あと数年で三十路になるのに浮いた話のない妹

2018/10/15

オレの妹はあと数年で三十路を迎えようとしているのに、浮いた話もなくOLを続けている。
兄貴のオレが言うのもなんだが、妹は顔もスタイルも悪くない。
それに反してオレはというと、本当の兄妹かと思うほどビジュアル的に大きなハンデを負っており、
小さいころは神様の理不尽さを恨み、妹が妬ましかった。
ただ、妹は性格的には大人しくて、どちらかと言うと、いや、率直なところ人づきあいが苦手な方だ。
子供の頃は、二人でよく遊んだり話をしていたので、
いつの間にそうなってしまったのかオレにはよく分からないが、
中学から大学までエスカレータ式の女子校に通っていたせいか、男と話をするのが特に苦手なようだ。
ちょっとだけ神様に感謝しているのは、オレには妹にはない社交性を授けて貰って、
女にはモテなくても男友達の人望はそれなりにあった。
あの日は両親が遠い親戚の法事で出かけていて、オレたちは二人で夕食を済ませると、いつも通りリビングでテレビを見ていた。
「お兄ちゃん、これ食べる?」
食後のデザートに妹がリンゴを剥いて持って来てくれた。
「おう、サンキュ」
至っていつも通り、普段と変わらない会話だった。
それからも二人でテレビを見ていて、バラエティ番組の途中でコマーシャルになった時、何の気もなしにオレは妹に問いかけた。
「恵子、お前、結婚しないのか?」
「…そんな人、いないモン…」
妹はテレビの画面から目を外さずに答えた。
「でも、いつかはしようと思ってるんだろ?」
「…わかんない…」
「お袋たちも心配してるぞ」
「…」
返事がないので、ふと妹の方を振り返ると、恵子は怒ったような目をしてテレビの画面を睨んでいた。
"あー、地雷踏んじゃったかぁ?"そう思ったオレはその場の空気を変えようと、
「ほら、そんな風に膨れてないで機嫌直せよ」
と言ってふざけて妹の腕を引っ張ってみせた。
不意に引っ張られてバランスを崩した妹は、オレの腕の中に凭れ込んできたので、子供をあやすようにそのまま妹を抱きしめてみせた。
恵子が嫌がれば直ぐに笑って放すつもりだった。
でも、その時は…。
恵子は身体を硬くしていたが、抗う素振りは見せなかった。
冗談にするきっかけを失って、妹を腕の中に抱きしめたままでいると、あまりの軽さと柔らかさに驚いてしまった。
心臓の音が高鳴って、オレは思わずそのまま恵子をぎゅっと抱きしめてしまった。
「お兄ちゃん、苦しいよ」
恵子の声に我に返ったオレは、腕の力を緩めると、オレの胸に恵子の熱い吐息が掛かった。
「お前、結構抱き心地いいぞ」
そう言ってやると恵子は少し顔を赤らめて腕を突っ張ると、
「…バカ…」
と言って台所に逃げて行った。
二十五年以上も同じ屋根の下に一緒に暮らしながら、妹を女性として意識したことはなかった。
厳密にいうと、異性への関心が急速に高まった中学生ぐらいまでは女の子の裸が見たくて、一緒にお風呂に入ろうと言ってみたり、キスしてみようか、などと冗談めかして言っていたけれど、異性として好きだとか、そんなのではなかった。
妹が嫌とは言えない引っ込み思案な性格であるのをいいことに、強引にお風呂に誘って一緒に入った時、女性の裸を始めて間近に見た。
妹の身体はまだ幼くて、胸も膨らみかけたばかりだったけど、薄い陰毛が生え始めていたのを鮮明に覚えている。
「ちょっと、お兄ちゃん!」
窘められながらも胸に触った後で女性器にも手を伸ばしてみたけれど、背中を向けて身体を丸めているので、妹の腕を取ってオレの股間を触らせようとした。
「イヤッ!」
とはっきりと拒絶されてしまって吃驚したが、もう一度手を取って強引に触らせようとすると、
「イヤだってば!」
と珍しく強い調子で言われてしまってからは、無理強いすることもなかった。
でも、キスはさせてくれた。
大人の真似をして唇を合わせてみた時には、妹の唇がマシュマロみたいにフワフワしていたことだけは覚えている。
「どう?」
「よくわかんない…」
「ベロ、入れてみよっか?」
「やだ、気持ち悪い…」
妹との遣り取りはそんなだった。
「お兄ちゃん、お風呂、沸いたよ」
暫くして気を取り直した恵子がオレのところに戻ってきて言った。
オレはさっきのことが照れ臭くて、
「おう、久しぶりに一緒に入ろうぜ」
と軽口を叩いた。
妹が目を伏せたままで何も言わないので、言葉の接ぎ穂に困ったオレはソファーから立ち上がり、
「ホレ、ホレ」
と言いながら意地悪をするふりをして、妹の身体を押すよう脱衣所へと追いやって行った。
行き場を失ったところで恵子は怒り出すだろうと思っていたので、ガハハと笑い飛ばす用意をしていたら、
