オタサーの姫と謀反する囲い1
2020/09/15
オタサーの姫、という言葉が流行っている。男女の不均衡は時に歪な関係を紡ぎ出す。
これはオタサーの姫という言葉がはやるようになる数年前の大学での出来事。
(大分長いので分けます)
[1/20] 出会
大学1年の俺はオタサーに入った。…が、肌に合わなかった。まず50人程の大型と言っていいサークルで、数人が吹き溜まりのようなところに集まるような雰囲気ではなかったこと。
そして構成員の何人かは所謂リア充っぽかったり、普通の女の子っぽい子が2割程居たり、オタサーというよりは漫画、ゲーム好きをアピールする人たちの飲みサーっぽい感じだったからだ。
しかし、新入生同士でも出会いはある。肌に合わないと感じ、自然と抜けていったのが俺を含めて5人程は確認できた。全員雁首並べて如何にもさえない感じだ。
この5人で同好会を作ろうという流れに。大切な友人だが、ここに書く中では適当にA、B、C、Dとしておく。俺自身が他人に名前を呼ばれるときはEで。
それらしい活動内容を大学に提出し、同好会は認められた。部費や部室等は下りないものの、事前申請して借りたスクリーンのある空き教室でアニメ鑑賞、バカ話や猥談、ボードゲームをしたり漫画の貸し借り等を満喫していた。
そして2年次の春。同好の士はやっぱり欲しいので机を出して勧誘を始める。大規模オタサーから目をつけられないよう、ひっそりと。
まあそれでも大体は大規模オタサーに取られるわけで、そこからあぶれた数人だけ入れられればそれでいい、と思っていた。
ところが、勧誘一日目で3人もの女の子が話を聞きに来てくれたのだ。
俺たちは「どんな作品やジャンルが好き?」とまず聞く。アニメ等のオタクとしてメジャーなジャンルなら5人で大体網羅できる。俺たちの内の誰かが聞いた作品やジャンルに詳しいと、そいつが話をするという寸法だ。
まあ、そんな感じで一人ずつスペックを解説すると
・美姫(ミキ)
ミニスカ、黒ニーハイ、エナメルのパンプス、フリルだらけの服に黒髪ロングという、今でいう完全なオタサーの姫の出で立ち。顔は女オタクとしては可愛い部類で、体は見る感じちょっと貧っぽい。
例に漏れず俺達オタクはその姿が気になってしまう。
好きなジャンルは俺たちなら誰でも分かる最近の人気アニメや協力型ゲーム。大型オタサーを避けてこっちに来た理由は「人の多いところは怖いから」
・カナ
ミキの友達。フツーのJDといったところ。後で書くがすぐ退会する。見た感じミキの方が可愛いが、こっちの方が大型オタサーに向いてるように見えるし、実際どっちにしようか迷っているらしい。
好きなジャンルは乙女ゲー。多少詳しいDが話をしていたが、Dではついていけず少し退屈そうにしていた。こっちに来た理由は「ミキの連れ添い」
・干菜(ヒナ)
二人とは別口で見学に来た二年生(つまりタメ)。黒髪ロングを適当に後ろに纏めた一つ結びで、ファッションというより髪型を誤魔化したり、人と目を合わせないようにするために被ってるっぽい帽子、
スニーカー、オシャレでもないメガネ、裾を捲ったダボダボなジーンズに灰迷彩のパーカーという、いかにも女捨ててますって感じのファッション。顔は不細工とは言わないがその他で損しまくってる、というか気にしてない。
マイペース且つ軽い性格で、その容姿と名前の干物っぷりをよく自虐する。
好きなジャンルはゲーム(レトロ含む)とセルアニメ。俺と趣味がドンピシャ。こっちに来た理由は「どう考えても合わないから」
二人はその日に即決してくれた。俺たちは2日目の勧誘を誰ともなしに止めてしまった。これ以上は大所帯になるとか、アジト代わりの狭い俺の部屋に入らなくなるとか
それらしい理由は付けてたが俺にはわかった。皆、これ以上男を増やしたくないと思っているのだ。俺もそうであるように。
[2/20] 変化
さて、新歓も終わり7人で始まった新生オタサーだが、活動内容がどうにも変わりつつあった。
以前は上述したような色んなことをやってたんだが、女の子2人、というより美姫が入ってからは美姫の知っているアニメのみ鑑賞、漫画の貸し借りというよりは話題のアニメの原作を美姫に貸すのみ、
