妻と部下

2021/12/17

リアルな話をさせていただきますと、よく寝取られる現場に直面しながら寝取った相手を殴れないのはヘタレだとか復習しろと言う話を耳にしますが、そういう現場を目の当たりにしたら普通はできませんよ。
固まります。
私の経験で申し上げれば、まず例えば彼女があやまちをおかしそうになっていたとして、相手に体を触らせるにとどまるのか、それとも最後までやってしまうのかそれを確認しないと行動には移せないです。

私の場合は45歳の妻が自宅で部下(35歳)とあやまちをおかす現場を目の当たりにしたわけですが、事のなりゆきを確認していて、あの時いったいどの次点でストップをかけるべきだったのか思い返しても、いまだにその答えを見いだせずにいます。
仮に挿入に至る以前で「お前らふざけるな!」と現場に立ち入ったとして、その後私は妻に対してずっとあの時ストップをかけなかったらお妻は挿入を許していたはずと悶々としつづけたでしょうし、結局のところ最後までするのかしないのかというのは、その後の私と妻の関係の間で大きな意味をもってくるわけですから、止めずに見届けた事に関しては僕はよかったんだと今でも思っています。

ただ寝取られに異様に興奮するという方々がここにも大勢いらっしゃるようですが、体験してみてはじめて分かりましたが、私自身もあれほど性的に興奮を覚えた事はありませんでした。
体が震えてガクガクするほどにショックを受けているのに私のペニスはいままでにないぐらいに脈打っていて今にも射精してしまいそうなほどでした。
その時は何でこんな時に勃起するのか自分の体に起こっている事にかかわらず意味が分からずよく人間は極度の苦痛を味わうと脳内モルヒネが分泌されて緩和されるとかそういう話を聞いたことがあったので、もしかしたらそういう事なのかなと思っていました。

でもそうではない事はすぐわかりましたけど。
事故がおきた後、出社して仕事をしている最中もずっと勃起したままなのです。
私は精力的に強い方ではなく風俗はもちろん学生時代からマスターベーションすら殆どした事がありません。
なのに何と私は会社のトイレで三度も自慰行為を余儀なくされる始末で、あれには本当に参りました。
まるで麻薬の禁断症状みたいに下腹から太腿のあたりがガクガク震えてくるんですよ。
元々変態の素養があったのか、ああいう事を目の当たりにして脳の一部が壊れてしまったのか、それとも皆さんもそうなのか、どうなんですかね。

覚えているのは気づいたら私は寝かされていて、でも何で自分が寝ているのか出勤してからの記憶がおぼつかない状態で、ただ天井がぐるぐる回っていたので自分が泥酔状態にあるという事だけはよく分かりました。
隣をみると小3になる息子が寝ているので、ああ、自宅なんだなとそこではじめて分かるぐらい。
とにかく記憶を手繰ろうとすると酷い頭痛するので諦めて眠ろうとしましたら隣の居間から妻の話声が聞こえてきたので、おや、誰かいるのかな?と思って吐きそうになりながらも身を起こして息子を起こさぬよう気をつかいながら若干開いている襖の隙間から覗いてみたのです。

するとテーブルの向こう側に妻が座っていまして僕に背を向けるかたちで男が座っています。
私の部下で同僚である若いSでした。
そこではじめて断片的に記憶が戻ってきまして、新宿でSと飲んだという事だけは何となく思い出されてきました。
しかしそれでどうしてSが私の家で妻と話ているのかは皆目見当もつきません。
ただテーブルの上にウィスキーや日本酒の瓶があるところをみるとどうやら妻を交えて飲み直そうという事になったのかなと。
それで私が潰れてしまったのかなという想像はつきました。

妻はスレンダーな美女で、うちに来る友人は美魔女コンテストに出せば、かなりいいとこに行くのでは言っています。
確かにとても若く見える一方、大人の色気もあります。
そのため何度となく色んな若い男性から街でナンパされますが、清楚で堅物の妻はいつも無視しています。
妻に限って、浮気とか有り得ないといつも確信していました。
そんな妻も酔っているのか敬語も使わず親しげにSと話していて、少しばかり嫉妬しそうになりながらもとにかくしたたかに酔っていましたのでとりあえずそのまま横になって目を瞑りました。
人間、意識が朦朧とするほど酔っていても聴覚だけは逆に研ぎ澄まされていくようで隣室から聞こえてくる話し声だけはむしろハッキリ聞き取れたのを今でも覚えています。

最初に聞き取れた言葉は「見合い」という妻の言葉でした。
「やっぱりなT山(私)が奥さんみたいな美人くどける訳ないと思った」というSの言葉でああどうやら僕と妻の馴れ初めの話をしているのだなと思いました。
「いっちゃお」という妻の声にうそうそうそというSの慌てた声。
私とSは同期の入社ですが、部下でもあります。
妻が言っちゃおと言ったのは私がSの人事権を掌握しているという事を知っていたからだと思われますが、Sが慌てたのは私が彼の土日のアルバイト、つまりはスポーツジムのインストラクターをして小銭を稼いでいる事に目を瞑っているからに他なりません。

「でも何で急に見合いしようと思ったの?奥さんモテそうなのに」というSの声に思わず私は身を起こしてしまいました。
見合いをした時から彼女が何故見合いをする気になったのか本当のところは教えてもらっておらずまた私もそういう事を聞くのは野暮だと聞くのをはばかられていたのです。
女は賞味期限があるからというような事を妻が言ったと思うのですがその辺のやりとりは正直あまりハッキリと覚えていません。
Sが「男だってそれは同じだ」というような事を言っていたと思うのですが、酔いもあったと思うのですが記憶を順序立ててあまりよく思い出せないのです。

