飛葉大陸とエメロン
2018/05/23
俺の彼女は両足がひざから義足なんだけど
後ろに乗せてあげたいんだ。
俺はいつも彼女に大事なことを教わってる。
俺の方が年上なのに。
初めて有ったとき、俺の不注意でバイクで車いすの彼女を転ばしたんだ。
(ぶつかった訳じゃないけど、目の前を横切って驚かした)
俺が助けようとしたら、彼女は優しく断って独りで車いすを起こして
独りで車いすに座ったんだ。
おろおろしている俺を見て微笑んで言った。
「バイクも転んだら独りで起こすんでしょ。」
「でも、見守ってくれたから心強かった。アリガト」
笑った彼女がまぶしかった。
俺、そのときから、一目惚れだったと思う。
そんとき名前も住所も聞かずにいた(おろおろして聞きそびれた)ので
何日も同じところ通って(ほとんどストーカーw)、見つけた日に「友達になってください!」って告白したよ。
俺が二人乗りの許可を彼女の両親に取りに行った時
おやじさんが娘のことを
「うちのエメロンをよろしく」って何度も言った。
俺は「エメロン?」
「エルメス」の間違い?って思ったんだ。
あとで彼女に聞いたんだけど、彼女も判らないって言ってた。
ぐぐったら「シャンプー」の名前ってことは判ったんだけど
昔のバイクか何か?
オヤジさん昔バイク糊だったらしいし。
——————————————————————————–SPDシューズ&ペダル一式買ってきました。
シューズがとっても高かったので537の言う通りベルト式にしようかと思ったが
彼女(エメロン)の「私の場合、靴減らないから一生モノw」というセリフと
ちょっとでもオサレな感じで乗せてあげたくて奮発しました。
今日、装着しに行きます。
みんな、いろいろとありがとう!!!!!!それともう一つ、自転車やのオヤジにも感謝。
(ここで言ってもオヤジに分からないだろうけど、みんなに聞いてほしい)
事情を聞いた自転車のオヤジさん、バイクのステップにつくかどうか心配したら
「心配するな。着ける。絶対着ける。おまえは彼女のことを心配しろ!」
って涙目で言ってくれた。
お礼のかわりと言ってはナンだが
エメロンがチャネラーじゃ無いことが確認できたら
ただの友達→彼氏昇格編を書きます。
バイクも多少まつわってたし。
——————————————————————————–エメロンが2chを見てないことを確認できたので、約束通り投下します。
結構忙しい身なので、ちょっとづつですが間が空かない様にカキコします。
まずエメロンの謎が解けました。
結局は言い出した彼女の父親に聞いたのだけど
「ワイルドセブン」という古い漫画に出てくるヒロインらしい。
そのヒロインは
彼女と同様に両足義足で、主人公が彼女をバイクに乗せるシーンが
有るということらしい。
また、そのバイクを乗せる主人公の名前が飛葉大陸なのでコテハンに使います。
おれはとにかく彼女(以下エメロン)と知り合いになることができた。
エメロンを見つけた日、バイクを止めて走って行き、彼女の前まできたら
「友達になってください」って言った。
それより、まずメット位脱げよ、俺。
エメロンは最初は怪訝な顔をしていたが、俺のことを思い出すと笑いながら
「うふふふ。これってナンパですかぁ?」
「私ナンパされるの初めて。」って嬉しそうに俺に言った。
俺もこんな状況は初めてだったが、ここで友達にしてもらえないと
一生エメロンに会えなくなりそうで必死だった。
俺は一日一回はエメロンにメールを送った。
その日にあったことや
自分の事を書き込んだ。
たわいもない内容のメールのやり取り。
エメロンも毎日返事をくれて、俺のメールを興味深そうに返事をくれた。
「うん、飛葉くんはその後どうしたの?」
「あはは。おもしろーい。それで?それで?」
エメロンもときどきは自分の事を書き込んできた。
お互いに少しづつお互いを知るようになった。
3ヶ月位かな、二人はメールだけのやり取りだった。
俺はいつでも会いたかったんだけど、エメロンは
「私をつれて歩いても面白くないよ。」って言って、会おうという提案を
受け入れなかった。
俺はいつまでもメル友からそれ以上に昇格できないことを悩んでいた。
俺はどうしてもエメロンに会いたかったので、どうしたら彼女に会えるか
無い知恵を絞って考えた。
エメロンは子供の頃に事故で両足を切断して以来、健常者に負けないだけの
スキルを身に付けることを心がけている。