そして多くの時間を携帯機ゲームの協力プレイに費やすようになり、挙句の果てには美姫の出ていない授業のプリントを渡す機会として使ったりもしているようだった。
美姫の好きな音ゲーをやるためだけに全員でゲーセンに行ったりもした。つまり美姫を楽しませるように俺達が動いてしまっているのである。
一方干菜はと言うと、彼女もまたこれで満足しているようで、可愛らしい女の子一人チヤホヤされて自分は女として見做されない状況が彼女にとって都合が良いという理由で、マイペースにやりたいようにやっているらしい。
(もっとも、この理由を聞いたのは後の話だが)
[3/20] 本音
1ヶ月程過ぎた頃、学食で美姫を見つけた。どうやら退会した女の子カナが一緒らしい。別に最初から聞き耳を立てるつもりはなかったが、近くに座ってるのにバレてないので、そこから少し聞きたくない話も聞こえてしまった。
カ「で、サークルの方どうなの?」
姫「ん?楽しいよ。まあチョロいしw大体好きなようにやらせてくれるからね?w」
カ「悪女じゃん!サークル私物化?wでももう一人女子いたよね?」
姫「あのヒト2回だけどそーゆーカンジじゃないからw別に邪魔にもならないしwてかカナも見たでしょ?アレには女として負けないわw」
他にも「めっちゃ脚見てきてヤバい」とか「ゲーセン居る時とか必死に話しかけて周りに女子と一緒に遊んでますアピールし出すの面白い」とか
聞いてて居たたまれなくなる会話の連続だ。5人の中で一番距離を置いていた俺ですらそうなんだから、他の4人が聞いたらと思うと…。
バレないように俺は学食を後にした。
[4/20] 分裂
そこからはあまり美姫をちやほや出来ず、かと言って他のメンバーにも彼女の本音を告発できずに過ごし、その分干菜と過ごす時間が増えた。
美姫側はと言うと、男のDがそれまで以上に彼女に近づこうとしているようだ。
このDという男、乙女ゲーやBLにも多少精通しているが、その理由が腐女子と話が出来るように、というイマイチ欲にまみれたもので、下ネタも大好きな奴だった。
男だけでなら笑い話だが、そんなDが少し積極的になって動き出したもんだからA、B、Cとしては躍起にならざるを得ない。
彼らが干菜に乗り換えるようなことも無かったが、これは多分干菜が外見での性的魅力に乏しく、また仲が良い俺が居ることで割って入りづらいという理由だと思われる。
まあ何にしても、3人も干菜に構うことが少なくなり、どんどん先鋭化、二極化していった。5人と2人という感じである。
[5/20] 露見
ある日、授業後に俺の家に行ってゲームしようと干菜が言い始めた。新作ゲームを買ったと話をしていたところだったし、了承した。女が男の家に行くわけだが、俺はそんな間柄ではないと思っていたし、干菜もそうだっただろう。
家のドアを開けた瞬間、ゾクリと冷や汗をかいた。大学に行く直前に○ナニーして、その後洗ったオナホを部屋に干しっぱなしにしていたことを思い出してしまった。
そして気付いた時にはもう遅かった。
干菜の「あ、」の声を聞いたときは、もう言い訳も出来なくなっていた。しかし干菜は干されたオナホを見ても一笑に付して
干「あはははwwwwww何、オナホってああやって再利用するのwwww」と笑いをこらえながら質問してきた。救われたと言うべきか。
引かないのかと聞いたら、大っぴらにし辛いというだけでエロゲ、男性向けエロ同人も趣味の範囲内らしい。つくづく気が合うなと思わされた。
干「それにしても、ちゃんと性欲あんだねwwミキちゃんのことあんま気にかけてないみたいだったから。男の子はああいうコ大好きでしょ?」
言っていいものかと逡巡したが、あの日の学食でのこと、そしてそれを知ってしまったので美姫への恋愛感情はほぼ無いことや秘密を抱えている悩みまで全て話すことにした。
美姫は干菜を見下しているという一つを除いて。
干「へ?。たしかにあのコ腹黒そうだもんねw」とちょっとトゲをチラつかせつつ、話を聞いてくれた。
家で二人きり、結果オーライで下ネタも話せて、そして秘密、悩みを共有する仲になり、俺と干菜は急接近したといえる。無意識的だったが、ここらへんから異性として惹かれ始めたのかもしれない。
[6/20] 誘惑
