父親の後妻になろうとしている30代半ばの女と

2018/01/23

夏休みの寝苦しい朝だった。
僕は、下半身に違和感を感じて目が覚めた。
もう七時を回っているじゃないか。
僕は、階下におりて行った。
風呂場の横の洗濯機の置いてあるスレートで囲った場所に、汚した下着をこっそり持っていくつもりだったんだ。
まさか、高三にもなって夢精をしてしまうなんて。
と、すすり泣くような声を聞いたような気がした。
「ああっ。くぅっ」
子犬の鳴くような、痛みに耐えるような・・・。
そっと流しのある方から、洗濯場の方に回ろうとしたとき、洗濯機の前にたたずむ女の姿が目に入った。
「尚子だ」彼女は横山尚子といって、父の後妻に入ろうとしている女だ。
母が死んで、はや六年が過ぎ、弁護士の父は寂しさからか、事務所のこの女とねんごろになったらしい。
そして彼女は押しかけてきたのだ。
年の頃は三十半ばで女盛りとでも言うのだろうか。
弁護士事務所に勤めているだけあって、ケバさはない。
むしろ地味だ。
黒い縁の眼鏡と、ひっつめ髪とでも言うのだろうか、そういう何の変哲もない女だった。
ただ、体は違った。
小柄なくせに、出るところは出ていて、メリハリのきいた体をしていた。
父もそんなところに惚れたんじゃないかと思うくらいだ。
ミントグリーンのエプロンの後ろ姿から丸見えの白のホットパンツ。
そこから突き出る二本の生足は子持ちシシャモを連想させた。
「ああん」
尚子は洗濯機に腰をぴったり寄せて、脱水の振動に身を任せている。
角をあそこに当てている・・・。
(オナニーしてるんだ・・・)
とっさに僕は理解した。
彼女も女なのだ。
持て余す性欲をああやって発散させているのだ。
それは、僕と同じなんだ。
浅ましく尚子の左足が上がり、空を掻く。
彼女が俯いた瞬間、肩に力が入って、洗濯機の縁を掴んでいる手指が白く血の気を失った。
ガクガクと彼女の体が揺れるが、それは脱水機の振動が伝わってのことなのか、自らの運動なのか俄かには判断しかねた。
「あふぅ~」
玉の汗をあごに伝わせて、天を仰ぐように上を向き、ゴクリとここまで聞こえる音をさせて唾を飲み込んだ。
僕の右手は冷蔵庫の陰でカチカチに充血した分身を出して、夢中でしごいていた。
今朝出したのに、僕は、また絶頂を迎えようとしていた。
「あああっ」
手が速くなり、めいっぱい亀頭を剥いて露出させ、射出に備えた。
びゅくびゅくと粘い液体が尿道を切り裂く様に濃い塊が飛び出し、冷蔵庫の側面に跳ね、ダラダラと流れを作った。
これはもう、手に持っている汚れ物で拭いて始末するほかなかった。
こんなに情けないことはない。
尚子はというと、すでに何食わぬ顔で脱水を終え、洗濯物をカゴに取り出していた。
僕は見つからないように、汚れ物を持ったまま階段をそっと上がっていった。
洗濯物を干しに、尚子が階段を上がってくる。
僕の部屋を通らないと物干し台には出られない。
僕は汚れ物をタオルケットに包んで隠した。
「おはようございます」
彼女はさっきのことなど、まったく感じさせない表情で挨拶して部屋に入ってきた。
「おはよう」
「ごはんの支度できてますから、食べてね」
「は、はい」
「それから啓二さん、昨日の洗濯物がなかったけど、着替えてないの?汗で汚れてるでしょ。早く出して。お洗濯するから」
と、言われても・・・。
「あ、ああ、じゃ持って行っとくよ」
そう言うのが精一杯だった。
尚子はにっこりと頷いて、物干し場の網戸を開けて、ツッカケを履いて出て行った。
僕はその後すぐに下りて行って、汚れ物を丸めてシャツに厳重に包んで洗濯機に放り込んだ。
そして遅い朝食を新聞を見ながら食べていた。
降りてきた尚子に向かって、「父さんはもう出かけたの」と問うた。
「そうよ。あたしも、もう行かないと」
そう言いながら、また洗濯場に行ってしまった。
やばいかな?と思いながら、飯の味など判らなかった。
「洗濯機を回していくから、終わったら啓二さんが干してね」と洗濯場から声がした。
「あ、はい」
どうやらバレなかったらしい。
その週の土曜日の昼、父は弁護士会の寄り合いとかで出て行ってしまい、家には尚子と二人っきりになった。
「啓二さん、お昼なんでもいい?」
「うん」
「じゃ、おそうめんにしようか」
「うん」
今日の尚子は、ひっつめ髪じゃなくって、解いて後ろでポニーテールに束ねている。
そのせいか、いくぶん若く見えた。
彼女の後ろ姿を見てると、やはり股間に血液が充満してくるのには困ってしまった。