「お兄ちゃん、向こう向いてて」
と言われてしまって驚いた。
引っ込みがつかなくなって脱衣所の入り口で外を向いていたら、恵子が服を脱いでいる気配がして、すぐに風呂場の扉を開けて入る音がした。
中で掛け湯をする音が聞こえる。
気が付くとオレのモノは屹立していた。
"オレは妹に欲情しているのか?""恵子はどうして素直に風呂に入ってるんだ?"いろいろな疑問符が頭の中を駆け巡った。
このまま入っていくのはどうかとも思ったが、ヘンに隠して入るよりも開けっ広げの方が堂々としているか、などと訳の分からないことを思って、そのまま入って行った。
あの時のオレは舞い上がってしまっていて、まともな判断ができる状態ではなかったのだと思う。
前も隠さずにオレが入っていくと妹は直ぐに目を逸らして湯船の中に視線を移していたが、男のシンボルには目に留まったはずだ。
オレも掛け湯をして恵子の背後から湯船に浸かるとザァザァとお湯が溢れ出した。
恵子は黙ったままオレに背中を向けていたので、恵子の肩に軽く手を置いて自分の方に引き寄せてみると恵子の身体は驚くほどすんなりとオレに凭れ掛かってきた。
恵子の腰の辺りにオレの硬くなったモノが当たっているのが気になったが、後ろから腕を回して妹の胸にそっと触れてみた。
肩越しに見える恵子の脚は細くてすらりと長かく、妹の胸は昔と比べて遥かにボリュームが増していた。
白い肌がまぶしい。
"恵子の肌ってこんなに白かったのか…。
"そんな風にも思った。
お湯の中に見える恵子のへそ下には黒い叢が揺れていた。
オレは片方の手で恵子の乳房を包み、もう片方の手で乳首をそっと摘まんでみた。
「あっ」
恵子が小さな声を発したので、
「お、感じたのか?」
とからかうように言ってやると、恵子は片手を後ろに回してきて背中に当たっているオレのモノを探り当てるとそっと握った。
「!」
子供の頃は、あんなに嫌がって触ろうとしなかったのに自分から掴んで見せるなんて驚いた。
調子に乗ったオレは少し前屈みになって手を妹の茂みに伸ばしていくと、妹は慌てたようにオレのモノから手を離し、さっと立ち上がって湯船から出ると身体を洗い始めた。
湯船の淵を跨いだ瞬間に、オレは妹の黒い茂みをしっかりと見てしまった。
大人になってから初めて見る恵子の身体はオレの想像していた妹より遥かに綺麗だった。
子供の頃のイメージで、少しポッチャリしているのかと思っていたら、妹の身体の線は細く、背中には割とはっきりと背骨のラインが見えていた。
腕が動くたびに見え隠れする乳輪はピンクのままで、乳首もそれほど大きくはなかった。
"恵子は何を考えているのだろう?"恥ずかしそうな素振りは見せるものの、兄貴に裸を見られていても平気そうだし、かといって男の身体に興味を抱いている風でもない。
いや、オレのモノを掴んできたのだから興味はあるのかもしれない…。
そんなことを胸のうちで反芻しながらぼやぼやしているうちに、妹は手早く髪と身体を洗うと、
「お兄ちゃん、ちゃんと身体を洗って出てきてね」
と言って、さっさと風呂場から出て行ってしまった。
刷りガラスの向こうで恵子が身体を拭いて下着を身につけているのが見えた。
妹の陰が扉の向こうに消えるとオレは湯船から出て身体中にボディーソープを塗り、身体を洗うと頭からシャワーをかぶった。
痛いほどになった屹立は収まらず、冷たい水を浴びて漸く落ち着きを取り戻した。
お風呂から上がると恵子はTシャツにスウェットスーツのズボンを穿いて、居間のソファーで再びテレビを見ていた。
タオルを肩から羽織るようにして、濡れたセミロングの髪がシャツを濡らさないようにしていた。
背を向けている恵子に向かってオレは声を掛けた。
「お兄ちゃん、もう寝るよ」
「えっ?そうなの?あ、おやすみ」
妹はそう言うとテレビに視線を戻していた。
何だかがっかりした表情を見せたようにも思ったけれど、オレの願望がそう見させたのかもしれない。
オレは自分の部屋に入るとベッドに潜ったが、直ぐには寝付けなかった。
脱衣所で恵子がドライヤーを使って髪の毛を乾かしているのが聞こえる。
風呂場での光景を思い出しただけで、オレのモノはあっという間に硬く屹立していた。
オレが部屋に戻ってから十五分も経たないうちに、恵子が自分の部屋に入っていく音がした。
悶々としながら眠りにつこうとしたけれど、時計の秒針の音がやけに大きく聞こえている気がして眠れなかった。
小一時間ほどが経ったころ、妹の部屋から"あーっ"と言うような細く甲高い声が聞こえた気がした。

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