卑猥な害虫に寝取らせる夫 長編体験談最終章
2018/11/17
運転席にふんぞりかえる坊主頭の大男は、他人の妻を腹の上に乗せ、まるで馬のように尻をペシペシと叩きながら腰を振らせていた。
それを隠れて見ている夫、康夫は、そんな妻の、今までに見た事もない妖艶な腰の動きを目の当たりにし、狂おしいほどの嫉妬と複雑な性的興奮に襲われながらも、ただただ愕然としているだけだった。
乱れる貴子は、大きく海老反ったり、逆に大男の胸にバタンっと倒れたりしながら、自らの意思でコキコキと腰を振っていた。
その度に大男は、貴子の尻を叩き、乳を鷲掴みにし、そして挙げ句の果てには濃厚なディープキスをしたりして、康夫の心情を激しく掻き乱していた。
そんな事を繰り返しているうちに、遂に大男は貴子の尻肉を両手で鷲掴みにした。
丸太ん棒のような太ももがピーンっと伸びると、それまでマグロだった大男の腰がガンガンと激しく動き出し、猛烈に攻めまくられる貴子は、まるで嵐の大海の波に翻弄される小舟のように舵を失った。
「イッたな……」ネズミ男がそう呟いた。
そして次は自分の番だとばかりに急いでペニスをズボンの中に押し込むと、複雑な笑みを浮かべながら、「あの野郎、たっぷりと中出ししてやがるぜ……」と康夫の顔を見たのだった。
見ず知らずの男の精液が、愛する妻の体内にドクドクと注ぎ込まれていた。
射精の快楽に悶える大男が、コキコキと動いていた貴子の腰を、慌てて両手で止めた。
そして、その真っ黒な肉棒を自分でゆっくりと動かしながら射精の快楽を味わっていると、いきなり貴子が大男の太い首にしがみつき、その真っ赤な舌を大男の唇の中に滑り込ませたのだった。
その瞬間を目撃してしまった康夫の思考回路は、もはや完全に狂ってしまった。
その場にしゃがみ込み、頭を両手で抱え込みながら貝のように踞ってしまった康夫の脳裏には、なぜか二年前に貴子と二人で行ったディズニーランドの、穏やかな春の陽気に照らされた白いオープンカフェの風景が蘇っていた。
(あのとき俺は、表面にミッキーが描かれているカプチーノが飲みたくて、あのビックサンダー・マウンテンの近くにある白いオープンカフェに行ったんだ。そこはまだ肌寒い春風がびゅーびゅーと吹きさらし、薄汚い徳島の修学旅行生がウヨウヨと屯していたが、それでも俺は、どうしてもあれが飲みたくて、わざわざあの劣悪なオープンカフェの白い椅子に座ったんだ。なのに……俺が頼んだカプチーノの絵柄はプーさんだった……あいつのカプチーノはミッキーだったのに、俺だけプーさんだった……しかも、あまりにも風が強すぎたせいか、強風に吹かれたそれは、俺達のテーブルに置かれる前に既に歪んでしまっていた。しかも俺のプーは中途半端に歪み、まるでルー大柴の顔のように変化してしまっていたのだった。それでも、それを持って来た店員は、堂々と『クマのプーさんです』と気味の悪い笑顔で言った。
ルー大柴を、平気な顔でプーさんだと言い切る店員は、もちろん絵に描いたようなブスだった。
しかも、風上にいた徳島の中学生達は揃って変な匂いがした。
ほとんどの男子生徒のズボンの丈は短く、白いソックスが丸出しとなった足首はまるで萎びた大根のようであり、見ているだけで悲しい気分になった。
それでもカプチーノは七百五十円もした。
スタバなら三百五十円なのに、絵柄はルー大柴であるにもかかわらず、それでも七百五十円もした。
しかし貴子は笑っていた。
強風の中、歪んだミッキーをチュルチュルと啜りながら、楽しいね、と微笑んでいた。
そんなあいつは春の陽気にキラキラと輝いていた……)康夫の脳は、貴子との楽しい思い出ばかりを蘇らせ、この悲惨な現実から必死に現実逃避しようとしていた。
しかし、いくら脳に楽しかった思い出を描こうとも聴覚だけは誤魔化せず、「そろそろ行くか……」と呟くネズミ男の声に、たちまち現実に引き戻されてしまった。
恐る恐る顔を上げると、車に向かって歩くネズミ男の背中が見えた。
いつしか大男の姿は消えていた。
フロントガラスには、後部座席でうつ伏せになりながら踞っている貴子の丸い尻だけが、夜空の満月のようにぽっかりと浮かんでいるだけだった。
後部席のドアの横で足を止めたネズミ男は、ニヤニヤと笑いながら車内を覗き込んだ。
踞ったまま両耳を塞いでいた康夫は、(見るな!)と叫ぶが、それは虚しくも声にはならなかった。
ネズミ男は、辺りをキョロキョロと見回した後、後部席のドアをゆっくりと開けた。
後部座席で四つん這いになっていた貴子は、下半身を丸出しにしているにもかかわらず身動き一つしなかった。
ドアを開けたのが誰なのかもわからないのに、それでも貴子は尻を高く突き上げ、剥き出しにした陰部をその誰ともわからぬ相手に向けていた。
