妻と義兄 2
2018/10/26
当日の朝、綾は意外な事を言い出しました。
「ねー、パパ、今夜、私も出かけてきて来ていいかな」
(ドキッ!やっぱり嫌なのか、この展開)
聞いた義兄はガッカリした表情を隠しません。
「何時頃?」絶望しながら聞くと、
「ん?、そんなに遅くならないけど、子供達を寝かしつけていると遅くなっちゃうから、子供達、お義父さんに頼んでいいかしら」
オヤジは喜ぶに決まってます。もともと子供好きのオヤジの孫の可愛がり方はあきれるほどでしたから。
「あー、綾さん行っといで、綾さんここんとこ、大変だったしな、」案の定です。
私は病院帰りで時間もなく、仕方なく承知する他ありませんでした。
落ち込みながら、仕事をしていた私でしたが、昼食時、ふと、重大な事に気付きました。
(ん???オヤジに子供をあずけるって事は、母家は、綾が帰ってから、朝まで、義兄と綾が2人きりということか?!)
両親の離れは廊下でつながっているものの、1階から行かねばならず、母家の2階にあるリビングと離れでは、隣の家の様に離れています。
(考えた末、義兄を避けたのではなく、義兄と2人きりになろうということか?少なくとも、望まなくて何かの展開があっても、誰にも知られないようにという事か? 綾は、展開を、覚悟している)私は、とどめを刺す意味と、綾の反応を確かめるべく、昼食も途中にして、綾に電話をしました。
メールでは考える余裕を与えてしまうと思ったからです。
「あ、綾?俺さ、家の鍵忘れちゃったんだよ、それでさ、仕事終わったらそのまま出かけちゃうからさー、朝6時過ぎになるけど、チャイム鳴らすから開けてくれる?悪いけど」
「あ、そうなの、わかった、6時過ぎごろね、」
「ん、わるいね」
「んん、それで、本当に6時過ぎなのね、夜中じゃ出られないかもしれないから」
「そう、大丈夫、夜中には起こさないから、ゆっくり寝てていいよ」
「ん、わかった」
最後の言葉は、明らかにうわずっていました。それに、綾はこれまで私の帰る時間を確かめた事もありません。酔っ払ってなくすからと、かぎを持たせなくしたのも綾でした。
明らかに綾はいつもの綾ではありません。(義兄の視姦や、それ以上の危険を覚悟している。やはり間違いない)
午後の仕事が長く感じられ、ようやく退社の時間になり、車に乗り込みました。
そして家に向かいました。
帰りの車中、私の頭の中で昼の電話の綾子の声が何度も蘇ってきました。
「本当に6時過ぎなのね、夜中じゃ起きれないかもしれないから」
ありえない話です。2年ほど前、夜中に帰ってきて綾がインターホンの声に気付けず、しかたなく親の離れに行って親を起こし、それがきっかけで、私達の寝室まで線を伸ばしているんですから。事実、4時頃帰ってきて、寝ている綾を起こしたのは、つい、半年前。そのとき綾は私の横腹を指でつついて、「よかったネ、今日はお義母さんに叱られなくて」
こんな間違いだらけの綾子の話は始めてでした。
「夜中じゃ起きれないかも知れないから」が、何時の間にか
「夜中じゃ出られる状況じゃなくなってるかもしれないから、ごめんね、パパ」
そんな綾の声を妄想し始め、何時の間にか猛烈にスピードを上げていました。
いつもの半分程の時間で家に近付いてしまいました。
万が一、外で会う相手が義兄だったらの可能性も考え、まずは家に向かったのですが帰る訳にはいきません。
考えてみると、無謀な策略で何も細かい計画など立てられていない事に改めて気付き、少々焦る自分がありました。
家の前を通り過ぎ、まずは綾の車がある事を確認しました。
(よし、まだ出ていない)
家の前が空き地になっていましたが、まさかここで待つわけにもいかず、広い分譲地の中をグルグルまわっていました。家が見えるところで見られにくい所はなかなかむずかしく、結局、家の斜め後ろの空き地に止まりました。売れていない空き地を駐車場代わりに使っている人が多く、幸い1台止めてあったので影になる方に止めました。
何故か背中が汗でビッショリになっていました。
10月に入ったばかりでしたがもう残暑の時期は過ぎていました。
前から車を突っ込んだ為に右に捻りながら家を観察していましたが、すっかり日が沈んだ頃、脱衣所と風呂の明かりが点きました。(誰が入っているのかな?)綾の進行状況がわからず、少しイラついてきました。
車を降りて、家に近付こうとした時、義兄の車が戻ってきました。
慌てて車の陰に隠れました。
普段なら周りの見る目も気になるところですが、もう、臨戦態勢に入っていました。
少し間をおいて又近付いていきました。敷地に入り、奥の風呂場の下に立ちました。
子供達の大きな声とオヤジの笑い声が聞こえました。
3人で入っているようです。
綾と交際中に子供が出来てしまい、話し合いの末、まだ経済力のなかった自分達は堕胎を決めましたが、どうしたらよいか分からず、おふくろに内緒でオヤジに産科を紹介してもらい、3日間体を休める為にホテルまで取ってくれたオヤジ、悪い遊びをして病気の心配に悩んだ時も、泌尿器科に時間外にみて貰えるよう手配してくれた。
親友の様に扱ってくれた親父に、今、綾の危険な冒険にまで騙して協力させている事に胸が痛くなりました。
と、その時、綾の声が聞こえました。
「お義父さーん、大丈夫ですかー」
「ハッハッハッ、大丈夫大丈夫、綾子さんもそろそろ用意して出かけていいよ」
「すみませーん、子供達の布団も敷いておきましたからー」
「え?、今日、オジーちゃんのとこでねてもいいの?、うわー、やったやったー」
(いい子達だ!)
