黒い肌の記憶
2018/10/31
この月、一人息子が小学校に入学するタイミングに合わせて
大学時代から住んでいた東京を離れ
私の郷里に引っ越して来ました。
幾つかの理由が交錯しますが
その目的の一つは、近所の目(噂)から逃れる為でもありました。
そして、その原因を作ったのも…私自身でした。
前の夫と離婚してから
私と息子は、都内の別の地域の団地に入居していました。
そこで出逢ってしまったのです
ある休日、昼食の支度が出来たので
近所の公園に遊びに出ていた息子を迎えに行くと
息子は、大人の男性とサッカーボールを蹴って楽しそうに遊んでいました。
遠目にも、日に焼けて、わりと体格が良いのと
幼子相手にじゃらしているとは言え、しなやかな動き方をしていると感じましたが
もう少し近付いてみて、その男性が外国人(黒人)だと判りました。
その場は、挨拶と御礼だけして家に戻ったのですが
昼食を食べながら息子に聞くと
その日が最初では無くて、前々から何度か同じように遊んで(もらって)いたとの事でした。
初めて知った私にとっては、やや驚きでしたが
実際に、子供と遊んで面倒を見て頂いていた事に嬉しくなりました。
前の夫は、あまり子供には構ってはくれませんでしたし
そして、そんな私達親の都合で離婚をしてしまい
息子には、男親がいないのですから。
『いつも公園にいるんだよ』と
息子に聞いた私は、感謝の気持ちを料理にして
その日のお昼下がり、息子と一緒に再び公園に出掛けて
運良く、そこで御礼のお弁当を受け取って貰う事が出来ました。
息子は、砂場遊びをしながら
ベンチに座って、彼と少しお話をしました(勿論、会話は全て日本語です)。
彼は、26歳(当時)でアフリカの某国出身です。
『ダル』と名乗りましたが、それが母国語の本名かどうかは判りません。
顔立ちは、TVで観るタレントのボビーとか、昔観た俳優のエディー・マーフィーみたいな感じでしょうか
目鼻が大きくて、歯が本当に真っ白
肌は米国系の様な赤黒い感じではなく、青みがかる様な深く濃い黒さです。
料理店で働いているとの事でしたので
私の料理なんかで不安になったのですが
彼は、その場でペロリと平らげてくれました。
『ママさん、とても料理上手』
『M君(息子の名前)、元気とても良い子』
本当に、気を良くされてしまって
「これからも家の子供と遊んで上げて下さい‥」と
お願いをしてしまいました。