(どうして尻を隠さないんだ!どうして相手を確かめないんだ!どうして!どうして!どうしてなんだ!)そう心の中で絶叫していると、後部ドアがバタンっと閉まる音が駐車場に響いた。
さっそくネズミ男が尻肉にむしゃぶりついているのが見えた。
たちまち激しい目眩を感じた康夫は、気が付くとフラフラと車に向かって歩いていたのだった。
後部ドアの窓をソッと覗き込むと、四つん這いの貴子の尻肉を、ネズミ男が両手で押し広げていた。
真っ白な尻肉の中央で、貴子の性器が無惨にベロリと剥き出され、そこから大男の精液らしきものがドロリと溢れては、卑猥にテラテラと輝いていた。
ネズミ男はその白い液体を指で掬い、それをトウモロコシのようなイボマラに満遍なく塗り込んだ。
そして何かの合図のように貴子の尻をパンパンと二つ叩くと、真っ赤に爛れたその穴の中にイボマラを突き刺したのだった。
車内から、絶叫に近い喘ぎ声が聞こえてきた。
四つん這いになる貴子の背骨は弓なりに撓り、黒い髪が卑猥に乱れた。
ネズミ男の腰が徐々に激しくなって来た。
貴子の尻肉がタプタプと揺れ、同時に車体がユッサユッサと揺れ始めた。
そんな貴子は、明らかに感じているようだった。
あの凶器のような獰猛なイボマラを激しくピストンされる貴子は、もはや完全に自分を見失ってしまっているようだった。
(これが、俺が望んでいた結果なのか!)心の中でそう絶叫しながら、康夫は、乾いたアスファルトに崩れ落ちた。
拳を強く握りしめ、その拳をブルブルと震わせながら、既に貴子は『公衆便女』になってしまったんだと絶望した。
卑猥な害虫。
自分が勝手に作り上げたその害虫に、貴子は理性を奪われてしまったのだ。
地域環境課の部長に、口からでまかせに吐いたその嘘が現実になってしまったのだ。
そう思いながら康夫は、「くそっ!」と、アスファルトに拳を打ち付けると、とたんに嗚咽が漏れ、乾いたアスファルトに黒い涙がボタボタと落ちた。
絶望に打ちひしがれながらも、再びゆっくりと立ち上がった。
上下に揺れる車の中を見ると、正常位で攻められる貴子が、ネズミ男の痩せこけた背中にしがみついていた。
百台近くの車が並んでいる中で、自分の車だけが不自然に上下に揺れ、サスペンションがギシギシと音を立て、そして車内からは「イク!イク!」という貴子の卑猥な喘ぎ声が漏れていた。
そんな貴子を見下ろしながら、康夫は「卑猥な害虫……」と、声に出して呟いた。
そう呟いた瞬間、康夫は「はっ」と顔を上げた。
そこで初めて康夫は気付いたのだ。
そう、貴子を淫乱に掻き立てているその卑猥な害虫というのは、紛れもなくこの自分だった事に、やっと康夫は気付いたのだ。
康夫は大きく息を吸いながらゆっくりと踵を返した。
すると、いつの間にか真後ろにスーツを着た男が立っていた。
男は、康夫と目が合うなり素早く目を反らし、地面を見つめながら人差し指で銀色のメガネをソッと上げた。
そんな男を無視して歩き始めると、突然男が、「あのぅ」と声を掛けてきた。
ゆっくりと振り返ると、メガネの男は「いいんですか?」と聞いて来た。
「……何が?……」
「ですから……順番……」男は車内を指差しながら、消え入るような声で呟いた。
よく見ると、康夫の車の周りには、その男以外にも数人の男達が陰に潜んでいたのだった。
そのままパチンコ店のネオンに向かって歩いた。
寝取られというものが、これほどまでに悲惨で残酷なものだとは思ってもいなかった康夫は、この夜、寝取られ地獄というものをまざまざと思い知らされた。
完全に打ちのめされた康夫は、一刻も早くこの地獄から這い出さなければと焦っていた。
この地獄から這い出す方法は、ただ一つだった。
それは、今ここで貴子を救出する事ではなく、自分の中に潜んでいるこの忌々しい卑猥な害虫を駆除する事だった。
この害虫を駆除しなければ、寝取られ地獄は延々と続くのだ。
しかし康夫には、それを駆除する方法が思いつかなかった。
こうしてパチンコ店の周囲をグルグルと歩き回っている今も、康夫の中では卑猥な害虫が暴れていた。
今頃、貴子はどうなっているのだろうかと想像すると、居ても立ってもいられなくなり、そこらの車の影でセンズリしたくなる衝動に駆られるのだ。
そうやって悶々としながら駐輪場の角を曲がった。
するとその奥にある景品交換所の前に、さっきパチンコ店で隣に座っていた中年女が立っているのが見えた。
女は、薄暗い街灯の下で、1、2、と唇を動かしながら一万円札を指で弾いていた。
そんな中年女の薄汚れた茶髪を、暫くの間ぼんやりと眺めていた。
すると、康夫の視線に気付いたのか、中年女は、3、4、と数えながらソッと顔を上げたのだった。