ドジで地味で可愛い黒髪ロングな高校の先輩とのキス
2018/07/27
私は背が高くて目立つせいか、中学2年の頃から同性に告白されるようになりました。
最初はバスケ部の後輩、3年のレギュラーに代わって2年の私が1年を面倒見る事が多かったからかもしれません。
自分で言うのもなんですが、顔はソニンに似てるってよく言われます。
あだ名もそのままソニンです。
最初は意識していませんでした。
というか当時の私は部活が楽しすぎて、そういう恋愛沙汰にまったく興味が無く、周りが男の子と話をしてる時も、天気予報を聞いてるような気持ちで聞き流していました。
もちろん告白されても適当に断っていました。
相手もそんな真剣にってわけでもなかったと思います。
ありがちな恋に恋する感じというか、憧れの先輩に近づきたいという気持ちが未熟な恋愛感情とないまぜになってしまった子がほとんどで、一時的に憧れて告白して、良い思い出みたな切り替えなのか、一度断ってもしつこく粘る子はいませんでした。
中学3年のバレンタインデーの時は一度に3人から告白されました。
一人は手紙、一人は放課後、一人は部活終わり駅のホームで。
内一人は一度断った子でしたが、もちろん全部お断りしました。
さらに卒業式の日に初めて同級生の男の子に告白されました。
正直初めてドキドキしましたが、初めての経験にドキドキしただけで普通に断りました。
高校に上がってから部活を辞めて、勉強一本になりました。
身長のために目立つので部活の誘いは多かったのですが、親の強い希望もあって進学コースへ進み、毎日勉強と塾の日々でした。
高校に上がって1年だし、部活も辞めたので、告白されたり女の子に囲まれる事はほとんどなくなりました。
少し寂しい気もしましたが、気にせずに勉強に打ち込んでいました。
塾には同じ学校の上級生、同級生が何人かいました。
その中であさ子(仮名)という先輩がいました。
身長は165cmくらい、黒髪ロングでメガネの大人しい感じの人で、いつも気弱そうに常に下向きで歩くので、時々人にぶつかったりしていました。
冬の日の塾の帰り、そのあさ子先輩が、朝から降り続いた雪に足を滑らせて目の前で転びました。
「大丈夫ですか?」
「あいたた・・・」
凄く小さい声で「あいたた」というのがちょっと可愛かったです。
「あ、すみません・・・」
先輩は後輩の私達にも敬語を使うちょっと変な人でした。
「ちゃんと前を見て歩かないとだめですよ」
そう言いつつカバンの雪を払ってあさ子先輩に手渡します。
「はい・・・すみません・・・。あ、いっう・・・」
立ち上がろうとした先輩が急に座り込みます。
「どうしたんですか?」
「なんか指が・・・」
そう言われてあさ子先輩の指を見ると、転んだ時の受身の取り方がわるかったせいか小指が真っ赤に腫れていました。
「うわぁ・・・」
あさ子先輩は自分の真っ赤に腫れた指を見て小さく呟きました。
「大変じゃないですかそれ!早く病院行きましょう」
「え・・・でも・・・病院は・・・」
「何言ってるんですか、ほら!」
私は部活の時に怪我した後輩の手を引いて、保健室に連れて行く気分で先輩を最寄りの病院に連れて行きました。
あさ子先輩の手は待合室で待っている間に何倍にも腫れ上がって、あさ子先輩は脂汗をかいていました。
結局、指の骨にヒビが入っているという事になって処置。
その間も私はあさ子先輩のお母さんが来るまで待合室で待つ事になったのでした。
それがきっかけというか、先輩の家が私の家の一駅前だった事もあり、学校や塾などで徐々に話すようになりました。
危なっかしい先輩は、実は成績は凄く良くて、休日に勉強を見てもらうようになりました。
「あー、今度のテスト自信ないな・・・」
いつものように駅のホームで先輩と一緒になったので勉強の事などを話していると・・・。
「じゃあ・・・ソニンちゃん・・・。今度、私の家で一緒に勉強する?」
先輩がいつものように控えめな仕草で上目遣いに聞いてきました。
「あ、いいですね!勉強会なんて中学以来ですw中学の頃は部活のメンバーとテスト前に集まって良くやったなぁw」
「いいなぁ・・・」
「凄く楽しいですよwでも勉強にはあんまりならないかもw」
先輩は一人呟くように言います。
「でかっ!!」
先輩に言われた道案内どおり、駅を降りて角を曲がり、途中のコンビニで買い物をして辿り着いた先での私の第一声でした。
先輩は「私の家」と言いましたが、家というより屋敷です。
門があるんです。
それもちょっとした古風な門ではありません、神社みたいな門です。
大きな門の横に小さい入り口が付いてる奴です。
