姉「ダメだよ。私たち姉弟だよ?」

2018/09/16

弟「すいません。俺、姉友先輩とは付き合えません」
姉友「・・・そうだよね。分かってた」
弟が頭を上げた時、姉の友人は弟に背中を向けていた。
屋上からは近くを流れる川と五月の新緑に覆われた山々が望める。
夕暮れ時の逆光で姉友の表情は分からない。
グラウンドを走るサッカー部の掛け声が響く。
姉友「弟くん来てくれてありがとう。ちょっと一人にさせてね」
振り返らないまま姉友は言った。
弟は会釈をしてそこを去った。姉友は最後まで弟の方を振り返らなかった。
姉友「というわけでフラれてしまいました」
姉「・・・そう」
親友の笑顔は寂しさを滲ませるが、どこかしら清々さを感じさせる。
なんだか思ったより落ち込んでいないようだ。
姉「あの子はさ。ほら。なんというか昔から融通が利かないところがあるし。
きっと、その姉友が嫌いとかじゃなくて付き合うってことがよく分からなかったんじゃないかと思うよ」
我ながら適当なこと言ってる。私は本当にこんなことが言いたいのだろうか。こういうのは他人が何言ってもどうせ慰めにならないのに。
姉友「フフッ。慰めてくれてありがとー」
姉友の優しさが少し辛い。なんでだろう?親友の姉友が苦しんでるから?違う。そうじゃない気がする。
姉友「ねえ。姉。あのさあんた」
姉「なあに?」
姉友がまっすぐ見つめてくる。珍しく真面目な顔だ。
何を言われるのか恐々としていたが、結局姉友は何も言わなかった。
姉友「うーん。やっぱいいや。なんでもない。
ほいじゃ愚痴も聞いてもらったし。そろそろ帰るわー」
姉「うん。気をつけてね」
5月の風はまだほんのちょっぴり冷たい。川沿いのこの場所は風が強いのだ。
街頭の明かりが灯り出す。しばらく歩いてから姉友は携帯を取り出した。
親友の馬鹿男を呼び出す。なんだかんだでこういう相談事はあいつに
するのがいい。
姉友「あ、男友くん。ちょっと相談に乗ってくんない?」
姉友が帰ってからしばらくして弟が家に戻ってきた。
どうやらお目当ての食材が手に入ったようだ。
姉「おかえり弟。御飯の用意手伝おうか?」
弟「いや姉ちゃんはいつも通り座って待っててくれればいいよ。一人の方が効率がいい」
姉「お姉さまの好意を無碍にしようというのかね?」
弟「はいはい。そんなことより明日の準備でもしてろ。また弓道の道具忘れるぞ?
姉ちゃんはおっちょこちょいだからな」
姉「むぅー」
姉友「というわけでフラれてしまいました」
姉「・・・そう」
親友の笑顔は寂しさを滲ませるが、どこかしら清々さを感じさせる。
なんだか思ったより落ち込んでいないようだ。
姉「あの子はさ。ほら。なんというか昔から融通が利かないところがあるし。
きっと、その姉友が嫌いとかじゃなくて付き合うってことがよく分からなかったんじゃないかと思うよ」
我ながら適当なこと言ってる。私は本当にこんなことが言いたいのだろうか。こういうのは他人が何言ってもどうせ慰めにならないのに。
姉友「フフッ。慰めてくれてありがとー」
姉友の優しさが少し辛い。なんでだろう?親友の姉友が苦しんでるから?違う?そうじゃない気がする???????
姉友「ねえ。姉。あのさあんた」
台所からトントンとキャベツを刻む包丁の音が響く。今日はロールキャベツだ。
両親が共働きで遅い我が家は弟が不器用な私(自分ではそう思ってないのだけど)の分も料理を作ってくれる。我が弟ながらできた子だのぅ。
居間のソファーで少し長くなりすぎた黒髪を弄びながら本を読む。
台所からコンソメの香りが漂ってくる。
弟「ほい。緑茶。あと30分くらいでできるからもうちょっと待ってな」
姉「はーい」
ロールキャベツを煮込んでいる間、弟が前に座る。
弟はずいぶん逞しくなってきたように見える。
もともと運動神経は良かったが、陸上を始めたせいか
最近は体つきがますますがっちりしてきた。
背の高さもずいぶん前に追い越されてしまった。
姉「ねえ・・・」
弟「ん?」
さっきのことを思い出す。姉友は昔からの友達。
大事な親友だ。それは弟も同じはず。
どうして姉友をふったの?
そう聞きたい。しかしそれははばかられるような気がした。
姉友や弟のことじゃない。なんだか自分自身についてモヤモヤとした気持ちを
抱えている気がする。結局、私は言葉を飲み込んだ。
弟「そろそろ飯にしようぜ」
その翌日、弟は男友の家に来ていた。今日来た理由はお悩み相談だ。
男友「お、来たな。まあ入りたまえ」
男友の部屋に案内される。姉と同じ歳の男友は、弟にとっての兄のような存在である。
