妻の浮気を想像しただけで… 1
2024/01/19
僕は妻の理恵と、幸せな新婚生活を送っていました。
結婚してから理恵を想う気持ちは冷めるどころか、日毎に深くなっているのを感じていましたし、ほぼ毎晩、お互いの心と体で愛を確かめ合い、ふたりの気持ちが一つであることを実感していました。
その日も、十分に愛を確かめ合った後、ベッドで余韻を楽しんでいました。
いろんな会話をしているうちに、話題は同僚の浮気のことに移っていました。
「もし私が浮気してたら、どうする?」
人差し指で僕の乳首を弄りながら、理恵は冗談っぽく訊いて来ます。
「そんなことがあったら、怒り狂うだろうな・・・」
僕は天井に目を向けたまま、笑顔でそう答えました。
理恵が他の男と浮気をするなんて、今まで考えたこともありません。
しかし、あまりにも現実とかけ離れているそんなシーンを想像してみると、激しい嫉妬を感じるその先に、別な感覚があることに気付きました。
一見嫉妬とは正反対であるように思え、実は嫉妬の延長線上にある、その奇妙な感覚・・・僕はその感覚が頭の中ではっきりとしてくるにつれ、今まで理恵に感じていたのとは違う興奮を覚えました。
「でも・・・理恵がもし浮気していたら、俺興奮しちゃうかも」
今の気持ちを正直に口にします。
「あはは。何それ?私に浮気して欲しいってこと?」
理恵が悪戯っぽく笑います。
「まさか。愛してるよ、理恵・・・」
僕はその奇妙な感覚を頭の中から消し去ろうとしながら、理恵と濃厚なキスをしました。
しかし、奇妙な感覚は消えるどころか、ますます僕の頭の中で大きくなっていました。
理恵の浮気を想像しただけでこんな気持ちになるなんて、どうかしている・・・。
そう思う気持ちと、理恵の浮気を目の当たりにした時のことを想像して興奮する気持ちとが頭の中で激しく入り乱れていました。
ある日、理恵とテレビを見ていると、浮気を題材にしたドラマが始まりました。
理恵は何も考えずにドラマを見ている様子でしたが、僕は登場人物を自分と理恵に置き換え、とても興奮して見ていました。
そして、たまらなくなった僕はつい口にしてしまいました。
「理恵が・・・こんな風に浮気してくれたら俺・・・興奮するかも・・・」
「え?」
理恵が驚いたような表情で、僕を見ました。
「どういうこと?」
「い、いや・・・あの・・・」
「この前もそんなこと言ってたよね?」
理恵が険しい表情で僕に詰め寄ります。
「私のことどう思ってるわけ!?」
「あ、愛してるよ!愛してるからこそ・・・」
「からこそ、何よ?」
理恵は仁王立ちしています。しかし、表情は既に崩れ今にも泣き出しそうです。
「信じて・・・たのに・・・」
「いや・・・だから・・・」
僕はしどろもどろになっていました。
「雄治さんなんて・・・もう、知らないっ!」
「あ!待てよ!」
理恵は僕の制止も聞かず、泣きながら家を飛び出して行きました。
マンションの外に出ても、既に理恵の姿はどこにも見えません。
(とんでもないこと言っちゃったな・・・)
僕は、不用心に発した一言を後悔していました。
もちろん今までに些細なことで喧嘩になったことは何度もありましたが、理恵が家を飛び出していったのは今回が初めてです。
(もう変な想像するのは止めよう。理恵が帰って来たら謝ろう)
僕は自分にそう言い聞かせました。
愛する理恵を傷つけてまでも、変な妄想を膨らませることは出来ません。
僕には理恵が居てくれることだけで、幸せなのだから・・・。
しかし、すぐ帰って来ると思っていた理恵は、いつまで経っても戻って来ません。
もう夜の0時を過ぎていました。
さすがに心配になった僕は、理恵の友達に片っ端から電話をかけました。
「理恵ですか?来てませんけど・・・どうしたんですか?」
「ちょっと喧嘩しちゃってさ」
何人にかけても、同じやり取りの繰り返しです。
僕はますます焦りました。
(理恵・・・お願いだから戻って来いよ・・・)
そう祈るしかありませんでした。
空がうっすらと白みを帯びてきた頃、玄関のドアが開く音がしました。
テーブルに顔を伏せていつの間にか眠っていた僕は、その音にはっと気付くと急いで玄関に向かいました。
そこには、理恵が立っていました。
「理恵・・・」
僕は涙が出そうになるのを必死で堪えながら、理恵を叱りました。
「こんな時間まで・・・どれだけ心配したと思ってるんだよ!」
「雄治さんのお望みどおりにしてきたんだから、怒んなくていいでしょ?」
「!?」
僕は言葉を失いました。僕の望みどおりとは・・・つまり・・・!
