花泥棒

2018/02/03

ちょっと話が長くなるが勘弁してもらいたい。
俺は工務店を経営している、社長といえば聞こえは良いが社員3名の小さな会社だ。
不況の波を受けて苦しいことは確かだが、それでも独立して8年、なんとか持ちこたえている。
独立して間もない頃、大手建築会社に仕事をもらいに行ってたんだが、ここはもともと俺が勤めていた会社で、元上司や元部下なんかに小さな仕事でもいいから回してもらいに頭を下げてまわっていた。
まあもともと勤めていた会社だから仕事の段取りとかは知っていたし、仕事の隙間を埋めるような作業も率先して受けてたんで、使い勝手が良いと思われていたみたいでちょくちょく仕事を回してもらっていた。
1年ほどしたころ、いつものように伺ったところ、すごい気になる受付嬢がいた。
美人なんだが、どこか幸薄そうな雰囲気に俺は一発でやられていた。
初対面にもかかわらず「こいつは俺が守ってやらねば」という使命感に燃えていたwよく仕事を回してもらっていた元上司には「接待」という単語こそ出さないが、事実上の接待で良く飲みに誘っていた。
接待というとキャバだとか風俗を想像するかもしれないが、実際にはそこいらの赤ちょうちんで軽く一杯呑みながら、元上司の愚痴やらを聞いて気分良くなってもらうのがほとんどだった。
だってキャバだとか風俗に連れていけるほど儲かってないし、たま?に連れて行くから有難味もあるってものよwで、その時はなんとか受付の美人と近付きたくて、元上司にも「受付の女の子も誘って飲みに行きましょうよ。」なんて下心満載のことを言っていた。
この元上司には会社勤めをしていた時から可愛がってもらっていて、俺の性格も良く判っていたと思うし、俺の下心も気づいていたとは思うが快く受付嬢も誘ってくれた。
受付嬢2人と俺と元上司の4人で、ちょっと小洒落た居酒屋で食事を楽しんだ。
受付嬢の1人は昔から知ってる人で、気さくに話もできる仲だった。
もう1人の女性が名前は「沙織」といって、その時は新入社員だった。
もう明らかに俺が「沙織」を気に入っているというのはバレバレだったが、それでも接待気分だけは忘れずに盛り上げようと必死だった。
沙織はほとんどお酒は飲めなかった。
幸薄そうと感じた通りかなり病弱な体質だった。
それでも沙織が微笑んでくれると俺は心から幸せな気分になれた。
一応仕事を回してもらってる会社の女性社員だから、かなり気を遣いながらも少しづつ距離を縮めていき、3ヶ月ほどで正式に付き合うようになった。
沙織からOKをもらった時、照れくさそうに笑う顔は一生忘れないだろう。
その日の初キス、3回目のデートでの初H、沙織にとってどちらも俺が初めてだったという。
この時聞かされたんだが、沙織は先天的に心臓が小さく不完全なため、激しい運動が出来ないし、恐らく出産には耐えられないと言っていた。
今後たとえ結婚しても子供は期待しないで欲しいと言われた。
これほどの美人でありながらこの時まで処女だったのは、SEXに対して恐怖感もあったろうし、実際あまりに興奮すると胸が痛くなると言っていたのでそれほどHに積極的でなかった。
ただその分キスだけはたくさんした♪
キスだけで幸せな気分にもなれた。
俺は沙織を一生守って見せると誓い、結婚の申し込みもした。
実際いろいろあったんだが、それから1年後に結婚することになった。
俺の人生で一番幸せな時期だったかもしれない。
結婚するに当たり、沙織の家族と一緒に住むことになった。
沙織の家族は母・沙織・忍(義妹)の3人で父はずいぶん前に亡くなっていた。
それでも亡き父が残してくれた一軒家は大事に使われていたし、女性2人で暮らすとなると不安があるとのことなので、結局俺も一緒に住むことになった。
それまでは工務店の奥に3畳ほどの俺の生活スペースを作っていて、そこで生活をしていたから仕事とプライベートの区別なんてものはないに等しかった。
沙織の実家に住むようになって、それまでとは違う人間らしい生活を送れたような気がするw
義母は女手一つで娘2人を育てて、仕事もしていたが朝食だけは家族全員で必ず取る習慣があった。
沙織に似て美人なんだが色白で少し病弱そうだった・・・が凜としていて意志の強さは感じられた。
義妹の忍は当時大学生で、しまいらしく沙織に似ているんだが健康そうな明るい女性だった。
なんていうかこの家族のムードメーカーといった感じか?忍がいるとその空間がパっと明るくなるような感じだった♪もともと女だけの家族だったから、最初のころは忍が風呂に入った後に下着姿でうろついていてドキっとさせられることも何度かあったw
女として意識して無いってことは無いんだが、あくまで「可愛い妹」として以上のことは考えないようにしていた。
一緒に暮らしていると、些細なことでドキっとさせられることは多かったが、沙織を裏切る気持ちは全くなかった。
