童貞のまま好きな娘と同棲したら色々カオスだった part6

2018/02/22

前回の話
俺達はその日マリコを救う作戦を考える。
イモトがのっけから叫んだ。
「特殊マリコ奪回チーム、通称SMTの結成だね!!」
何、そのカッコいい特殊部隊。
と、いつもは冷静に突っ込んでる俺も
その時のテンションはMAXだった。
だが、マリコを奪回しようにもマリコの宿泊しているホテルすら俺達は知らなかった。
「だから、まず向こうからの動きがあるまで待つ、向こうはこの家の取り壊し時期、
そしてその後事を話しに来るはずだ」
そうヒロさんが言う。
「一応ね、私は作戦を考えたよ」
イモトがそう言って紙に書いたガサツな字を俺達に見せる
「…これ、殆ど犯罪じゃね…?」
作戦はマリコの母親の秘書が来た時に拉致して、ホテルの場所を確認する。
そして母親を呼び出してその隙にマリコを奪取…
ガサツな字な上にガサツな作戦。
「なーに、いっての!この作戦が一番なんだよ!」
そう言うイモト。
ヤバイだろこれ…俺がそう思っているとヒロさんが頷いた。
「いや、大筋はこれで行こう」
え?マジ?
「そうですね、細かい部分だけ訂正しましょう」
係長も頷く。
俺はすぐに止める。
「いや、待て!これはまずいって」
「大丈夫だってw」
イモトが笑った。
違う、そうじゃなくて…
「これは…俺一人でやる。だから、ほんの触りだけ手伝ってください」
俺がそう言うとヒロさんが舌を出した。
「嫌だ、俺達もやる」
全員も頷く。
「お前らが全員潰れちゃうだろうが!!!」
俺がそう叫ぶ。
皆が俺を見た。
「イモト、大学行きたいんだろ??係長は就職決まったんでしょ??
ヒロさんもケンジさんと住む事が決まったんでしょ??
こんな事したら人生棒に振っちゃうだろ!!!」
俺がそう言うとイモトが笑った。
「んじゃ、また皆で何処かに住もうよ」
え?
「うん、そうだね、そうしようw…あ、でも俺、ケンジ呼んでも良い?」
は?
「私は後悔する位なら就職を諦めますけど?」
マジ?皆…マジでテンション上がり過ぎで分かって無いんじゃないの…?
マジで…?
コイツら馬鹿だ…と思いながら俺は涙ぐんでる。
もう良いや…もう知らん。
お前らの人生俺がもらう。
お前らが人生、棒に振ったら…俺が最後まで面倒みてやる。
俺の中にそんな思いがこみ上げたのだった…
だが…そのガサツな作戦は決行されなかった
何故かと言うと…
マリコの父親に全員、泊まるホテルに呼び出されたからであった…
「どうする?作戦パーだな…」
「そうだね、せっかくDVDと尿瓶を用意したのに…」
イモトが残念そうに言う。
秘書を拉致した際に暇つぶしにDVD、そしてトイレ用に尿瓶を購入していたのだが…
結局フイになってしまった。
「まあ…とりあえず、拉致しなくてもよくなったんだ。後は直接対決するしかねーな」
ヒロさんがそう言う。
そうだな…直接父親に話をするしかない。
やる…俺は頑張る…!そう思い当日を待ったのだった…
ホテルに到着すると秘書の安田が俺達を部屋に通す。
俺達四人は緊張しながら部屋に入ると、そこにはマリコ、マリコの母親、
そして父親らしき人間が座っていたのであった。
マリコが笑顔で俺達に手を振る。
一週間ちょっとしか会ってなかったのにマリコに会えた時、嬉しさで泣きそうになっていた。
イモトがマリコに抱きつく。
イモトは泣いていた。
俺も抱きつきたかったが、その前に俺にはやる事があった。
父親との対決…それが俺の一番やるべき事…
「まあ、座ってください」
父親が冷静にそう言う。
俺達はそう言われ座る。
俺の鼓動が高鳴る。
何を言うかは考えてきている。
後はタイミングだけだ…
父親はメガネを掛けて几帳面そうな紳士って感じだった。
そして凄く冷静だった。
「一応、あの家は来週までに出て行ってください。あなた方には住む家と…」
父親が挨拶もそこそこにいきなり話をし始める。
やばい、タイミング…俺の鼓動が早い。
めちゃくちゃ緊張していた。
だからタイミングも糞も無く父親の話を止めた。
「待ってください…」
俺の言葉に父親はジロリと俺を見る。
怖い…緊張する…でも…
