2階建てバスの2階で始まった恋
2022/04/03
最近あったことをちょっと投下してみる。
俺は今仕事の関係でロンドンに住んでいる。
ロンドンは住むには聞いていた以上にひどいところで、
例えば、地下鉄の初乗りは3ポンド。
今のレートだと、660円くらいはすることになる。
かといってサービスがいいわけじゃないっていうのがまた悩ましい。
まあ、他にも生活してていろいろな問題はあるが、
大体は同じようなもん。高くてサービス悪い。
まあ、これは余談。
今住んでいるところも、当然日本に比べると高い。
でも、地下鉄が通っていないところだから、そこそこ安くなっている。
バスで通わなければいけないわけだが、俺は、バスは嫌いじゃない。
いつも使っているバスは二階建てなんだが、
二階に座って、ときどき仕事の書類とかをみながら、
街を眺めるのは悪くない気分だ。
この前、夜10時ごろ、いつものようにバスの2階の席に座って、
書類を眺めていた。帰り道のことだ。
所要時間は大体30分くらい。
途中で隣に若い女の子が座ってきたが、
そんなのはいつもあること。
俺は、窓際の席で書類と外を見ていた。
書類って言っても、臨床心理に関するもの。
日本人らしく、蛍光ペンでせっせと要点をなぞっていた。
あと5分くらいで自分の家の近くになろうかというころ、
その女の子が不意に話しかけてきた。
「何をなぞってるの?」
あまりに突然のことでちょっとびっくり。
「仕事の書類だよ」と俺。普通に返答。
彼女「ふーん。面白い?」
俺「そんな面白くはないけど、まあ、しごとだからね」
彼女「そっか」
何の盛り上がりもなく、その場は終わった。
ロンドンにいると、こういうことはときたまある。
バスで話しかけられるというのは初めてではなかった。
その会話から、ちょっと気になったので、
よくその子を見ると、けっこう魅力的な雰囲気がある。
顔はちっちゃくて、例えるなら、クロエ・セヴィニーみたいな感じ。
背は155センチくらいだろうか。
細身で、黒いタイツをはいた脚がすらっとしていてエロい。
しばらくして、バスが俺の降りるところに着いた。
すると、彼女もどうやら一緒に降りる様子。
バスを降りるとき、ちょっとだけ笑顔を交わす。
普段ならそこで何事もなく、家に帰る。タバコをすいながら。
その日は違ってた。
タバコに火をつけたとき、彼女が近寄ってきて、
火をくれと言ってきた。
「寒いね」と俺。「うん」と彼女。
「飲みにでも行こうか」普段はこんなこと言わないんだが、
このときは自然にそう言ってしまった。
返事も自然。ごくごく当然のことを言われたかのように、
そうしようと彼女は言った。
タバコを吸ったまま、すぐ近くのパブに入る。
話を聞くと、大学生だと言う。
専門の科目に何も興味が持てないのだと言う。
なるほど。面白いか?と聞いてきたわけが少しわかった。
その日は金曜の夜。クラブに行こうかと、
クラブの外で列に並んでみたけど、
ばかばかしくなって、気付いたらバスに乗って帰ってた、
と彼女は言っていた。
自分が日本で大学生をしていたころのことも思い出し、
どこでもそんなに変わらないんだなと思い、彼女に共感を覚えた。
そこからは、お互いの境遇や気持ちを話し、
飲み始めたのは12時前だったが、気付いたら2時を回っていた。
さすがに帰ろうという話になって、パブを出る。
彼女は、「家はこっちなんだ」と、俺の家とは違う方向を指差す。
何も言わずにいたら、俺の胸に飛び込んできた。
一緒にいようよ、と言われた。
俺の家に着き、ベッドに転がり込む。
キスをしながら、お互いの服や靴なんかを脱がせあう。
安っぽいベッドのスプリングが、その日は気にならないくらいに荒々しく。
あっという間に裸になり、抱き合う。
体温を確認しあうような感じ。
そこからは彼女主導。手が俺のペニスに伸びてきて包み込む。
堅くなっているのを確かめ、笑顔を俺にみせる。
いとおしくなり、彼女の胸を触り、キスをする。
彼女の口からはぁという息が漏れる。
息遣いだけで彼女も俺もお互いの快感を探り当てていた。
お互いの体を手でさすり、口で愛撫するうちに、
自然と彼女の中に入った。
ほとんど膣の中の愛撫はしていない。
それなのに、溢れるくらいに濡れ、熱をもっていた。
彼女はほとんど声をださない。
時折もれる、んっという声。
たまにちらっとこっちをみて、
すぐに目を伏せる。
全てが完全に俺の好みだった。
お互い汗まみれになるくらいになったころ、
俺は彼女にいきそうだと言った。
彼女からはgive me yoursという言葉。
中に出していいということなのかもしれないが、
確信がもてなかったので、
彼女のお腹の上にだした。
俺のペニスをくわえる彼女。
口に出せということだったようだ。
結局彼女は日曜日の夜まで俺のフラットにいた。
セックスをし、料理を作り、寝るという生活。
俺はこっちに来てから、誰とも付き合ったことがなかった。
正確に言うと付き合いたいやつもいなかった。
正直、こっちの女とわかりあえる自信がなかった。
でも、この2日間で、不思議と、
彼女とならお互い満たしあえるんだって思ってしまった。
彼女に、また会いたい、付き合いたいと言った。
ちょっと照れながら、そのつもりだと彼女は答えた。
ほっとして、何がきっかけだったの?と彼女に聞いてみた。
Your eyesとしか言わない。
それなら、整形しない限り、好きでいてくれるの?と言ってみる。
彼女ははにかんだように笑う。
たぶん、実際付き合うと楽しいことばかりでもないだろう。
それはわかる。でも、この平板な毎日に降って湧いたような
彼女の出現を俺は大事にしたいと思ってる。