数学教師が卒業前に語ってくれた不思議な話
2018/02/20
その、もう初老の数学教師は、毎回10分前に授業切り上げて、
趣味とか雑学の話をしてくれた。
手品して種教えてくれたりとかトリビア的な雑学とか趣味の自転車とか
登山の話をしてくれたり。
授業よりもそっちのほうが面白くて、毎回授業楽しみにしてたんだ。
クラスのみんなもそうだったと思う。
自宅から学校まで20数キロあるのに、毎日自転車で学校まで通っていて、
転んで両手骨折して板書できな
くなって、生徒に板書させて、自分はしゃべってるだけとかもあった。
そんな彼が学生時代に登山にいって友人がいなくなった話を始めたのは
卒業まで 「俺はな、毎年お前ら送り出す前にな、毎回この話してるんだ」
俺たちは卒業1回しかないけど彼は何度もそれしてるんだろうと、まぁ教師だからな。
「とっても信じられない話をするけど、信じなくてもいい。けど、あったことだから」と。
話は大学のワンゲル部(登山とかするサークル?)に入ったところからだった。
当時、登山しまくってた彼にはA君という同級生がいた。
常にA君と二人で、盟友のような感じで、信頼できるパートナーとして登っていたそう。
A君と国内の山登りまくり、在学中に海外の山(エベレストではなかったが
相当な山、失念)登ろうと約束。
それに備えて夏休みにトレーニングかねて国内の難所と言われる山を登っていたそうだ。
なんかどっかの山の壁登って、登頂して、下山した時、下山時間早かったから
下にある湖でボート乗る事に。
もう旅館帰るだけだったから、難所攻略してそうとうリラックスして、ボートで写真とりまくった。
ふいに、立ち上がったA君がバランス崩して水に落ちた。
おい大丈夫か?って覗き込んだらすでに水深あれ?あれ?
俺、泳げるのに…あれ?、って口が言ってるように聞こえて
透明度の高いその湖で両手を突き出しながら口をパクパクしながら
彼は登山靴(当時は重かったらしい)とリュックにつめた荷物の重みで沈んでいったそうな。
沈みながらずっとこっちみてたって。
その後、手漕ぎボートで必死で岸まで着いた彼はボート屋や警察に
通報して捜索したけどA君は見つからなかった。
そして夏休みが終わって、ワンゲルでその話したら彼以外に
A君のこと覚えていなかったんだって。
同じワンゲルメンバーに話してもAのこと誰も知らない。
せめて家族に知らせようと大学の名簿取り寄せてもAは名簿にいなかったんだって。
でも彼はA君といろんな山登った。
A君との思い出がたくさんあったはずなのに。
でも、アルバム見てみるとおかしなことにA君と撮った写真とか1枚もなかったんだって。
A君はいっつもカメラもって来たのに。
数ヶ月ごとにその湖に彼を探しに通った彼はもうA君はいないって自分に言い聞かせて、
あの事故は無かった事故で、最初からA君はいなかった、ってことにしたって。
そしてパラレルワールドの話をしてくれた。
ドッペンゲンガーとかの話も。
自分はその時、その世界で暮らしてたのかもしれないって。
俺は大人になってから、何度かふとその事思い出し、
ググってみたけどその事故全然でてこないんだ。
昨日、彼のお葬式に行ってまいりました。
遺影の彼はあの頃と同じような不思議な優しい目で微笑んでました。
そして彼がよく話してくれた不思議な話を思い出しました。
でも、本当に不思議だったのは、目をつぶってもトランプ触れば
マークと数字わかる事でした。
誰かがもってきたトランプ適当に1枚抜き出して触ると、「あ、これハート。…4な」
マジックとかのテクニックかと思い、
彼をタオルで目隠しして、マジックでマークと数字真っ黒にぬった
トランプ触らせたら当てました。
しかも何度も。
それの種明かしが聞きたかった。
ほんとうにそんな能力あったのかも知れないけど。
以上、15年以上前の話。
もし、同じような話聞いたことある人いたら書いてほしいな。
彼は関東のとある県の教師でした。
おわり。