本当の幸せ
2018/09/18
私は大学を出て一攫千金を狙い、従業員数名の小さなベンチャー企業を設立しました。
今年で26歳となり、
つい昨年、高校から付き合っていた彼女ともめでたくゴールイン致しました。
そして会社の方も軌道に乗りかかり、公私共に、順調な生活を送っているつもりでした。
しかし、今年の初め頃に会社で大きなミスが起こってしまい
わが社の中核をになう、大きな取引先を失くしてしまいました。
私だけの問題なら何とでもなるのでしょうが、当然私だけの問題ではありません。
従業員のなかには借金を背負っている者がいたり
私のように家庭を持っている者がいたり
とにかくいろんな事情を持った者がいます。
妻や彼らの生活を守るため何とか会社を潰すことだけは阻止しなければなりませんでした。
当初は多額の借金をし、何とかその場を食いつなぐことができていました。
しかし、そんなものは長くは続きません。
会社が倒産するのはもう時間の問題でした。
そんな時、私が住んでいるマンションの隣人の男が
私に声をかけてきました。
この隣人の男というのが僕の、苦手な部類の人間で
ある程度、名の知れた一族経営企業の御曹司で、名を押尾と言います。
ただの大企業の御曹司なら、別に嫌いにはならないのですが
わたしが気に入らないのはあいつの態度です。
押尾は私と年が変わらないくせに
自分の強い権力を片手にいつもでかい顔をしてくるのです。
別段自分が偉いわけでなく
言ってみれば完全に親の七光りで、
大企業の良いポジションにいているだけの人間です。
そのくせ、顔を合わせれば毎回、企業の話を持ち出し
「ベンチャー企業なんて寿命の短いお遊びだ」
「その点、俺の会社は??」
と、私をけなしては
社長気取りで自分の会社の自慢を始めます。
さらに自分が少し顔がいいからといって
「よくおまえみたいな者が、あんな美人な奥さんを手に入れることができたな」
「俺の方が顔も金回りもいいのに」
と私の容姿をバカにしてきたりもします。
仲がいいわけでもないのにです。
確かに私はお世辞でもかっこいい顔とは言えません。
そして
そんな私をバカにしてくる押尾は
確かに私と比べると顔もだいぶとイケメンで
身体もがっちりとしまっており
容姿では到底かないません。
そしてそんな私の嫁が
私と不釣り合いなぐらい美人なことも事実で、
芸能人で言うと
モデルのエビちゃんこと
蛯原友里さんに似ています。
(なのでここでは友里と呼ばさせてもらいます。)
だから正直
どうして嫁が私と付き合い
結婚までしてくれたのかはわかりません。
でも、今は私のことを認めてくれ
ついてきてくれる愛すべき妻です。
人にとやかく言われる筋合いはありません。
押尾はプライドのかたまりのような人間です。
きっと押尾は、大企業の次期社長を約束された自分と
かたや
ただの小規模企業の社長である私が
一緒のレベルのマンションに住んでいるのが気に食わなかったのでしょう。
さらに、そんな私が友里のような美人の嫁さんをもらったことなどが
気に食わなかったのでしょう。
常に自分が優位な状態でいないと許せないのでしょう。
だから私をいつもけなしてくるのだと思います。
そんなこともあり私は押尾が嫌いです。
そしていよいよ首が回らずどうしようもなくなっていた時に
どこで知ったかは知りませんが
先ほども申したように、押尾から声がかかりました。
また自分のことをバカにしてくるのだろうと思っていたら
あろうことか、押尾の会社の一部が私の会社の取引先になってくれるという
内容の話でした
今、押尾の企業が手を貸してくれれば
正直、うちは死ぬほど助かります。
確かに御曹司の押尾の力をもってすれば
無理な話ではありません。
しかし押尾がただで
私を助けてくれるなど考えられません。
私がうろたえて返事ができない状態でしばらくいると
押尾が
「3日待ってやる、それまでに考えろ」
「そのかわり一つ条件がある」
「条件はいい返事がもらえたときに明かすよ」
と私に不敵な笑みを漏らしながら去っていきました。
私は真っ先に友里に相談しました
友里もいい話だけれど
絶対なにか裏があると慎重になっていました。
実際に友里も押尾が苦手です。
友里は直接、押尾から何か
嫌なことを言われたり、されたりしたわけではないのですが
押尾の生活が問題なのです。
押尾は先ほども言ったように
悔しいですが顔が良く、そのうえ財力があるため
女にもてます。
ただもてるだけなら
私達側からすればなんともないのですが
押尾は無類の女好きです。