「俺の家は要りません…その代わりマリコを…マリコを自由にしてください」
そう少し震えた声でそう言う。
マリコが俺を見た。
父親は俺の言葉が通じなかったのかそのまま話を続け始めた。
この段階で俺の頭に血が上る。
考えていたシチュエーションと全く違う。
「聞いてください…!マリコを…無理矢理結婚させるのは…やめてください!!」
俺は少し力強くそう言う
父親はやっと俺を見て「ふん」と笑ったのかどうなのか分からない
言葉を言った後に言葉を続ける。
「…それは、マリコが君に言ったんですか?」
え?
「マリコが君にお願いして私にそう言って欲しいと言ったんですかね?」
う…俺は言葉に詰まる。
マリコは下を見ていた。
「違う!!だけど、マリコは嫌がってる!!」
俺が言葉に詰まっているとイモトが助け舟を出してくれた。
「…何故、君がマリコの気持ちを分かるんですか?」
父親は尚も冷静に言う。
「分かるに決まってるでしょ!!そんなん見てたら!!」
イモトが声を荒げる。
マリコが焦ってイモトを見ていた。
「そうなのか…?マリコ」
父親がマリコを見るとマリコは下を見ていた。
「マリコ…答えなさい」
父親は尚も冷静にそう言うがマリコは下を向くだけだ。
分かる。
マリコはそんなの答えられない。
マリコは両親を裏切りたくないんだ。
かと言って俺達裏切れない。
やばい、ただの板ばさみじゃないか。
「何も答えないという事は、マリコはそんな思いが無いって事じゃないかな?」
父親は俺達にそう言う。
「違う!!マリコはこの場で答えられないだけ…」
イモトの言葉が小さくなる。
「違わないですよ。それに君達には関係ないことだ」
父親はそう言って俺達を一刀両断にした。
「で、でも…マリコは男性恐怖症ですよ…それなのに…」
俺がそう言うと父親が俺をじろりと見た
「だから、何ですか?それじゃあマリコは一生結婚するなという事ですか?
それじゃあマリコが可哀相すぎる…だから、私は信頼できる相手をマリコに選んだだけだ」
違う!!そいつが原因でマリコは男性恐怖症になったんじゃねーか!!!
…そう言いたいが、それはマリコ以外に言うべき事じゃない。
それだけは絶対に俺達から言っては駄目だ。
「大体ね…君達は今、一時の感情でマリコの人生に口を出しているだけでしょう?
それはただの興味本位ですよ。
ありがた迷惑」
父親がそう言う。
俺は少しイライラしてきた。
一時の感情?
「君達にマリコの人生を背負う気持ちもないくせに…!」
父親が最後にそう吐き捨てる様に言った瞬間だった。
俺の中の何かが
何故かこんな場面で爆発する…
「あるっつううの!!!!!」
その叫び声に父親が俺を見る。
マリコも俺を見た。
「俺は、マリコの人生を背負う気持ちでここに来たんだ!!この一週間、
ずっと考えて…ずっと考えて…答えを出してきたんだよ!!!!」
俺は恥ずかしくも、ぶち切れていた。
「俺がマリコの人生を背負ってやるんだよ!!!!俺がマリコを幸せにするんだよ!!!!」
ああ…ちょー恥ずかしい。
その言葉にマリコがびっくりしていたのを覚えている。
父親はフッと笑うと俺に冷静に言った。
「君が…マリコを幸せに…?どうやって?」
「え?」
「どうやって?君は仕事してるの?」
「…いや」
「ふむ。
君は今からどうやってマリコを幸せにするの?どうやって家に住むの?
どうやってご飯を食べるの?」
冷静に並べられる。
俺は焦る。
焦って下を向く。
すると父親は初めて怒鳴った。
「何も持っていない者が大きな事を言うんじゃない!!それはただの無責任な発言だ!!」
う…俺は下を見た。
確かに何も俺は持っていない。
だから…駄目だ…
そう思った時にマリコをチラリと見た。
マリコは泣いていた…
俺を見ながら嬉しそうに泣いていた…
その瞬間に俺のテンションが再びあがる。
父親は尚も続ける。
「そんな無責任な発言でマリコを幸せに出来るはずがないだろ!」
「で…?」
「え?」
俺の強気な一言に父親が一瞬怯んだ。
「で?金を持ってたらマリコは幸せになる…と?」
「少なくとも、全く無いよりかはね」
「へえ…

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