友達の母- 文恵
2019/02/12
1.日常の風景「行ってきます」
朝食もそこそこに、美佳は鞄を手に取り小走りで玄関に向かった。
「あれ、今日も一人?悠人君と一緒じゃないの?」
文恵はエプロンで手を拭きながら、靴を履く美佳の後ろから声を掛けた。
「知らない、、、じゃあ、行ってきます!」
一瞬睨み付けるような目を文恵に向け、美佳は玄関から飛び出していった。
「ふぅ、、、」
文恵は玄関のカギを締め、溜息を吐いていた。 この家には美佳を妊娠した際に、少しでも環境の良い所で育てようと一夫と話し引っ越してきた。
都心部からは離れたが、緑や公園が多く子育てには良い環境と思えた。
建て売りの分譲住宅は瞬く間に売れ、隣の高橋家が引っ越してきたのも同時期だった。
お互い妊娠中であったため、直ぐに家族同士の付き合いが始まった。
娘の美佳と、高橋家の悠人とは幼稚園、小学校、中学校と常に一緒だった。
明るくハッキリとした美佳と対照的に、悠人は勉強は出来たが大人しく、悠人が喧嘩して泣かされた時は仕返しとばかりに美佳が喧嘩相手を泣かすこともしばしばあった。
仲の良かった二人がよそよそしく成り始めたのが、中学校に上がって少し経ってからのことだった。
美佳の食欲が減り、笑顔が消え、イライラを文恵にぶつけるようになった。
「年頃かな、、、」
美佳の食べ残した朝食を片付けながら、文恵は呟いた。
「さぁて、今晩何しようかな、、、」
文恵は朝のワイドショーを横目に、洗濯機に向かった。
洗濯、掃除、朝食の片付けが終わる頃には、テレビから「いいとも〜!」と叫ぶ声が聞こえた。「ただいま〜」
夕食の支度をしている文恵に顔を出し、美佳が自分の部屋に上がって行く。
「お帰り、学校からの手紙は?」
「、、、、」
文恵の声は美佳に届かなかったらしく、返事は帰って来なかった。
「もぅ、、、」
諦めたように溜息を吐き、野菜を刻む手を動かし始めた時だった。
ピンポーン!
チャイムが鳴り、文恵は手にした包丁を置き玄関に向かった。
「は〜い、何方ですか?」
数秒の間が空き、悠人の声が聞こえた。
「あっ、、高橋です、、、美佳さんいますか?」
「悠人君?ちょっと待って、今開けるから」
文恵は下駄箱に手を掛け、体を伸ばしながら玄関のドアを開けた。
玄関から覗いた悠人の顔が目の前に現れる。
「いらっしゃい、どうしたの?」
驚いた顔で直ぐに俯いた悠人に笑いかける。
「あ、、美佳さんいますか?」
「ちょっと待って、、美佳!お客さんよ!さっ、入って」
「はい、、」
文恵が体を直すのを見届け、悠人が玄関に入ってくる。
「だれ、、?」
階段の上から、気怠そうな美佳の声が聞こえる。
「悠人君よ、ほら上がって」
「えっ、何で?どうしたの?」
うわずった美佳の声が響き、ドタドタと階段を降りてくる。
戸惑いながらも、嬉しそうに笑う美佳が隣りに立った。
「あっ、いや、数学解らないって言ってたから、、、宿題一緒にと思って、、、」
「ホント!?どうしようかと思ってたの。入って入って!」
恥ずかしそうに俯く悠人に、美佳は嬉しそうに手招きした。
「良かったわね、美佳。さっ、悠人君も上がって」
文恵もニコニコと笑い、悠人を招き入れた。
「お邪魔します」
文恵の顔をチラッと一瞥し俯く悠人を、美佳は見逃さなかった。
「ママ後で紅茶ね!」
美佳は語気を強めて、文恵を一瞬睨み悠人の手を取り二階に上がっていった。
「はいはい、あまり遅くならないようにね」
文恵は頬を緩めながら、キッチンに向かった。2.暗闇の中の視線「今日久しぶりに悠人君が来て、美佳に数学の宿題教えてくれたのよ」
文恵は晩酌のビールを飲む一夫に、ニコニコと話しかけた。
「そうか、悠人君も大きくなったんだろうな」
「ええ、背なんて私より大きいのよ」
