童貞のまま好きな娘と同棲したら色々カオスだった
2018/02/20
好きな女の子と同棲した時の話なんだが、色々カオス過ぎて逆に楽しかったんだ。
少し長い話なんだけど暇な人がいたら聞いてほしい。
あと正確には同棲と言うかは疑わしい。
何故なら二人で住んだんではなく五人で住んでいたからだ。
内訳は俺、俺の好きな女の子、その好きな女の子の好きだった男、
俺の事を好きな女の子、そして見知らぬオッサン…
この五人だったんだよ。
俺が好きな女の子は少し変わった子だった。
天真爛漫と言うか、物事を深く考えないと言うか…まあ、でも凄く良い子で可愛かった。
背が高くてショートカットが似合う子。
雰囲気が篠田まりこに似てたんで便宜上『マリコ』って事で。
ちなみに俺は歌が歌えないそして雰囲気も残念なナオトインティライミかな?
便宜上『ナオト』としてくれ。
そう俺達は付き合っても無かった。
でも俺はマリコが好きだった。
だけどマリコは俺の事を友達の一人としか思って無かったと思う。
所謂俺の片想い状態だった。
そして、俺はマリコと出会ってまだ3週間もたってなかったんだ…
だから俺は返答に困る、って言うか何でいきなりそんな事を切り出したんだ?と
思って紅しょうがを空中浮揚させていた。
いつも突拍子も無い行動をする女、って言うのは3週間過ごして充分に理解していたが
俺の理解力がどうやら足りなかった様だ。
マリコから「一緒に住もう」と言われた時は俺は紅しょうがを
自分の牛丼に入れるかマリコの牛丼から先に入れるかを紅しょうがを
一掴みしたまま迷っていた時だった。
その言葉を聞いて紅しょうがの事を忘れてマリコを見つめた。
「ナオトさえ良ければ一緒に住みたいの」
そうマリコが繰り返す。
俺は「えっ?えっ?えっ?」みたいな事を繰り返すだけだったと思う。
なんでいきなり、そんな話なんだ?って言うのと、牛丼食いながら話す事じゃ
ねーだろ、って言うのと、掴んだ紅しょうがの着地点どうしよう?って言うのと…
あと、俺達付き合ってもねーじゃん…と言う思いが混濁していたんだよ
「え…?どうしたの?急に」
俺の中では努めて冷静に尋ねたつもりだった。
だが恐らくは「で、デヘヘヘwwな、ど、ど、どうした、急にデヘ、デヘヘヘww」と
エロくてイヤらしい感じで尋ねた形になったと思う。
「だって、家が古くて広すぎてさ…一人で住むのが怖いんだもん」
「へ、へー」
マリコの答えに俺は平静を装うも内心バクバクだった。
マジで???何、その理由???何、これ滅茶苦茶チャンスなの???
九回の裏、ツーアウト満塁でバッター俺のチャンスに豪腕投手のマリコが
投げた球はまさかの下手投げ??!!
だが、このチャンスに俺は…
「そっか…じゃあ、一緒に住んじゃおっか」
と言えば良かったんだ。
だが、プライドだけは高いと定評の俺は「いやあ…まずいっしょ…」と、
カッコをつける始末。
マリコの下手投げに対して見送りを選択した俺。
あああああもう何で俺はそんな事を言うんだよ!!この訳の分からないプライドが憎い!!!!
マリコは俺の答えにキョトンとした表情だった。
そりゃそうだろ…マリコみたいな可愛い女の子が俺ごときに振りまいたチャンスを俺は見送ったんだ。
てか、二度とマリコは下手投げをしない…そう思った矢先だった
「ん~でも、部屋たくさん有るから平気だよぉ」
まさか二球目も下手投げ!!!!