押尾は女をほとんど毎晩、家に連れ込み行為に及ぶのです。
毎晩私たちが寝静まる頃に
「あああ゛? あんっ あっあ゛」
「う゛っ??」
などと女の荒れ狂った声が聞こえてくるのです。
しかも毎日違う女の声で。
私たち夫婦は高校から付き合い始め、なおかつお互いが初めての相手でした。
そして、そのまま結婚したため
友里は私しか
私は友里しか知りません。
だから私は経験豊富とはいえず
また、淡泊なためにいつも10分もかからず
行為が終わってしまいます。
勿論、隣から聞こえてくるような激しい喘ぎ声を
友里から出させたこともありません。
友里を逝かせたこともありません。
友里も私しか知らないため
隣から聞こえてくるような獣のようなSEXは知りません。
そもそも友里は性に関しては奥手です。
だから私と妻のSEXは昔から
正常位で数分愛し合うだけですが、お互い愛があれば
十分だと思っており、何の不満もありませんでした。
子供も確実に会社が安定するまでは
作らないように決めていたので
今まで生で行為をしたこともありません。
バックやクンニなども何度か試みたことがありましたが
恥ずかしいのか嫌がられました。
そもそも友里はSEXのような淫らな行為があまり好きではないのだと思います。
だからいつも隣から聞こえてくる隠語や喘ぎ声に嫌悪していました。
特に押尾が女性を精処理の道具としかしてないことに友里は怒りを感じていました。
いつも押尾はSEXの終盤に
それぞれの女に向かって
「俺の子供を産みたいか、産みたいなら産ませてやる」
と必ず聞きます。
女は言わされているのか
自発的に言っているのかわかりませんが
どの女もいつも喘ぎながら
「あなたの子供が産みたい」
とよがり狂います
ほんとに中だしをしているのなら大問題です。
しかしその辺は悪い噂を聞かないので
本当に中にはだしてないのでしょう。
しかし悪趣味な男です。
そんなこともあり友里は押尾がとても苦手です。
私も友里も本当は押尾との商談は危険だとわっかています。
押尾の性格上、友里が危ない目に合う可能性が大きいのですから
しかし私たちは3日考えたのち
最悪友里が狙われたら商談を断ればいい
それにもしかしたらしっかりとした商談かもしれないと
淡い期待を胸に押尾のもとに
取引のお願いをしにいきました。
・・・・最悪でした。やはり押尾の狙いは友里でした
交渉の条件は友里を押尾に1週間貸し出すことでした。
私は必死に断りました。嫁を犠牲には絶対にしたくないと。
嫁を犠牲にするぐらいなら会社などいくらでも潰してやると
すると押尾は
「友里ちゃん?従業員たちはどうしようか? 路頭に迷っちゃうな」
「友里ちゃんが俺と一緒にに一週間過ごしてくれれば
従業員も、会社も助かるんだけどな?」
と友里ばかりに話をし始めました。
俺はばかばかしいと友里を引き連れ帰ろうとすると
友里はついに返事をしてしまいました。
「はい。。。そのかわり会社を絶対に助けて下さい」と
俺は必死に抵抗しました。
友里を必死に説得しました。しかし友里は私のためと意地を張ろうとし、中々話が進みませんでした。
そして最終的に
それをみかねた押尾があるルールを出しました。
「明日の朝、俺は会社を休む」
「もし本当に会社を助けたいのなら、夫が家を出たあと俺のところに来な」と。
私は会社が潰れるか潰れないかこの時期にどうしても社長として会社を休むことができませんでした。
押尾が
「もし、明日 最悪な展開になっても恨みっこはなしだ。」
「おまえも友里ちゃんの行為を無駄にしたくないだろう」
と言い、その場はお開きになりました。
もう友里の判断に任せるしかありませんでした。
まだ友里は交渉にのったわけではないと
翌日、私はできる限り友里に交渉に乗らないように説得し
しかたなく出社しました。
そして待っていたのは最悪の結果でした。
結局、私は
いてもたってもいられなくなり、仕事を早めに切り上げて
我が家に急ぎました。
友里が家にいることを信じて、ひたすら我を忘れて走りました
やっとのことで
なんとか夕方頃には家まで戻ってくることができましたが
いざ自分の家のドアの前に立つと
ここまで必死に走ってきたこと
最悪の結果が待っているかも知れないということなど
いろんな不安が混ざり合い、
胸の高鳴りが抑えたくても抑えきれない状態に陥りました。
しかし、ここで立ち往生していてもしかたがありません。
私はいつものようにドアの向こうに友里がいる光景を信じ、
一呼吸おいてから
決死の思いでドアノブを回しました。