「もう中学生だもんな〜早いモンだな」
「でも、性格は変わって無くて、大人しくて良い子よ」
「性格はなかなかな。美佳と反対だったら良かったのに」
一夫は笑いながらビールを飲み干し、椅子から立ち上がった。
「先風呂入ってくるな」
「えぇ、じゃあ、片付けちゃうわよ」
文恵も立ち上がり、テーブルの上の食器をカチャカチャと片付け始めた。
食器を洗い終えエプロンを首から抜こうとした時、バスタオル姿の一夫がキッチンに顔を出した。
「上がったぞ〜」
「あ、はぁ〜い。私もちょうど終わったから入ってくるわね」
文恵は冷蔵庫から取り出したビールとコップをテーブルの上に置き、浴室へ向かった。
脱いだ服をかごに入れ、浴室のドアを開ける。
立ちこめた湯気が柔らかく全身を包み込み、石鹸の匂いが鼻をくすぐる。
恵子はサッとシャワーで体を流し、湯船に身を沈めた。
「あぁぁぁ、、、、」
溜息が自然と口からこぼれ、温かなお湯の感触を目を瞑り楽しむ。
うっすらと汗をかき、白い肌がほのかに赤く染まるまでゆっくりとお湯に浸かる。
恵子にとって最もリラックスできる時間だった。 それは偶然だった。
勉強の気晴らしに窓を開け、空を眺めて居たときだった。
カラカラと窓を開ける音の方に何気なく視線を向けた。
小さな窓から湯気が立ち上がり、赤く火照った妖しい体が一瞬目に入り悠人の体は硬直した。
直ぐに窓から離れた白い体が悠人の脳に焼き付いた。
”美佳・・・?”
いつも一緒に居た美佳の裸を想像し、その夜は激しくオナニーをした。
それからというもの悠人は照明を消し、息を潜めて隣家の風呂場を覗くのが日課になっていた。
お風呂上がりに決まって窓を開けるのが、文恵だと気付いたのは暫くたってだった。
いつの間にか文恵がオナニーの対象になり、美佳に対して引け目を感じるようになった。
美佳の機嫌が悪くなり始めたのもその頃からだった。
「、、、、、、!」
照明を消した暗い部屋の中で悠人はカーテンから目だけを覗かせ階下を見つめていた。
柔らかな光りを零す小さな窓は、磨りガラスと湯気で濡れ中は見通せない。
ふらっと人影がよぎり、悠人は目を凝らし窓を見つめた。
カラカラ
何時もの窓の開く音と共に、白い手が降ろされる。
白い乳房と茶色い乳首が立ち上がる湯気越しに見え隠れする。
「ふぅ、、、」
冷たい外気に顔を当てた文恵が溜息と共に去っていった。
「、、、、、」
ジャージから張り裂けんばかりに大きくなったペニスを悠人は取り出し握りしめた。
湯気の中から立ち上る石鹸の匂いを胸一杯に吸い込む。
悠人は目を瞑り、夕方玄関のドアを開けた時にTシャツの胸元から覗いたブラと、今脳裏に焼き付けた胸を重ね合わせた。
「、、、、、っ!!」
白濁した青い性が勢い良く放たれ、窓際に飛び散った。
「、、、、、」
オナニーの後に必ず訪れる罪悪感に悠人は落ち込みながらティッシュを手に取った。
ぐったりとベッドに横になった悠人はまだ収まらないペニスを扱き始めた。「もぅ、何恥ずかしがってるの?小さい頃よく一緒に入れて上げたじゃない」
Tシャツを脱ぎ棄てた文恵は、ジーンズに手を掛ける。
「えっ、、、でも、、、」
「早く、汗臭いわよ、、、」
前屈みになりながらジーンズを脱ぐ文恵の胸の谷間に視線が釘付けになり、異様な状況にペニスがズボンの下で膨張し始めた。
3.淫夢 制服姿の美香が満面の笑顔を湛え、何かを叫びながら手を振り駆け寄ってくる。
何も言えずに黒いアスファルトの模様を眺め立ち尽くしていた。
握られた手が引かれるまま美香の横顔を見つめながら走りだした。
息が上がり、全身から汗が噴き出しても美香は走り続ける。
「もう少し!もうちょと!」
笑いながら振り向く美香にドキっとしながら、美香の後を追った。