俺はね…さすがにバットを振りましたよ。
ええ、もう振りました。
「そう…?じゃ、じゃあ…お、俺も家賃もったいないしな…それも、ありかな…」
そう告げる俺。
実際には「え?エヘヘヘじゃあ、や、家賃…も、もったいないっすもんね…
えへ、えへへへへ」と言ったと思う。
だが、スタジアムは俺のバッティングに大歓声を挙げて喜んでいたのであった…
マリコと出会ったのはバイト先だった。
俺はその頃大学受験に失敗して地方の情報処理系の専門学校に入学したのであった。
別にそれに興味が有った訳じゃない。
ただ単に俺は地元から逃げたかっただけだった。
プライドだけはスカイツリーばりの俺は大学受験に失敗した事が恥ずかしく逃げたんだ。
なので親への口実の為にその専門学校に入ったのだった。
ちなみにバイト先はコンビニで確か二日目か三日目のバイトの日に同じシフトだった。
最初からマリコはフレンドリーに話し掛けて来た
「ナオトは年、いくつ?」そうキラキラした笑顔で言う。
てか、初っぱなから下の名前呼び捨て。
「え?あ、俺は…」
俺はモゴモゴしながら答えようとするとマリコが「ちょい待ち!」と言って
俺の顔の前に人差し指を立ててイタズラっぽく笑う。
「私が当ててしんぜよぉ」
そう言って少し笑いながら笑顔で目を閉じ上を向いた。
そして、手を合わせるとむにゃむにゃと呟く。
なんかスゲエ可愛いんだけど。
再び目を開けるとハニカミながら「当てたらチョコ奢ってね?」と言った。
「え、あ、チョコ…?」
「うん!あの板チョコ」
「ああ、いや、別に良いけど」
俺の返事にマリコは再度、手を合わせてお祈り的な事をした後に俺に人差し指を立てた
「はい!今は18歳で今年19歳!」
「あ、当たった。なんで、分かったの?!」
「やったぁ!ニヒ、板チョコゲットだぜぃ!」
そうキラキラした笑顔で言われた時、物凄くドキドキした俺がいたんだよ。
まあ、少し考えれば俺の年齢なんかすぐわかるわなw
俺もマリコがタメだと思ったし。
約束通りにマリコに板チョコを買って渡す。
その時少し手が触れた。
女慣れしていない俺はちょい赤面したと思う。
それを見たマリコはニヒッと笑い「ああ~わざと手を触れましたねw」そう言う。
「ち、違う!ち、ち、違う!」
もう恥ずかしさでシドロモドロ。
そんな焦る俺を見てマリコはクスクス笑って板チョコを半分に割った
そして一つは自分で頬張り、もう一つを俺に渡す。
「はい、半分こね」
「え?」
「ナオトより私がイッコお姉さんだからあげる」
そう笑いながら板チョコを美味しそうに食べるマリコ。
「え?あ、イッこ上なんだ…っすか」
「急に敬語になるなぁ!」
マリコはケタケタ笑いながら俺に軽くチョップする。
「ナオトおもしろーい♪」
そんな事を女の子から言われた事は俺の前世を含めても記憶にない。
そして、女の子からチョコを貰った事も無かった
何、この人…ちょー可愛い事するんですけど…
全く女慣れしていない俺はね、マリコのこの天真爛漫さにさ…一瞬で恋に落ちたんだよねw
俺が働いていたコンビニは地方の小さな海沿いの田舎にあるマイナーコンビニだった。
だから昼間は余り客が来ない。
夜も22時で閉まるコンビニね。
バイトは俺とマリコとおばさんのバイトが二人位。
だからマリコはいつも朝から夕方までのシフトだった。
俺もそれに合わせて入る様にしたんだ。
マリコは一々俺の心を虜にする行動を取る。
まず、よくボディタッチをしてくる。
俺が作業をしていると後ろから「ツン」と言って俺の脇腹をつついてくる。
「うひゃ!」と叫ぶ俺をクスクス笑って見ていたんだ。
また暇な時にレジのバーコードを俺に向けて笑顔で「ばん!」と言って
拳銃を撃つ仕草をしたり、俺の袖を軽く引っ張って「ひまー、しりとりしよ」と言ったりする
俺は一々その度に「何?こいつ…俺に気があるの???どうなの???
俺どうしたら良いの???」と心の思う。
全く女に慣れていない俺はそれだけでKO寸前だったんだ。
いつもは女の子の前ではカッコ付けて中々自然に話せない俺だったが、
何故か俺はマリコには自然に話す事が出来た。
そしてマリコは突拍子が無かった。
突然「ナオトって、男の人が好きだったりする?」といつものキラキラ笑顔で聞いて来たりする。
それに対して「はっ!俺が好きなのは、お前だっつーの!」と言える訳も無くゴニョゴニョと
「へへっ、俺はノンケでもかまわず…」と答えるのが精一杯な俺。
また、ある時はいきなり雲を見つめて「ねえねえ、あれハンクスに似てない?」と言ってくる。
ハンクス?何それ?
「さ…さあ?どうなんだろう…?」
俺は曖昧に答える。
「ええー?!似てるよ~絶対~」
いや、だからハンクスって何?ひょっとして俺が知らない間にハンクスなるものが
世に蔓延していたのだろうか?と思う。
へぼい癖にプライドだけは高い俺は『ハンクス』なるものを知らないと思われるのが
恥ずかしかった。
なので知ったかぶる。
「あ~…そう言えば…あの雲と…空の合間が…ハ、ハンクスの横顔…っぽいね…」
ハンクスが人間かどうかは分からないが…