ただはっきり覚えているのは「前の彼氏遊び人だったんでしょ」というSの言葉です。
はっとした妻の表情が襖の隙間から確認できました。
「あ、図星だ」というSの勝ち誇ったような声。
図星なんだ、私も妻の表情を見てそう思いました。
「ち、違うわよ」という妻の声を遮るように「あもしかしてT山知らないの?」というSの声。
妻がふう、と深いため息をついて黙ってしまうと、ま、これでさっきの話でチャラねというその話はお流れになると思われました。

妻はウィスキーのグラスを蛍光灯に透かすように眺めながら「遊び人はねぇ一緒にいると楽しいのよねぇただ楽しいだけじゃご飯食べられないのよ」誰に促されたわけでもなく自ら話しだす妻の眼差しはトロンとしていて相当酔っている事が確認できました。
「何やってる人だったの」というSの声。
そいういう事をぶしつけに聞いても許されてしまうところが同期で私以外で唯一生き残った所以なのでしょう。
私は部下ながら彼のそういった所に少なからず嫉妬の念を持っていました。

「ぷーたろー、まぁ遊び人というか夢追い人って感じかなぁ」妻が自分の過去についてあれほどべらべらしゃべったのはやはり酔いがあったのでしょう。
そうでなければ夫にすら話した事のない自らの過去をカミングアウトするわけがありません。
その時はじめて妻の酔いにつけ込み過去を聞き出そうとするSに対して苛立ちを覚えました。
告白すれば、それとは逆の作用として異様に自分の心音が強く高鳴りだしたのを思い出します。
「夢追って許される歳ってあるよね」というS言葉に「そう!そう!そう!それなのよ!」我が意を得たりというような妻の声。

「男は25過ぎて夢追ってたら一気にニート扱いだからな、女は家事手伝いって便利な言葉があるけど」というSの言葉は私には意外でした。
彼がそのような感慨自体を持つことが意外でしたので。
「で、夢って何追ってたの」
「いろいろよ、DJ、ダンサー、ミュージシャン、アーティストになるとか言って絵描いてた事もあったな、ヘッタクソなの」懐かしげにそう言う彼女はとても幸せそうで、それがやけに難らしく思えたのを覚えています。
私と一緒になったのは飯喰う為なのか、そう思えてしまった私は心が狭い男なのでしょうか。

「奥さんも何か目指してたの?」
「ううん、彼の夢に乗っかるだけで楽しかったから、ああでもダンスとかはやったなぁ」
「うそ、ダンスやってたの何やってたの?うちのジムでインストラクターやんない?」
「そんな本格的にじゃないわよぉ」
「なにダンス?」矢継ぎ早に聞き出すSに対する私の表現をどう言葉にすればいいのでしょうか、ぶん殴ってやりたいほど憎らしいと思う気持ちと、猛烈に聞き出してほしいような妻を汚してほしいようなそんな気持ちが共存していました。
ネットじゃなかったらこんな気持ち親友にだって絶対に言えませんが(苦笑)。

私は気分が高揚しすぎて頭痛が最高潮に達すると同時に猛烈な吐き気に襲われました。
トイレに駆け込もうとも思ったのですが、覗いていたという負い目もあって気後れてしまい口をおさえて部屋の隅のゴミ箱へ這っていきました。
私はそこで必死に音をおし殺すように吐きました。
咳き込みそうになるのを必死に抑えながら吐きました。
しかし胃液しか出ませんでした。
もしかしたら寝かしつけられる前に吐いていたのかもしれません。

胃液を出し尽くしても内容物を吐き出そうと何度も胃袋が収縮します。
おちつくまでしばらく時間がかかりました。
あそこまで悪酔いしたのは学生時代以来かもしれません。
呼吸を整えていると突然Sの大きな声が聞こえてきました。
と同時に妻のシー!という声が。
私は懲りずに再び襖の隙間に這いずっていきました。
何たるバカなことをと自分でも思うのですがそうせずにはいられません。

Sの表情は背中しか確認できませんでしたが妻は何故だかふて腐れているような照れた表情をしていて何かぼそぼそと意味不明な事を言っていて(私が酔ってて聞き取れなかったのもある)それに対してSは時折過剰に体を揺らしながら驚きの声をあげていたのを思い出します。
聞き取れたのはジャマイカがどうとかこうとか言っていたと思うのですが、私には話の流れがさっぱり掴む事ができません。

とにかく妻は自分の過去をカミングアウトした諦めもあってか、余計にくだけた口調になり私には話せないような前彼との逸話をべらべらとしゃべりだしました。
夢追い人との付き合いはいかに楽しかったかを話し出し、Sは私が覗いているとも知らずにでも生活の為に乗り換えたんだ?とか言って、思わず苦笑いしたのを思い出します。
あまつさえ妻はだってローン生活なしで4LDKだよ凄くない?とか言い出す始末で明日になったら酔いつぶれてもちゃんと聞こえてましたよと言ってとっちめてやろうと思いました。
しかし結末はそんなそんな甘いもんじゃありませんでした。

しばらくしてようやく妻が「さ、そろそろ寝ないと」と言ってお開きになり覗き魔である私もようやく役目を終えることができると思われました。
Sは妻に促されシャワーを浴びに風呂場に行ったようです。
妻はしばらく椅子に座りグラスに残ったウィスキーをチビチビやってはニタニタ笑ったりして酒にだらしない妻の一面をかいま見れます。
ようやく重い腰をあげるとキッチンに向かい妻の姿が覗く私の視界から消えました。
ジャーという水の流れる音がしてどうやら洗い物をはじめたらしいという事が分かりました。

