誰でもいいからセックスしたかった
2018/10/27
帰宅途中の気怠い電車の中、ふと、生温い視線を感じた。
正面に座る男が私の足を見ていた。
目が合うと、一瞬男は目を反らした。
だけど私が目を反らさないでいると、男はゆっくり視線を戻し、私をジッと見返した。
ふと、セックスがしたいと思った。
特にその男とセックスがしたくなったというわけじゃなく、誰とでもいいからセックスがしたいと思った。
時々、そんな気分になる事がある。
見ず知らずの男に、好き放題にヤられまくりたいと思う事が時々あり、実際、今までに何度もソレをしていた。
私は病気なのかも知れない。
病名はわからないけど、とっても異常な病気のような気がする。
そんな異常な私は、男からソッと目を反らすと、股を少しだけ弛めたのだった。
私は小学校で音楽を教える二十五才の新任教師だった。
私の通う学校は、都内でも指折りの有名私立小学校なだけに、とても厳しい学校だった。
この学校では、自由などという言葉は一切通用せず、教師も生徒もまるで独裁国の人民のように厳しい規律に従わされていた。
職場だけでなく、私生活さえも徹底的に管理されていた。
この学校に来て一番驚いたのはマクドナルドだった。
この学校の教師は、通学路にあるマクドナルドでハンバーガーを食べてはいけないらしく、新任早々、「ハンバーガーを食べたい時は自宅に持ち帰って食べるように」と、教頭先生から言われた。
教師の服装、髪型、言葉使い、は、どこの学校でもそれなりに厳しいが、しかし、表情や仕草、歩き方まで指導され、尚かつ、私生活でのテレビ番組や食事までも管理されるのは、少し異常だった。
そんな制圧された生活は、ストレスという塊となって反動した。
それに順応できない教師は学校を去り、それに順応できる教師は皆、心に病を持っていた。
ほとんどの新任教師が一年で辞めて行くなか、私は自分を殺しながら二年を越した。
しかし、その結果、私はとっても異常な病気に心を侵されてしまっていたのだった。
正面に座る男の目は、私の弛んだ股に釘付けになっていた。
私は男の熱い視線を股間に感じながら、どうやってこの男を誘おうかと考えていた。
見た感じ、遊び馴れていない男だった。
遊び慣れた男なら、あっちから声を掛けて来るだろうが、こんな男にはそんな度胸も自信もない。
私はそう考えながら、もう少し股を開いた。
ここまで股を弛めれば、下着は丸見えのはずだ。
もしかしたら、濡れた下着のシミまで見えているかも知れない。
キキキキキッーっと電車のブレーキの音が車内に広がり、そこにいる人達の体が一斉に右に傾いた。
プシャーっと電車の扉が開くと、扉の真正面に、隣りのホームで発車を待つ電車が見えた。
開いた扉から、人がぎっしりと詰まっている車内が見える。
私は男の目を見た。
男は一瞬ギクリとし、私の股間からゆっくり視線を外そうとした。
すかさず男に向けて笑みを浮かべた。
男は、そんな私の笑みを呆然と見ていた。
私は、男に向けて意味ありげに頷くと、そのまま電車を下りた。
そして素早く隣りのホームの満員電車に掛け込み、体をドアに向けてスッと振り返ると、男がこちらに向かって走って来るのが見えた。
男のその顔は、まるで今から人を斬ろうとしているサムライのように、激しく興奮しているようだった。
男と私は、向かい合わせになりながら満員電車に揺られていた。
男の喉仏が真正面に見えた。
顎の下にポツポツと見える髭の剃り残しと、無惨に欠けた前歯がいかにも低所得者だった。
こんな下品な男に荒々しく犯されたい。
そう思う私の下着は、まるで失禁したかのようにぐしょぐしょに湿っていた。
男の荒い息が私の額にあたっていた。
虫歯特有のツーンっとした口臭が、ひっきりなしに私の前髪を揺らしていた。
男の視線を感じながら、ブラウスの胸元にそっと手をやった。
そして、胸元のボタンを、ひとつずつゆっくりと外していった。
男の息は更に強くなった。
まるで頭上から扇風機をあてられているように、生臭い風が開いた胸元に吹き掛かった。
電車がカーブに差し掛かり、車内全体が右に傾いた。
吊り革を持っていない私は、男の胸に顔を押し付けた。
仕事帰りの肉体労働者のような饐えた匂いに包まれた。
私はどさくさに紛れ、バッグを持っていた手の甲を男の股間に押し付けたのだった。
私の拳が、硬い肉の塊をゴリゴリと動かす度に、男の腰がもぞもぞと動いた。
男は、はぁはぁと臭い息を吐きながら、怖い目で私を見下ろしている。
私は拳で亀頭を探し出し、そこを重点的にゴリゴリさせると、男は、もっと触ってくれと言わんばかりに腰を押し出しながら、いきなり私の乳房に手をあてた。