車のところに戻ろうとした時に、ふと義兄のいる部屋の前で立ち止まりました。
義兄の好きなジャズが聞こえました。私は何度きいてもすぐに眠くなります。
ふと、(出る前に何か打ち合わせしたりしまいか?)妄想が働きます。
私は部屋の反対側に回りました。綾が階段を下りてくるところに義兄の部屋の入り口があります。その小さな窓。格子がついているため、鍵を掛けていない窓がたくさんありました。
果たして、鍵ははずれていました。が、ゴムがくっついてしまったのかなかなか開きません。
普段ならありえない指の力。バキッ!大きな音がして開きました。あわてて身をかがめてしまいました。
暫らくして、綾が階段をおりてきました。義兄の部屋の前を通り過ぎかけ、立ち止まりました。
左手を握ったまま口にあてて、何か考えているようです。(???なんだ?なに考えてんだ?!)
くるっと振り向くと、義兄の部屋をノックしました。
「お義兄さん、ちょっと出かけてきます」
バタバタ音がして義兄がドアを開けました。すごい勢いで開けたために、綾はビクッとしていました。
「あ、もう行っちゃうの?」(行っちゃうの???恋人でもあるまいし、何様だ?!)
「え?ええ、あの、夕食用意しておきましたから・・すみません」
「え、あ、いや、すみません、何時頃になるのかな、帰るの、あ、いや、インターホン鳴らして下さい、玄関開けますから」
「あ、大丈夫です、鍵持ってますから、すみません、行ってきます」
綾はちょこんと頭下げて小走りに玄関にいきました。
(アッ、シマッタ!)
私は走りました。綾が出る前に車に!玄関横を通り過ぎないと外に出れません。
何とか車にたどり着き、エンジンをかけました。
どうやら外で会うことは無さそうで、一安心!あれからの進展はなさそうでこれも一安心。
必要は無くなりましたが何時の間にか私は綾の後を追っていました。
綾がいとおしくてたまらなくなりました。今すぐに抱きしめたい衝動に襲われます。
あるレストランの駐車場に入っていきました。私はちょっと手前の道路で止めました。
綾が車を止める前にすぐ近くに止めてあった車から女性が降りてきました。
おいしい店を見つけると集まる仲間かと思いましたが、意外に親友の○○でした。
中に入るのを確かめて駐車場に入りました。一番奥に止め、待つ事にしました。
待ちくたびれてウトウトした時に、バン、バン、というドアを閉める音で目を覚ましました。
綾たちの車が出るところでした。私は慌ててエンジンをかけ、追いかけました。
すでに9時を回っていました。
車はカラオケ店に入って行きました。ちょっと近いかと思いましたが、電気の影になって暗いところに止められました。
今度はウトウトできないので、誰かを待つフリをして駐車場を歩いたりしながら待ち続けました。(オレ、なにやってんだろ)何か空しい気分もありましたが、あの、最後にパンティの大事なところまで片足を折り曲げて義兄に見せてやった、妻の卑猥な動きが頭から離れず、何でもしてやろうという異常な興奮が私を突き動かしていました。
11時過ぎになって、2人が出てきました。友人は元気ですが、妻の綾子が何か元気がなさそうです。何か、友人に励まされているみたいです。残念ながら何を話しているのかわかりません。
しかし、それぞれ車に乗ろうとしたとき、友人が妻に大きな声で言ったのです。
「あや?! 真っ直ぐかえりなさ~い! マゴマゴしてると6時になっちゃうよー! わかった!
なるようになれよ!大丈夫だよ!後でメールして!楽しみに待ってるよ!」
(ドッキッ!ドッキッ!!な、何だ!)私はアゴがガクガクしてきました。
そして、綾は、コクンとうなずいたのです。
それぞれの道に別れました。私は目もくらむ程の興奮で、膝が震えてきました。昔、人を轢きかけた時は、アゴまでは震えませんでした。
家の前に着きました。
私は別の進入路から入り、妻の車を待っていました。