しばらくすると濡れた髪をバスタオルで拭きながらSが戻ってきました。
洗い物をしてる妻に向かって「奥さんすいませーん」と言いつつテーブルに残ったつまみの乗った皿等をキッチンに手際よくかたづけはじめました。
Sにもその程度の礼儀はわきまえているのだなと思いつつすっかり無風状態になった居間を尚私は覗きみることを止められません。
しかし無風になると急に睡魔が襲ってきて私は身を起こすのを止め寝そべりながら視線だけを襖に向けて覗き続けていたのです。
自分にこのような性癖があるとは思いもよりませんでしたが、バカだと思いつつもそうせずにはいられませんでした。

「奥さーん、このウィスキーどうします?」とSがキッチンに向かって言うと「そんなちょっとの残しておいたってしょうがないから飲んじゃってよ」という声が聞こえてきます。
「えー?こんなん一気に全部飲めないよ」というSの声。
「飲めるでしょそんぐらい、がんばんなさいよ」という妻の声。
やはりどこか酔っているような口調です。
「無理、んじゃ奥さんと半分ね」と言うとボトルに入ったウィスキーを半分に分けその一つのグラスをキッチン運んでいったようでした。
もうそれ以上飲ますな、さっさと寝ろと片方の脳で思いつつも、微弱ではあってもやや風の吹き始めた雰囲気に反射的に身を起こしてしまう自分自身に困惑しつつもやはりそうせずにはいられなかったのです。
もちろんこの時点であのような過ちが起こるとは思いもよりませんでしたしS自体も妻を何とかしてやろうというような事は思ってなかったのに違いありません。

ほんの一瞬のボタンの掛け違いで自体が急変するのだという事を私はこの時思い知らされたのですが。
もしかするとこの時、私が覗きを止められなかったのはあのような自体を予見していたのかもとも思います。
あり得ないのだけど、そこはかとなく流れる不穏な空気とでもいうのでしょうか。
それは言葉では言い表せないものではありますがとにかく思いかえすとそのような空気が流れていたように思うのです。

Sは妻にグラスを手渡すと本の椅子に戻ってきて自分のグラスに手をつけてるようです。
とにかく私の側からはSの背中しか確認することができないので見えてたわけではないのですが。
「うわ、一気はきついな...」というSの声がして、ああ寝る前に一気に飲み干すつもりなんだなと思った記憶があります。
しばらくするとキッチンの水の流れる音が止み、妻が戻ってきてややフラついた足取りでSの前に立ちました。
妻の意図が分からず漠然と見入る私と同じ心境だったのか「どうしたの?奥さん」とSの素っ頓狂な声がします。
「あ、ごめん間違えた、やばい私本当に酔ってるわ」
「え?」と再びSの素っ頓狂な声。

「せき間違えましたぁアハハハ~」という妻のおどけた声。
私は本当に吹き出しそうになって思わず口を押さえました。
すぐ後にあんな笑ってられない事件が起こるとも知らずに呑気に吹き出しそうになってしまいました。
今思えば私の存在の方がよっぽど笑えます。
「あれっ奥さんさっきの全部飲んじゃったの?そりゃ効くわ」とSの呆れ声。
気のせいかSの声もさっきの一気のせいかやや高揚しているように聞こえました。
「すいませんでしたぁ」とガクンと大げさに頭を下げる妻が見えます。
「いっすよ、俺の膝の上でよければどうぞ」と言って膝を差し出し叩いて見せるS。
おいおいおい....と思いつつももちろんそれがSのジョークである事ぐらい私も分かっているので苦笑いをしながら事の次第を見つめ続けていたのです。

「じゃ、お言葉に甘えて...」と言って腰掛けるフリをして見せる妻の姿が見えました。
しかし足下がおぼつかず、おっととっと...という感じで後ろに下がるとトスンとSの膝の上に本当に腰を降ろしてしまったのです。
勢い余って椅子が後ろに傾き、Sは妻を抱きしめるような格好で体勢を立て直しました。
ドキンと心臓の音がして口から飛び出そうになったのを今でも鮮明に覚えています。
「おっとぉ奥さん大サービス」と言ったSの声は笑いながらもうわずっていて、欲情と理性がせめぎ合っているのが見てとれました。

「ご、ごめぇん、あっとと...いけない本当に酔ってるわ」と言う妻は何度か立ち上がろうとするものの、やや腰を浮かせてはSの膝に座り込むという繰り返しでそのユラユラと動かす腰つきが刺激したのか「お、奥さん」とくぐもった声を漏らしたのを覚えています。
そして思わず妻の腰を引き寄せるSの腕を見た時、ガタガタと震えが止まらなくなりました。
「ちょ、やぁだ、もうっ」と言って妻はSの下半身を振り返って見る視線でどうやらSが発情し勃起しているらしいという事が想像できました。

あの時妻が「やめて!」とか私の名を呼ぶような事がありさえすれば私は間違いなく飛び出していき、彼を殴っていた事でしょう。
ここでヘタレと誹られる事も無かったと思います。
しかし、私はどうしても彼女自身が止めてくれ!と言ってくれるまでは、それを確認するまでは動く事ができなかったのです。
最後まで見届けなければたとえあやまちを未然に防いだとしても私は永遠に夫が寝ている隣室であやまちを犯したかもしれない女として添い遂げなければなりませんから。
ただそういった理屈とは全く違った意味で、この時私が既に勃起していた事も付け加えておかねばフェアじゃないと思いますのであえて告白しておきます。
あろう事かこの時私は思わず射精してしまいそうになり堪えるのに必死でした。

