幼馴染「結構痛いんだね、処女膜破るのって」完結編

2018/01/30

前回の話 音沙汰もなく、次の朝日は当たり前のように昇った。
新入生を祝う桜の花びらは既に散っていた。
教室へ続く階段を登っていると、その先に化学の先生がいた。
教師「男、昨日の件なんだが」
男「零してすみませんでした」
教師「だな。危険な薬品だったら一生ものの傷だって負ってたかもしれない。今度から気を付けろよ」
男「……はい」
薬品の弁償はなかった。
公立の高校なので、そういうのは税金で賄うらしい。
それでだな、と先生はアゴを撫でて申し訳なさそうに言う。
教師「悪いんだが放課後に時間作っといてくれるか?」
男「何でです?」
教師「近々創立者祭があるだろ? その手伝いに人員が欲しいんだ」
男「わかりました」
これは遠まわしに『備品の弁償はいいから労働で償え』と言ってるらしい。
俺も時間はあるので頷いておいた。
教師「あとな、ああいう隠し方はもうすんな。高校生にもなれば通る道だから」
男「!!」
教師「職員室から見えてたぞ。お前のあとに女子が入ったの」
男「……すみません」
察しの良い人だ。
こういうときは黙っててくれた方が助かる。
教師「その女子も連れてこいよ。連帯責任だ」
ダメ元で後輩さんにメールを送った。
返信はすぐには来なかった。
だが1限目の休み時間になると返事が来た。
『レイパーのクセに小間使いまで求めるんですか』
『連帯責任らしいんだ。後輩さんを連れてかないと多分ダメだと思う』
『わかりました。手伝ってあげます』
最初に送ったメールには、少々ズルい文言を並べさせて貰った。
先生が誰ともわかっていないことを濁らせる言葉で、
さも後輩さんも手伝いに駆り出されるのを前提のように。
会いたくないハズの相手になんて酷い手を……。
でも逃げて解決する問題じゃあないから、接点を設けるのは悪くないと思った。
光は渋滞が起きるが、時間は渋滞を起こさない。
化学の先生の名言だ。
まさにその通りで、腹を括った頃には放課後を迎えていた。
教師「じゃあ資料室の整理を頼む」
男「それだけですか?」
後輩「……」
教師「それだけって……整頓してたらかなり時間かかるぞ」
男「これ全部ですか?」
教師「やれ。ヤる元気あるなら先生のために働け」
山のように積み重なった荷物を見てため息が出た。
これは間違いなく今日中に片付かない。
教師「俺は用事あるから確認は明日する。ほれ、カギ」
赤いタグの付いたカギを投げて寄越し、先生は資料室を後にする。
残ったのは俺と後輩さんと静寂だけだった。
男「……」
後輩「ボクもやんなきゃダメですか?」
男「そうしてくれると助かるけど、一緒にいたくないよな」
遠慮なく椅子に座り、不動ならぬ不働の体制になる後輩さん。
空気が鼓膜を突き破りそうだ。
後輩「気が向いたらしますけど、今は警戒しておこうと思います」
男「わかった。俺も文句はない」
犯した相手に労働を強いるほど俺も鬼じゃないつもりだ。
俺は段ボールに入っていた何だかわからない過去の遺物を引っ張り出した。
ホコリが舞った。
資料室掃除を受け持ったクラスはサボっているのか。
男「げほっげほっ……」
後輩「窓開けます?」
男「頼む」後輩「……休まないんですか?」
男「まだ大して片付いてないからね」
片付け始めて1時間が過ぎた。
任された雑務の終わりはまだ見えない。
額の汗を拭った。
ガサゴソという音の合間に、ソプラノボイスのため息が差し込まれる。
後輩「少し席を外します」
男「わかった」
お手洗いだろう。
花を摘むと言わないのは、隠語が世に広まってバレバレだからだろうか。
数分だけ席を外した彼女が、不機嫌そうに帰ってきた。
手には自販機で買ったであろう牛乳パックとコーラの缶が握られていた。
差し入れを買ってきてくれたのか。
後輩「メール……」
男「え?」
後輩「何でんなか。男先輩はコーラでいいですか?」
男「くれるの?」
後輩「120円です」