美香が急に立ち止まり振り向きざまに笑みを浮かべ、一軒の見慣れた家に入っていく。
一瞬の躊躇の後、閉じかけたドアを美香の後に続いた。
「いらっしゃい、さぁ上がって」
Tシャツにジーンズ姿の文恵が出迎えてくれた。
「あ、、みかさんは、、、?」
「美香?まだ帰ってきてないわよ。さぁ遠慮なく」
混乱する頭のまま文恵に促され、リビングへ向かった。
「暑いわね、、、すっかり汗かいちゃったね、、、」
「えっ、、、?」
「悠斗君も良く走ったから、汗でびしょびしょね、、、」
「走ったって、、、美香さんは、、、?」
訳が分からず、美香を探して部屋を見渡した。
「もぅ、、、さっきまで私と一緒に走ってたじゃない」
文恵はそう言いながら、汗で張り付くTシャツを脱ぎ始めた。
「あっ、、、あの、、、?」
「ほら、悠斗君も早く脱いじゃいなさい。お風呂に入らないと、、、」
「えっ、、、あっ、、あの、、、」
「もぅ、何恥ずかしがってるの?小さい頃よく一緒に入れて上げたじゃない」
Tシャツを脱ぎ棄てた文恵は、ジーンズに手を掛ける。
「えっ、、、でも、、、」
「早く、汗臭いわよ、、、」
前屈みになりながらジーンズを脱ぐ文恵の胸の谷間に視線が釘付けになり、異様な状況にペニスがズボンの下で膨張し始めた。
「もぅ、しょうがないわね、、昔みたいに脱がせてあげるわ、、」
ブラとショーツ姿の文恵が近づき、制服のボタンを外しはじめた。
「あっ、、あの、、、ちょ、、、」
言葉と裏腹に下半身に血液が送り込まれる。
「はい、、万歳して、、、」
目の前に迫る胸から目をそらし、なすがままにTシャツを脱がされた。
俯いた視線の先には文恵の白いショーツが有った。
「ズボンも脱がないと、お風呂入れないわよ」
制服のベルトに文恵の手が伸びる。
「じ、、自分で出来ます、、!」
恥ずかしさを隠すように、大きな声を上げベルトに手をかける。
パンツを押し上げるペニスを隠すように、文恵に背中を向けズボンを脱いだ。
「よし、じゃあ、お風呂に行こうか」
文恵は子供に話すように言い、スタスタと歩いて行った。
どうしていいか分からず立ち尽くしていると、風呂場の方から声がした。
「早くしなさい、、、何遠慮してるの?」
カラカラと風呂場の戸の開く音が聞こえる。
混乱した頭で脱衣所まで歩き、脱ぎ捨てられた文恵のブラとショーツが目に飛び込んだ。
「あっ、、、、」
無防備に脱ぎ捨てられた下着に、ペニスが大きく波を打つ。
鼓動が速くなり、緊張で汗が噴き出した。
風呂場の戸を一瞥し、体を屈めてショーツに手を伸ばす。
「何やってるの?早くしなさい」
突然風呂場から声が掛かり、伸ばした手を慌てて引っ込めた。
脱いだパンツを丸め、大きくなったペニスを隠し戸を開けた。
「ほら、早く!」
体を泡だらけにした文恵が振り返る。
「、、、っ」
唾を飲み込み風呂場の戸を閉めてから両手で股間を隠した。
「何そんな所で突っ立って、、、あっ、、!」
「あっ、、あの、、、ちがうんです、、、」
文恵の視線が隠した股間に注がれた。
「、、、そうよね、もぅ中学生だもんね」
困惑しながらも笑顔を作り、文恵は手を伸ばし隠していた両手を剥がした。
「ふふふっ、、、大きくなってる」
「、、、、」
「ふぅ〜ん、ピンク色、、、可愛い、、」
泡だらけの文恵の手が、ゆっくりとペニスに添えられた。
「あっ、、、っ」
ビクビクと腰が跳ね、今迄に感じた事のない刺激がペニスに与えられた。4.寝坊 文恵の胸は軟らかく、マシュマロみたいに手の動きに合わせ形を変えた。
唇はペニスを含み、赤い舌がチロチロと刺激を加えてくる。
夢中で広げた足の奥にはピンク色の割れ目と、大豆程のクリトリスがあった。
むしゃぶりついた秘裂からは透明な液がとめどもなく溢れ出した。
「あぁぁぁぅ、、、早く頂戴、、、」