そこからもう少し経ち、季節は夏。学生にはレポートや試験が待っている。サークルとして皆で集まるのも自重していたし、男連中や美姫ともSNSで見るだけで実際には逢う頻度が下がっていった。
干菜から連絡を貰い、試験対策をしようと皆で干菜の家へ行くことになった。
7人入るのかよと思ってたが、俺の家よりかなり広い14畳位あったので、ギリギリだが入った。複数のゲーム機、大きなTV、イカついデスクトップPC、漫画だらけの本棚と、俺より男臭い部屋だった…。
一つ下の美姫は俺達とカブってる授業自体が少なく、また定期的にプリントを貰っているようなので暇なようで、漫画読ませて下さいと干菜に話しかけた。
見た感じフレンドリーな態度だが、内心ではあのとき言ったように見下してるんだよなと思うと女って怖え…と思う。
すると、突然美姫が俺の隣、俺と干菜の間に入りこんできて、「へーこれ何の授業ですかー?」などと言って体を寄せてきた。
美姫の格好は、夏ということでガッツリ肩を出した黒のオフショルダー系シャツ(インナーのキャミの肩紐見せ付き)と、
下はチェックのティアード・フリルミニスカートと黒ニーソからの安定の絶対領域という、オタク悩殺に特化したようなもの。
谷間とかこそ無いものの、ここまで肌を露出した女の子と密着する機会なんて人生初なもので、やっぱり戸惑いを隠せない。干菜に目を遣ると、そんな俺を見てニヤニヤしていて助け舟を出すつもりはない。
そんなのが小一時間続き、トイレのために立とうと地面に手を付こうとしたとき、美姫の「ひゃッ!」という小さな悲鳴が部屋にこだました。
気が動転してたのか、美姫の太ももに手を触れてしまっていたのだ。俺は急いで謝る。
美姫は「ちょっとビックリしただけですから大丈夫ですよ?w」って感じで、干菜はそんな俺を笑ってるだけ、A達は冷やかしていたが内心穏やかでは無いっぽかった。
日が暮れたあたりで美姫が帰ることになり、何故か俺が手を連れられて一緒に帰ることに、美姫は電車で俺は歩きだから美姫一人になる、ということでA達も一緒に、ということでお開きになった。
途中、俺だけに話があるということで暗い公園のベンチで二人きりで話をすることになった。
姫「最近…あまりみんなで遊ぶ機会無いですよね、特にヒナ先輩とE先輩が居なくて…私寂しいです。このままサークルが分裂しちゃったりするのは嫌です」
また全員で遊びましょう、とグイっと顔を近づけ、俺の太ももに手を置きながら言うもんだから、滅茶苦茶ドキドキする。
公園の乏しい灯に照らされた美姫の顔、肩、そして太もも、それらがそのドキドキをさらに加速させる。
「また一緒に遊んでくれたら、私の脚触ったことも許してあげます♪……ウソですよ!それじゃ失礼しますw」と体を揺らしながら帰っていった。
俺はしばらく動けずにいた。
[7/20] 自慰
結論から言うと、俺はその日美姫をオカズにした。
童貞にとって何もかもが初めての経験だ。沸騰する欲を抑える方法がそれしか無かったのだ…というのは言い訳なのか。
左手の感触、美姫の太ももを思い出す。あられもなくM字開脚した美姫をイメージし、「また一緒に遊んでくれたら、私の太ももで何でも挟ませてあげます♪」
という捏造台詞を脳内で再生し、目を瞑ってトリップし、太ももに顔を挟んでもらう姿を実現し夢中でシコる。
はぁ?えがった…美姫を追えば、現実のオンナをソースにしたこんな有意義なオナニーを毎日出来るのか…と考えた瞬間、
自分のやってることのしょうもなさと、サークルを混乱させている女で抜く情けなさとで溢れ返り、自己嫌悪に陥った。
結局その日はあまり寝られなかったが、それは美姫に甘えるような妄想で抜いたからだ!ということで、次の日の授業中に美姫を犯す妄想をシミュレートし、帰ってから即実行した。
縄で縛った美姫のパンツだけはぎ取り、レイプするというもの。
「先輩…イヤです…」というこれまた過去聞いたセリフを組み合わせた捏造セリフを喋らせ、うるせえ!お前のような男をたぶらかすインバイにはこうだ!うおおおおと叫び思い切りシコり射精。
バカなことをやってることには変わらなかった。女ひでりをこじらせるとここまで末期的になるのか。
結局、公園のときの遊べなくて寂しいと言う彼女、学食で俺たちを見下していた彼女、どっちが美姫の本当の顔なのか、分からなくなっていった。