奢りではなかった。
ポケットから財布を出し、小銭を3個投げて寄越す。
後輩「今の渡し方はないです……」
男「近付いたらいけないと思って」流石に俺も休憩を取ることにした。
後輩さんのいる位置と対角線上になる隅っこに椅子を持っていく。
後輩「しまった……」
男「何が?」
後輩「コーラなんですから振っておくべきでした」
男「陰湿な仕返しだね。されても文句言えないけど」
よく冷えたコーラでのどを潤していると、大きなため息が聞こえた。
さっきから妙に機嫌が悪い。
後輩「昨日、お風呂に入るのしんどかったです。傷口に沁みました」
男「……ごめん」
後輩「映画で幸せな痛みって言ってたから憧れてました。
痛いのに幸せってどんなのだろうって」後輩「怖かったです……」
カタカタと、牛乳パックを持つ彼女の手が震えていた。
何故逃げないのかわからない。
こういうときは立ち向かうんじゃなく逃げる方がいいに決まってるのに。
後輩「中学の友達に彼氏とエッチした子がいました。嬉しかったって言ってました」
男「……」
後輩「妊娠しない程度に彼氏と愛を育んでて、毎日幸せそうでした」
男「……」
後輩「何でボクは違ったとやろか……?
何であんなに怖い思いせんといかんかったと……?」
男「……」
後輩「忘れたか……。こぎゃん怖かことは、さっさと忘れたか……」言葉が素に戻っていた。
彼女の流した涙が手や床に落ちていく。
後輩「どぎゃんしたら怖くなくなると……? ねぇ、男先輩」
男「……」
震える手で服を脱ぎだす彼女。
後輩「責任取るんなら……ボクがエッチするん怖くなくなるようにして」
男「……それは違うんじゃないか?」
後輩「でも……っ」
嗚咽を噛み殺し、彼女は言う。
後輩「怖いままにしたら……誰とも赤ちゃん作れんくて、ママになれんもん……」彼女はきっと俺を見てはいない。
いつか結婚する相手と普通の夫婦のように触れ合えるようになりたいだけなんだ。
当たり前を取り戻そうとしているだけ。
男「後悔しないか?」
後輩「……させんでっ!」
そしてその原因は誰だ?
彼女を怖がらせたのは誰だ?
他の誰でもない俺の醜い衝動だったハズだ。
だったら責任を取らないでどうする。
男「……怖い思いさせて悪かったよ」
後輩「うん……うん……っ」
肩を抱くと、俺の胸で小刻みに震えた。
胸に涙のシミが広がっていった。
やがて彼女は言う。
後輩「……今度こそ優しくして」顔を上に向かせ、彼女と見つめ合う。
くすりと笑って目を閉じた。
優しく唇を重ねた。
唇を離すと彼女がはにかんだ。
後輩「ん……くしゅぐったか」
男「怖くなかった?」
後輩「だ、だいじょぶっ」
愛くるしい顔でガッツポーズを取る後輩さん。
今度は欲情しなかった。
ただただ彼女を笑顔にしてやりたいと、そうとしか思えなかった。
背中に手を回して抱き締め合った。
開始数秒で彼女が爆発する。
後輩「……これ、いけんっ。ボクにはまだ……ぁぅ」
男「後輩さんってこんなに可愛かったのか」
後輩「せ、せからしか!(←九州弁でうるさいって意味)」
怒っていた彼女は何だか楽しそうだった。
鼻先から『ふふっ』と笑い声を洩らし、俺の胸を優しく叩く。
後輩「ん……もうよかよ」
男「無茶するなよ?」
後輩「……ふふっ、せからしかばい」
自発的に制服を脱ぐ彼女。
その様は静まっていた官能を呼び起こした。
ズボンの中で剛直が堅くなっていく。
後輩さんもそれを面白がっていた。
布の上から俺の愚息が大きくなるのを確かめ、感嘆の声を洩らす。
後輩「うわ、うわ……いやらしかね」
男「う、くっ……触られたら変な気分になるからやめてくれ」
後輩「いやらしか気分以外に何があっとね?」
男「それはそうだけど……」
嬉しそうに俺の股間をさする後輩さん。
これが昨日キミをあんなにいたぶった物の正体なんだが。
後…

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