文恵に導かれるまま、ペニスを突き立て腰を振った。
文恵の白い腕が蛇のように絡まり、全身が快楽に包まれる。
オナニーでは感じた事のない気持ちよさに、腰が熱くなりペニスが跳ね上がった。
「でるっ!」
全身がブルブルと震え、熱い塊がペニスを通過していった。
視界がゆっくりと暗くなり、暑さとけだるさと不快感が広がっていく。
「、、、、えっ、あっ!?」
暗闇に見慣れた風景が浮かび上がり、下腹部にパンツが張り付く。
「、、、、、」
掛け布団を跳ね除け、後ろめたさと共に悠斗は体を起こした。
溜息を漏らしながら机の上のティッシュを手に、不快なパンツを脱ぎ棄てた。
パンツを汚したペニスに苛立ちを覚えながらも、夢精するほどの夢に充足感もあった。
悠斗は新しいパンツに履き代え、ベッドに潜り込んだ。「悠斗!何時まで寝てるの!遅刻するわよ!!」
「、、、、」
「何時だと思ってるの!早く起きなさい!」
ドアをたたく音と共に、雅美の声が高橋家に響いた。
「あっ、、あぁぁ!!今起きる!!」
悠斗は慌ててベッドから飛び起き、寝ぼけた足取りで制服に手を伸ばした。
「早くしなさい!」
「わかった、、、もう起きたよ!」
汚れたパンツをベッドに隠し、カバンを持って洗面所に向かった。
急いで歯を顔を洗い、玄関を飛び出した。
「行ってきます、、、えっ!?」
「遅い!何やってるの遅刻しちゃうわよ!」
悠斗の家の前で美香が腕を組み、頬を膨らませている。
「み、、、どうして、、、??」
「良いから、早く!」
「あっ、、うん、、、」
早足で歩く美香の横に並び、悠斗は美香の顔を見た。
「どうしたの?」
「ん?理由がないと一緒に行けないの?」
「そうじゃないけど、、、」
「それより、悠斗こそどうしたのよ?寝坊?」
美香の問いかけに、一瞬頭が白くなった。
「、、、ん、ちょっと遅かったから、、、」
「遅くまで勉強しすぎると、体に悪いわよ、、、あっ、ほら、走らないと間に合わないじゃない!」
言うより早く美香は駆け出していた。
「ちょっ、、、」
一瞬遅れて悠斗は駆け出し、昨夜の夢を思い出していた。
「そこの二人!早く走れ!!」
ようやくたどり着いた校門の前でジャージ姿で仁王立ちする体育の教師が大声を張り上げた。
「お早うございます!」
美香に続き悠斗も頭を下げ、誰もいない玄関に飛び込んだ。
「まったく、、、朝から、、走ると思わなかった、、、」
息を切らせた美香が上靴に履き替え、下駄箱を閉めた。
「、、、、、」
黙ったまま靴を履き換えない、悠斗に怪訝そうな目を向けた。
「何やってるの?早くしないと、、、」
「おっ、、、俺と付き合ってくれないか?」
悠斗の眼が美香の眼を捉え、小さくもはっきりとした声で言った。
「なっ、、、、???」
「美香、付き合ってくれないか?」
先程より大きな声が、玄関に響き渡る。
「ちょっ、馬鹿じゃない、、、なに、そんなこと急に、、、」
顔を赤くした美香が、廊下を教室に向かって駆け出していった。
「、、、、」
悠斗は後ろめたさに溜息を吐き、靴を履き替え一人教室に向かった。
予鈴が鳴る誰もいない廊下の角を曲がると、美香が壁に背を当て立っている。
「ばか、あんなこと急に、、、悠斗の相手は、、昔から私くらいしか出来ないじゃない、、」
「えっ、、、?」
「ばか!何度も言わせないで、、、」
真っ赤な顔を俯かせ教室に向かう美香の後を悠斗は追った。
「おはようございます、、、」
ホームルームが始まっていた教室の視線が一気に二人に降り注いだ。
「なんだ〜?二人して遅刻か!?」
担任が声をあげると同時に、教室中が冷やかしの声で沸きたった。
「し〜ず〜かに!!二人とも早く着席しろ!」
悠斗と美香は俯きながら自分の席に着き、カバンを置いた。美香は嬉しそうにテーブルに肘を付き、悠斗の顔を覗き込む。