忍にも幸せになってもらいたかったが、幸せにするのは俺じゃ無いと思っていた。
忍は美人女子大生だからそれなりに恋愛も経験しているみたいだし、遊びまわっていたようだが、外泊することは無かったし朝食は必ず全員で食べていた。
俺はというとそれまで職場と住居が同一だったから「通勤」という概念が全くなかったんだが、結婚してから1時間ほどかけて出勤する生活に肉体的にはキツかったかもしれないが精神的には楽だった。
というか愛する沙織と一緒に生活できることが幸せでたまらなかった。
ただSEXに関してだけは、どうしても沙織の体のことがあるから激しくは出来なかった。
ほぼ毎日2人で抱き合っていたが、キスから始まりやさしくそーっと愛撫をしていた。
沙織は基本的に感度は良好な方だった♪
ただ急激に興奮させると胸が痛くなるから大変だった。
多くの人は経験ないと思うが、SEXの最中に心臓に持病のある人が苦しみだすと尋常じゃない恐怖感に包まれるぞ!
それでも毎日手探りの状態で愛撫を続け、ゆっくりと深いSEXを見つけ出した。
おそらく激しい獣のようなSEXとは対極にあるようなSEXだと思う。
とにかくキスは濃厚に、そして全身をやさしくそ?っと愛撫する、決して激しくしないで。
どうしても男の習性として、女性がクリトリスが弱いと分かれば集中して激しく責めてイカせようとしてしまうものだが、沙織にそれをやってはいけない。
溢れ出る愛液を掬ってクリに塗り付けながら、ゆ?っくり、とにかくゆ?っくりと愛撫を続けなくてはいけない!
キスをしながらとにかくゆ?っくりと、長い時は1時間近くそれを続けると深?いそれでいて激しく無い絶頂に到達させることが出来る。
挿入も同様にゆ?っくりと深くしながら、決して激しくさせずに時間を掛けて繋がっている感覚を楽しんでいた。
ただ男の場合どうしても射精の瞬間だけは激しくしたくなるよねw
だから最後だけは沙織に手コキで扱いてもらい、きれいな胸に発射させてもらっていた。
そして最後に、沙織がキレイなその顔でお掃除フェラしてくれているその時は幸せな気持ちでいっぱいになれた。
結婚して1年ほど経った頃だと思うが、仕事で作業していたある家で植木鉢というには巨大な容器を撤去して処分してほしいと頼まれた。
2000×800でもう花壇と呼んだ方が良い大きさなのだが、トラックに積んでいたそれを見た義母が「捨ててしまうならうちに置かない?」と言って玄関前に設置することになった。
俺は花の種類とか詳しくないから何か知らないが、季節ごとにいろんな花が咲いている様子は、出勤前には心地の良いものだった。
ちなみに当時この家では猫を2匹飼っていたんだが、年齢的なこともあって相次いで死んでしまった。
その直後この花壇ではきれいなユリはが2本咲き始めた。
義母は「ユリってのは球根だから植えなきゃ生えないのに不思議ね。きっと猫たちの生まれ変わりなんでしょう。」と言って大事に育てていた。
それ後、忍が大学を卒業間近となり就職活動をはじめたんだが、俺の工務店も何気に忙しくなり事務職を雇おうかというタイミングもあって忍に働いてもらうこととなった。
それまで男だけの職場だったのが、美人事務員がいるってことで取引先の人たちもやけにウチの事務所で打ち合わせをやりたがるようになったw
大手と違ってウチみたいな小さな工務店は、看板娘がいるってだけでかなり違うんだな。
手配している左官屋や塗装屋のおっちゃん連中に、ちょっとぐらい不利な条件でも忍に「これでどうですか?」と頼まれると「しょうがね?なぁ?」と鼻の下を伸ばしながらOKしてくれるもんなんだw
事務所の雰囲気も明るくなり、忍の効果も大きかったのか業績も少しずつ伸びていった。
公私ともに絶好調だったが、好事魔多しの諺通り少しずつ不幸も近づいてきていた。
義母は2人の娘を大学まで出させ、ほっと一息つこうかとしている最中、会社の健康診断で乳がんが見つかった。
1年前の検査では見つからなかったものが、1年で急激に大きくなっているとのことだった。
検査入院から手術を経て、年末は病院のベットで過ごすことになったが、薬の影響もあってかなりやつれていた。
ようやく2人の娘も社会人となり、57歳というまだまだ老け込む年齢でもなく、これからのんびりと趣味の時間も作れると楽しみにしていたのに・・・
翌年6月に静かに天に召されて行った。
ちょうど俺の稼ぎは良かった時期なので、沙織は年明けに会社を辞め母の身の回りの世話をしていた。
娘2人で遺産相続等も問題なく進み、淡々と本当に淡々と時は過ぎて行った。
自分の死を覚悟しながら、薬の副作用に苦しみながらも凛として自分の死後の準備をしている義母を見ると自然と涙が溢れてきた。
喪主は沙織が務めたのだ…

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