も、さすがに駅まで見送る頃には、怒りも収まってました。
とにかくもう、何て言っていいか分からなくて。とにかく、ひたすら気まずかったです。
…なんですけど、携帯番号を教えたり、今度合鍵をあげる約束してたり、よく分かりません。実際、三月末に
来た時にあげたんですけど、合鍵。優しいと言うより、自分でも救い難いなと。嫌いになれないんです…。
でも、以前みたいな好き、って訳でもなくて。もう、上手く説明出来ない。ところで、浮気の話とか、書くべきですか?
今までが長過ぎで申し訳ないです。

749 :えっちな21禁さん :04/23 23:24 ID:kCHFMZI2
彼女を見送り、俺は少し安心していた。ここは浜松、そんなに頻繁に顔を合わせる事もない。
ただ、ここ数日、なぜ急に彼女が会いに来たのか、俺にはまだ理解出来ないでいる。
俺の中では既に、彼女との事は、五年前で終わっていた。一方的な幕引き、と言われれば、
そうかも知れない。あの別れ方が、本当は彼女を守りたいのか、自分を守りたいのか、
それもよく分からない。ただ、俺には逃げる事しか出来なかったから、そうしただけの事。

750 :えっちな21禁さん :04/23 23:25 ID:kCHFMZI2
五年前は、彼女に真実を問い正そうなんて思いもしなかった。勿論、被害者ぶるつもりもない。
もし、彼女を問い正したとして、それが白だったとしたら、それはそれで終わっていたと思う。
つまり、彼女の事を信じていなかった、と言う点で。大体、何をどう切り出せばいいのか。
考えれば切りはなくて。しかも一度疑うと、過去に遡って疑いが広がって。
例えば、初めて…のはずなのに、血が出でなかった事とか、疑えば切りがない、本当に。
実際、血が出るとか出ないとか、下らないし恥ずかしい話題を考えた時点で、俺は終わってる。
でも、その当時は疑いの一つとして、俺の頭の中から離れなくて。…男としては処女崇拝は避けたい話題。

752 :えっちな21禁さん :04/23 23:35 ID:kCHFMZI2
乳首の色が黒いけど、女性は皆こうだから…昔、彼女にこう説明された事がある、真顔で。
AVの人は化粧をしているんだ、と。乳首にファンデーションを塗っているから。
男の人は絶対、乳首はピンクだと言う妄想を抱いている…彼女は俺を半ば責める様に言っていた。
俺自身は、彼女に対してそんな話題は振った事がない。多分彼女は気にしていたんだろうけど。
でも、なぜあんなにムキになって説明していたのか…なんて、疑えば切りがない。
そんな事をイチイチ口にするのも馬鹿馬鹿しいし、考えている事事態、俺って一体…みたいな自己嫌悪で。
それが五年前、逃げ出すまでの僅かな間に考えていた事。実に下らないと思う。俺自身が下らない。
夜寝ようとしても、天井がグルグル回る感覚がして…眠れない程悩むのは、救い難いと言うか何と言うか。

756 : ◆m4QfvmXGoo :04/23 23:53 ID:kCHFMZI2
彼女は神奈川へと帰った。でも、俺の周りの世界は動き始めた。正確には、追い込み。
親父とお袋から交互に電話。『何があったか知らないけど、そろそろヨリを戻したら…』なんて話。
事情も知らない外野のクセに、全く。電話線外しとくか…なんて思ってたら、今度は母親、勿論彼女の。
仕事で疲れてるのに、夜来られると心臓に悪い。二時間もいられないのに、わざわざ来られても困る。

758 : ◆m4QfvmXGoo :04/23 23:56 ID:kCHFMZI2
『恵理…寝ながら、貴志ゴメン…って、よく泣いてて…』…アンタ一体何が言いたいのかと。
俺はそんな話を聞かされて罪悪感一杯ですよ。『何があったの?』って、娘さんに聞いて下さい、そんな事。
もう勘弁して。でも、帰れなんて言えないし。スイマセン…時間を下さい、とかなんとか。誤魔化してばかりです。
疲れます。父親は電話で『恵理の事、そんなに嫌いなのか…』 いや、ショックそうな声は聞きたくない、ホント。
鬱を移すなと。そもそもお父さん、アンタあの時、俺が玄関先で土下座してた時、無視して奥へ引っ込んだよな…
男なら無視を貫いてくれ。電話取った瞬間、アンタの声を聞いて心臓止まる程ビビッてしまった俺は相当の屁タレです。
スイマセン、もう、そっとしておいて下さい…。

760 : ◆m4QfvmXGoo :04/24 00:03 ID:LaT0yXaz
結局、俺も含めて、西村がどうとか、浮気がどうとか、真実は誰も知りません。
聞こうとも思わないけど。タイミングはとっくに逃してるし、まさか今まで引きずってるの?なんて、
あからさまに思われるのは嫌。実際少しは引き摺ってますが、でも、もう忘れた…と言えば忘れてる。
じゃあ、何で…って言われても、意地とかメンツとかではなくて、よく分かりません。
とにかく、馬鹿親達から追い込み喰らって、彼女からは日に三度、携帯電話頂いて、さすがにキレそうで。
携帯、auのインフォバーに替えたんですけど、ez-webですか、入ってません。メール出来ません。
おかげで電話ですよ。『おはよー』『今何してるの?』『ちょっと声聞きたくて…ゴメンね』…ああもう。
俺は怒っていいのか喜んでいいのか、って少し喜んでる俺に鬱。しかも、電話待ってる自分がいて。

770 : ◆m4QfvmXGoo :04/24 00:20 ID:LaT0yXaz
引っ張るつもりはなかった。ただ、思い出すとどうしてもダラダラ長くなってしまって。
スレッドの趣旨から離れてしまって申し訳ない。大分精神的に楽になって、
文体も変わってしまったらしいけど。本当にすみません。
俺は休みの日に神奈川に戻りまして、彼女とお互いの家族で話し合う場を設けました。
で、『ヨリを戻すつもりもないし、結婚するつもりもない』と、はっきり言いました。
でも、別に憎みあってる訳でもないし、なんて話になって、友達として、仲良くしたい…と。
今は友達と言うか、もう親戚みたいな感じです。何か、流されてる気もしますけど。
長々と続けてすみません。

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