「だ、だって奥さんがそんなにするから・・・俺のせいじゃないよ」と言いつつも妻が立とうする度にSの腕がさりげなく酔いでおぼつかない妻の腰を引き寄せます。
Sの表情は背後からなので確認することができませんでしたが、声は笑っているように聞こえました「ちょっとやめて、聞こえちゃう」と言って後ろを指さす妻。
Sは確認するように後ろを振り向きました。
私は即座に身を隠します。
聞こえちゃうからどうなんだろうか、私は妻の言葉に少なからず憤りを感じました。
じゃ聞こえなかったらどうなんだろうと思う苛立ちの中で射精寸前まで上り詰める私のペニス。
妻が寝取られる寸前にありながら、何故こんなに私のペニスは上り詰めるのか、男として極めて性的な情報がとぼしい私には自分の身に起きてる現象が理解できずただただ戸惑うしかありません。

「危ないから支えてあげてるだけだって、大丈夫?も少し休んでけば?」とそらぞらしいSの声。
やはり語尾に笑い声がまじり意図的に妻を弄んでいる事は明白です。
確かにSの手は立ち上がる時に妻の腰を支えてあげてるようにも見えますが、腕の動きからすれば立ち上がる瞬間軽く引き戻してるようにも見えて、酔いで足下がおぼつかない妻は軽い力でも簡単にSの膝の上に尻餅を着いてしまうようなのです。
「だっ・・・かたく・・・」と妻は言葉を濁しながら再びSの下半身に目をやりました。
Sは勃起してるんだ、間違いない。
それで私は確信を持てました。

妻の体はSの広い背中に覆い隠されていて殆ど確認できませんでした。
ただ妻の体が上下する度にSの肩あたりから髪を後ろに束ねた妻の頭がピョコピョコと見え隠れして見えました。
「だ、だって奥さんが動くから・・・そんなにされたら・・・だ、誰だってこうなるよ」とSは苦しい言い訳をしながらも、彼のハァハァという荒い息使いに発情を隠すことができません。
「わ、私じゃないわ、Sさんが動かしててるのよ、ほら、今だって動いてるじゃないの」と言ってモジモジ腰を動かし腰を掴むSの手を振り解いて立ち上がろうとする妻。

「だ、だって...奥さんが腰ゆするから、感じてきちゃって・・・」
「シー!聞こえる」という妻の声。
ハァハァハァハァというSの荒い息遣いだけが寝室にも聞こえてきます。
じわじわと妻に体を密着させていくS。
スポーツジムで鍛えた屈強な二の腕が妻のくびれた腰に絡み付いていくのが見えました。
「もぉおしまい、ね?お遊びはおしまいにしましょ」そう言ってSの腕をつかむ妻の手はあまりにか細く自らの力で振り解くことが不可能なのは一目瞭然です。

「奥さ・・・○○そぅ・・・」というSの声が聞こえてきたのですが、Sが妻の背中に顔を密着させているからなのか声がくぐもっていてよく聞き取れませんでした。
だたその言葉を聞いたとたん妻が「ばか!」と言ってSの腕を強くピシャと叩いたところをみるとおそらく(出ちゃいそう)と言ったのだと思われます。
「もぉ少しだからっ・・・ね?・・・もぉ少しだから・・・・」という切羽詰ったようなSの声が聞こえてきました。

この言葉で何となく出そうだと言ったのだと確信を持ちました。
もう恥も外聞もなく自我を忘れてヘコヘコと妻の尻に向かって求愛行為を繰り返すSの憎たらしい腰つきを思い出すと、私はこれを書きながらも頭がクラクラして手が止まってしまいます。
「な、何がもう少しなの・・・や、やめよ?もぉ・・・ね?奥さんに怒られちゃうわよ・・・ね?」と諭すような妻の声。
この言葉の少し前あたりからハァハァというSの息遣いの中に妻の呼吸音が混じっていたように思います。
ときおり、小さくアッとかアンとかいう声が混じりだしている気がして・・・ただ私も異常に興奮している事を自覚していましたから、もしかして幻聴かもしれないと思ってそれを聞き逃すまいと必死に耳をそばだてていたのを今でもハッキリ思い出します。

というか私は泥酔していたのにも関わらずここら辺りからの情景を椅子の色形からテーブルで揺れていたビール銘柄に至るまで完全な状態で思い出す今でも事ができます。
「す、すぐ終わるから・・・ね?奥さん・・・すぐ終わるから・・・頼む・・・」情けない声でそう言うと屈強な腰を上下にゆさゆさと揺すりはじめるS。
妻はテーブルに上半身を押し付けられ、ガタガタと空き瓶やグラスが大袈裟な音を立てました。
「あん!・・・やっダメ・・・Sさん、聞こえちゃう・・・子供が起きちゃう・・・」という妻の苦しげな声。
しかしこの時はっきりと妻がアン!と発情を表す甘い女の喘えぎ声を聞いたのです。

Sの膝下辺りから辛うじて妻のふくらはぎから下が左右に開いて見え、Sの腰の動きに合わせて靴下越しに足の指先がぎゅっと踏みしめるように力がこもっていくのが見てとれました。
(なぜ止めて!と叫ばない)私の心の中に憎悪と欲情が交錯していて自分の身の処し方を統括できない状態に陥っていました。
「す、すぐ終わる、すぐ終わるから・・・ね?あ、あと少しだから・・・奥さん・・・」と言いながらブルルブルルと急に腰を細かく振りはじめるS。
「だ、だめよぉ・・・あん・・・だめ・・・だってば・・・あっ」と言う悩ましげな妻の声。
私の視界からは確認できないだけに、むしろいったいどういう表情をしているのか想像を駆り立て異常な興奮状態に陥っていきました。