ブラウスの中の白い乳肉がムニュッと歪んだ。
男は掌の中に乳房を包んだまま、ブラウスの上から勃起した乳首を見つけ出すと、親指でくりくりと転がした。
ベッド以外の場所で弄られる乳首は刺激が強すぎた。
おもわず、男の胸の中に熱い息を吐いた私は、そのままもぞもぞと方向転換し、男に背中を向けた。
このほうが、男は触りやすいと思ったからだ。
男が尻を弄り始めた。
私がスカートをたくし上げると、男の手はじわりじわりと前に移動し、パンティーの中に滑り込んで来た。
男の指は、躊躇う事無く割れ目を掻き分けて来た。
小陰唇が捲れ、中からいやらしい汁がどろりと溢れ出した。
男のゴツゴツとした指が、どろどろに濡れた割れ目を弄った。
クリトリスを指腹で擦られ、おもわず膝がカクンっと折れた。
二本の指が肉穴の中に入って来た。
指は硬い爪で膣壁に引っ掛けながらズリズリと進み、穴の突き当りまで行くと荒々しく動き始めた。
ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅ、と掻き回された。
その音は電車の音で掻き消されていたが、私の脳では鮮明に鳴り響いていた。
男の指は根元まですっぽりと入っていた。
指が動く度にクリトリスが男の掌でグリグリと転がされ、私は激しい性的興奮と羞恥心に包まれた。
私は今、初めて出会った人に性器を弄られている。
出会ってほんの十数分の間に、人間が最も隠したい部分である『恥部』を大勢の人の前で弄られ、そして感じている。
私の学校では、教師は怒りと悲しみの感情を露にしてはいけないという規則があった。
どれだけ腹が立っても生徒の前では絶対に怒ってはいけない。
どれだけ悲しくても生徒の前では絶対に泣いてはいけない。
そんな規則に縛られる私は、いつしか感情を殺す術を覚えていた。
だから、どれだけ感じていても、この大勢の人がひしめき合う車内では恥ずかしい声を出さずにいられた。
しかし、もう我慢の限界だった。
私はゴリゴリとした硬い肉棒を入れて欲しくて堪らなくなっていた。
私はソッと横を向いた。
私の頬が男の頬に触れた。
「セックスして下さい」男の耳元にそう囁いた。
男は痰の絡んだ低い声で、「いいのか」と驚いていた。
次の駅で電車を降りた。
ほとんど下車する人のない、薄ら淋しい駅だった。
男は私の後に付いて来た。
改札口を出ると、寂れた駅前には、見た事のないコンビニが一軒、ポツンと輝いているだけだった。
夜空を見上げても、ホテルのような建物は見当たらなかった。
しかし私は最初からホテルなど望んでいなかった。
異常な私は、汚い場所で危険に残酷に犯されたかったのだ。
ふと見ると、改札口の横の駐輪場に『WC』と書かれた看板がぶら下がっていた。
見知らぬ駅の公衆便所。
ゆきずりの男に犯されるにはもってこいの場所だと思った。
堂々と男子トイレに入っていった。
もし、そこに人がいれば、その人も参加させればいいと思った。
それくらい、この時の私の思考は狂い、精神は病んでいた。
一番奥の個室に入るなり男が抱きついて来た。
私も男に抱きついた。
私の胸をブラウスの上から弄る男の手を見ながら、私は男の唇の中に舌を押し込んだ。
濃厚に舌を絡め合うと、すかさず私は男の足下へと体を滑らさせ、スカートの股をわざと大きく開きながらしゃがんだ。
私が男のベルトを外そうとすると、男は私の手を振り払いながら自分でベルトを外した。
がっしりと太い肉棒が天井の蛍光灯に向かって反り起っていた。
くわっ、とエラを広げた亀頭は赤紫色に火照り、先っぽでは透明の汁をタラタラと輝かせていた。
鼻の奥にツーンっとくるイカ臭が、更に私を欲情させた。
大きく口を開けながら、それを一気に飲み込んだ。
私の学校には、食べ物を咀嚼する時は、前歯を見せてはいけない、音を立ててはいけない、という規則があった。
私は音を立てないように肉棒をしゃぶった。
口内で舌を巧みに動かし、ぴちゃりとも音を立てずに男を快楽へと導いた。
亀頭に舌を絡ませたままゆっくりと顔を上下させた瞬間、いきなり男は私の頭を両手で鷲掴みし、「だめだ。出そうだ」とその動きを制止させた。
動きを止めた私は、肉棒を口に含んだまま男を便座の上に座らせた。
男を便座に座らせながらしばらく肉棒を口に含んだままジッとしていた。
男の太ももの隙間から白い便器の底が見えた。
便器の奥底から強烈なアンモニア臭が漂い、ふと、その便器に顔を埋めて大勢の男達が放出したアンモニアを舐め尽したいと思った。
私の口内では、今にも爆発しそうな肉棒がピクピクと痙攣していた。
肉棒を口から抜くとテュポッという卑猥音がトイレに響いた。