ふうふふふふh

2018/09/27

長岡タクシーは、すぐに見つかった。旅館と同じ通りに面しており、50メートルも離れていない。だが。旅館から長岡タクシーまでの道はブロック塀に挟まれており、、雨を回避できるような屋根や
軒下が無かった。そのうえ、傘は昨晩壊れて捨ててしまったので、その50メートルの距離でも
ドクオたちを水攻めにするには十分だった。
('A`;)「はぁはぁ…………」
(;^ω^)「ぜいぜい…………」
('A`;)「また…………」
(;^ω^)「結局……………」
('A`;)「濡れちまったな」
(;^ω^)「うん…………」
いま、ふたりは『長岡タクシー』の駐車場にいる。駐車場とはいっても、タクシー会社が
マンションの1階部分を事務所兼駐車スペースにしているため、雨は凌げる。駐車場には3台のタクシーが停まっていたが、その全てに運転手が居なかった。
(^ω^)「まぁ、とにかく運転手さんを探すお。ほら、ドクオも」そう言って、ブーンは事務所のドアを開け、中へと入っていく。ドクオはその後ろに続いた。(^ω^)「ごめんくださーい」
( ・∀・)「はいはい。タクシーのご用命でしょうか」
事務員らしき服装の男が応じた
(^ω^)「そうですお。えと、1日4000円の乗り回しコースをお願いしますお」
('A`)「自分も入れて男2人です」
(;・∀・)「……こんな嵐の中を、ですかぁ?」
(^ω^)「こんな嵐の中、だからこそですお」
(;・∀・)「いや、今日は近場の送迎だけにしてしまおうと思って……」
(^ω^)「高松の観光はこれが初めてなんですお」
(;・∀・)「うーん、しかし……」_
( ゜∀゜)「おいモララーよ」モララーと呼ばれた男が振り返る。背後に濃紺のスーツを着た男が立っていた。
(;・∀・)「あ、社長。いつの間に……」_
( ゜∀゜)「馬鹿野郎。ここは俺の会社だ。自分の気配を空気に溶け込ますことぐらい簡単なものよ」そばにあった台帳で、社長と思しき人物がモララーの頭を叩く。バシッと、乾いた音がした。
( ;∀;)「痛いじゃないですか社長」_
( ゜∀゜)「うるせぇ。愛のムチだと思って受け取りやがれ。そんなんだからお前はヒラなんだ」
(;・∀・)「こんな小さな会社、社長以外はみんなヒラじゃないですか。それに、一日くらい休んでもたいした損害じゃないでしょう」_
( ゜∀゜)「いちいち細かいこと気にするじゃねぇ。で、折角のお客さんじゃないか。それを門前払いするたぁ、お前なかなかいい度胸してんな。あん?」ふん、毒づくと、社長と思しき男はくるりと向きを変え、ふたりに向き直った。_
( ゜∀゜)「これはどうもお見苦しい場面を。私は長岡タクシー?の社長、ジョルジュ長岡と申します」
('A`)「はぁ。どうも」_
( ゜∀゜)「で、当タクシーの乗り回しコースを利用したいと?」
(^ω^)「そうですお」_
( ゜∀゜)「お安い御用です。おい、モララー!!」
( ・∀・)「何でしょう。社長」_
( ゜∀゜)「このお客さんたちは俺が直々にご案内差し上げる。お前は留守番でもしてろ。どうせこの天気だったらお前は運転したくないだろう」
(;・∀・)「仰るとおりで……。わかりました。では、お気を付けて」_
( ゜∀゜)「では、さっそく参りましょうか」
('A`)(^ω^)「はい」
長岡は黒塗りのタクシーの運転手に乗り込むと、運転席から後部座席のドアを開け、
2人を促す。ドクオは左側に、ブーンは右側に座った。_
( ゜∀゜)「じゃ、どこから行きますかね?」長岡がルームミラーを調節しながら訊いてくる。
('A`)「えと、まずは高松駅お願いできますか?」_
( ゜Д゜)「高松駅?そりゃまたなんで?」
('A`)「みどりの窓口で明日の切符を買わなきゃならないのと、乗れなかった夜行の切符の払い戻しです。それに、朝食を食べてきたので、すぐにうどんを食べるのは難儀なもので……」_
( ゜Д゜)「おふたりさん、何処からいらしたんです?」
