女癖の悪かった親友にモデルみたいな彼女ができた
2018/02/14
ちょっと聞いてくれないか もう何年も前の話なんだけど
俺にはガキの頃からの連れがいたんだ
そいつは明るいくせに人見知りで
イケメンのくせにコミュ障で
なのに女癖悪くて
頭良いのに勉強できなくて
とにかく不思議で面白い奴だった女にモテるがDQNだった親友は
高校に進学すると
さらにモテ街道を爆進した
俺の自慢の友達だった高校1年の夏の日
原宿で合コンがあり親友と歩いてると
3人くらいからスカウトされていて
名刺や書類みたいなのをもらっていた
程なくして親友は芸能事務所に所属したんだそれからは爽やか系イケメンにジョブチェンした親友は
毎週レッスンやオーディションに通い続け
女遊びもしなくなった
初めて親友がテレビにエキストラじゃ無く
ちゃんと台詞を言ったのは高校を卒業して一年後の
オンエアを見たとき凄く嬉しかった
その反面、なぜか恥ずかしさと
親友が芸能界の住人なんだと
虚無感に似たモノが胸に残った
それでも親友は毎週末
必ず連絡をくれて遊んでくれたし
撮影やオーディションの裏話を沢山してくれた俺は底辺職に就職し
親友はアルバイトをしながら芝居に打ち込んでいた
メインでCMやポスターに出てたり
良い役でテレビに出てたけど
世間的には、まだ全然無名の新人俳優って所だったのかな気が付けば俺達はアラサーになっていた
俺もいつまでも底辺職にいられないので
資格取得の為に勉強したり
息抜きの為に趣味を見つけたりで
親友とは半年会えていなかったそんな時、親友から連絡が来た
明日の朝9時に○○駅に来い
と
それは都内の外れの駅で
聞いたことも無い場所だったけど
俺は嬉しくて時間通りに車で向かったそこで俺を待っていたのは
上下スウェットで寝癖全開の親友と
モデルみたいな体型の綺麗な女の子だった「これ俺の彼女!宜しくね!」
満面の笑顔で言い放った親友はキラキラしていて
その彼女に対する愛情を感じずにはいられなかった
俺も自己紹介をし
その彼女とすぐ打ち解ける事が出来た親友の彼女なんだから俺も好きにならなきゃ
と思い、何回か鍋やカラオケを重ねるうちに
恋愛感情とは全く別の
友人として、その彼女を大好きになった
二人が結婚して欲しいと
本気で心から願っていたんだつかマジで人いねーなw
起きろニート共www見てるよ>>18
ありがとう
超ありがとうそれから数年間
親友はアルバイト先でもスゲー評価されてて
同業種の人達から正社員のヘドハンが
何社もかかっていた
実際、書類を見せてもらったが
親友の功績は素晴らしく
マジで芝居とか辞めた方が良いんじゃねーかと
本気で思ったくらい
俺は資格を何個か取れて
もっと条件の良い会社に再就職出来た
親友の彼女も出世をし
労働条件こそキツクなったものの
給与とやりがいは
はるかにステージアップしていた
皆が皆
スキルアップして
俺達みたいなゴミクズでも
社会と真っ当に向き合える事が
嬉しかった親友の俳優業は
当時の2年前に民放で主役を2回
その翌年に1回
主演の舞台が2本、メインのCMが一本と
それなりに業界でも評価されてんのかなー
と俺は思っていた
舞台の時は必ず招待席を用意してくれるし
楽屋にも呼んでくれる
公演後は彼女も交えて
3人で飯を誘ってくれる
30を超えた俺たちでも
全てはこれからだった俺も業務に終われ、新人育成に勤め
独立の為に経営を学び
半年会っていなかった
久しぶりに親友と二人で飲みにでも行こうかと
携帯を出したとき
ちょうど親友から着信が来た
久しぶりだったから結構なハイテンションで出た事を
今でも後悔している
彼女が急逝したとくも膜下出血だと
俺は親友の事が大好きだし
その彼女の事も大好きだった
なにより二人の笑い合ってる姿や
痴話喧嘩してる光景が大好きだった
言葉にならなかった
長い付き合いの中で
初めて親友が嗚咽しているのを
電話越しに聞いた葬儀に参加せて頂き
親族席に座る親友を直視出来なかった
気の毒すぎて
だけど会食の時に呼び出され
二人でセレモニー会場で色んな事を話し合ったんだ
何も言えない俺に
親友はひたすら
ありがとうと言ってくれたくも膜下出血か。
突然だとショックだよね。
>>25
前兆が無いもんな
人の死って色んな事を教えてくれるよなそれから数ヶ月後
親友に連絡してみた
すると彼女の家にいるとの事
毎週、彼女の家に行き掃除をし
一晩過ごしてるんだってさ
相手のご両親に頼み込み
家賃を自分で払い
彼女がいつでも帰って来れる様に
ってそれを聞いたとき
自分の無力さを嘆いた
嘆いたよ
何にも出来ねーんだ俺
十何年の付き合いで
一緒に悪いことも楽しいことも辛いことも
全部二人で背負ってきたはずなのに
かける言葉すら見つからない
何て顔して良いか分からない親友が片付けた部屋は綺麗で
でも衣類や風呂場からは
当時俺も知っている彼女の臭いが残っていて
今までバケツ何杯分も二人で飯食ってきたけど
初めて無言で卓を囲んだその夜さ
親友が言ったんだ
「本当は分かってるよ」
って
もうその言葉が全てだと思う
俺も
「うん」
しか言えなかった
「何にも無い俺を救ってくれた彼女にさ
感謝って言葉じゃ足りないんだよね」
「うん」
「でもさ…
もう一回だけで良いから会いたいんだよ」
酒の手伝いもあるんだろうけど
親友は電気の消えた部屋のベットで泣き出した
いつもの様に俺はベット横のテーブルをズラし
毛布をかけていた
「もしさ、会えたらさ、俺の分までお礼伝えてくれよ」
これが俺の精一杯の言葉だった程なくして俺達は無言のまま眠りに落ちた
で、ここから聞いて欲しい話なんだ俺はオカルトとか超常現象とか
全く信じない人間なんだ
でもその日
寝静まった静寂の中
誰かが俺を呼ぶんだ
優しい声で
それは寝苦しさじゃなくて
朝日が優しく自然に起こしてくれる感じ
その日、見たんだよ
彼女を
俺は自分を疑る前に親友に声をかけようと思った
そしたら親友は涙を流しながら
俺の見えてる方向を見つめてるんだよね
まるであいつにも見えてるかのように…