彼女の家で初体験の相手に再会 3
2023/12/16
「久しぶりね、ビックリしちゃった」
先生は意外なほどにアッサリとまるで悪戯が見つかった少女の様におどけて笑った。
「あの・・・」
言いたいことが沢山あった。
聞きたいことが沢山あった。
でもその笑顔で何もかもが吹っ飛んでしまった。
勝手な想像だが・・先生の台詞はきっと最初に「ごめんなさいね」とか、そういう雰囲気で始まると思っていたから、数年分の行き場を失った質問や言葉が俺の頭の中をグルグルまわって吐きそうだった。
「ユウ君それにしても大きくなったわね・・あの頃とは見違えたわ・・一瞬誰だったか思い出せなかったもの」
まるで久しぶりに会った弟を見るような目で笑い俺の手をとる。
「はあ・・・」
なんなんだろう・・なんでそんなにこの人は自然に笑えるのだろうか・・
俺にあんなに辛い思いをさせたのに・・・
「あの子はね、私がもっとずっと若い頃に産んだ子なの」
唖然とする俺をみて懐かしそうに優しく微笑みながら先生は俺が聞きたがっていることを話してくれた。
「でも相手の人が事故で亡くなってしまって」
「今の貴方なら解ると思うけど、私は当時、仕事を頑張りたかったから・・自分の親にあの子を預けていたのよ」
「そして貴方の通っていた中学校に単身赴任・・」
「自分のキャリアを優先した結果だけどやっぱり寂しかったのかもしれないわ・・」
「・・・・・・・・・・・だから貴方が娘と並んで挨拶に来た時は本当に驚いたわ・・」
「好みって離れて暮らしてても親子って似るのかしらね・・」
「あの子と一緒に暮らし始めて本格的に本当の親子関係に戻ったのはここ数年なのよ」
「ど、どうし・・」
舌がもつれて言葉が出ない。
「どうしてあんな事をしたのか?」
ヨウコ先生は俺の言葉の続きを口にする。
「今の貴方は信じないかもしれないけど、好きだったわ・・本当よ・・」
「長年娘を実家に預けてたせいで娘とは全然上手い関係が出来なくてね」
「女一人で田舎の学校に転勤して色々寂しかったのよ・・限界だった」
「可愛い盛りの娘を愛しそびれて反抗期の娘とは上手く行かないし」
「そんなところに貴方が居て・・自分の子供みたいに思ってた」
幸せそうに思い出を語るようでいてその表情の裏には暗い悲しみの色が見えた。
「だから俺を受け入れてくれたんですか?」
「ええ・・部分的にはソレは否定しないわ・・あの頃の私も弱っていたから」
「でも貴方を最終的に愛していたのは本当・・可笑しいわね・・倍以上歳が離れているのにね・・」
「最後に夢中だったのはむしろ私の方だった・・・」
とても意外な言葉だった・・俺は今の今までずっと
ヨウコ先生に捨てられたと思っていたから
「じゃあ・・なんで?」
(なんで俺を捨てていったんですか?)言葉に成らなかった。
「娘と同じ年代の貴方を本気で愛しそうになっている自分に気がついたからよ・・」
「貴方の真っ直ぐな気持ちに女として母親として全てが満たされて、ソコから抜けられなくなりそうな自分に気がついたから」
「貴方はまだ若くて将来もあるのに私がソレを台無しにしようとしていたわ」
「そんな・・」
「そんな事ないなんて言わないで・・」
俺のまた言葉を解っていたようにしてヨウコ先生はさえぎる
「今の貴方なら解るでしょう?」
「・・・・・・・・・」
「私は貴方に依存している自分が自分も貴方もダメにするって思ったから」
「自分で転任届けを出して貴方と分かれる決意をしたの・・・」
「その後何度か貴方を見にいったり様子を聞いたりしていたけれど」
「苦しむ貴方を知って何度会いに行こうとしたか解らない・・」
「実際病室の手前までいった事もあった・・」
「エミとは上手く行っているみたいね・・」