「ミキちゃんがあんたに気がある、とか思ってる?」干菜に相談したところ、こう返ってきた。
「腐っても鯛ならぬ、枯れても女ってヤツで、あたしも女だから分かるけど、ああいうスキンシップは好意を持ってるからと言うより、好意を持ってほしいからやってるって感じだね。
ミキちゃん風に言うと、もっとチヤホヤして欲しいってこと、つまり軽い色仕掛けだ。あとA君達を焦らそうって気もあるかもね。」
確かにそっちの方が頭の中で合点がいく。しかし本音まで聞いてるのにちょっと接近されただけで揺らぐんだから、本当にヘタレだなと思う。
[8/20] 捜索
俺は環境的な意味でも、話が合う女友達が居るという意味でも居心地が良く、試験対策という口実もあり
初めて干菜の家へ行った日を境に食事、睡眠、オナニー、授業以外の時間の半分近くを干菜の部屋で過ごすようになっていった。
干菜は相変わらず年中男物のようなダブついた長袖長ズボンだが、それでも夏に入れば薄い生地の服になる。そんな彼女をほぼ毎日観察してる俺だからこそ感じることが出来た、一つの可能性があった。
実は干菜って、結構いい体してんじゃないか…?という一つの可能性。実際はどうだか分からないが、知りたいと思ったら頭が止まってくれない。どうしたら干菜の裸が見られるだろう。
いや、裸じゃなくてもいい、その裸を想像させる何か…と、ここで一つの名案が。
俺「なあ、干菜って洗濯物どうしてんの?俺とか外に干すの色々面倒くせェから常部屋干しって感じだけどそんな感じしないし」
干「んー?あたしも大体部屋干しだよ?まあ外に干すのもちょっとねー。盗られたりしたらアレだし」 やっぱり気にするんだな。
干「あーいやそうじゃなくて、ブラってすっげー高いのよ。ゲーム2本とか買えるレベルで。あたしにしてみたら現金やゲームソフト干してるような感覚だしw」
俺「wwwwてか下着取られる心配もしろよwwww」
干「いやいやwwwwあたしみたいな地雷の下着取ってどうしろとwwwww
まあ、あんま見苦しくないように配慮して風呂場とかに干してるよ。一応あんたも客人扱いしてあげてるんだから感謝しなよww」
干菜家の風呂はユニットバス、つまりトイレと繋がっている。つまりカーテンでトイレから見えないようにして風呂場に干している、というわけなんだろう。
折角普通の世間話感覚で洗濯物の場所を聞き出したんだ、いきなりトイレに行くとなったら流石に怪しまれるだろう。更に小一時間待ち、トイレに立った。
しっかりロックを閉めて、風呂場を見る。カーテン越しに何かが吊られていることがわかる。想定通り。
シャッと開けたらその音があっちにも聞こえるだろう。そろりそろりと抜き足で、のれんをくぐるように風呂場へ侵入。
怖いくらいに想定通りに、下着etcが干してあった。数日分纏めてるのか、いくつかある。日を改めてたら見られなかったかもしれない。
どうやらスポーツブラのようだ。干菜らしい?といえる。乳房を覆うカップ部分は結構ゴツそうに見えるが、普通のブラより分かりづらいし、サイズが分かるタグのようなものも無い。
スポブラだけなのか…と諦めかけたとき、ふと洗濯ネットが目に入った。まさかこれに…?急いで開けると、またもドンピシャ、そこにはババ臭いベージュの普通のブラが!しかも相当ゴツい。
カップ部分とか、そこに飯盛って食えそうな位に深い。下着っていうか、なんかもう防具みたいだ。
タグを見るとG70、アンダー70、バスト95という表示が目に入る。全ての意味が分かるわけではないが、バスト95cmのGカップであることは分かった。
そこからはもう無意識に、パンツにまで手が伸びていた。ブラは高いらしいが、こっちはどう見ても安物だ。出来るだけ趣味の物以外安く済ませようという干菜の性格らしい。
裏返してみると、白の無地なのだがオマタに触れる部分が全体的にほんの少し黄ばんでおり、そしてクロッチ部分が更に細い楕円形に黄ばんでいる。こういうのってシートとか使わないのか。
察するに、安物を穿き潰すというか、汚れても全然平気で、どうしようも無くなったら捨てればいいってことなんだろう。モノグサなところもこれもまた干菜の性格らしい。
何にしても、汚くて萎えると言うことも無く、むしろビンビンである。こいつぁえれェもんを見ちまった。
