私たち夫婦が破局寸前になった時のこと[後編]

2018/06/19

金曜日の朝。
娘たちを学校に送り出したあと、私と妻は二人きりになりました。
子ども達がいなくなると、妻は母親の顔ではなく、女の顔になりました。
妻は一旦全裸になり、私に見せつけるように、この前見せられたあの男からのプレゼントを身に着けます。
透け透けのピンクのパンティ。
パンティとお揃いのブラジャー。
ハート柄の入った肌色のパンティストッキング。
大きなリボンがついた可愛い白いブラウス。
膝上10センチくらいのピンクのミニスカート。
「どう?可愛いでしょ」
「ああ。たまらないよ、奈美。本当に行くのか」
「ええ、もちろん。あ、そうだ、あなた。車で所長のマンションの近くまで送ってね」
「・・・分ったよ。でも、本当に頼むよ、帰ってきてくれ。必ず僕の元へ帰ってきてくれ」
「泣かないの。大丈夫よ。今のところ、本当にそのつもりだから」
私は妻と唇を合わせました。
ひょっとすると、これが奈美との最後のキスになるかもしれないと思いながら。
私は妻の胸に手を伸ばしますが、払いのけられました。
薄いコートを羽織った妻を車に乗せ、妻の指示通りに送り、家に帰ってきました。
本当は、妻があの男と旅行して三日間も二人きりになるのは、胸が張り裂けそうな苦しみになっていました。
しかし、もしここで私が妨害すれば、幸せな家庭が崩壊し、妻はもう永遠にあの男のものになってしまうだろう・・・。
そっちの方が、寂しくて耐えられない。
妻を返してもらうために、弱い男がとれる方法は、自分の妻の心と体を完全に奪っているあの男に自分から妻を提供し、三日間何度でも気が済むまで犯すことを認めた上で、返してもらうしかないのです。
弱い男が自分の妻を強い男に差し出し、これ以上の仕打ちを何とか許してもらえるように。
でも、この三日間で妻はあの男の子種を身篭らされてしまわないだろうか。
そんな可能性は低いかもしれないが、もしそうなってしまったら・・・。
また実際のところ、私が妻を差し出しても、あの男が妻を私に返してよこす保証など何もないのです。
このまま、あの男は、妻を自分のものとして私の手から奪い取っていくのではないだろうか・・・。
私は仕事に行く気になど到底なれず、職場には連絡を入れて休みました。
ああ、もう、10時だ。
今頃妻はあの男の車に乗り、二人は新婚旅行のような気分でどこかの温泉に向かっているんだろう。
妻が愛おしい。
口惜しい。
二人の様子を一目見てみたい・・・。
私は、妻の匂いを求めて、下着を漁りました。
ついさっき着替えたときに、妻が脱いだばかりのパンティの匂いを嗅ぎながら、私は自らを慰め、射精しました。
夕方帰ってきた娘たちは、私が仕事を休んで家にいるのを気遣い、優しくしてくれました。
「お父さん大丈夫?具合が悪いの?社員旅行に出掛けたお母さんのことを心配して、具合が悪くなったんじゃないの?お母さんは幸せだよ。お母さんのことをこんなに心配してくれるお父さんがいるんだから」
「いや、ちょっと風邪を引いただけだ。季節はずれの風邪がはやっているようだから、お前たちも気をつけなさい。そして、夜更かしせず早く寝なさい」
私は、夜一人でベッドに入っていると、あの男に差し出してしまった妻のことがまた気になりました。
今頃は、どこかの温泉旅館の離れであの男と二人きりになり、部屋の中で、あるいは風呂で、妻はあの男に巧みに執拗に愛撫されているんだろう。
そして、太く長い肉棒で肉襞を突かれ、よがらされイカされ、秘壷にあの男の子種を出されているんだろう。
今晩、妻はあの男に何回犯されてしまうのだろう。
私は、男に犯されてよがっていた妻の表情を思い出し、再び妻の下着の匂いを嗅ぎながらオナニーをし、果てました。
土曜日も仕事をする気分になどなれなかったのですが、前日丸一日休んでしまったため、そうもいきません。
職場に出て、夕方まで溜まった仕事を片付け、帰ってきました。
家に帰ると、娘たちが夕飯の支度を終え、私を待ってくれていました。
「お父さん、お帰り。あ、だいぶ元気になったようね。安心した。たくさんご飯食べてね」
「ああ、もうすっかり元気だよ。たくさん食べさせてもらうよ」
夕食後は娘たちとテレビを観て過ごしました。
娘たちと過ごしたひと時は、私の沈んだ気持ちをいくらか明るくしてくれました。
明日は日曜日です。
娘たちは明日、それぞれ外出し夕方過ぎに戻るとのことです。
私は笑いながら留守番を引き受けることを約束しました。
寝室に入ると、やはり男によがらされていた妻の姿が目に浮かんできます。
明日、本当に帰ってきてくれるのだろうか・・・。
妻は、私や子ども達を捨て、あの男と暮らしていくことを選ばないだろうか・・・。