(^ω^)「東京ですお」_
( ゜∀゜)「へ?。わざわざ遠い所からようこそ」
(;^ω^)「でも、本来も目的は出張ですお。いまは臨時で有給を取っているんですお」_
( ゜∀゜)「ははは、なるほど。では、参りましょうか。高松駅へ」エンジンがかかり、ふたりを乗せたタクシーは嵐の中に出て行く。事務室の中で、モララーはそれを遠い目で見ていた。
( ・∀・)「……あれ?」そのうち、なにか妙な感じがしてきた。
( ・∀・)「えーと、たしか……」記憶を手繰り寄せるように呟く。( ・∀・)「…・・・たしか5年くらい前にも同じような客2人が来たっけな。そう、ちょうどこんな嵐の日に……」「中央通り」と名づけられた高松駅へ至る道は整然としており、中央分離帯にはクスノキが
整然と並んでいる。だが、強風のせいで「整然と」並んでいるようには見えない。平日の朝だというのに、片側3車線の道は閑散としている。まあ、そとが大嵐で警報も3つ
出ているのだ。いくら車をもってしても、外出する気分にはなれないだろう。そんな中、ふたりを乗せたタクシーは順調に高松駅へと向かっていく。_
( ゜∀゜)「ところでお客さん。どのうどん屋に行くとかのご予定は?」
('A`)「今のところは無いです。官庁街にある『松村』には行ったんですが。もともと来たばっかりでどこがいいのかサッパリ分からないもんで……」_
( ゜∀゜)「ああ、『松村』ですか。あそこは美味いですからね。そこが初めてとはラッキーですよ。香川にも看板ばかりの不味い店がありますからねぇ。そんなところが初めてだったらトラウマになりかねないですから」
(^ω^)「そういや、東京では池袋のデパート上の讃岐うどん屋が繁盛してますお。東京に来たら一度寄ってみるといいお」_
( ゜∀゜)「ははっ。自慢じゃありませんが、私は生まれてこのかた四国から出たことがありませんのでね。ココのうどんで大満足ですよ。東京なんざ死ぬまでに1回行くか行かないか……」タクシーは、赤信号にかかるたびに止まる。それに合わせるかのように、車内の会話も止まる。車内の静寂。車外の轟音。停車していても車は揺れる。_
( ゜Д゜)「…………」ふと後部座席からルームミラー越しに長岡の顔を見る。眉間にシワが寄っていた。
('A`)「どうか…なさいました?」_
( ゜Д゜)「ン、いえね……。以前にもこんな会話したかな、と思いまして」
(^ω^)「そうですかお?僕らが高松に来るのはこれが初めてですお」_
( ゜Д゜)「あ、いや……。あなた達ではないんですよ」信号が青になった。車が発進する。高松駅が見えてきた。_
( ゜∀゜)「そろそろですね。私は駅のタクシー乗り場で待っていますから、いちおうナンバーを覚えておいて下さい。参りますので、間違えて別のタクシーに乗らないよう」タクシーは、きぃ、と軽いブレーキ音を立て、駅へと至る屋根つきの通路を左手にして
後部座席の左手のドアを開ける。
(^ω^)「ドクオ、先に出てくれお。右のドアから出たら雨に濡れてしまうお」
('A`)「ああ、わかった」ドクオが左のドアから出ると、ブーンが窮屈そうに同じドアから出てくる。
(^ω^)「じゃあ、早めに済ましてきますお」_
( ゜∀゜)「そんなに急がなくてもいいですよ」ドアが閉められ、運転手の長岡だけを乗せたタクシーは、大通りと同じように空いている
タクシー乗り場へと滑り込んだ。サイドブレーキを引く。エンジンが切られる。車内は本格的な静寂に包まれる。_
( ゜Д゜)「しかしなぁ……」ひとり腕組みをしながら長岡は考え込んでいた。_
( ゜Д゜)「確かにあんな感じの客を乗せた気がするんだけどなぁ……。そう、ちょうどこんな嵐で、5年くらい前に……」思い切り背もたれを倒して、上空の雲を眺めながら長岡はそう呟いた。
第5章:長岡タクシー 了

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