「奥さん・・・あっあっ・・・・おれ・・・お、俺・・・」というSの声。
上下主体に動かしていたSの動きが前後へと移行して、背後から見るとまるで本当のセックスをしているかのようでした。
ハァハァハァ...だ、だめ・・・Sさん、いけないわ・・・やめましょ?ね?・・・こんな・・・あっ!ハァハァハァハァという妻の声。
だから(あなた助けて!)と何故叫ばないんだ!、と私は再び心の中で妻をなじりました。
しかし私はこの悪夢のような光景すら、Sがかりそめの性行為を果たし射精を終えてしまえば終わりを告げるものだとばかり思い込んでいたのです。

全くもってお笑いぐさとしか言いようがありません。
何しろ私はこの期に及んで明日どう妻を問い詰めてやろうかと、およそそんなトンチンカンな事を考えていたのですから。
あまつさえ私が悪酔いして身動き取れないからって君は何をしてたんだ!と問い詰めた時の妻の泣いて謝る姿を想像してたのですから全くもって始末に終えません。
しかしすぐその私の目論見が甘かったことが明らかになったのです。

勢い余ったSの動きに妻の体が横にズレて、初めて妻の下半身が見てとれました。
何とローライズのジーンズを履いていた妻の尻はSの腕の動きで半ばまで押し下げらいたのです。
それを確認した時の私の心境はどう表現したら良いのでしょうか。
私の拙い語彙力ではとても表現できません。
妻のムッチリした双臀部の肉が露わになり、あと少しそれを引き摺り降ろしてしまえば私にしか見る事が許されぬはずの領域が息を潜めて待っているのです。

ドキン!と心臓が一際強く高鳴り、口から飛び出しそうな程の衝撃を覚えたこの気持ちは経験者にしかとても理解することはできないでしょう。
(やられる!)初めて私がSに妻を寝取られる事を意識した瞬間でした。
妻がSの腕を振り解こうとしているとばかり思っていたその手が、ずり落ちそうになるジーンズを引き上げようとしていたのだとこの時初めて気づいたわけです。
(やられる!妻がSに寝取られる!)そう思った瞬間私の震えは下腹部から北上し顎まで達してしまいカチカチ歯が鳴りそうになるのでパカッと口を大きく開いて防ごうとしていたその有様をもし誰かが見たらかなり滑稽だったに違いありません。

今でも覚えているのが、自分の認識が甘いと気づいた時の私の脳内の動きです。
職業病なのかDeleteキーを叩けというパルスが何度も何度も送られてきました。
初期化という言葉も何度も脳内を駆け巡りました。
まるでそれをすれば全てがチャラになるかのように。
もしかしたら苦痛を和らげるための現実逃避作用だったのかもしれません。

「お、奥さん・・・す、すぐだから・・・じっとしてればすぐだから・・・ね?・・・」逃げられぬようSは妻の腹に腕をフックさせ、下半身を完全に支配しようとい様子が窺えました。
「あ、ああ・・・ダメダメ・・・ダメよ・・・Sさん、やめて・・・ほんと、夫に聞かれちゃう・・・」ハァハァハァ...お、奥さんがいけないんですよ・・奥さんが俺を誘惑するから・・・ハァハァハァSは余程興奮していたのか声が裏返り、言葉と同時にヒィヒィというような変な声が漏れていたのを覚えています。
今にもずり落ちそうなジーンズを必死に引き上げようとする妻、その細い手首を掴んでそれをさせないS。

「だ・・だめ・・・Sさん、そ、それはダメ・・・ね?・・・分かるでしょ?・・夫がいるのよ、やめて」
「お、奥さん・・・奥さん・・・俺・・・俺もう・・・」そう言うなり妻のジーンズを鷲掴みにしてぐいと強引に引き摺り降ろそうとしています。
彼の二の腕の筋肉がモリモリと隆起して血管の青筋が何本も浮かんでいるのが見えました。
(やりたい!セックスしたい!)というSのあからさまなシグナルを妻にはじめて示した瞬間です。
「いやぁ、アッ、アア!・・・」妻の悲鳴。
私は思わず息子が起きるのではないかと後ろを振り返りました。
可愛い我が息子は母親の絶体絶命の窮地とも知らずスヤスヤと寝息をたてています。
息子が起きてくれればいい、そういう終わらせ方ならありかもしれないと思った私の甘い期待は脆くもくずれさります。
視線を襖の隙間に戻すとSも妻の声に心配になったのか後ろを振り向くとこでした。
私は慌てて身を隠しました。
ほんの数秒時間がズレたら私は見つかっていたに違いありません。

「アッ、いやぁ、アアッ・・・アッ・・・アァ・・・やぁ・・・」という妻の声が心なしか、か細くなり同時に、パサッという布の落ちる音が聞こえてきました。
ま、まさか・・・・。
私の心に戦慄が走ります。
息を押し殺し再び襖の隙間を覗き込むため身を乗り出しました。
ああ、思い返すと指が震えてきてキーが思うように叩けない・・・。

そうです、妻の足元に彼女のジーンズが落ちているのが見えたのです。
あ~だ、ダメだ思考が止まってしまう・・・。
「オォ...オォォォ...オォ...ォォ...]という犬が低く唸る様なSの声が脳を駆け巡って頭がグチャグチャになります。Sは寝巻き用にはいていた私のスウェットをアタフタとトランクスごと膝まで脱ぎ、途中で脱ぐのも面倒になったのか足の指でそれを擦り降ろしました。
鍛えられて隆起した彼の尻が目の前に見え、その下に彼の憎たらしい睾丸見えました。毛深い太腿とか脛とか・・・ああ、思い出すだけでも吐きそうです。「ああ、Sさん、ダメ・・・そ、それだけはダメよ・・・ダメダメ・・・いや、いやぁ・・・やめて、いやぁ」という妻の、か細い声。
Sがやや身を引いた瞬間、何も遮るものが無くなった妻の下半身が見えました。
両脚を開いた妻の尻の間から覗く割れ目は蛍光灯に照らされヌメヌメと光っているのが見えました。