「理恵・・・」
「あー疲れちゃった。私もう寝るから」
理恵は僕の脇をすり抜け、ベッドルームへと消えました。
理恵が・・・僕の理恵が・・・そんな・・・そんなこと・・・!
僕は混乱していました。
自分が妄想し、興奮していたことを、あの理恵が本当にやったというのか!?
(言わなきゃよかった・・・あんなこと・・・)
僕は理恵が浮気をするという妄想をしていたことを、心から後悔していました。
それが現実のものとなってしまったことで、今までの幸せな新婚生活が音を立てて崩れていくような気がしました。
僕の不用心な一言で、全てが想像もしない方向に動き始めたのです。
僕はもう一睡も出来ませんでした。
正午少し前にやっと理恵が起きてくると、僕は再度問いただしました。
「俺の望みどおりって・・・何して来たんだ?」
理恵は全く躊躇せずに言いました。
「だから、雄治さんの望みどおりよ。浮気してきたの」
今までの、僕に甘えているような感じの理恵ではありませんでした。
理恵本人から浮気という言葉を聞いた僕は、ますます動揺していました。
そんな僕の気持ちを察したかのように、理恵は話を続けました。
「あなたと結婚する前に告白してくれた後輩がいてね、その子と会ってたの」
「いったい・・・何をしていたんだ?」
僕は尚も動揺していました。
愛する理恵が・・・理恵に告白した後輩と会っていたなんて・・・。
激しい嫉妬に襲われていました。
「何をしていたって・・・決まってるでしょ?」
理恵は愉快そうに笑っています。
僕は目の前が真っ暗になりました。
昨日まで幸せな新婚生活を共に送っていた理恵の表情は、欠片も見えません。
改めて、自分の禁断の妄想を後悔していました。
しかしそれと同時に、嫉妬の延長線上にあるあの感覚も再び沸き上がって来ているのでした。
「決まってる・・・って・・・」
僕は言い返すことが出来ませんでした。
「私の口から聞きたいの?」
理恵はますます愉快そうでした。
僕を嫉妬させて楽しんでいる様子でした。
「そ・・・んな・・・」
「聞きたいのかって聞いてるの。どうなの?」
妻に浮気をされたというのに、いつの間にか僕ではなく妻が主導権を握っているのでした。
そんな自分の情けなさと、妻の開き直りぶりにますます興奮していました。
自分自身との葛藤の末、僕は口を開きました。
「き・・聞きたい・・・よ・・・」
それは実の夫としてはあまりにも情けない一言です。
しかし、その一言を発した僕は興奮を隠せずにいました。
「ふーん、聞きたいんだ」
妻は僕の気持ちをすっかり察したかのように言いました。
「セックスしてきたの。セックス」
その一言は、僕を打ちのめすに十分なものでした。
理恵の口からセックス・・・しかも、僕以外の男と!
