妹「お兄ちゃん、私魅力無いのかな…」
2018/05/03
妹「別れた彼氏に魅力が無いと言われました」
兄「俺に伝えてどうすんだそんな事」
妹「まあ私も常々彼は魅力が無いと思っていましたが」
兄「よくそんなんでカップル成立してたなお前ら」
妹「恋人ごっこの練習です。本命は別に居るんですよ」
兄「最悪だこいつ」
妹「ちなみにその本命とは貴方の事です」
兄「告白を物のついでみたいに扱うんじゃねえ」
妹「嫌でしたか」
兄「気分が悪くなってきました」
妹「そんな貴方が大好きです」妹「で、どうなんです」
兄「保留にさせてくれ」
妹「そうじゃなくて。私は魅力無いですかね?」
兄「そっちか。まあ、無いな」
妹「なんと」
兄「まず色っぽさが無い」
妹「顔はそこそこ整っていると自負しているのですが」
兄「確かに顔は上の上だよお前。でもそれが逆にとっつきにくさを演出してる」
妹「ふむ、そのような考え方があるのですね」
兄「男って馬鹿よ。で、体型」
妹「……体型ですか」
兄「……まあ世の中にはロリコンと言う人種がいるから一概には言えないが」
妹「兄さんはどうです?」
兄「巨乳好きです」
妹「……」
兄「そのジト目も魅力を削る一因だな」
妹「がびぃん」
兄「外見に関しては……そうだな、40点と言った所か」
妹「50点満点ですよね」
兄「話聞いてた?」
妹「少しくらい希望を見たって」
兄「同情はしてやる」
兄「性格に関して話をする必要はあるだろうか」
妹「私を隅々まで分析してくださいよ、そのいやらしい目でじっくり眺めて」
兄「そう言うのいらないから」
妹「服脱ぎましょうか?」シュル
兄「いらねえっつってんだろ」
妹「つれないですねえ」
兄「……その突拍子も無い誘惑は減点対象だ」
妹「好きな人は好きなのでは?」
兄「どうだか」
兄「お前女の子らしい趣味が無いよね」
妹「失礼な」
兄「好きな漫画は?」
妹「画太郎先生とか」
兄「マニアックすぎる」
妹「元彼氏に打ち明けたら明らさまに引かれました」
兄「別れてよかったな」
妹「それでも兄さんは引かないんですよね、大好きです」
兄「軽々しく好きなんて言っちゃいけません」
兄「もう少し女の子らしい立ち振る舞いを身につけたらどうだ」
妹「処女らしい振る舞いですか」
兄「なんでそっちに行くかな」
妹「まあまあ。例えばなんです?」
兄「うーん。
笑顔を絶やさず人と接するとか。
お洒落に気を使うとか。
俺は男だからよく分からないけど、とにかく色々あるだろ」
妹「……好きな人に積極的にアプローチをかける、とか?」スッ
兄「首に腕を回すな」
妹「一度してみたかったんです、これ」
兄「耳元で喋るなぞわぞわする」
妹「抵抗しないんですか? 振り解いてもいいんですよ?」
兄「後が怖いからな」
妹「ふふ……ぁ、んっ……はぁ……やぁっ……」
兄「何喘いでんだ」
妹「私なりの“襲っていいよ?”アピールです」
兄「やべぇこいつ本気で訳分からん」
妹「そうは言っても」
兄「なんだね」
妹「こちらの方は、大きくなって」サワ
兄「いない」
妹「……ちょっぴりショックです」
兄「悪いな」クイ
妹「あ……」
兄「俺、童貞なんだ」
兄「この程度でやられる程甘くは無い」スタスタ
妹「……何処行くんですか?」
兄「風呂……ま、頑張ってお洒落でもしてみろよ」
兄「お前が女の子らしくなってきたら、少しは反応するかもな」
バタン
――浴室
兄「……短小で良かった」
兄「あの場で脱がされてたら間違いなく終わってた」
兄「告白もされちゃったな、ついでだったけど」
兄「……どーすっか」
兄「答えを出す出さない以前に……誘惑に耐える事から始めなきゃならんのか」
兄「……」
兄「突然乗り込んできたりして……」キョロキョロ
兄「……無い、か」
兄「……」
兄「……」
兄「んー」
兄「何考えてんだかな、俺も」
兄「寝よう」
――
妹「……よいしょ」シュルシュル
妹「……これ、まだ着れるかな……」シュルシュル
妹「兄さんはどういうのが好きか、聞いておくべきでしたね……」
妹「むう……」グイグイ
兄「朝です起きます」
妹「おはようございます」
兄「……何故妹の声がするのか」
妹「朝から私の声が聞けるなんて幸せじゃありません?」
兄「ああそうだね」
妹「目がしょぼしょぼしてますね」
兄「寝起きだからね、今お前が何処にいるかも分からん」
妹「……ご飯できてますから、下に来てくださいね」
兄「今の間はなんだよ」
兄「……」スタスタ
兄「妹? 居ないのか」
兄「下に来てくださいってのはなんだったんだ……」
兄「まあ、食べるか。コーンフレークだけど」
妹「……兄さん?」
兄「あ? なんだお前、上に――」クルッ
妹「……どうですか?」
兄「いや、どうって。どうしたんだ、その格好」
妹「可愛いですか?」
兄「……うん、まあ」
妹「……そうですか」スタスタ
兄「あ。なんなんだあいつ……?」
妹「……うんまあ、ですって。相変わらずはっきりしない人です」フンス
妹「でも、明らかに目が泳いでいましたね」
妹「最初の印象付けとしては、上々までは行かなくとも、いい結果でしょう」
妹「ここから徐々に切り崩していくとしましょう」ワクワク
――
兄「……」モグモグ
兄「……あー。可愛かったな、あいつ……」
兄「昨日の今日であれかよ……これはまずいかもしれん」
兄「あいつが本気を出したら、どうなるか分かった物じゃないぞ」
兄「食った。部屋に戻るか」
兄「そしていつ妹が来てもいいように心の準備を……」
妹「おにーちゃーん!」
兄「とんずらー!」ダッ!