盗む?論外である。その場でシコる?駄目だ。臭いは誤魔化せないだろう。じゃあ写真でも撮るか?音が聞こえる。つまり見逃すしかない。
そうなると冷静さが戻ってくる。大便にしたってトイレに居るには長すぎる時間だ。早く出ないと。
干「おかえりー。ウ○コ長すぎない?wあんま洗濯物にニオイとか付けてほしくないんだけどww」ドキッとさせられたが、気付いていないっぽい。
録画したアニメを一緒に見ているが、視線は干菜の体だ。ダボッとした長袖チェックシャツの中に95cmGカップの胸をスポーツブラで押さえこんでいて、
これまたサイズの合ってないジーンズ越しに今も分泌物を安物ショーツが零距離で受け止めシミを形成している最中であろう。そう考えるともう我慢出来ん。
帰って即オナニーである。バスト95cmGカップでググって出てきたAV女優のオッパイを見て「これとそう変わらないカラダがあの服ひん剥くと出てくるのか」と思いながらシコる。
スッキリしたら思考が明晰になり、現在のサークルの状況を整理、一つの考えをよぎらせる。
[9/20] 決断
A達の意識は美姫に向いており、お互い牽制し合い現状を保っているが、美姫の本音は俺達を都合のいいお付きくらいにしか思っていない、それを知っているのは俺だけ。
そして、干菜とここまで親密なのも、男なら誰でも飛びつくような体をしていることを知っているのも、また俺だけ。
恋愛沙汰はサークルならご法度だろうが、誰も干菜を向いておらずサークルも実質分離状態。つまり…。
干菜を喰ってしまおう。向こうもどうせ男の経験なんて無いだろう、酒飲まして押し倒せばどうとでもなる。大丈夫、好意の無い男をあんなに部屋に招いたりしないだろう。黒い思考が充満していく。
この時、俺の中で「姫」と呼べる存在は美姫から干菜へと変わった。(まあ、当時はオタサーの姫なんてスラングも無かったが)
ただ、あいつらのように囲いのような存在に留まるつもりはない。積極的に娶(めと)りに行く。そう、俺は干菜という姫に謀反する囲いだ。
相当長くなったが、これが俺が行動に移すまでの心中の推移だ。
さて、干菜を酒で酔わせて一発よろしくしてしまおうという計画だが、流石に試験が終わるまでそんな機会は訪れない。2週間の我慢である。
この夏はオナニーのしすぎで勉強出来てなかったから半分くらいしか単位が取れなかったが、ことここに於いてはさしたる問題ではない。直接卒業に響く段階でも無いしな。
試験終了日、早速干菜に今夜干菜ん家でお疲れ様会でもしない?と誘う。余計な人間は呼ばず、二人きりでだ。知り合ってすぐのただの一緒のサークル員同士の関係だったら無理だろうが、今なら大丈夫。
干「ん゛ああ?疲れた?。いいよ?。でも酒有りでしょ?あたしすぐ寝そうww睡眠時間3時間とかでで論述詰めたもんw」
軽度の脳への疲労がある方が、酔わせたときに御しやすい…ような気がする。いいぞ多分。いける。
適当に食べ、アニメを見ながら酒を飲む。ビールは瓶を買い、グラスに随時俺が継ぎ足していく。多少強引だが、酒をそこそこ飲むことは聞いていたので大丈夫だろう。
干「ふぁ??やっぱ眠くなっちゃったわ?。あんたはどうする?ウチ帰んの?」
大瓶一本と半分くらい飲んだころから、良い具合にとろけ始めてきていた。俺は大瓶半分位だからまったく平気だ。ここだ、行け。
断られたら、拒まれたらどうしようとか、そういう不安の洪水を酒により鈍らせた理性と膨れ上がった性欲で無理やり押し返して、ドアを閉めて堰き止める。そんな心中。
肩を軽く押す。弱っているのかすぐコロンと倒れた干菜を更に押し倒す。
俺「俺はこうする。…お前でも流石に意味は分かるよな?」 干菜は数秒経ってから小声で「…………マジで?」と呟いた。
[10/20] 初夜 前
いやいやダメだよ。こんな干物地雷女、と普段からちょくちょく言ってる自虐文句を全部無視、真顔で見下ろす。
干「ヘタレのあんたらしくないよ?落ちつこ?ね?」関係ないとばかりに干菜のシャツの裾に手をかける。
干「いやもう、ホントダメなんだって!そんな酒の勢いとか、一時の性欲とかで手出していい女じゃないから!」
普通の自虐なら無視するところだが、言い方が気になる。どういうことだ?