ショックでした。
妻が厭だ厭だと言いつつも感じているだろういうことは助けを呼ばない時点で薄々分かっていたことではありますが・・・。
現実を目の当たりにすると、やはり相当なショックでした。
ネットリとした粘液が陰部一帯にこびり着いていている様を思い出すと今でも欝になりそうです。
負け犬の心境といいますか、男としての魅力でお前は負けたんだと宣告されたような心境でした。

「い、入れたい・・・お、奥さん・・・・もう、入れたい・・・」辛抱堪らないという風にクネクネと腰を捩らす度にユラユラ揺れるあの睾丸を今飛び出していって思い切り蹴り上げたらどんなに気持ちいいだろうと思いました。
何故だか少年時代に飼っていたカブトムシの交尾を目の当たりにして、雄が憎らしく見えて思わず性器をハサミで切ってしまった事を思い出しました。

「ダメ!・・・・い、入れないで・・・入れちゃダメ・・・絶対ダメ・・・」と言いながら、照準を定めさせまいとする妻の揺れる腰がSの背中越しに見え隠れしています。
Sは逃げようとする腰をグイと引き戻し、自分の股間近くへ引き寄せました。
「あ!、奥さんもう濡れてる・・・」Sは確認するように妻の陰部を覗き込みました。
「う、嘘よ!うそうそ、うそ言わないで!」妻の焦ったような声が聞こえます。
妻はどういう表情をしているのだろうか、Sに発情の痕を見られてどんな表情をしているのだろうか、とても気になりましたが机に押しつけられているので当然確認することはできません。
ただ、ガニ股に開いたSの両脚の向こう側に妻の白くムッチリとした両脚が見え、中途半端に降ろされたショーツが膝の辺りで引っ掛かり、プラプラ揺れているのが確認できました。

「嘘じゃない、ホラこんなに・・・」そう言いながら指で溢れる粘液をこそげとろうとするS。
「ああ!・・ち、ちがう!違うの!・・・そ、それは・・・それは・・・」取り乱す妻の声に、また息子が起きやしないかと思わず振り向き確認しましたが悲しいかな息子はさっきと同じ姿勢で寝息をたてています。
私は吸い寄せられるように再び視線を襖に戻しました。

「何だ、奥さんも感じてくれてたんだ?」
「う、嘘よ、か、感じてなんかない!」
「じゃ、この音は何?」妻の陰部をかきまわすSの指に思わず私は目を瞑りました。
しかしニチャニチャと湿った残酷な音が聞こえてきてきます。
「い、いや!や、やめて・・・聞きたくない!」現実を突きつけられ言い逃れできぬ妻は声を高めて恥じらいを誤魔化しているように見えました。
「奥さん・・・これ・・・あいつが聞いたらどうするの?」悪意がある、Sには明らかに私に対する悪意がある今まで気づきませんでしたが、その時はじめてSの私に対する気持ちを気づいたような気がします。

「ああ、もぉ我慢できない!・・・い、入れる!・・・絶対入れる!」
「ダメダメダメ絶対ダメ・・・」と妻が言ったそのときです。
一際甲高い妻の叫び声が聞こえてきて・・・そして・・・Sの尻の筋肉が凹んでいくのが見えて・・・私は凍り付いて・・・それでもにわかに事実を受け入れられず体勢を低くし結合部を覗き見たのです。
完全に結合した部分を確認しなければ、入ってるかどうか分からないじゃないか!とか、誰に言い訳してるのか分からずとにかくこの期に及んで嘘であってほしいという気持ちが私をそうさせたのだと思います。

しかし私の位置からですとやはり彼の睾丸が邪魔して事実を確認できませんでした。
そうしてる間に妻の叫び声は、かすれ声に変わっていき、踏ん張っていた彼女の両足が爪先立っていくのが見えました。
それでも私は(入れてない入れてない)と呪文のように唱え続けました。
しかしSの温泉にでもつかったような満足そうな声が聞こえ、彼が腰を振る度にニチャニチャという粘膜が絡み合う音が聞こえてきてそして...そして妻の声が喘ぎ声に変わったとき、ああもうダメなんだなと終わったなと、そう思った途端に震えが止まりました。
そしてそのままうつ伏せになり、その残酷な声や音を聞き続けたのです。

どの位の時間そうしていたのでしょうか、私には永遠に感じましたが実際には10分程度だったのかもしれませんね。
その時の私には10分でも充分永遠と言っていい時間でした。
Sの唸るような声が聞こえてきて肉の弾けるような音が大きくなり思わず顔だけ上げて視線をそちらに向けたのを覚えています。
彼は再び尻の筋肉を極限まで凹ますとブルルルと震わせました。
そして、何度も何度も妻の尻を強く引き寄せ、その度に「うぉ!」という声を漏らしました。

ブルルルルルという痙攣が長く続き、ようやく凹んだ尻の筋肉が戻るとハ~・・・という彼の満足そうな息を吐く声が聞こえて、そのまま後ろの椅子にドスンと座り込んだのです。
妻の赤く充血した陰部はまだ彼の痕を残すように大きく口を開けているのが見えました。
そしてそこからドロっとした白い液体から溢れ出た時、私の感じた彼の悪意を実感したのです。

