あるきっかけで。

2018/09/09

数日前投稿したゆうです。
私が勤めるオフィスは、JR川崎駅東口から徒歩分のソリッドスクエアと言う名の商業ビルの中に入ってます。
桜の季節は、駅から会社までの線路を右手に見ての桜並木が素晴らしくて、地方出身の私が唯一心を癒してくれるスポットでした。
だけど、去年の月、課長との一件以来、こんな悲しい気分で桜並木を潜るとは夢にも思いませんでした。
女の究極の喜びは、最終的に最良の伴侶とめぐり合う事よと、母の言葉を思い返しています。
望まれる結婚、それも一つの選択肢でしょう。
だけど、一方的に好意を寄せられて、私の考えを無視したプロポーズなんて到底受け入れられないんです。
課長との関係を何とかしたいと悩み続けてヶ月、救世主が現れたんです。
私の勤めるオフィスは、JR川崎駅から徒歩分のスクエアと言う名の商業ビルの中にあります。
桜の季節には、駅から続く桜並木が、ギスギスした日々のモヤモヤを一瞬でも癒してくれるので、私はここを歩くのが大好きなんです。
けど、この春は、課長との事が深い悩みの種になって、悶々とした気分で毎日桜並木を潜っています。
これほど愛されているんだから、課長の思いを受け入れようかなと考えた事もあります。
だけど、私の意志を一方的に無視し、お酒で酩酊させて無理やり関係を結ぶやり方なんて、絶対イヤなんです。
課長と私の間には、課長が勝手に考えた暗号メールがあるんです。
「今晩付き合え」。
は、「クライアントに連絡を」で来ます。
何回かそれを無視して連絡もとらないと、ある日自宅の郵便受けに差出人不明の封筒が入ってるんです。
部屋に入って開封すると、眠った私が黒い男性自身を口一杯頬張ってる写真が何枚も入ってるんです。
さすがに驚きフロアに尻餅を着いてしまいました。
絶対に課長です。
けど、証拠がありません。
翌日出社後同じメールが来て、その夜は課長に抱かれました。
味をしめたのか、翌火曜日、「金曜日にクライアントへ」と携帯メール。
その瞬間吐気を催し、トイレに駆け込みました。
体調を気使った女性の上司が、早退を薦めてくれたので、その日は帰宅する事にしました。
会社の入ってるビルは、階は大きな円形の天窓があり、その下は直径m位ある円形の噴水施設があるんです。
普段は表面を水で覆い、さながら湖の様です。
ここで定期的にクラッシクコンサートを開催したり、このビルを利用する人達の憩いのスポットです。
ホール内にあるドトールでアイスカフェオレを買い、水面を眺める木のベンチに腰掛けました。
しばらくボウっとしていると、右肩をポンと叩かれました。
振り向くと、社長がニコニコして立っていました。
「○○課の○○さんじゃなかったけ。」元気ないね、どうしたの。
この社長は私がこちらの事業所に派遣当時から色々親切にして頂いたんです。
社長と言ってもまだ才ソコソコ、プロパーではなく大手損保会社出身です。
背が高く近くあり、風貌が俳優の児玉清さんの様な優しい眼差しなんです。
「最近○○さんの様子が変だと噂が立ってるうんだよ。何か悩みがあるんだったら相談してくれないか、力になれるかもしれないよ。」社長は長身を折る様に私の隣に腰掛たんです。
ロマンスグレーの横顔は、少し西日が当たり時々眩しそうに微笑みながら私を見つめます。
・・・・・・「あのう、実は、」物腰の柔らかい社長の問いかけに思わず私は。
・・・・「うんうん」と社長。
にこやかだけれど、しっかりと私の目を見つめてます。
しばし沈黙し喉元まで力が入った瞬間、右手の甲に一滴の涙が落ちました。
社長は一瞬動揺しましたが、次の瞬間胸が張り裂けそうになり、我慢してたけど、堰を切った様に大声で泣いてしまいました。
うろたえる社長を尻目にホールで寛いでいた人達は一応に驚いているようでした。
社長は優しく私の右手を握り、「話してごらん」と児玉清さんが微笑みます。
爽やかな初夏の風が吹き抜けるホールで、私は、洗いざらい課長との関係を打ち明けました。
恥ずかしい内容にも、ジッと目を閉じ逆質問もせず静かに聞いてくれました。
・・・・・・・少しの沈黙の後社長は、「ありがとう。よく話してくれたね。」と一言。
ポケットからバーバーリーのハンカチを取り出し私に握らせると、「お疲れ様、気を付けて帰りなさい。」すうっと立ち上がりエレベーターホールの方へ戻っていかれました。
私は話して良かったのか、すぐには判断できませんでしたが、胸のツカエは取れました。
とにかく疲れていた私は翌日から今週一杯体調不良で休む事にしたんです。
そして週明け、おもい気分で出社すると、あの課長の姿が見えません。
上司に聞くと、「何でも公金を使いこんだらしいとしか聞いてないのよ」との事。
私は思いました。
公金横領など、あの気の小さい課長がする筈がない。
社長が動いてくれたんだと。
私は嬉しさ不安の入り混じった複雑な思いで窓を叩く桜の花びらを見つめていました。
続きは次回投稿します。

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