干「いやその…あんたハタチとかでしょ?今まで言ってなかったけど…あたし今年26とかで全然同いじゃないから…あんたは若いし、美姫ちゃんじゃなくても
もっといいコに出会えるかもしれないでしょ?だから…。」
干「それに、あたしなんて中学引きこもって、友達も作らず定時制高校卒業して6年くらいニートやってたんだよ?……オ、オナニーだって一日二回くらい毎日してたし!こんな女だから…その…。」
自分を全部さらけ出して、諦めてもらおうと必死だ。まるで自分は恋愛も性交もするに値しない存在だと決めつけているような。根底部分での干物気質。だが、やはり俺には関係ない。
俺「過去は関係ない。それに俺が好きなのは美姫でもいつ現れるかも分からない女じゃない。お前だから。」 クサいなあと思いつつも、偽らざる本音だから仕方が無い。
干菜は完全に動揺していて言葉にならないようだ。これを肯定と捉え、更に裾をまくり上げようとするが、再び止められる。まだ何かあるのか。
干「わ、分かった!嬉しいけどやっぱり今度にしない…?えっと、あたし生理だから無理っていうか…。」 これはなんとなく嘘だなと思った。なので
俺「じゃ、また後日で今日は服だけ脱ごう。裸の付き合いだ。」と手を止めないでいると
干「わーーー!分かったから!30分!30分だけ待って!」30分でなんとかなる生理があるか!と口を塞ごうとする。
顔を振って逃げようとするが、後にしないか、と一度言ったのだから、本気の拒否ではないと自分に言い聞かせ、つつくようにキスをする。観念したのか、逃げずに口をすぼめてくれた。
カチャカチャ当たるお互いの眼鏡が邪魔なので外す。上の歯と下の歯の少しの間に舌を差し込んで口腔に侵入する。口から吸気することは出来ず、お互いの鼻息がンフーンフーと響き渡るのがとてつもないリアル感があった。
侵入した俺の舌に、奥に眠っていた干菜の舌も出て俺の舌先をチロチロと舐めてくれた。言葉こそ交わしていないが、今度こそ明確な干菜の肯定を、その所作に見た。
くぽっと音を立てて俺は口を離した。干菜の鼻からは極度の鼻呼吸を行ったためか鼻水が、口角からは最早どっちのものかもわからない唾液がツーッと垂れていた。すすったり拭ったりする気力も失せているらしい。
最早干菜は為すがままである。一言「…ムダ毛ホンットヤバイけど引かないでね…?」と漏らしてバンザイした。なるほどね、こういうわけか。
剃り残しとかジョリジョリ毛とか、そんなチャチなもんじゃあ断じてない、あまり濃くないし本数も少ないが、長さから見て半年じゃきかない放置具合。
幾ら恋人がいないとはいえ夏くらいは普通処理するだろうに。俺としては一向に構わない。寧ろいい。
指の腹でショリショリ具合を感じ、ピンと摘まんで何センチくらいあるか確かめたり。その間干菜はくすぐったいからか時々んひっと体を捩じらせる。
次はどうしようか、このキャミ、というよりはランニングシャツを脱がしてお胸を拝見しようかと思ったとき、とんでもないことに気付いてあっ!と声を上げてしまった!
俺はコンドームを用意していなかった。セックスするつもりで来たのにゴムという考えが全く無かった。酷い落ち度である。そのことは流石に伝える他無い。
干「…ぷっ、あははは!バカじゃん!wいやーやっと止まってくれた…」
勢いで押し切るつもりだったが、完全に止まってしまった。干菜に考える余裕を与えると、強引すぎた俺の行動に愛想を尽かされるのでは…と怖くなってきた。
干「犯されるかと思ったわw全然話通じないし!帰ったら処理する時間は貰うから。これは絶対。」…ん?帰ったら?
干「買いに行くんでしょ、ゴム。」