妹「ちょっと待ってください」
兄「うるせぇダァホ。今のはどういうつもりだダァホ」
妹「いいじゃないですか、お兄ちゃん大好きな妹を演じてみました」
兄「頼むから無表情でそういう事を口にしないでくれ」
妹「まぁ、いけないお兄様」モジモジ
兄「……もういい。
俺は行くぞ
妹「……ふむ。口調変更は効果薄、ですね」
兄「なんの話だ」
妹「さぁ?」ニコニコ
妹「ところで、兄さん」
兄「なんだ」
妹「どうして先程から私の方を見て話さないんですか?」
兄「……今のお前は俺にとって直視するにたえないからな」
妹「かわいすぎて襲ってしまいそうと言う事ですか」
兄「見解の相違だ」
妹「残念です……」ピタリ
兄「抱きつくなダァホ」
妹「気に入ったんですか、それ」
兄「うん」
妹「妹の体はどうです? 気持ちいいでしょう?」スリ
兄「お前が言うと意味もなく罪悪感に包まれるからやめろ」
妹「そんなもの取っ払ってしまえばいいのですよ……私の体で」
兄「ちょっと待て、ちょっと待って妹」
妹「なんですか」
兄「もしかしてさ、お前この場で俺に襲われても構わないとか考えてるわけ?」
妹「痛いのは嫌ですけど……貴方になら、何をされても」
兄「実の妹にそんなこと言われて興奮しない俺はまだ正常なんだよな」
妹「私は自分で言ってて興奮しますけど」
兄「お前は元から異常だ」
妹「……まだおっきくしてくれないんですか?」サスサス
兄「初めてだと中々勃たないらしいぞ」
妹「こんな可愛い妹がアタックしているのに……」
兄「多少は可愛くなったが、まだまだのようだな」
妹「あら。素直に可愛いって言ってくれましたね」
兄「嘘は嫌いだ」
妹「ふうん……」スッ
兄「何で目閉じて顔をよせてくるの?」
妹「空気読んでくださいよ」
兄「こんな空気嫌だ」
妹「どうやらまだ妹ちゃん好き好きポイントが足りないようです」
兄「寒気がしてきた」
妹「ちなみに私のお兄ちゃん好き好きポイントは上限を振り切っています」
兄「その割には襲ってこないのな」
妹「いいんですか?」
兄「駄目」
妹「でしょう。私とて強引な性交は好きではありませんから……されるのは好き、ですけど」
兄「あっそう」
妹「勿論兄さん限定ですよ?」
兄「あっそう」
妹「ところで兄さん、本日のご予定は」
兄「自室警備」
妹「ひまんじですね」
兄「肥満児?」
妹「暇人と言うことです」
兄「そういう造語が今流行ってるのか」
妹「気のせいです……折角ですから、お出かけしませんか」
兄「お出かけですか」
妹「私としては、デートの方がいいのですが」
兄「お出かけなら許す」
妹「ならそうしましょう」
妹「さあ、行きましょうか」
兄「何処行くかとか、考えてるのか?」
妹「お任せください、色々調べておきましたから。
まずは駅前のデパートに向かいますよ」
兄「……へえ」
妹「用意周到だな、とか思っちゃいました?」
兄「思っちゃいました」
妹「頭なでてもいいんですよ」
兄「はあそうですか」テクテク
妹「……面白くないですねぇ」テクテク
――駅前
妹「人がいっぱいいますねー」
兄「胸が痛くなる光景だ」
妹「よしよし、私の可哀相な兄さん」ナデナデ
兄「公衆の真ん中でさあ、よくそういう事言えるよね。頭やめろ」
妹「私が貴方の慰み者になります」
兄「話を聞けよ」
妹「……ここまでやって、まだ私に魅力が無いと言いますか?」
兄「今更その話を持ち出されてもな……」
妹「まあいいです。このデートで貴方の気持ちをゲットしてみせますから」
兄「さりげなくデートにすんなダァホ」
――デパート本屋
妹「涼しいですね」
兄「何故本屋なんだ?」
妹「貴方が来たそうな眼をしていましたから」
兄「エスパーかお前は」
妹「うふふ。知っていますよ兄さん。貴方がかねてから愛読している漫画があることを」
兄「ちょ」
妹「そしてその漫画の最新巻が先日発売された……しかし」
妹「その漫画の表紙は極めて如何わしい。そりゃそうですね、エロ漫画ですもの」
兄「」
妹「私は知っています。
毎回その漫画を買いに行…