テレビをつけて気を紛らわすことにした。
そうめんをすすりながら、何を話すでもなく尚子は「暑いね」だとか「勉強は捗ってるの」とか、一人前の母親のような口を聞く。
僕は、いいかげんな返事をしながら彼女の胸元を見ていた。
くたびれたTシャツの襟ぐりは大きく開いて、彼女の大きな胸が作る谷間を覗かせている。
汗でしっとりとしている感じが見て取れた。
「ねえ、ひとつ聞いていい?」
コケティッシュに小首をかしげて、僕に問う。
「なんだよ」
「こないだ、お洗濯物、どうして出さなかったの?」
(聞くかぁ?そんなこと)
やっぱり感づかれていたのだ。
「どうしてって。その、あれだよ」
「出しちゃった・・・」
ドキッとするような目を眼鏡越しに見せた。
「まあ、そういうことだよ」
「元気なんだぁ」
(なんだよ、こいつ。僕をなぶってんのか?)
「じゃあ、僕も聞いていい?」
「なぁに」
「同じ日、尚子さんは洗濯機の角にあそこを当てて何してた?」
彼女の顔がみるみる赤くなって、下を向いてしまった。
「見てたの・・・」
そう、低い声で言った。
「お、お互い様じゃないか」
僕は慌てて、そう取り繕った。
その場はそれでおしまいだった。
昼食の後、二階に上がって窓辺に腰掛けた。
二階の僕の勉強部屋から真夏の町並みが見える。
その向こうは海が広がっていた。
町は死んでしまったかのようだ。
蝉の声も真昼のこの時間は聞こえない。
「暑いなぁ」
独り言がつい出てしまう。
扇風機は熱い空気をかき混ぜるだけで、無いほうがマシだった。
「いい?」
尚子の声が障子の外で聞こえた。
「どうぞ」
すっと障子が開いて、白い足が入ってきた。
「なんだ、お勉強してたんじゃないんだ」
「こう暑いとだめだね」
「はい、スイカ切ったの」
「ありがとう」
しばらく二人で海を見ながらスイカを食べた。
「啓二さん、あたしのこと嫌い?」
「なんなんだよ。いきなり。そんなことねぇよ。ただ・・・」
「ただ、何?」
「戸惑ってんだ。若い女が母親代わりってさ」
「母親じゃなくっていいじゃない」
「じゃ、なんなのさ」
「お姉さんでもいいじゃない」
「そんな、急に言われてもね」
そばに尚子が寄ってきた。
「いいことしよっか?」
「何?」
「目を瞑って・・・」
だいたい予想できたから、目を瞑った。
柔らかいものが唇に当たった。
スイカの香りがした。
僕は夢中で尚子を押し倒し、唇を貪ってしまった。
(父親の女をいただくんだ・・・)
尚子は抵抗しなかった。
気がついたら、お互い裸になって、汗を交わらせて抱き合っていた。
「したことあるの?」
「ないよ」
「じゃあ、お姉さんがしてあげる・・・」
畳の上に寝かされ、すでに硬く立ち上がったものを咥えられた。
それは一人でするのより何倍もすばらしい快感だった。
「あ、あ、だめだって」
「もう、だめ?」
「出ちゃうよ」
「敏感ね。じゃ、もらっちゃおうかな。キミのドウテイ」
そう言って膝立ちになって、僕を跨いだ。
きれいなお椀型のバストが僕を見下ろしているようだ。
「見える?」
入るところを見せてやろうという事らしい。
僕は首をもたげて見た。
「うん」
右手で僕を支えて、薄い毛に覆われた目的地に宛てがった。
「入れるよ」
熱いぬめりが僕の先端にまとわりつくようだった。
最初、反り返った僕のモノはうまく滑らず、尚子は顔をしかめたが、やがてゆっくり腰を落としてきた。
「ああん。すっごく硬い」
そんなことを言って、全てを収めて、ぴったりと尻を僕のももに押し付けた。
そうしてグリグリと円を描くように腰を回すのである。
僕は、もう痺れるような感触で、彼女の中に消えた分身を目で追っていた。
「どう?初めての感じは」
「すごくいい。でも、尚子さん、こんなことおやじに見つかったら・・・」
「黙ってたらわからないよ。お父さんは、あたしの体には興味ないみたい」
信じられなかった。
こんないい体を目の前にして興味ないとは。
「あ、イキそうです」
僕は情けない声を上げた。
「いいわよ。そのまま、お姉さんの中にイキなさい」
(いいのか?妊娠は大丈夫なのか?)
そんな理性的なことはすぐに飛んでしまい、恥ずかしいくらい大量に吹き上げた。
「あ、あああ・・・」
そのまま二人は暑い部屋で焼け死にそうになりながら抱き合った。
再び、蝉の声が聞こえだした。

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