思わずドドーンと構える門の前で、私は一人「でかっ!」とオーバーリアクションでつっこんじゃいました。
しかも壁がどこまでも続いています。
部活やってた頃は散々色んな先輩や後輩の家に遊びに行きました。
元来、物怖じしない性格の私は、どんな先輩や後輩の家でも平気でインターフォンを押して「こんちわー」と入っていけるタイプだったのですが、流石にこの門にはビビリました。
表札に先輩の名前が書いてなければとても自宅だとは思えませんでした。
コンビニで買った先輩への差し入れ・・・。
安いお菓子が物悲しい気がしてきました。
恐る恐るインターフォンを押すと、「はぁい」と先輩に良く似た少し間延びした声が聞こえました。
先輩かなと思いつつも念のために・・・。
「あの、ソニンと言います。あさ子先輩のお宅でしょうか?」
「あ、はいはい、あさ子ちゃん、お友達よ~」
どうやらお母さんのようです。
声だけであさ子先輩がお母さん似なのはわかるくらいでした。
「いらっしゃい・・・」
これまた広い玄関で先輩が迎えてくれました。
先輩は、もこもこの羊のようなセーターを着ていて、いつものメガネをしていませんでした。
「・・・ソニンちゃんの私服だ」
「そういえば私服で会うの初めてですねw」
その日の私はジーンズに上はパーカーとダウン・・・。
ラフもラフ・・・、まあお洒落を知らない、お察し下さいな格好。
先輩の部屋はぬいぐるみが沢山置いてありました。
私の部屋にもちょっとはそういうのはあるのですが、UFOキャッチャーで取った物がほとんどで、こんなにメルヘンではありません。
見るからに高そうなテディベアとかフリルだらけのぬいぐるみとかがいっぱいでした。
思えば、ここまで女の子らしい部屋は、今までの後輩先輩にも一人も居ませんでした。
「ぬいぐるみ、すごい沢山ですね」
「・・・小さい頃から集めてたんだけど増えちゃって・・・」
頭をぽりぽりしながら照れて話す先輩が少し可愛く見えました。
2人で勉強しているとお母さんがメロンを持ってきてくれて、ますます差し入れのお菓子を出しにくい雰囲気になってしまいました。
先輩はやっぱり真面目で、2人で本当に勉強をする感じでした。
わからない所を質問すると凄く丁寧に教えてくれました。
勉強が一段落したので、2人で雑誌を見たりして、テストが終わったら遊びに行こうという話になりました。
先輩は一度も友達と遊びに行った事がないという事なので、カラオケやゲームセンターを案内する事になりました。
テストは先輩の助けもあってなんとか乗り切ったので、2人で遊びに行く事にして、待ち合わせをして出掛けました。
その日の先輩は、学校での地味な先輩とは思えないくらいお洒落。
たぶんこの姿を知ったら学校の男子が放っとかないだろうと思えました。
「じゃあ行きましょうか」
私はそう言うと自然に先輩の手を引いて歩きだしました。
後々の話ですが、割と私には普通の事だったのですが、先輩には結構な衝撃だったようです。
その後もずっと手を引いて歩き、UFOキャッチャーとかコインゲームとかエアホッケーで遊びました。
なんというか手を引いてないと迷子になりそうな頼りなさがあったので自然と手を引いて歩いてただけなんですけどね。
先輩はこの時の私のエスコートでだんだん私の事が特別に見えるようになっていったようです。
カラオケでたっぷり歌い、先輩を楽しませてその日は終了。
ちなみに先輩は童謡を歌いました。
さすが将来保育士になりたいとか言うだけの事はありました。
それからは本当に良く2人で勉強したり話をしたりするようになりました。
とにかく何気ない事が凄く面白い先輩で、見ていて新鮮で私も退屈しませんでした。
2人だけで遊ぶだけじゃなく、よく私の他の友達とも一緒になって遊びました。
先輩はその度に凄い人見知りでしたが、最終的にはその天然ぶりが皆に受けてアイドル扱いでした。
ある意味では上手く行き過ぎたのかもしれません。
私にとって先輩は凄く居心地の良い人でした。
人の悪い事も言わないし、いつもおっとりしてるけど優しく笑って柔らかい空気を持っている。
なんと言うか、お姉ちゃんがいたらこんなお姉ちゃんがいいなというような人です。
とにかく一緒に居ると癒されるので実に気楽でした。
そのうち私も先輩の事を「あさ子ちゃん」と呼ぶようになって、最初はビビっていた先輩のお屋敷にも気楽に遊びに行けるようになった高校2年の夏。
その日もいつも通り先輩の家で私が持ち込んだゲームをしたりしていました。
先輩はゲームは苦手なのでもっぱら私が遊んでいるのを隣で楽しそうに見ているだけでした。
ゲームに一息入れて休憩していると急に眠くなってきました。