3カ国の外国語(英、仏、中国)を身に付け、翻訳等の仕事(バイト)だけでも
通常のサラリーマン程度の稼ぎはある。
今は中国語のスキルアップの為に
英会話学校(?)に週1回通っている。
俺はその通学時間に合わせて学校の前で待ち伏せをすることにした。
いきなり会いに行って驚かしてやろうと考えた。
夕方、人通りの多い駅前で
俺はバイクにまたがってエメロンを待っていた。
俺は最初になんて言おう。
「彼女〜。お茶しない〜。」なんて言ってみようかと
一人ニヤニヤしてエメロンが来る方向を見ていた。
車イスに乗ったエメロンは遠くからでも簡単に見つけられた。
こちらからみると
通りの反対側の歩道を彼女が進んでくるのが見えた。
手を振ったが彼女は気が
つかないようだった。
向こう側の信号を渡ったあと、歩道に乗り上げる為には段差を乗り越えなくては
ならない。
健常者にとっては大したことのない段差だが車イスにとっては
難しいようだ。
さらにそこには自転車が止めてあり、通行が困難な状態になっていた。
エメロンは
慎重に段差を越えようとしたが、車イスは自転車にぶつかって自転車は倒れて
しまった。
困っているエメロンが見えたが、道路の反対側なので助けにいけない。
自動車が
途切れるのを待っていたが、一向にとぎれない。
だれもエメロンを助ける人はいなかった。
エメロンは懸命に手を延ばして
倒れた自転車を起こそうとしている。
通りがかったサラリーマンに車イスが
ぶつかってエメロンは謝っている。
エメロンも転びそうだ。
たった1分ほどだったがものすごく長く感じた。
車が途切れると俺は道路を
横切ってエメロンの所に走り寄った。
俺「エメロンさん。大丈夫?」
エ「・・・・・」
俺「自転車、俺が起こすよ」
エ「・・・・・」エメロンを見ると下を向いて涙ぐんでいた。
そして
「・・・障害者と歩くと言うことは、こうゆうことよ・・・」って言った。
エメロンは英会話学校に向かって進んで行った。
俺はエメロンの後を追うことはしなかった。
俺はさっきまでいかに甘い考えで
いたかということを切実に思い知った。
こんなこと書いたら応援してくれてるみんなに叩かれるかもしれないけど
俺ははっきり言って、その時まで障害者とつき合うことに酔っていただけ
だったと思う。
「なんか、車イスの美少女とつき合ったらカッコいいな」位の見栄や
「障害者に優しい俺」に酔ってる位だったと思う。
だから現実を突きつけられて
ビビったんだな。
その夜、エメロンから短いメールが来た。
「八つ当たりしてごめんね。」
俺は返事を出さなかった。
なんて書いたらいいか判らなかった。
自分が偽善者の様で何を言ってもうそを書いてるようで。
次の日も短いメールが来た。
「怒ってるの?」
やはり、俺は返事を書かなかった。
次の日はメールが来なかった。
1週間経ってもメールは来なかった。
俺には高校時代からの友人のヘボピー(ワイルド7より引用)と言うヤツが
いてよくに二人で飲み行く。
こいつもバイク乗りで、俺達はなにかとよく
つるんでいる。
その日もヘボピーが持ってきた酒で俺達二人は俺の部屋で酒を
飲んでいた。
ヘボピーはいつものおどけた調子で、俺にエメロンの事をきいた。
へ「おいひばぁ、いつになったらお前のエメロンちゃんに会わせてくれるんだ?」
飛「もう無理かも」
へ「へ?」俺は1週間前の事をヘボピーに話した。
すると、いつもお調子者のヘボピーが怒気を含んだ声で俺に言った。
へ「おい・・お前それでエメロンに返事出さなかったのかよ」
飛「なんて書いていいか判んなくてな。障害者にどうすりゃいいのか判んなくて」
へ「・・・関係ねえよ。」
飛「え?」
へ「関係ねえって言ってんだよ!。 てめえ、それで良いのかよ。」
飛「・・・・」
へ「障害者とか、どうとかというの関係ねえよ。
お前がそれでいいのか聞いてんだ
好きだったら助けたい。
好きだったらそばにいたいで良いじゃねえか!」
飛「・・・・」ヘボピーはほとんど怒鳴り声になって俺をせめた。
へ「第一、どうして最初に追いかけなかったんだ。」
飛「なんか、俺、エメロンに言われたことがグサッと来てさ・・」
へ「ばかやろう!お前が追いかけなかったらエメロンはもっと傷つくだろ。
謝りのメールを出すのも勇気がいったはずだ! それなのにお前は・・・
好きだったら腹くくれよ。
ビビってんじゃねえよ」
飛「俺、メール・・、いや電話するよ。」
へ「今だ。今。まだ11時前だ」
飛「今か?」