欲情に押し流されただけなら、妻の中に射精することはないでしょう。
そもそも場数を踏んでいるはずの彼が、間違って出してしまうというような事があるとも思えませんし、いったいどういう事なんだと彼の悪意に今までの彼との関係を思い返してみても、その時はどうしてもがてんがいきませんでした。

妻がどうしたのか、私は身に覚えの無い悪意の意味を考えていて少しの間見失っていたのですが、気づいたらティッシュで溢れた精液をぬぐっていたのだけは何となく覚えています。
しかし、彼が膣内射精をしたことを妻が咎めたというような記憶はありません。
分かりません、もしかしたら咎めてたのかもしれませんが。
ただ記憶がないという事はそれほど激しくはなかったことは確かでしょう。

妻はシャワーを浴びに行ったらしく、暫くして居間から出て行き私の視界から消えました。
Sは椅子に腰掛けたまま少しの間そこに居ましたが、彼も居間から出て行きました、もしかしたら帰ったのかなと思いました。
もしくは私のPC部屋で寝るようにと言われてるのかもとも思いました。
彼が出ていきしばらくするとジャーというシャワーの音が聞こえてきて、ああ精液を洗い流してるんだな、と漠然と考えながらも射精されてすぐ荒い流せば妊娠率に多少影響するんだろうか?とかバカなことを考えていたのを覚えています。

不思議なのは膣内射精を目の当たりにしても意外に私が落ち着いていた事です。
挿入まではあれほどブルブル震えていたのに何故だか分かりませんがかなり冷静に彼女が妊娠した場合についてや、してなかった場合について考えていた記憶があります。
した場合彼女は堕ろすんだろうか、とか。
ただ冷静に考えるに連れ、シャワーの音がしだいに気になりはじめ、そもそもシャワーの音など聞こえたためしはないな、とか考えてどうやら浴室の扉が開いているのではないかという事にこのとき初めて気づいたのです。

何で開けっ放しにしているのか、彼女も相当憔悴しているのかもしれないと思いつつ、やはり私の覗き根性がふつふつと沸き立ちはじめ、どうしても妻がシャワーを浴びてる様子を覗いてみたい衝動に駆られました。
もしSに遭遇したらと考えると多少気後れましたが、どうしてもその衝動を抑えることができませんでした。
それでもし遭遇しても泥酔してトイレにいく振りをして行けば良いと思い這うようにして寝室から覗いていた居間に足を踏み入れたのです。

妻の泣き声が聞こえてきました。
泣くぐらいならするなよと、呆れたといいますか、まぁその泣き声を聞いた時点でもう覗きたいという気分も失せてしまったわけですが、それにつけてもSがどうしているのか、まだ図々しくも我が家に滞在しているのか確認したくなりまして、とりあえず玄関に靴があるかどうかだけ確認してから寝室に戻ろうと思ったのです。

浴室は玄関に行く途中にあるので、当然そこを横切り玄関へ行って彼の靴を確認したわけです。
ああやはり浴室の扉が開いているなという程度の感覚で玄関へ赴きますと、やはり彼の靴があり、この状況下でも尚人の家で図々しく眠れてしまう彼の図太い神経に明日の朝自分はどう彼と対峙すればいいのかと逆にこちらが気を揉む始末で、情けなくなりとりあえず寝てしまおう起きてから考えようと寝室に戻ることにしたのです。

彼女は相変わらず啜り泣くような声を漏らしていましたので、浴室に目をやりました。
浴室の扉は半開きの状態で覗き込まないとそこからは直視できない状況だったので妻が見えたわけではありません。
ただ、そこに衣服が脱ぎ散らかしてあり、そこに見覚えのある私のスウェットが目に入りました。
かなりの睡魔に襲われていた私はそれでも事態を掌握できずそのまま浴室をよこぎり寝床についたのです。
早く寝て夢だった事にしたいという現実逃避する気持ちもあったのかもしれません。

目を瞑って、すぐ寝てしまえると思ったのですが、明日の朝子供を交えてどんな顔で彼と話せばいいのかという事を考え出したらまた悶々としてきてしまい、自分の小心ぶりに甚だ嫌気がさしてきて、その時さっき見かけたスウェットのことが脳裏を過ぎったわけです。
しかしそれでもまだ脳を整理できず、やっぱり彼は家に帰ったのかな?とか考えていたのを覚えています。
靴は見間違いか?と思い彼が帰っていればとにかく今日の所は気を揉まなくて済むという気持ちもあったので私はとにかくもう一度玄関に行こう身を起こしました。

それで、泣き声がまだ聞こえてきて、スウェットを確認して、半開きになった浴室を覗き込み、妻の下半身に頭をつけている彼を発見したわけです。
妻は壁にもたれかかり下半身にむしゃぶりつく彼の頭髪を鷲掴みにしながら厭々をするように頭を振っていました。
どういう心境だったのか、あまりに驚愕してしまっていたので上手く言い表わせませんが、逆にそこまで貪欲になれる彼に妙な説得力を覚えてしまったのを思い出します。
そこまで出来るものなのかと。

一度射精しても尚、二度目に行ける彼に感銘を覚えてしまったと言いますか精力的にそこまで出来てしまう男に女は抗えないものなのかもしれないという心境になった記憶があります。
それと自分が射精した膣に口をつけられるもんなんだと言いますか、そもそも私は女性器に口をつけること自体、あまり好きではない方なので、そういった事も変に関心してしまった理由なのかもしれません。

彼女の表情は私の感じたことを肯定するのように、いけないとは分かってしながらも女として彼の欲求に抗すことができないというような苦悶に満ちていました。
何故だか彼女が彼に話していた、遊び人は一緒にいると凄く楽しいと言って昔を懐かしんでいた光景を思い出した記憶があります。
人は人間である前に雄であり雌なんだと、本能には勝つことができないと、その時思い知らされました。