急に話題を変えるヨウコ先生。
正直先生の口からエミの話題は聞きたくなかった。
「はい・・」
「まさか、最近娘の話題に上がるボーイフレンドが貴方だったなんてね、世間は狭いわね」
ふふっと笑うとコーヒーを一口飲むヨウコ先生に昔の保健室でコーヒーを飲む先生の姿が重なる。
「名前とか聞かなかったんですか?」
「ええ、いい男の子が居るって位しかね、聞いてなかったわ」
「あの頃はまだ死んだ旦那の姓を名乗っていたしね、旧姓は東山ヨウコって言うのよ」
「そっか・・」
大体の事情がわかって・・解ってみるとなんて事は無い普通の話だった。
「そうよ」
「・・・・・・・」
2人見つめあいながら黙り込む。
「エミの事好き?」
ヨウコ先生はテーブルのコーヒーカップに目を落としながら言う。
「はい・・」
「私の事は今どのくらい好きかしら?」
「・・・・・・・・・・」
そう言ってコーヒーカップを口元に運ぶヨウコ先生の瞳はとても娘思いの母親とは思えない怪しい光をたたえていた。
・・・・・・・・
喫茶店で会計を済ませた俺とヨウコさんは言葉を交わすことなく、ラブホテル街に向かって歩いた。
こうなる予感は電話にでてヨウコ先生の声を聞いたときからあった。
いや、もっと言うならばあの日彼女の家で再会したときからだ。
エミに酷い事をしている自覚はあった。
でも、そのときの俺は彼女に失望される事なんてどうでも良くなっていた。
そしてソレは多分ヨウコ先生も同じだった。
「悪い母親だわ・・教育者としても最低・・結局何一つ上手く出来はしなかった・・・」
俺のモノを根元まで包み込みながら彼女が言う
「・・・・・・・・・・・」
「貴方が・・私の前に現れたから・・・」
ヨウコ先生は泣いているのか笑っているのか解らないぐしゃぐしゃの顔で喘いでいた。
ヨウコ先生のそこはホテルについて裸になったときから濡れていた。
「違うわ・・本当は電話で貴方の声が聞こえた時からよ・・」
獣の様にお互いの服を引き剥がしあって、狂ったように舌を絡ませ汗だくになりながらドロドロに絡み合った。
自分の唾液なのか彼女の唾液なのか解らないほどに・・・
「ああっ大きい・・・ユウ君・・」
「先生・・」
「先生はやめて・・ヨウコって呼んで・・」
「ヨウコ・・」
「あああっ・・・」
名前で呼ぶたびに彼女のそこは熱く強く俺に吸い付くようだった。
前から後ろから横から、知っている限りの形で交わった。
避妊なんて何処ふくかぜ・・
むしろ俺が出すたびに彼女は自ら子宮に押し付けるように腰を振った。
俺と彼女は会えなかった間の空白を埋めるようにお互いを求め合った。
事が終わるたびにヨウコ先生が俺のペニスを口で綺麗にしてくれる。
まるで愛おしい宝物の様に大事そうに丹念に・・それだけでまた彼女を抱きたくなる。
中にはいって暴れたくなる。
俺と先生の関係はまるで母親と息子の様に濃厚で禁断の香りがする。
先生も感じているはずだ・・普通の好きあった男女の関係じゃない。
エミに感じる異性への愛情とはまったく異質な愛情をお互いに抱いている。
エミから見れば完全な浮気だ・・それもとんでもない裏切りだ。
だが俺と先生の関係はもっと異質で異常なものの様に感じる。
まるで呪いだ・・
出会えば求めずには居られない呪い・・・
コレ無しでは良い母親も良い彼氏もまともに出来ない呪い。
恋愛感情よりもモット強烈な執着
「貴方に抱かれる幸せを手放す事なんてもう私には二度と出来ない・・」
俺の胸に抱かれながら先生は目を赤くした。
「貴方もそうだって言って・・・」
そう言ってすがる先生に俺は何も言わずにそっと唇を重ねる。
むさぼる様に先生は俺の口の中へ舌を差し入れてくる。
俺は潤み始めた先生の中へ再び入りながらいつしか考える事を止めた。