放流(3)

2019/01/31

「なあ、ほんまによかったん?」くしゃくしゃの掛布団から顔だけ出して、サクラが訊く。
「なにが?」
「あたしとこんなことして・・・」成り行きとはいえ、ほめられたことではないよな。
「ええやんか」笑って、俺はサクラのほほを手のひらで撫でた。
「ふふ。カイジってお醤油顔やね」
「どっちか言うたらそうやろな」
「奥さんもそんなとこに惹かれたんやな。ええ顔してるよ。悪い人やない顔や」占い師みたいなことを言った。
「サクラだって、あんなに飲まへんかったらかわいいのに」
「あたし?あたしは、かわいないよ。えげつない女やて言われるし」
「確かに、えげつないとこはあるかもね。でもやっぱり悪い人やないな。どっちか言うたら寂しい人なんやろな」
「ううっ。ありがとっ」そういって枕に顔を埋めた。
「泣いてんの」がばっと顔をあげると、あっかんべーをして「うそなきや」そして抱きついてきた。
「なんや、まだちっさいままやん」俺の息子が握られた。
「真面目な話してたから・・」
「こうしたげる」キスをしながら、やわやわとペニスをもみしだいてきた。
俺が自分でするより、的を射ている。
さすが、男を知りつくしている。
亀頭の段差が少ない俺の道具だが、そこをうっ血させるようにしごきあげ、パンパンにしてしまった。
みるみる硬さが増して、さっきより一回り太くなったような感じがする。
「どうや?ジェルクって言うんやよ。お客さんのペニーさんを大きくするマッサージやねん。ローションつけてするとええねんけど、ここには・・・あ、あったあった」のけぞりながらサクラが手を伸ばす。
枕元にコンドームと潤滑ローションの小袋が置いてあったのだ。
ぴりっと濃紺のパックを破ると手のひらに液体を塗り拡げた。
「ほ〜ら。こうして、ぎゅーっと血液を先っちょに集めんねん」てらてらになった亀頭がサクラの手の中で膨れている。
「硬ったいな。カイジの」
「サクラが上手やから」
「入れたなるやん」
「入れてみいな」
「ほなら、上から失礼しますよ」起き上がったサクラは俺をまたいで、小首を傾げながら、腰を下ろしてくる。
さっくりと位置も確かにサヤに収まる。
「はぁ〜。ええわぁ」熱いぬめりが俺を包み込んで、肉の襞(ひだ)の感じも明らかで、名器と呼べる代物だった。
「すごいで。サクラの・・・」
「そやろ。あたしのおめこ、ええやろぉ」満面の笑みを浮かべて、腰を回す。
「カイジのもすっごい当たって、ええよぉ。はあん、ああん」喉を見せるようにのけぞりながら、体の芯で俺を感じてくれている。
後ろに手をついて、結合部分を見せるように、腰を浮かせてグラインドさせるなど素人ではない味付けだった。
あまり腰が浮くので俺のペニスが跳ねてぬけてしまう。
「あん、ぬけちゃった」そういって嬉しそうに、また手で押し込むサクラ。
「なあ、バックから突いてくれへん?」
「ええよ」一度離れて、サクラが四つん這いになって丸い尻を俺に向ける。
チェロのような曲線の胴を抱え込んで、後ろからがっしりと固定し、容赦なく突きこんだ。
「あふ。きっついなぁ」
「ごっつ、締るぅ」巾着とはこのことか・・・まさしく入口が締るタイプの器(うつわ)なのだ。
俺は初めての名器を堪能した。
押せば、いやいやをし、抜けば、行くなというような慎み深い肉の鞘(さや)。
押し込んだまま、棒をぐいぐい上下左右にこじてみた。
「いやぁん、それいい。ちょっと、上手やん。んんーあかん、あたし・・・」
「サクラ、中に出してもええんか」
「かめへん。お薬飲んでるし」
「ほな、フィニッシュ、いくで」さっき出してるんで、長持ちはするけど、この名器の摩擦には耐えられない。
腰を早く送り出し、サクラの尻肉へバンバンあたるように突く。
「あひ、あひ。あん、あん」赤子のような声でよがりながらサクラが素人男によがっている。
どこまでが営業用なのか、わからない。
「もっと、もっと突いて、突いてぇ」
「こうか、どや」痛くないのかと思うくらい容赦なく打ち込んでやった。
充血した膣口がめくれあがっている。
「もう、かんにん、もうちょうだい・・・」
「うああああ」今度こそ、サクラの子宮めがけてぶっぱなした。
ドック、ドックと長い射出が続いた。
べったりと轢死したカエルのようになったサクラ。
硬さを失いつつある自分を抜き去ると、ゴボりと泡立つ白濁液が痛々しいヴァギナから噴き出した。
それから朝までとろけるように二人は寝てしまったらしい。
サクラのシャワーの音で目が覚めた。
「七時か・・・」枕元のデジタル時計が見えた。
「お勤めなんやろ?」モーニングサービスを二人で食べながら、朝のひと時である。
「うん、会社行かな」
「ほんま、ありがとうね」
「俺こそ。メアド交換してえな。また会いたい」
「こんどはお店に来て。指名料はサービスするし。メアドはこれ」と言って名刺を出してきた。
やっぱりお商売の女だもんな。
「けど、なんで住むとこないの?お金あんのに」
「あはは、言うてなかったね。ルームシェアを友達の子としてんねんけど、ケンカして出てきてしもたんや。すごすご帰ったらバツわるいやん」タバコを灰皿に押し付けて消しながら言った。
外は、朝もやで、すがすがしい空気だった。
国道の車はまだラッシュになっていず、すいすい流れていた。
「車で送るし」
「ありがとう。山科駅でええよ」
「わかった」昨日のラーメン屋はまだ準備中の札がぶらさがっていた。
案の定、病院の駐車場には俺の車以外は一台も停まっていなかった。
そして、女を山科駅で放流した。
釣った魚(釣られたのはカイジ君)は大きかったという、なおぼんのお話でした。
おしまい?

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