しかし、そのときの私に出来たことは、不安な気持ちのまま、またしても妻の下着でオナニーすることだけでした。
日曜日の朝、私は遅くに目を覚ましました。
子ども達はもう出かけてしまったようで、家には私しかいません。
おそらく長女が作っておいてくれた朝食を食べ、私は一人リビングルームのソファに座っていました。
ついこの前、妻があの男にここで犯されていたのが、もう遠い過去のことのように思えます。
私は何もする気が出ず、ただじーっと座っていました。
私の頬を温かいものが伝います。
私は色々な事を思い出していました。
部活に入って、初めて妻を見たときのこと。
妻との初めてのデート。
結婚前のごたごた。
結婚が決まって、妻を私のモノで初めて女にした日のこと。
初めての妊娠のときの妻の喜んだ顔。
出産を終えたときに見た、母親になった妻の顔・・・。
私は、何時間そうやって過ごしていたのでしょう。
ガチャ、ガチャ。
玄関の鍵が開けられて、人が入ってきたような音が聞こえた気がしました。
私は玄関に行きました。
妻です!
妻は出かけて行ったときの姿で、帰ってきました。
私「奈美。帰ってきてくれたんだな。ありがとう。たまらなく不安だったんだよ」
妻「ただいま帰りました。子ども達は?」
私「二人とも出かけてる。夕方過ぎにならないと帰ってこないらしい」
私は妻を抱き締めました。
私たちはリビングのソファに座りました。
妻が口を切りました。
「あなた。私、とんでもないわがままや過ちを犯してしまって、本当にごめんなさい。帰ってきました。私、出掛けるときには、正直言って、まだ少し迷っていました。あなたの妻、娘たちの母親のままでいたほうがいいのか、あなたや子ども達を捨ててでも、所長ところに行くほうがいいのか。所長が転勤になるかもしれないっていうことは前から分っいたんです。私は所長を本気で愛してしまったし、所長も私のことを第一に考えてくれるなら、私は全てを捨てて所長の元へ行ってもいいとまで、以前には思っていたの。そして、これも私が考えたことなんだけど、もし所長がこのままの関係だけを続ける気なら、所長があの会社を辞めて、この街周辺で多少給料は安くても再就職の口くらいなら、何とでもなりそうなものだと思っていたの。でも、所長はまだ当分あの会社にしがみついて生きていくために、転勤を受け入れる意思は頑として変えないの。所長が自分ひとりだけなら、あるいは私一人くらいを養うようなことになっても、仮にあの会社を辞めたとしても、なんとかなりそうなものなのに、所長には全くその気はないの。結局所長にとって、会社にしがみつくことで成り立っている所長自身の生活が一番で、私は二番か、それ以下でしかないのね。所長は、私をいずれ必ず妻に迎えるから、あなたと離婚して転勤先について来てくれって言ってたけど、私は、それは出来ないって、キッパリ断りました。私には娘たちがいるというのもあるけど、結局あの人は自分の生活が第一だから、ここにいたままでも、転勤先でも、もし二人の今のこんな関係や、二人のいきさつが万一他人に知られて会社での立場が悪くなるようなら、仮に離婚してあの人のところに行ったとしても、私はあっさり捨てられて追い出されそうな気がしたの。所長と私の間に子どもでもできれば話は別かもしれないけど、それはほとんど考えられないことだし。こんな結論になるかもしれないことは、今週あなたに見られたあのときに何となく気付いていたし、行きの車の中で二人で話し合ったときには、私の中でもう完全に結論は出ていたの。でも、この三日間、あなたには本当に悪いことをしていると思いながら、私は自分の気が済むまで何度も所長を求めて、何度も所長に抱かれてきました。これは所長のためじゃなく、私のために。私がもう所長に何の未練も残さないように。私は、今日も帰り道にラブホテルに寄ってもらって、ついさっきも所長に抱かれてきたの。でも、もう今、私は所長のことはなんとも思っていません。私と所長の関係は、もうこれっきりでおしまいになったの。結局、私はあの会社に勤めるようになったときから、すでに所長に体を狙われ、所長の仕掛けた罠にどんどん嵌って、狙い通りに落とされてしまっただけだったのね。そして、落ちた後は、所長のテクニックと男性自身で、こんな単純な罠を仕掛けられて嵌められたことにも気付かないくらい、狂わされてしまったのね。所長は、私のことをただの“都合のいい女”としか見ていないのに。それなのに、私は本当に周りが見えなくなるくらい所長にのめり込んで、所長の子どもまで産もうと本気で思っていたの。あなた、本当にごめんなさい」
妻はさらに続けます。
「でも、あなたは違った。
す…

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