でも僕は、それを叱ることすら出来ないのです。
何故なら、僕が望んだことなのだから・・・。
妻を叱るどころか、僕は夫としてあってはならない事を聞きました。
「どんなセックスしたのか・・・教えて・・・」
「はあ?」
理恵は呆れた顔をしていました。
「あなたって人は・・・自分の奥さんが、他の人としたセックスのこと聞きたいの?」
「う、うん・・」
僕はもう興奮を隠せずにいました。
決して、理恵を愛していない訳ではないのです。
むしろ、愛して、愛しすぎているからこそ、理恵の他人とのセックスに恐ろしいほど興奮してしまうのです。
そのことは、最初に妄想した時から気付いていました。
「理恵のこと・・・愛してる。すごく・・・だからこそ聞きたいんだ。
理恵の・・・他の男との、セックスのことを・・・!」
今の気持ちを口にしました。
理恵の表情が少しだけ穏やかなものになった気がしました。
理恵も、僕の複雑な気持ちを分かってくれているようです。
「私も、愛してる。雄治さんのこと」
そう言った後、理恵はまた僕に見せたことがないような嗜虐的な表情に戻りました。
「彼・・・孝史君って言うんだけど、すごく上手だった」
それを聞いただけで、僕は自分のペニスがむくむくと勃起していくのを感じていました。
本当に・・・したんだ・・・理恵が他の男と・・・!
少なくとも結婚してからは僕だけしか知ることの出来ない筈の妻の身体。
そんな妻の身体が、僕の知らない男のものになった事実・・・。
それに興奮する僕・・・。
そんな禁断の勃起は、最近に無いほど激しいものでした。
「興奮してるんでしょ?」
理恵には、僕の気持ちが全てお見通しのようです。
「興奮・・・してるよ・・・」
僕はもう理恵の為すがままです。
今まで僕が完全に理恵のことをリードしてきたのに、今では理恵のほうが主導権を握っています。
理恵は楽しそうに今朝の出来事を僕に話して聞かせます。
「孝史君ね、雄治さんのよりすごく大きかった。スゴいアレで、私を愛してくれたの」
僕のより立派なペニスが・・・理恵を、愛した・・・。
一言一言が、僕にはものすごく刺激的です。
「しかも孝史君、私のこと2回も愛してくれたの。
いつも1回で終わっちゃう雄治さんとは大違い」
「そ・・んな・・・!」
僕よりも立派なペニスで、僕よりも精力的に理恵を愛したというのです。
目の前に座っている妻、理恵。
心も体も僕のものである筈なのに、今ではもう僕だけのものではありません。
天使のような笑顔、豊かなバスト、くびれた大きなヒップ、透きとおるほどに白い肌・・・このTシャツとショートパンツに包まれている理恵の全てが、僕の全然知らない男のものになってしまったのです。
そして、そんな現実を突きつけられて、僕は怒り狂うどころか頭が痺れるような興奮を覚えているのです。
「浮気は旦那の希望だよって教えてあげると驚いてた。
そういうことならいつでも僕のところにおいでって言ってくれたの」
妻が嬉しそうにそう話すのを聞いて、僕はますます嫉妬で興奮していました。
僕はたまらなくなり、真っ昼間であるにもかかわらず、妻の後ろから手を伸ばし、Tシャツ越しに乳房を愛撫し始めました。
「あ・・何?」
「俺、我慢出来なくなっちゃったよ・・・いいだろ?」
「ふふふ・・だーめ」
理恵は僕の手を退けました。
「そんな・・・どうしてだよ」
「だって朝までしてて疲れちゃったし、それに・・・」
「それに?」
僕は生唾を飲み込みました。
「実は今夜も、会う約束しちゃったんだあ」
理恵が嬉しそうな表情をします。
「え!そんな・・」
僕は言葉が続きません。
セックスを拒否されたのも初めてですが、それよりも今夜また理恵がそいつと会うということを聞かされたことのほうがよほどショックでした。
「あなたのお望みどおりにしてあげてるんだから、もっと喜んだら?」
胸に沸き上がる複雑な感情でいてもたってもいられないような気分でした。
理恵はあくまでも嬉しそうな顔をしています。
それは僕が理恵と付き合い始めたばかりの頃、理恵が僕に会える嬉しさからよくしていた表情です。
そんな表情を、僕の知らない男に対してするなんて・・・。
でも僕には、そんな理恵の全ての行動について、止める資格は全然無いのでした。
<続く>