「ねぇ、悠斗ってそんなに勉強ばっかりして楽しいの?」
「楽しいわけじゃ、、、」
悠斗は美香の視線から目を逸らし、解きかけのノートを見つめた。
「ねぇ、キスしようか?」
「、、、えっ!?」
目を大きく見開いた悠斗に美香は照れ臭そうに小さな声で続ける。
5.交際「ママ、悠斗が来るから紅茶とコーヒーよろしく!」
美香が帰ってくるなり玄関で大声をあげ、二階へ駆け昇っていく。
「何時くらいに来るの?」
文恵の問い掛けはドアのしまる音とドタバタと響く足音でかき消される。
「もぅ、、、」
文恵は苦笑いと共に溜息を吐き、洗濯を取り込む手を止めた。
”美香ったら・・・”
ここ最近の美香の浮かれた調子に、若い頃の甘酸っぱさを思い出しながらお茶の準備を始めた。
火に掛けたやかんがピィーとなるのと同時に、玄関のチャイムが鳴り響く。
「はぁ〜い」
文恵の声と同時に階段を駆け降りる音が響く。
「今開けるから!ちょっと待って!!」
美香が浮かれた声を発しながら、文恵の目の前を横切った。
「どうぞ!ほら早く!」
美香が満面の笑みを浮かべ、悠斗を招き入れる。
「悠斗君、いらっしゃい」
文恵の微笑みに、悠斗ははにかみながら頭を下げた。
「お邪魔します、、、」
「美香?今日も宿題?」
「何だって良いでしょ、、さっ、悠斗早く!」
「あっ、、、うん、、、」
「ママ、お茶よろしくね!」
「はいはい、、」
バタバタと駆け上がっていく二人を見送り、文恵はキッチンに戻った。「あ〜っもぅ解んない!」
美香はシャープペンシルをテーブルに放り出し、大きく伸びをした。
「大体、aとかbとかXとかYとか、、、何なの?!」
「aとbは係数で、、、」
「だから、それがどうしたっていうの?」
「どうしたって、、、」
美香は嬉しそうにテーブルに肘を付き、悠斗の顔を覗き込む。
「ねぇ、悠斗ってそんなに勉強ばっかりして楽しいの?」
「楽しいわけじゃ、、、」
悠斗は美香の視線から目を逸らし、解きかけのノートを見つめた。
「ねぇ、キスしようか?」
「、、、えっ!?」
目を大きく見開いた悠斗に美香は照れ臭そうに小さな声で続ける。
「もう、皆してるって、、、」
「あっ、、でも、、、」
「、、、、、」
美香は無言で目を瞑り、悠斗に向って唇を差し出した。
「えっ、、あ、、、」
「、、、もぅ、、早く、、、」
「あっ、、、うん、、、」
どうしていいか分からずに悠斗は目を瞑る美香の唇に、自分の唇を押し付けた。
「んっ、、、」
美香の口から吐息が漏れる。
「ふふふっ、、、」
美香の微笑みに悠斗は慌てて唇を離す。
「えっ、、、?」
「ううん、、」
美香は顔を赤くしながら首を横に振る。
「どうしたの、、?」
「ん、、ファーストキスだなって、あと、悠斗の鼻息が、、、」
美香は嬉しそうに俯き、上目遣いに悠斗の顔を伺った。
「だって、、、」
鼻息と言われ急に恥ずかしくなり悠斗は顔を赤くして俯いた。
「あっ、、そういう意味じゃなくて、、嬉しくて、、、」
「うん、、」
「ねぇ、悠斗。もう一度、、、しよ、、?」
「うん、、、」
ゆっくりと重ねた二度目のキス。
緊張で感じなかった美香の唇の柔らかさと、ほのかに甘い香りに悠斗は興奮した。
「んんっ、、、、」
美香の唇を唇で噛むと、美香が甘い吐息を洩らす。
トントン
「お茶ですよ〜」
ノックと同時にドアが開き、二人は慌ててテーブルに向った。
「ママ何!?」
赤い顔で美香が振り向き、悠斗は俯いた。
「何って、紅茶とコーヒーよ。持ってきてって言ったじゃない」
「あっ、、そっか、、、ありがとう、、、」
「あっ、すいません、、、」
俯いたまま返事をする二人に、文恵は無言でお茶を置いた。
「あまり遅くならないようにね、、、」