小学生の頃から姉、姉友、男友とはよく一緒に遊んでいた。
最近は学校以外は引きこもって部屋でネットに勤しんでいるらしい。
そのせいで目が悪くなったらしく、外で遊んではくれなくなった。
今では部屋の中がネットワークの配線で埋め尽くされてしまっている。
男友の丸いメガネがキラリと怪しい光を放った。
男友「なるほどな。両親が本当の親ではないことを知ってしまったと」
弟「うん」
先日、親戚のおばが母と自分のことについて話していた。
その時に自分が父親の従兄弟のそのまた親戚の子供であることを聞いてしまったのだ。
随分と遠いご縁だ。なにやら深い事情があったようだが
母はそれでも変わらず自分は大切な子供だと言ってくれた。
「それで何か問題があるのか?」
「いやない」
そう。それについては問題なんかない。家族は変わらず俺を大切に思ってくれるだろう。
なんとなく親友兼兄である男友に話してスッキリしたかったのかもしれない。
だから問題はそこじゃない。問題なのは・・・
男友「ふぅむ。どうやら都合が良さそうだな」
弟「何が?」
男友「いやなんでもない。とにかくお前の言ってた通り何も問題はないだろう。
お前の両親も姉もそんなことでお前に対する態度を変えない人なのは分かってるな?」
弟「うん」
そう本当はそんなことじゃなく、自分の気持ちから逃げられなくなりそうなのが怖いんだ。
男友「ところで弟。俺もお前に相談があるんだ。姉のことなんだが」
弟「?なに?」
男友「実は姉と付き合うことになった」
弟には男友の言っていることが一瞬分からなかった。
男友「来年受験が終わったら二人で大学の近くに住もうかと思ってる。それから」
男友の話が耳に入ってこない。
弟「お、俺用事思い出した!」
話が終わる前に弟はその場を逃げ出した。理解できたことは一つだけ。
大好きな姉ちゃんはもう俺のものじゃなくなる。
弟はどこ行ってるんだろう?
今日も両親の帰りが遅いので弟が御飯を作ってくれる約束になっている。
まだかなまだかなーとゴロゴロしていたところに姉友から電話が入った。
姉友「私、弟くんと付き合うことになったよ」
一度振られた姉友であったが、その後もう一度告白して弟と付き合うことになったらしい。
電話の向こうからは嬉々とした声が伝わってくる。
姉「そ・・・う、なんだ。よかったじゃない」
嘘だ。目の前が真っ暗になったように気持ちが沈んでいく。なんでどうして?
大事な親友と弟が恋人同士になれたのだ。こんなに嬉しいことはない、はず。
電話を切ってからその場を動けなかった。暗い気持ちが頭をもたげる。
自分は、最低かもしれない。
しばらくすると弟が家に返ってきた。
姉「お帰り」
弟「ただいま」
弟の表情がよく読み取れない。
気まずい沈黙が広がる。
弟「飯、作るわ」
何かしなくちゃ。こんなモヤモヤした気持ちのままじゃいられない。
弟に確かめなくちゃ。
姉「あの、私も手伝うよ」
弟「いらねえよ」
弟の声が冷たく感じる。
姉「いいから。たまには、ね?」
弟「いらないって言ってるだろ!」
払いのけようとした弟の手が、姉の肩にあたる。
ふらりとバランスを失って姉は倒れそうになった。
弟「姉ちゃん!」
倒れそうになる姉に手を伸ばす。
間一髪、弟は姉をソファーの方に引き倒した。
背中にボスンと沈む柔らかい感覚。
姉がつむっていた目を開けると弟の顔が目の前にあった。
馬乗りの体勢になったまま、弟は動こうとしない。
時計の針の進む音がやたら大きく聞こえる気がする。
ごくりと唾を飲み込む。弟の鼻息が顔にかかる。
姉「だ、大丈夫?」
弟「どう・・・して」
姉が見上げた弟の顔は今までに見たことのない表情をしていた。
弟「姉ちゃんは俺のものだ!」
悲痛な叫び声が居間に響いたかと思うと
弟は姉のブラウスを前開きにしゃにむに引きちぎった。
ボタンが弾けて、姉のライムグリーンのブラが顕になる。
姉「ぁ・・・ぃゃ」
弟の剣幕に竦んでしまった姉は必死にその声だけを搾り出す。
しかし弟の手は止まらない。
露出してしまった姉の胸元に強引に手を差し込んでくる。
はだけてしまったスカートがたくし上げられる。
両足のあいだに弟のカラダが割り込み、手が下着の上をなぞる。
そのまま姉の太腿をなで上げる。
身じろぎもできないでいる姉を見下ろしていた弟だったが、
そのまま唇を乱暴に押し付けた。
強引に自分の唇を割行ってくる弟の舌をただ呆然と姉は受け入れた。
お互いの口元が唾液でべちゃべちゃになる。

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