木の香りの旅館

2019/07/11

こじんまりした旅館で、木の香りがまだ新しかった。
この歳でも、いまだに若い女性との混浴にはときめいた。
その人は広い温泉の中に立ち上がって、タオルで前を隠した。
おれは、男の興奮がわかる程度に両膝を拡げた。
「立派ですね。男らしい」
その人がそう言った。
「私、思うんです。哺乳類って、人間もそうだけど、
哺乳類のオスが、メスの目の前で生殖器を興奮させるのは、
生殖行為への自然なお誘いですよね。
つまり、人間なら無言の告白です」
そう言いながら、おれの横に座った。
素肌がピンクに染まってた。
「私ね、それを知合いのお医者さんに聞いてみたんです。
そしたら『そりゃチン説(珍説)だ』って笑われちゃって。
でも私、そういうことだって思うんです」
おれは、その人のタオルをめくり取った。
その人は拒まないで、手で隠しもしなかった。
目の前の雫が伝い落ちて、陰毛に吸い込まれた。
「告白されたら、イエスかノーか返事しないとね。
私の返事、イエスでいいかしら」
やっと聞こえる声で言った。
「はあ、そりゃもちろん」
おれは答えた。
顎を上げて目をつむったので、抱き寄せて口を吸った。
木製の簀の子の上に仰向けになって、その人を見た。
その人はおれに股がりながら、長い髪と乳房を揺らした。
勃起が熱くなった女の器に包まれて、
そこにその人の体重がゆっくり乗ってきた。
ほんの1時間くらい前に知り合ったばかりで、
お互い、どこの誰だか知らない。

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