二人の雰囲気に釘をさすように言い放ち、文恵はドアを閉めた。 その日以降、夢の中の文恵は軟らかさく濡れた唇で責め立て、悠斗は夜中に汚れたパンツを持ち洗濯機に向かうようになった。6.装った偶然 悠斗は震える手でチャイムを押した。
「はぁ〜い、どなたですか?」
文恵の明るい声が聞こえる。
「あっ、、あの、、、悠斗です、、、」
「あれ?悠斗君?」
ガチャガチャと鍵を外す音がし、ゆっくりとドアが開いた。
「あの、、、美香さん、、居ますか?」
「え?友達と用事があるって、、、出かけたわよ」
「あっ、、宿題が、、、」
「そうなの?あの子ったら、、、遅くはならないと思うけど、、入って待ってる?」
「良いんですか、、?」
「まぁ、そのうち帰ってくると思うから。どうぞ、、、」
文恵はにっこりと笑って悠斗を招き入れた。
「お茶でも入れるから、帰ってくるまでリビングで待っててね」
「はい、お邪魔します、、、」
悠斗は俯いたまま頭を下げ、文恵の後をリビングへ向かった。
「そこに座って待っててね」
文恵はソファーを指差しキッチンへ向かった。
文恵の後姿をすがるように見つめ、悠斗はソファーに腰を下ろした。
奇麗に片付いた部屋の一角に干してある洗濯物に視線が釘付けになった。
美香のものと思われる小さなショーツに交じり、少し大きめの飾り気のないショーツ。
文恵がまだ戻ってこないことを確認し、悠斗は静かにソファーを立ち上がる。
「、、、、、」
そっと手を伸ばし、ショーツの内側を覗く。
2重になったクロッチは黄色い染みが付着している。
ショーツから微かに洗剤の香りがした。
悠斗は唾を飲み込み、手に力を入れた時だった。
カチャカチャとカップの鳴る音がキッチンから聞こえた。
悠斗は慌ててショーツから手を離し、ソファーに戻った。
「おまたせ〜コーヒーで良かったかしら?」
「、、、、、あっ、はい、、、」
俯きながら返事をする悠斗の前にカップが置かれ、文恵が対面するように床に座った。
「どうぞ」
文恵は微笑みながら自分のコーヒーに口をつけ、悠斗の顔を覗き込んだ。
「ねぇ悠斗君?」
「あっはい、、、!」
悠斗の声は裏返り、ショーツを手にしていた事を咎められると身を固くした。
「ふふっ、、ねぇ、最近ずい分と美香と仲良いみたいだけど、、、」
「あっ、、、はぃ、、、」
文恵の話題が美香との事と分かり、小さく息を漏らした。
「あの子と付き合ってるの?」
「あっ、、、はぃ、、、」
「そうなんだ!良かった悠斗君で。あの子我儘だから大変でしょ?」
文恵は嬉しそうに微笑み、言葉を続けた。
「悠斗君は勉強できるから、、、これからも宿題教えてあげてね」
「うん、、、」
テーブルに肘を付き嬉しそうに笑う文恵に、悠斗は顔を赤くし俯いた。
他愛のない会話と、コーヒーをお代わりし文恵は呟いた。
「もう、いつ帰ってくるのかしら」
時計は夕方の5時を過ぎ、窓から赤い夕陽が差し込んでいる。
「あっ、、あの、、、トイレ借りてもいいですか?」
悠斗はもじもじとしながら、ソファーを立った。
「ええ、場所わかるわよね?」
「はい、、、」
小さい頃に何度も遊びに来ていて、トイレの場所は解っていた。
悠斗はリビングに文恵を残し、トイレに向かった。
「、、、あっ」
トイレの向かいにある脱衣所のドアが僅かに開いている。
リビングを振り返ると文恵からは死角になっていた。
胸が激しく鼓動し、手の平が汗で濡れる。
悠斗は足音を忍ばせ、脱衣所のドアを開け素早く辺りを見渡した。
洗濯かごに無造作に置かれた青色のショーツに悠斗の視線が止まった。
「、、、、、、」
無意識にショーツをズボンのポケットにねじ込み、悠斗は脱衣所を後にした。
「あっ、、あの、、、遅くなりそうなんで帰ります!」
リビングの文恵に声を掛け、悠斗は逃げるように玄関に向かった。