Sはそのまま妻の陰部から口を離し、立ち上がると軽々と妻の太腿を小脇に抱えセックスを開始しました。
妻はやはりSの頭髪を鷲掴みにして厭々をするように頭を振っていましたが、すすり泣く声は甘い喘ぎ声に変わっていました。
もたれかかる壁から妻の体が滑り落ちそうになると彼は抱きかかえるようにしてゆっくりと床に寝かせるとそのまま正常位の姿勢でセックスを続けました。
彼のペニスが異常に長かったのも驚きでした。
あの長さでも入ってしまうものなんだ、と再びそれが妻の中に没していく際に、妻のうめき声と共に波打つ彼女の下腹の肉を見ながらどの辺りまで入ってるという事を思わず考えてしまったのを覚えています。

Sは妻に圧し掛かりキスを強要しました。
妻は顔を背けそれを拒みました。
セックスを許してもキスは許さないという理由が私にはよく分かりませんでしたが、とにかく執拗に求められても妻はSの顔を手で押し退けるようにして何度も逃れていたのを覚えています。
しかし結局は押し退ける妻の手は払い除けられてしまい、強引に唇を奪われてしまいましたが。

唇を奪いクネクネと腰を捩じらすSの腰つきに、押し退けようとする妻の腕がやがて力を失っていき、そしてその白い腕がSの首にまきついていきます。
一方、開かれていた華奢な両脚がSの腰に回されて組み合い、力を込めているかのように脚の筋肉が突っ張り、彼にまきついて行ったのです。
妻からもSのからだにしがみ付き一体になっていく、その一部始終を見ていました。
寸分の隙間もなく、二人は一つになり、快楽のうめきを絡め合う舌の奥から漏らしているのです。
もはや妻はレイプの被害者という受け身ではなくて、オスを激しく欲して発情しているメスになっていました。
女とは最終的に男の欲望を受け入れてしまい、それに呼応してしまうように神に造られている生き物なのかもしれないというのがその時の率直な感想です。
ただSのように欲望をあそこまであからさまに開放できる人間がどこまでいるのかは疑問ですし、強引さが間違うと女は受け入れずに泣き喚くだけのレイプ惨劇になるであろうことも想像でき、やはりあれはとにかくSだからこそ許されてしまう特異性ではないかとも思っています。

しばらくして彼は彼女の中で再び射精を開始しました。
キスをしたままときおり強く痙攣するような腰の動きで彼が妻の中に精液を吐き出していることがが想像できました。
そのときです。
妻が「あああ・・・イク・・・・」と発したのです。
妻の不貞が決定的になったひと言です。
射精し終えてペニスを引き抜いてもなお彼は妻の横に寄りそうように横たわりました。
そして妻を抱き寄せ片方の手で妻の乳房を揉みながら満足そうに妻の頭を撫でていたのを覚えています。
ここで気になることがありました。
妻の手がSのペニスを握り、扱いていたのです。
自分からそうしたのか、Sにそうさせられたのか・・・たぶん妻が自発的にペニスに手を伸ばしていたのが、嫌で忘れたかった光景として思い出されます。

私はすごすごと寝室にもどり寝たふりを余儀なくされたわけですが正直、これにはほとほと参りました。
Sと寝たばかりの体で私と息子が寝ている部屋に図々しく戻ってくれるなよ勘弁してくれ、というのが正直なところ。
それで私の横で寝られても・・・こっちが眠れるわけがないじゃないですか。
あっちはあっちで眠れない様子で(当たり前か)息子の顔を覗き込んだり私の顔を覗き込んだりするんですよ堪りません。
鼻を啜っていたので泣いていたのだろうと思います。

私は寝付けずとうとうそうやってじっとしている自分の小心ぶりが馬鹿らしくなり一人で居間の電気をつけ、テーブルに置いてあったSのタバコに火をつけました、ちなみに私はタバコは息子が生まれた時点で止めています。
一服して前日の新聞を読み直してそれから再び寝床に着きました。
妻は布団の中に埋まる様に丸くなり横になっていました。
私が吸うはずのないタバコを吸ってる事で、気づかれたのかもしれないと緊張したのかもしれません。

特筆すべきはSの恐ろしいまでの図太さで、翌朝朝食を食べるまでは仕方ないまでもその後内の息子と遊んだり公園に行ったりする始末で何も知らない息子はSを子煩悩な優しいおじさんと信じて切っているようで私に見せないような笑顔でじゃれるので、それが余計に私の気持ちを奈落の底へと突き落とした事は言うまでもない。
自宅の奥さんから呼び出し食らわなかったら、あれは間違いなく昼食まで食って帰ったに違いないかった。
いったいどういう教育を受けたらあそこまで図太くなれるのか、いやいやもしかして俺が夕べ見たのは泥酔したが故の幻だったのかと疑わしくなるほどだった。

しかしながら妻の仕草が幻ではない事を物語っていて、私の言葉に対する過剰な相づちや引きつり笑いで、ああやっぱりなと本当だったんだなと無邪気に遊ぶ息子にこちらも笑わぬわけにもいかずハハハハと無理に口をひん曲げて笑う俺はいったい何なのだろうととことん自分が厭になった。
厭になりついでに、妻が前屈みになる度にSがその腰にしがみついた昨日の記憶が呼び起こされ、不覚にも勃起してしまう始末で、だいたいこの時点で既に私の精神が病んでいたのではないかと自分では思っています。

妻とSこの先はどうなるのか、とっても気になります。

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